2018/08/26 のログ
ご案内:「王都マグメール 王城」にマルグリットさんが現れました。
■マルグリット > (生まれたての朝の光が、朝露に濡れた庭園の緑をほの白く照らす時刻。
未だ気温もさほど上がっていないようで、吹き抜ける風も心地良く頬を撫でる。
この城で初めて迎えた朝、前夜に大人しくしていなかったことをさんざん叱られたが、
懲りるということを知らない娘はまたしても、メイドが起こしに来る前に部屋を抜け出し、
窓から見えた庭園へと降りてきていた。
しかも服装はと言えば、踝まで隠れる白いネグリジェに薄手のガウンを羽織っただけ、
足許は室内用の柔らかな布靴、という有り様である。
鼻腔を擽る瑞々しい緑の匂いに相好を崩し、うきうきとひと気の無い庭園の奥へ歩を進めながら)
綺麗……こんなに気持ち良いのに、どうして誰も、散歩していないのかしら。
王族の方々って、もしかして皆さん、お寝坊さんなのかな…?
(そんな呑気な台詞がぽろりと、世間知らずな娘の口から零れ落ちた)
ご案内:「王都マグメール 王城」にシドさんが現れました。
■シド > (物みな夢から醒める時刻。夏には珍しい心地よい涼風が流れるテラスへと
踊り出て欄干に寄りかかり涼んでいた。
先日は晩餐会にと招待され夜更けるまで酒を飲まされた身には、
朝日に照らされし光景が眩く葡萄色の眸を細めて何考えず眺めるだけだった。
が、衛兵を除けばまだ眠りに耽る怠惰な王城の、その中庭に現れた少女の姿には
まだ酩酊が抜けぬ頭にも、眸にも、小さな衝撃を受けて凝視するのだ。
体は重く億劫だが、元来好奇心旺盛な性格。軽く肌を拭ってから普段どおりの
衣服を身にまとい、客室を出て中庭へと躍り出た。)
やぁ、おはよう。こんな時間にお散歩かい。
(少女が歩を進める対面にと長駆の姿を現して、
じっとそのあまりに無防備な姿と表情に、紫の視線を通わせた。)
■マルグリット > (今頃、己に与えられた部屋にはメイドが訪れて、
またしても寝床から抜け出している娘の姿を、あたふたと捜しているだろう。
そんなことはつゆ知らぬ娘の足取りは飽くまでも軽く、ひらひらと裾を翻して歩く己の頭には、
混じり気の無い好奇心だけがぎっしりと詰まっていて、迷子になることなど考えてもいない。
さて、そんな気ままな散策を楽しんでいた己の前に、一人の紳士が現れた。
見上げる長身、朝日に照らされて煌めく銀色の髪、甘やかな葡萄色の瞳。
―――――足を止めて、思わず、一拍、二拍。
ぼんやりと見惚れていた翠玉を、ぱしぱしと忙しなく瞬かせて)
………おはよう、ございます。
(ひょこん、と弾むように一度、下げた頭を戻した時には、
赤みのさした面に、人懐こい笑みを浮かべており)
ええ、だってこんなに気持ちの良い朝なんですもの…!
とても、ベッドでじっとなんてしていられないわ、そうお思いになりませんか?
(両手を広げて、美しく整えられた庭園を示し。
咎められなければ今にも、その場でくるりとターンすらしそうな格好で)
■シド > (屈託なく邪険にもされている感が少ないと悟った眸は緩慢な瞬きを。
薄く前に垂れた銀髪を広い肩幅から後ろに流し、1,2歩を進め、少女の髪房から飛び出た尖り耳を覗き込むような前傾を僅かに。)
おはよう。客室から君の姿が見えたんでね。つい気になってここまで来てしまった。
エルフのお姫様かな?
