2018/07/27 のログ
■紅月 > 花が咲いた、と、思った。
「…ぁあんもうイヴかーわーいーいーっ!!
なぁんだよぅ、イイ笑顔、出来んじゃんか!」
思わず、ふわっと抱き締める。
疚しさなんかは微塵もない…というか、端から見れば『大型犬が飼い主にじゃれついている』ように見えるかもしれない。
値段の高低などは、この紅娘にとっては興味の外の外なのだ。
綺麗で気に入ったから欲しいし、便利だから使うし、なんかあげたくなったから押し付けたまで。
「笑ってた方がいいよ、絶対。
可愛いもん!」
そのまま、ぽふぽふ、と
…可愛いから飾りたくなったし、更に撫でたくなった、と。
紅月にとっては自然な事、当然の事なのだった。
不敬?そんなん知りません。
女の子がアクセサリー談義しつつじゃれあって何が悪い。
■イヴリール >
「…へっ…? …あ」
笑っていた、らしい
無意識に、自然と顔が綻び、微笑む…最近は少しだけそういうことも多くなってきたのかも
「わ、あ、あの…恥ずかしい、です。え、衛兵さん、見てます、よ……」
スキンシップなぞ当然慣れていない
撫でられ、気恥ずかしそうに頬を紅潮させて俯き気味にぽそぽそと呟いている
「コウさんも、なんだか…かわいらしい、です…はい…」
■紅月 > 紅娘の珍行動に偶然居合わせる事の多い不運なこの衛兵であったが、今度ばかりは度肝を抜かれたらしい…数拍固まり、姫君の鶴の一声でようやっと正気にもどる。
「やだもー私なんかよりイヴの方がっ!
…っ、く、ぅおぉぉ……いーい拳じゃねぇのん」
衛兵による教育的指導が、不埒者を背後より襲う。
…ゴッ!!
かなり、イイ音がした。
全力で姫君に懐いていた紅娘が避けられる訳もなくしゃがみ込み…今度こそ、轟沈する。
ちょっぴり涙目だが、自業自得である。
「いったいなぁもー…!
バカになったらどうしてくれんのさ~…」
涙目で衛兵を睨む、が…完全に自業自得である。
この後『安心しろ、既に馬鹿だ』「にゃにおぅ!?」と、案の定の応酬が始まる事となるが…やはり、じゃれあいであり、日常である。
…紅月の宝箱はいつの間にか消えている、役目を終えて在るべき場所へ収納されたようだ。
◆ある衛兵の視点より…
姫様がよく物憂げな、悲しげな表情をしているのは知っていた。
警護にあたる兵士ならば、お見かけしたことのある奴は他にもいるはずだ。
なのに。
イヴリール様の笑顔など初めて見たやもしれん…同期に大いに自慢できるネタで非常に惜しいが、黙っておくべきだろうか。
…なんか悔しいから、このド阿呆の頭でもブン殴っておこう。
どうせ殴ったところで俺程度の拳じゃ割れやしないんだから。
■イヴリール >
「!? だ、だいじょ、う、ぶ…そう?…です、ね…」
すごい音がした気がするけれど、衛兵と元気に言い合いをしているのを見て少し安心する
貰った贈り物をきゅっと握りしめて、もう一度お礼を言おうと───
ばたん
回廊の先、部屋のドアが開き侍女らしき姿の女性が顔を覗かせる
紅月を一瞥し、その視線は王女…イヴリールのほうへと向けられて
『姫様、そろそろお戻りください。お城の散策も結構ですが、長い時間ならば今後は衛兵をつけさせて頂きます』
淡々とした言葉を投げかけるその視線は、あまい良い感情を感じられるものではなかったかもしれない
「あ……はい、ごめんなさい…。
その、コウさん。ありがとうございます、とっても、大事にさせていただきますので」
今日のところはこれで…と、小さく会釈をし、ぱたぱたと早足に部屋のほうへと───
そして一度立ち止まると、振り向いて
「あの…よろしければまた…ええと…冒険の話など…聞かせて頂けますか…?」
■紅月 > 「わぁ…侍女さんかな?
さっすがお城…姫君だけでなく侍女さんまで美人とか」
侍女が見たのは衛兵の呆れ顔と…ポヤヤ~ンと侍女に見惚れる、何とも毒気の抜かれてしまいそうな間抜け面だっただろう。
性格がどうかはよく知らないから置いといて、この城って召使いに至るまで結構粒ぞろいな気がする。
…いやぁ、やっぱり。
出会った時にあれだけ優雅だった彼女がこんなに焦っちゃってる辺り、あんまり優しくないのかも?
