2018/11/28 のログ
ご案内:「王都マグメール 王城」にホウセンさんが現れました。
■ホウセン > 居ない時は何処を探しても居ないのに、いざ現れれば神出鬼没。
そんな小さな妖仙の姿が、夜の王城で見かけられた。
流石に行政機関としての活動は終わって久しく、どちらかといえば社交施設としての色彩を帯びている其処へ。
今日も今日とて、己をアクセサリー代わりに見せびらかそうという得意先の招きに応じ、お行儀の良く挨拶回りに随行する。
異国の装いも、異邦人たる見目も物珍しいようで、会話の糸口を掴む小道具ぐらいの役割は果たせただろう。
「日頃の愛顧に対する義理は果たしたからのぅ。
ちぃとばかり好きにさせてもらうのじゃ。」
王城内に複数ある小ホールの一つ。
参加者は精々百人程度で、規模としてはこじんまりしている範疇か。
胤を撒き散らしたくせに間引きせず、王家を雨後の筍のように枝分かれさせた結果として増加した、碌に知りもしない何処かの王族の凱旋を祝賀する集い。
目当てにするような参加者は居ないだろうと踏んでいる為に気は緩みっ放し。
強いていうのなら、王国軍関係者が間々見受けられるため、何事かの商機に繋がるものかと様子を伺うぐらい。
■ホウセン > 凱旋といえば聞こえが良いが、単に戦場に赴き、特に前線指揮をするでもなくお飾りとして存在し、
波乱も無く帰ってきただけという、王侯貴族の”普通”な帰都というだけ。
子としての武を振るうには、チラリと見かけた主役は貧相過ぎて期待できそうに無い。
スルリと音も無く会場の中央から抜け出し、料理が並べられたテーブルの傍らに。
「其処にいるだけでおめでたいなんぞ、何処かの福の神の類でもあるまいに。
そのお陰で馳走にありつけておるというのなら、文句をつけるのも野暮かもしれんがのぅ。」
彼是言っても、提供されている飲食物に罪は無いと、あちらこちらの皿から料理を少量取り分けでパクつく。
焼き物、煮物、汁物、ゼリー寄せ、炒め物、テリーヌ、揚げ物。
お子様の風体の癖に、一々頷きながら咀嚼し、贅を尽くした食事を品評しているらしい。
一息つく為に、空になった皿を戻しつつ、黒いスーツ姿のスタッフから、カクテルグラスを一つ。
気の効いた、もしくは良識的な者ならば、小さな泡の弾けるグラスの中身はジュースかノンアルコールカクテル。
だが、来客者に子供が混じっているのは想定外らしく、葡萄を発酵させた代物だった。
――妖仙にとっては、願ったり叶ったりだっただろうけれども。
■ホウセン > 少し酒精を摂取して、ほんのりと上気した頬。
愛嬌を二割増しにしながら、宴の会場からいつの間にか抜け出し――
ご案内:「王都マグメール 王城」からホウセンさんが去りました。