(幼くとも礼儀正しく振る舞うのなら、腕を胸元に折り曲げる慇懃丁重な礼で返す。
垂れた銀髪を再び掌で掻き上げ正し、覗く葡萄色はこの城に珍しい明朗快活な少女の碧玉の双玉に重ね。
つい、ふ、と眦を下げて微笑んでしまう。)
確かに。今日は珍しく涼しい。いい朝だと思う。
ダンスでもしたい気分だ。
(少女の気分が伝播したのか、絵本の中の無垢な王女に等しく今にも動き出しそうなその姿の前で。
と、 ん。 軽やかな足音は、鈴の如き金の囁きを引き連れる。
とん、と…ん、と。少女の周囲を舞う様な調子で宵に冷えたレンガを踏んでいく。)
■マルグリット > (王都にも、この城にも、全く馴染んでいない身である。
たった一人、軽装で異性に行き会っても、好奇心がますます疼くばかりで、
警戒心など微塵も生まれてはこなかった。
客室から、と告げられればまた少し頬を色づかせ、彼が現れた方向を一瞥したけれど。
エルフ―――その名称が彼の口から発せられると、無意識に両手で、
わずかに尖った己の耳を恥ずかしげに覆い)
いいえ、…お母さまはエルフですけれど、私は半分だけ、なんです。
お父さまは人間で、……このお城の何処かにいらっしゃるの。
(父親が王族だ、とストレートに打ち明けはしなかったが、そう告げたに等しい物言いだったか。
何れにしても、目の前に現れた人物はまるで、娘の憧れる「王子さま」のようにも見えて。
軽やかに煉瓦敷きの上を辿る動きにつられ、くるり、衣の裾を翻しながら、
楽しげに、ひと巡り、ふた巡り―――――そこで、はた、と慌てたように足を止め)
……こんなところ、お父さまがご覧になったら、叱られてしまうかしら。
(はしたない娘だと、嫌われてしまったらどうしよう。
―――――おずおずと、彼の葡萄色を覗き込むように見つめて)
あの、……窓から、ご覧になっていた、っておっしゃいました、よね。
もし、よろしかったら、なんですけれど……そのことと、今の、これ……
出来れば、ここだけの秘密に、して頂けませんか?
(対面を果たす前から、悪印象を与えたくない。
両手を胸元で組み合わせ、祈るような面持ちで、ひそひそと)
■シド > (道化じみた動きをしたのは少女の緊張を解したかったからでもあるし、その珍しい気質に心躍ったからでもあった。
だから、終わった後は共に笑い、その後に気恥ずかしさに少し俯いてしまう。)
……ダンスも上手そうだな。舞踏会にも君みたいな楽しい子がいれば私の退屈も紛れるのだが。
ハーフエルフ……内緒で来たのか。だから。
(伴もつけず無防備な姿でいたのかと唇を弧に描かせて合点。
だが夏草より瑞々しい碧色が微かに曇りこちらを仰ぐには訝しげに首を傾斜させる。
この程度のこと、誰に言うほどでもないし、脅しにも使えぬ些末な事柄――
それでも、身に降り注ぐ一大事と矮躯で祈りを捧げる姿には、悪戯心が湧き上がってしまう。)
あい、わかった。ただし、条件がある。
秘密を守るというのは互いに知られたくない事情をもって成立するもの。
(殊更勿体つけるように言葉を区切り。酷くゆっくりと伸ばした指先で少女の細顎を掬い上げようとする。
叶えば更に首を傾げて、銀色の装飾具がリンと高く囀る音響かせ、悪戯にウィンクする顔が見える筈。)
私の名前はシド。シドニウス=アルケイオス。
このシドの部屋に客室にきて退屈を紛らわせてくれないか。
それならば、今朝、君とあったことは誰にも話さないことを約束する。
■マルグリット > (この城へ来てからというもの、ほとんど叱られ通しであった。
曰く、「ここは貴女の暮らしていた、田舎の森の中じゃありません」。
つまり、王家の姫君たるもの、人前では常に大人しく、お淑やかにしているべき、らしい。
もっともだ、とも思うけれど、だが、しかし――――。)
……殿方と踊ったことは無いから、上手かどうかは解りません。
でも、踊るのは大好き、…歌うのも、何よりこうして、自由に動けるのが、
―――――舞踏、会……いつか、私も出てみたい、です。
(きっと華やかで、煌びやかで、目の前の人のような美しい紳士淑女で溢れていて、
素晴らしい時間が流れているに違いない、と、娘は思う。
けれどこんなに言いつけを守らない、大人しくしていられない娘では、
そんな場にはきっと、いつまでもでした貰えないに違いない、とも。
だからこそ、せめて彼の沈黙を勝ち取りたくて、眼差しと態度で必死に訴えたのだが。
伸ばされた手指は長く、顎先を掬う動きは何処までも優雅で、
間近に見たウィンクの破壊力、たるや。
―――――瞬く間に娘の白い顔が、尖った耳の先まで、真っ赤に染まってしまうほど。)
あ、……シ、ド…シドニウス、さ…ま……?