いやいや、推測で考えちゃいけないな…いけないいけない。
「…あいよ、勿論っ!…痛っ、不意討ち良くないぞ衛兵クンや。
何なら呼び出してくれれば何時でも登城しますよー……、…あー、何かこう厳しく無さそうな師団長さんに『タナール砦の臨時治癒師を探してる』って言えば取り次いで貰えると思いますので~!」
さすがに侍女の前でまで不敬なのは不味い。
スコンと拳を落とす衛兵。
わざとらしく痛がる紅娘は、とりあえず…自分を手繰り寄せる為の紐の端を手渡した。
…砦関連であれば、案外知り合いは多い。
この城でタナール砦に関わっていて、厳しく無さそうで、更に師団長と、ここまでヒントを出せば…もし万が一、先程の侍女の様子から察せられる境遇にいたとしても。
王族である彼女が勇気を出せば、己は簡単に捕まえられる筈だ、と。
またね、なんて唇だけで唱えつつに…新しい女友達に笑顔で手を振る。
■イヴリール >
本当に、色んな表情を、いろんな顔を見せてくれる
タナールといえば、少し前にお城の中でよく名前を聞いた地…
彼女はそんな場所で治癒師をしているのだ、少々驚いてしまう
豪華な装飾のされた扉が再び開き、侍女がイヴリールを招きいれる
ちらりとそちらに視線をやって、微笑み、小さくその手を振り返す
楽しき友人とのまたの邂逅を愉しみに、自室という名の鳥籠へと戻っていった──
ご案内:「王都マグメール 王城」からイヴリールさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 王城」から紅月さんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 王城」にティエンファさんが現れました。
■ティエンファ > 呼吸を深く吐き、じっとりと纏わりつく夏の夜の空気を払う。
そこは王城、その中庭である。 …周囲を囲む鎧の騎士達をねめつけるは、一人の青年。
身体の刺青、黒い髪、黄色い肌は、その全て外国人であると一目で分かる。
「…まずったな」
舌打ちを小さく話し、呟く。 幾筋かの剣戟の傷は浅いが、青年の顔には疲労が見える。
■ティエンファ > 事の起こりは、王城に住まう友人にこっそり会いに来た事だ。
しかし、どうやら現在その友人は王族の中で微妙な位置にいたらしく、外国人との付き合いはあまり喜ばれない物だったらしい。
暫くマグメールを離れていた旅人の青年はそんな事も知らず、暢気にその友人と話していたのだが…。
「まさか、異国人嫌いのメイドが、入ってくるなり騒ぎ出すだなんてなあ…」
騎士が動く。 躊躇い無く切り捨てようとするその剣筋を見切って半歩滑り、計鎧の隙間を縫い、肘を叩きこむ。
薄い鎖帷子の感触、その奥の肉を強かに打ち付け、振りぬく。
王国人と比べて小さなその身体からは想像できないような膂力を以て、そのまま騎士の一人を弾き飛ばした。
既に視線は別の騎士に向く。 槍を構えて突撃しようとした若い騎士が、その視線にたじろぎ、足を止めた。
■ティエンファ > 『あそこで知り合いと言ったら、アイツの立場が悪くなる、って思って、咄嗟に取った行動が悪かったなァ…』
内心で溜息をつく。 眉間に寄る皺。 険しい表情は、当たりを囲む職務熱心な騎士達には、獣が牙を剥く様な剣呑な物に見える。
…実際は、どうにかして王城を抜けて逃げ切りたい所で、弱り切っている青年なのだけれど。
『咄嗟に、アイツを羽交い絞めにして、賊の振りをしたのが悪かった』
悪手であった。 でも咄嗟なのだから仕方がない。
そうしないとアイツが、異国人と知り合いだと噂され、それがどんなアキレス腱になるかも分からない。
とにかく、自分と友人は無関係だと思わせなければならなかったのだけど…。
■ティエンファ > 「1、2、3、4…足音がする、8人にはなるか」
自分の心を平静に保つために、わざと口に出して騎士を数える。
夜の事だ、余り騒ぎ立てて王族の反感も買いたくないのだろう、騎士達は大声で仲間を呼ぶことはない。
それが幸いして、こうして少人数体一人でやり合っているので、何とかなっているのだが…、
「段々増えてくな、ジリ貧だぜこりゃあ…」
腕自慢と言えど普通の人間である。 減らないどころか増え続ける警護兵たちを相手に、劣勢。
ましてや、自分は悪党でもなく、王城の騎士達も真面目に職務を全うしているのだと分かっているので、
「力加減が面倒だ…っとォ!?」
焦れた槍の騎士が二人、連携を取って攻め立てる。
1人ずつであれば何とかなるが、
「巧い…ッ」
1人が突けば1人が払い、一人が退けば1人が打つ。
四本腕の魔物を相手にしてる錯覚に陥りながら、一歩引き…
1人がついた槍を、半身で避けて前に出た!
