2018/07/05 のログ
ご案内:「王都マグメール 王城 どこかの執務室」にチェシャ=ベルベットさんが現れました。
■チェシャ=ベルベット > 夜闇に紛れ侵入した王城、チェシャは軍事情報が入手できる可能性を探って
とある執務室に忍び込んでいた。
いかにも王族や貴族の従者という顔で王城を堂々と渡り歩き、
目的の部屋にそっと入ると、手早く机や本棚、その他重要そうな書類の積まれた棚を漁りめぼしい情報を探る。
既に第七師団が壊滅し、今は再編に向けての動きがあることは把握済み。
それより先の情報、ターナル砦に現れた不死の軍団、誰かが隠したがっているその噂をより真実に近づける証拠がほしい。
■チェシャ=ベルベット > 「やっぱり、誰かが不都合な真実を隠している……。
こんなに大掛かりな情報隠蔽が出来るのはどこかの一個師団か……あるいは」
探った書類から導き出される結論。
確たる証拠は得られなかったが、不死の軍団がターナルを攻め、この王国に何度も足を踏み入れようとして
消滅しているのは紛れもない真実。
そして死んだはずの第七師団団長が、その軍団を率い、死者として蘇って王国を襲っている事実。
そんなものが市井に流れれば民草は恐慌し、大規模な暴動が起こりかねない。
現にこの王国から逃げ出すものも現れている。
チェシャはといえば、主人がこの国にまだ用がある以上ここを離れることは無い。
戦争はチェシャたちにとってはよいビジネスになる。
ときには人相手に、時には魔族相手に自分たちの魔道具や魔法を売りさばく商人。
それがチェシャ達だからだ。
ご案内:「王都マグメール 王城 どこかの執務室」にネームレスさんが現れました。
■ネームレス >
「――ひとのお部屋に入るいけない子はだぁれだ」
くすくすと笑いながら、暗い執務室へゆっくりと入る女。
なにやら鼠が嗅ぎまわっているとの情報を聞き、直々に来てみたのだが。
――随分とかわいい子猫が一人。
「ここは貴方の入れるような部屋ではないけど――何処から忍び込んだのかしら?」
第九師団の幹部級の執務室。
情報統制している機密情報を扱う部署であり、そう簡単にはここの事は分からないはずなのだが……
■チェシャ=ベルベット > 甘い女の、含み笑い入りの声がチェシャにかけられる。
はっとして振り向けば金髪爆乳の女が一人、執務室の入り口に立っている。
その胸には独特な龍と数字の刻まれた入れ墨。
なるほど、その番号を確かめれば相手がどういうものか、多少情報を掴んでいるチェシャには判別がついた。
いつもは雲隠れしている第九師団の幹部……。
そして都合よくここに現れたということは、恐らく情報を隠蔽している大本もこいつということだ。
隙を見せぬよう、きつく相手を睨んでチェシャは相手と距離を置く。
手近な窓に手をかけ、いつでも逃げ出せるように用心をして。
「さぁ、どこから入ったっていいだろ。部屋ってのは人が入るためにあるんだし。
施錠が甘いんじゃないの、僕でも見つけられるような部屋なんだから」
■ネームレス >
「んふ、王城内部の、それも奥の擬装してる部屋に入るなんて――本当、いけない子」
怪しげな口調で言いながら、ゆっくりと少年へと近づく。
さて、どうしたものか――あまり衛兵を呼ぶという事はしたくない。
ちらりと散乱した書類を見れば――なるほど、例の件か。
「――魔族の手先か、ミレーという事は『星の聖猫派』かしら? その情報を公表するというなら、ちょっとこちらも手段を考えなければいけないけど」
タナールに現れた魔族第七軍団。
その情報だけは、何としても隠蔽しなくてはならない――今の所は。
少なくとも、サロメと第七師団が再編成を終えるまでは。
■チェシャ=ベルベット > 相手がゆっくりと近づけば、同じだけ距離を置いて部屋の対面に逃げる。
どういうわけか、女は事を荒立てたくないのか衛兵を呼ぶ気配はない。
一対一なら、どうにかなるだろうか。
この女が何か隠し玉を持っていないとも限らないのだが、チェシャとしては一瞬の隙をついて逃げ出せればいいのだ。
「そう簡単に喋ると思う? どうでもいいけどどいてくれないかな。
騒がずに僕を見逃せば、お姉さんは無事で済ませてあげるよ」
脅しの意味も含めて、両手に魔術で銀の手甲を顕にする。
その鋭い五指の爪先から、細い不可視の魔法鋼糸がひゅんと部屋に張り巡らされる。
■ネームレス >
さて。ここで衝撃の事実が一つある。
第九師団長ネームレス。このおん……おと……この存在には。
戦闘能力が、ない。
おそらく全ての師団長の中で最低の戦闘能力である。
つまり、勢いよく来たものの、この少年を止める力が無いのである。
さて、どうしたものか――
「ねぇ、取引しない?」
つまり、いつもの戦法。
情報と交渉でなんとかするしかない。
「その情報を表に出さない、って約束してくれるなら――お姉さんが、いいことシてあ・げ・る」
ちなみに正確にはお姉さんではない。
■チェシャ=ベルベット > チェシャとしてはまさかこの相手が戦闘能力皆無だとは思っても居ないので
ただ幹部級ともなれば何らかの奥の手は隠し持っているものだとしてことに当たっている。
どうしてか相手が衛兵を呼ばないのを余裕の現れとして見ており、
どうしてか相手が交渉と舌戦に持ち込みたがるのに違和感を感じていた。
「表に出さないかどうかは、僕の胸先三寸だからなぁ……。
約束できることじゃあないね。
ふぅん、いいこと、ねぇ。何をしてくれるっていうのさ」
警戒は微塵も解かない代わりにジロジロと不躾に女の体を遠目に眺める。
まぁ、豊満な胸は悪くはないかな、と思うがどちらかといえば
自分を喘がせてくれるような相手が好みのチェシャとしては微妙なところ。
試しに、ついっと人差し指を指揮棒のように振って女の両腕を後ろに糸で拘束しようと試みる。
■ネームレス >
「あら――」
ひょいっと、いとも簡単に捕まってしまう第九師団長。
まぁ、いざとなれば衛兵を呼べばいいし、いよいよとなったら――
腕を後ろで縛られれば、豊満な胸がより強調される形となり。
いやいやと身体を捩れば胸がぶるんと揺れる。
どう考えても誘っている仕草――実際、誘っているのだが。
「ねぇ、乱暴な事はしないで?」
にっこりと笑いながら相手にそう告げてみる
■チェシャ=ベルベット > 「お姉さんもしかして……、ひょっとして弱い?」
呆れた半眼で眼の前でぷるんぷるんおっぱい振って誘っている相手を見ながら
稼いだ距離を今度は自ら縮める。
相手の目の前に立つと、腕を組み少し考えてから口を開いた。
「第七師団のオーギュストがアンデッドになってターナルを襲ったっていうのは本当?