わ…私、は、マルグリット、と、いいます。マルグリット、…ルシア、カルテネル。
(何の躊躇いも無く、ただ名乗られたのだから当然のこととして、
与えられたばかりの家名を口にする。
相手に悪意があるようには見えなかったし、何よりも名乗ってくれたのだし、
秘密を、守ってくれるというのだし。
胸の前で組み合わせた両手はそのままに、こくん、と小さく、それでもはっきりと頷いて)
私、……なにも、面白いことは出来ません、けれど。
それでも、よろしかったら……ええ、伺います。
だから……どなたにも、おっしゃらないでくださいね……?
(異性の部屋を、一人で訪ねるなど、控えて然るべきである、とは、
誰にも教えられていない娘ならではの、即決だった。)
■シド > ……舞踏会、出れると良いな。その時は是非お相手を務めさせて貰おう。ただ――
(この国にいるにはあまりにも初心過ぎる、と。挙動一つで花の如く色付く少女の姿に一抹の危惧宿り。
顎を擡げていた指先は落ち着かせる柔らかさをもって熟れた頬を擦る。
大きな掌で包み柔らかな手付きで撫でるそれは父性が滲み出たもの。
それでも、欲望多きこの国に根ざした青年では有るのだから連れ込みはやめないのだけれど。
エルフの姫君が切なる願いに煩悶する間、青年が思うのはそんなこと。)
マルグリット姫。いい響きだ。
そしていい子だ。何が出来るか出来ないかは私が見極める。
だから安心すると良い。
(肩についたマントの裳裾を掴む。
純白の布地で少女を包みこみ、身を寄り添わせながら澄み渡る朝の中庭から2つの翳が消えていく。)
■マルグリット > (舞踏会、その魅惑的な響きに酔った娘は、嬉しげに頷くばかり。
「ただ」―――――その先に消えた言葉を、不思議そうに瞬く瞳が問うたけれど、
答えが返らなければきっと、すぐにそんな疑問も忘れてしまうだろう。
何しろ、こんな風に殿方の長い指で触れられることも、大きな掌で撫でられることも、
間違い無く初めて、という身の上である。
意識は火照った頬に心地良い、その甘やかな感触に流されてしまい)
有難うございます、お父さまが、つけてくださった名前なんです。
―――――あ、……すみません、あの、でも……、
(名前を褒められれば、それだけで返す声音がうきうきと弾む。
彼が身に着けていたマントで無防備な肩を包まれると、勿論、すぐに礼を告げるけれど、
「そんなに、寒くありませんよ?」なんて返してしまう、己はやはり警戒心皆無のまま。
彼の体温の名残りに包まれ、迷いも躊躇も無い軽やかな足取りで、
―――――未だ名乗り合っただけの、初対面の殿方の部屋へと、消えた。)
ご案内:「王都マグメール 王城」からシドさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 王城」からマルグリットさんが去りました。