■ティエンファ > 防戦一方だった青年の突然の攻勢に驚いた騎士が手を一瞬止める。
その隙にもう一歩踏み出せば、真っ直ぐに放つ掌底が騎士の鎧胸を強かに打ち付ける。
通常であればそんな一撃は軽く弾く鋼鉄だが…一瞬遅れ、騎士が白目をむいて膝から崩れる。
「通背崩 …死にゃあしないさ、随分鍛えてるな」
遅れ、怒声を上げてもう一人の騎士が槍を突き込むが、既に青年の身体は宙に飛び上がっている。
2人の騎士の腕前を買っていたのか、剣を握った騎士達も反応が一歩遅れる。
その間に青年は近くの気に飛び上がり、そこから更に中庭の兵の上に身を躍らせる。
「よっしゃ、このまま…」
身を翻し、中庭から外に飛び出そうとした、その一瞬の気のゆるみだった。
「…ッ!?」
青年の脚、ふくらはぎを掠めた短弓の矢。
飛び上がりかけた青年は居た身に声こそ上げないが、体勢を崩して墜ちる。
中庭の外、一階分下がった場所の茂みにそのまま落下して、肩を強かに打ち付けて呻く。
「ぐ、ぅ…っ …しくじった…ッ」
ご案内:「王都マグメール 王城」にフォーコさんが現れました。
■ティエンファ > 階層の違う場所であるのが幸いしてか、すぐに追手はかからないが、耳に聞こえる騎士達の声。
槍の騎士が発した怒声で、騒ぎを聞きつけた者たちも居るのだろう。
よろけながら立ち上がった青年は、慌てて茂みから出ようとするが、転ぶ。
芝生に頬を押し当てながら、矢が掠めた脚を片手で押さえる。 僅かな痺れ。
「痺れ毒…死にはしないが、ああ、良い手だよ、まったく…ッ」
よろけながらなんとか立ち上がる。 騎士達の声がさっきよりも近い。
辺りを見回し、どこか、身を隠せる場所をと思うが…。
■フォーコ > 部下から報告を受け、戻る途中で男の怒声が聞こえる。
まさか城内で騒ぎかと刀を手に駆け抜けた。
既に騒ぎは沈静化しつつあった様子。
腕利きの侵入者が騎士達相手に立ち回りを繰り広げたようだ。
どうやら弓まで持ちだしたようだ。
しかし、下手人はまだ見つかっていないようで騎士たちは苛立ちながら探し回っている。
「この辺りは私が調べよう。 君たちは他の場所を探すと良い。」
私の姿を見つけ、緊張している騎士達を意図的に遠ざけた。
ちょうど私の足元の茂みから人の気配がする。
恐らく忍び込んだ賊だろう。
他に身を隠す必要がある人間はいないのだから。
さて、どうしてやろうか。
私は口の端を伸ばしては足元の茂みへ声をかける。
「誰も居ないぞ。 両手をあげて出てくれば通報しないでやる。」
■ティエンファ > 茂みを出た所で、背後から声。 怪我を負って焦っていたと言えど、
「アンタ、やるなあ …これでも気配を探るのには自信があったんだが
…害意は無いって言っても信じられないかもしれんが、一応、相手した騎士は大怪我はしてないはずだぜェ」
打ち付けた側の腕が上がりにくいので、大人しく右手だけあげる青年。
フォーユが見る後ろ姿は、長い黒髪に鮮やかな龍と牡丹の刺青、帝国式の服装。
ゆっくりと振り返れば、敵意の無い顔に困ったような子供っぽい笑み。
「通報しないついでに、見逃しても欲しいんだけどもー…そうはいかないって感じかね」
■フォーコ > 「君こそ、あれだけの数を相手をよく一人で乗り切ったな。
戦ってみて分かったと思うがあのメンバーは騎士団の中でも強い方だぞ。」
直接の部下ではないが腕前は良く知っている者達。
個々の戦闘力もさることながら連携しての戦いは特筆すべきレベル。
それを一人で裁いたとなれば、私もあまり油断はできないだろう。
「用があるから通報していないだけだ。
君は何しにここへ来た?