そしてその情報を隠匿しているのは、第九師団であるあんた達だよね。
ちゃんと答えてくれたら乱暴はしないよ。破廉恥なことはするかもしれないけど」
そう言って女の衣服の前をぷつりと鋭い手甲の指先でわずかずつ切り裂いていく。
その指が肌に触れるのも時間の問題だろうか、浅い切り傷を残していくかもしれないが。
■ネームレス >
「――お姉さん、乱暴な事は苦手なの♪」
くすくす笑いながら、段々と剥かれる女。
切り傷がつけられれば少しだけ顔を歪め。
「その件は、確定情報がまだないの。
もちろん、例のナズグルがオーギュストの可能性は高いけど……
それと私の師団に関しては、その通りよ」
■チェシャ=ベルベット > 余裕ぶったクスクス笑いが癪に障ったのか、不機嫌そうに顔を歪める。
だが質問に返答した様子に嘘はない。
そして”私の”師団と言った手前、こいつが師団長であることは間違いない。
ぐい、と女の喉元を鷲掴みにしてさらに問いただす。
「今の情勢なら圧倒的にオーギュスト率いる魔族側が優勢だ。
現にターナルを落とした足で魔族側は王国に攻め入ろうとしている動きはあった。
だというのに何故王国は今ものうのうと顕在している?
あんた達、何かこのおかしなからくりについて知っているんじゃないか?」
■ネームレス >
「乱暴しないって言ったのにぃ」
余裕、という程でもないが甘い声は続ける。
というか、「この身体」はこういう声しか出せないのだ。
そう、調整したから。
「それに関しては私からは言えないわ。
聞きたければ、二百年以上生きている古老か――
もしくは、オーギュストの足取りを追ってみる事ね。
あいつは何か知っていたようだから」
この情報だけは渡せない。たとえ、殺される事になっても。
驚くほど冷徹な声で言いながら、そう断言して。
■チェシャ=ベルベット > 「ちぇ、ケチ」
教えられない、と覚悟をしたのならたとえ死より酷い拷問をしたところで
この女は口を割らないだろう。
鷲掴みにした喉元を離し、しばし考える。
だが、教えないとは言ったが手がかりは得られた。
次なる目標は、ミレーの族長、特に無駄に年を食った相手。
もしくはオーギュストの足取り―――。
幸いミレーの隠れ里にはいくつか心当たりがあった。
そして無駄に長生きをしているといえば、主人もまた。
案外主人はこのからくりにもう気づいているのかもしれない。
となれば、もうここには用済みだ。一つ息を吐いてから女に一瞥をくれる。
「悪いけどいいことはまた今度にしてくれる?
こういう悪い仕事抜きならいくらでもお姉さんを気持ちよくさせてあげるよ。
それじゃあバイバイ、もう二度と会うこともないだろうけど」
ふい、と興味を失った猫のようにその場を音も立てずに部屋から去っていく。
チェシャの姿が消えれば、部屋に張り巡らされた魔術の糸も消え、女の拘束も解けるだろう。
城から黒猫一匹が走り去っていったのはまた別の話。
ご案内:「王都マグメール 王城 どこかの執務室」からチェシャ=ベルベットさんが去りました。
■ネームレス >
「――ところで、彼、誰だったのかしら?」
情報機関とて全能ではない。
オーギュストの情報など欲しがる相手が何処の誰か――少なくとも、『星の聖猫派』ではない事は確かなようだが。
「私よ。今、例の情報を持ち出した奴がいるの――ええ。監視を厳重にして。無理に隠さなくてもいいから」
人の口に戸は立てられない。
タナールから帰ってきた傭兵達によって、第七軍の情報は表ざたになりつつある。情報統制も限界というものだろう。
「――知らない方が幸せな事って、案外多いのに、ねぇ?」
ご案内:「王都マグメール 王城 どこかの執務室」からネームレスさんが去りました。