2018/12/28 のログ
ご案内:「王都マグメール 王城 第七師団訓練所」にゼロさんが現れました。
ゼロ > 夜に近づいてきている訓練所、そこで一つの音が響く。
 訓練用の打ち込み用の木人があり、その木人の前で、少年がナイフを構えて打ち込んでいく。
 ナイフは首筋、脇腹、腕、足と、ありとあらゆる場所を掠めるように振られて、それは止まる事がない。
 もともと、剣や斧等の重量に任せて打ち砕くような武器ではないから、手数を重視し、細かな傷を作り、血を流させて相手の力を減らした上で、必殺の一撃を加える。
 それがナイフの基本的な動きであり、考え方であろう。
 待機命令の出ている少年は……しかして、訓練を止められたわけではないので、己の身が錆びぬように訓練を行う。
 誰もいなくなった練兵場、一人夜間訓練と言わんばかりに打ち込む。
 ただ、打ち込むだけではない。戦闘を想定し、その場で足を使い、木人から回りこんだり、前進、後退、左右の移動も合わせ、縦横無尽の動きを持って、少年は打ち込み続けている。

ゼロ > 仮面をしている少年故に、表情は見えないが、仮面野分から漏れ出でる吐息は白く、熱を持っていることを示すであろう。
 打ち込んでいる時間はそれなりの時間立っているとは思われるが、少年の動きに停滞や遅延はない。
 流れるように切りつけ、打ち込み前後左右に動くのだが、少し離れてみれば木人を中心に円を描くように回り込んでいる。
 出来うる限り好きが少なくなるように、基本の型を忠実に、少しでも鋭さを増すようにと、動いていく。
 打ち込み、回避し、回避し、打ち込む。一連の動作を繰り返し、繰り返し、己の体に覚え込ませるように、そして、動きの最適化を図るように。
 徐々に、徐々に速度を増していく。
 木人が打ち込まれ続け、少しずつぐらりぐらりと揺れていく。

 ――――べきり、と音がして、支柱から折れてしまった。

ゼロ > ベキリと折ってしまってから少年は少しの間固まっていた。
 表情は見えぬものの、どうしようという雰囲気が少しの間流れて消えていく。
 しかし、気を取り直したのか少年は折れて倒れた木人の打ち込み台を持ち上げる。
 元に戻すことはできないし、壊れた装備等を置く廃棄所に置くことにした。
 木人も耐久消耗品だ、壊れたら新しいものを作るだろう。

「あとで申請しておかないとかな……。」

 流石にそのぐらいはしないといけないだろう。
 書類仕事というのは少しばかり気が重くなるが仕方があるまい。
 少年は、軽くため息をこぼしてから、別の木人へと近づこう。
 まだ、訓練を終えるつもりはないのだし。
 ようやく体が暖まってきたところだ、もう少しばかり動いてから戻ろう、そう考える。

ゼロ > 今まで打ち込んでいた木人とは、別の木人に少年は移動する―――移動といっても、隣の木人ではあるけれど。
 今はほかに訓練をしているような人もいないので自由に使えるのだ。
 だから、夜遅く人とは違う時間で訓練をするのだけれども。
 少年は再度、ナイフを構える。
 動きは、変わることはなく、愚直ではあろうが、基本の型である。
 基本に真髄は宿ると思うし、基本を完璧にマスターしないことには応用もできない。
 だからこそ、少年は基本の型を繰り返し、繰り返しおこなうのだ。
 ナイフの動きを、同じ動きをなぞるように、木人に打ち込んでいく。

 夜の練兵場に、打ち込みの音がさらに響いていくのだ。

ゼロ > 少年は、訓練を続けていく。
 夜の訓練場は遅くまで、打ち込みの音が響いていて。
 そして、腹が減った頃、夜も更けてくる頃には終了するだろう。
 その打ち込みが終わったあと、少年はすべてを片付けてから、練兵場を後にする。

 明りを消して、扉を閉めれば。
 静寂が戻ってくるのだろう―――

ご案内:「王都マグメール 王城 第七師団訓練所」からゼロさんが去りました。