名は? そもそも何者だ?」
左手を負傷しているようだ。 右だけを挙げている。
子供らしい表情を見せるが着ている服に刺青、どうみても北の帝国の者に見えるだろう。
それがこんな所に一人で居ると言うのは不思議だ。
まあ、その辺はゆっくりと尋ねるとしよう。
思いがけない出来事に私は笑みを浮かべていた。
■ティエンファ > 「騎士は軍団で戦う、俺は一人で戦う、どっちが強いとかじゃあなく、得手不得手の問題さ
さっきの槍二人は強かった 骨が折れー…はしなかったが、ぎりぎりだったぜ」
世間話のように話しながら、ゆっくりと振り返る。 痺れ毒のお蔭で痛みは少ないが、脚から血が流れてるのが分かる。
そして、やっとフォーコを見た。 青年は、闖入者には似合わない程、真っ直ぐフォーコの目を見る。
フォーコの問いかけにはちょっと眉を上げて笑った。
「ティエンファ 帝国でもなく王国でも無い山奥の育ちだ
旅人と、一応ここの国では冒険者籍を置いている 此処に来た理由はー…散歩かな」
フォーコの目を真っ直ぐ見つめながら、最後の言葉だけちょっと微妙な顔で言って、
それから、右肩だけ竦めて見せる。 にやりと冗談めかした笑み。
「そっちは、この城の騎士さん? 出来れば、もうちょっと訓練をさぼるように部下の人を教育してくれ」
■フォーコ > 「騎士も状況によっては一人で戦うものだ。
槍と弓を使って漸くと言うのは少し問題だな。」
鏃に麻痺毒を塗ったおかげで漸く足を止めたといった所か。
こちらを眺める青年は飄々としている。
毒が無ければとっくに逃げおおせていたことであろう。
私は彼の顔と、血を流している足に視線を巡らす。
「冒険者か。 それならここで暴れていた理由はなんだ?
帝国の者でなければそんな怪我をつくる必要もないはずだが。」
散歩でもなんでも構わないが、こんなことをしていれば最悪お尋ね者になるのだが。
彼の説明と行動が結びつかず、赤い瞳は鋭さを増していく。
「その通りだ。 名をフォーコと言う。
生憎彼らは私の部下ではない。
うちならもっと派手に暴れている所だ。」
さあて、この者をどうしようか。
迂闊な動きを見せたなら多少強引なこともできるのだが。
■ティエンファ > 「これでも、腕1つに全てを賭けて生きて来てるんでね、場数の違いさ
…そこいらの冒険者相手なら、槍でも弓でも持って来られても、平気の平左なんだがよ
職業軍人は敵に回したくないもんだよ 勿論、今もそう思ってる」
血止めの処置も出来ずに僅かに青い顔だが、それでも笑ってそんな事を言って見せる。
鋭い視線に気付きながらも、片眉を上げて少し気楽な笑みを返し。
「理由に関しては、少しの行き違いでね
フォーコ、こっちの国の名前は、特徴的で憶えやすいな…武かって事はお偉いさんか?
安心したぜ、こんな圧を向けてくる相手が下っ端だったらどうしようかと思ってたところだ」
軽口を叩いた後、ゆっくりと深呼吸をして。
警戒するフォーコの前で、怪我を負った脚膝を地面につき、堂々と、しかし礼儀を持って、頭を下げる無防備。
「故あって、ここに来た詳しい話は出来ない
フォーコは話して分かる相手だとは目を見りゃあ分かるが、それでも言えないってェ事で察して欲しい
勝手な言い分だとは理解しているが、闖入者に剣よりも先に言葉を投げかけたフォーコの性格に情けを願わせてもらう」
理由を話せば友を売る事になる、ならば、僅かな希望に賭け、無防備を晒すことを選んだ。
■フォーコ > 「冒険者も侮れないとはよく分かっているがやはり脅威だな。
君の言う場数だけではないだろう。
何か戦闘術を学んでいるのだろうな。
確かに、一人始末した所で幾らでも出てくるだろうな。」
彼は笑みを浮かべているがそろそろ傷が辛いようだ。
流石に顔色が悪い。 もう少し事情を聴いた所で傷だけでもどうにかするか。
「よくわからんな…生憎私は頭の出来が良くないんだ。
それは褒め言葉として受け取っておこう。 一応、一組織の長をしている。
とはいえ私などはこの城の中では中堅どころだ。
上にはもっと上が居るぞ。 それより動くなよ。」
いよいよ立つこともしなくなった彼の脚へ向けて手を伸ばす。
掌から白い炎が飛出し、彼が身じろぎでもしないなら足の出血を止める程度に治癒するだろう。
「そこまで言うのなら聴かないでおこう。
しかし、君は一つ誤解をしている。
私はこの国に数多いる強欲な者の一人でな。
事情も聴かず、何事も無かったかのように見逃してやる代わりに君は何をしてくれる?」
仁義に厚い彼が対峙しているのは放蕩貴族だ。
ただで見逃してやるほど甘くはない。