2018/06/21 のログ
ご案内:「王都マグメール 王城」にゼロさんが現れました。
ゼロ > 王城の通路……それは、未だに変わりなく矯正が聞こえてきている。
 少年は、周囲を見回し、仮面に反応がない事を確認しながら、進んでいく。
 タナール砦への魔族の襲撃と、陥落と将軍の撤退、副将の突撃の報が噂で流れている。
 タナール砦の現状に少年は不安を隠しきれないが情報を持ってきた伝令の話では王城の警護は現場に任せるとの事。
 ―――つまり、訓練兵である自分の一存では、将軍のもとへと行くことはできないということである
 確かに、王城や貴族のまもりは大事なのだ、判っているけれど……同僚や先輩、上司の苦境に駆けつけられないというのは、なんとも心に焦りを生んでしまうものである。
 自分は訓練兵だ。能力はあっても、連携的な意味で彼らの足を引っ張ってしまうのであろう。
 軍隊としての連携で大事なのは、能力値が似通っていることもある。
 時には、突出した個は平均的な群れよりも扱いづらくなるものである。
 それを考えると、ぎり、と歯を食いしばってしまうのは、やはり戦争用に作られたというプライドもあるのかもしれない。

「………」

 一度周囲に、誰もいないことを確認する。
 問題はなさそうなので、大きく深呼吸をして、気持ちを落ち着かせる。
 焦っていることを自覚しているのが分かるから、一度落ち着かないと、と。

ゼロ > 吸って、吸って、吐いて。吐いて。
 大きく吸い込んで吐き出して、少年はふぅ、と呟いた、深呼吸を繰り返して、幾分かは落ち着いたと思う。
 さて、気を取り直さないとと、先を見る。今もまだ気配は無し、仮面にはなんの反応もない。
 何も問題はなさそうなので、警備を再開しようかと、歩き始めた。
 カツン、カツンと大理石の床を少年のグリーヴが踏みしめる音が響く。
 ここは本拠地なのだ、ここを守るのも重要な任務のうちひとつだ、と気を取り直す。

 ―――でも、叶うならば、砦で暴れたくも思う。

 平和を理解しても、暴れたい時があるし、それは組み込まれているのだろう。
 闘争本能というもの……否、戦争本能とも言うべきだろうか。
 一体一は、どうでもいいこともあるし、むしろ面倒だと思うときさえあるのだし。
 自分のそんな考えに、驚きが隠せなくもある……とはいえ、作りを考えれば納得も行くところだ。
 思考がぶれてるなと小さな苦笑をこぼしてから、少年は通路、使われていないはずの部屋。
 警備するべき所をしっかりと見回り、歩く。

ゼロ > 「…………」

 きぃ、と一つの扉を開くと、そこは使われていないはずの来客用の寝室。
 たまに此処に潜り込んで致してる貴族とか、雨風凌ぐために入り込んで休む不届きものとかそういうのが居るので、しっかりと見回らなければならない。
 明かりが付いていなければ、何も見えそうにない部屋ではあるが仮面はそれでも昼間と同じように見える。
 中に魔力の反応はなく、気配もなく、誰もいないようである。布団や物陰に隠れているかも警戒して覗き込んでみる。
 大丈夫だな、と軽く頷いて少年は視線を逸らして扉を閉めて、次の場所へと歩き始める。

ゼロ > 最近はどんどん暑くなってきている、だからだろう、どこも畏も扉や窓が開いている。
 風通しがすごく良いからこそ、聴こえてくる喘ぎ声は、たまにカエルの合唱を思い出してしまう。
 汚いというわけではなくてなんというか……たくさん聴こえてくるので連想をしてしまった、というレベルなのである。
 去年の夏は何をしていたっけ……ああ、そういえば砦にいたなぁ。
 なんとなく自分の去年の活動を思い出した、だからか、カエルの声を連想したのは。
 流石にここにずっと居たら、カエルの声ではなくて風物詩みたいなものに思えていたのかもしれない。

 思考しながら歩くのはちょっと物悲しい。
 誰かと雑談したいなとも思うけれど、それは無理といえば無理だ。
 とりあえず、通路の安全を確認する。
 不審な人物、不審な物音、物陰をしっかりと確認を取って、進む。
 問題はないと判断して、次の使われてないはず部屋のドアに手をかける。
 そして、そのまま、少年は、警備を続けるのであった―――

ご案内:「王都マグメール 王城」からゼロさんが去りました。