2018/06/15 のログ
■ゼロ > 「……」
時間も時間が故に、もう、ここには誰もいない。
当然といえば当然な状況だが、少年は特に気にした様子もなく、打ち込み用の台を持ってくる。
その前にまずは、と軽く体をほぐすことにする。
柔軟を行い、警備でしか使っていなかった筋肉をほぐしはじめる。
そこから、訓練場の外周を走り、体を温めるとともにエンジンをかけていく。
何周か走り終えている頃には、体はほぐれ、温まってくる。
あとは、腰の武器を取って、自分の動きを確認していく。
中空を素振りし、武器を握り直し、確認して。
―――よし、と時間をかけて準備を終える。
■ゼロ > ナイフを握り締める。
ナイフの特性とは、その軽さによる手数、逆に言えば重量がないので、剣との打ち合いには向かず、どちらかといえば牽制用の武器である。
一応、少年の持つ武器は、ナイフと言うには重すぎるし、大きすぎる。
ショートソードを持ったほうがいいのではないかというほどに、ナイフの特性をなくしたもの。
とはいえ、ナイフの形をしているから基本は同じであろう。
打ち込み台に向き直り。ナイフを構える。
踏み込みから突撃、目の前に突きを繰り出し、そこをフェイントとして、腕に横薙ぎの一撃。
相手の戦闘能力を削ぐことを目的とした動きの訓練を開始する。
打ち込み台に向かい、ナイフを閃かせ高速の斬撃を繰り返す。
■ゼロ > 目元、横薙ぎ 首筋、突きor横薙ぎ、胸、突き、腹部突き、腕横薙ぎ。
視線と人形の部位と、攻撃方法をシュミレーションして、その部位に実際に攻撃を行う。
打ち込み台に増えていく傷を見ながらダメージをシュミレーションしていく。
一撃必殺を狙う場合、相手の戦力低下を考える場合。
様々な状況、様々な攻撃の手段を構築していく。
横薙ぎ、突き、唐竹、袈裟、逆袈裟、剣とは違うが、攻撃方法はだいたい同じだ。
一撃、一撃、剣速は上がっていく。
金属と金属のぶつかる音が響き、甲高い音が響く。
踏み込み、突き、切り裂き、剣線が幾重にも重なって動く。
右手、左手が別の生き物のように動くよう訓練しないとならない。
速く――もっと、速く。
少年の訓練は、速度が上がり、まだ遅くまで続くのだろう。
ご案内:「王都マグメール 王城/廊下」からゼロさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 王城 執務室」にオーギュストさんが現れました。
■オーギュスト > 執務室。
ようやく師団の掌握を終えたオーギュストは、再び遠征計画の準備を開始する。
目標は宵闇城キルフリート。今度こそあの吸血姫に引導を渡す。
そして奴隷666号として、再びあの肢体を手に入れる事。
それこそがオーギュストを奮起させている。
「――糧食と武装の問題に関してはほぼ解決したな」
あの世界での技術は、この遠征の可能性を飛躍的に広げた。
オーギュストとしては、感謝してもし足りないくらいだ。
執務室内で報告書と書類を読み進める。
■オーギュスト > そこでふと読み進めると、不可解な報告書が一枚。
タナール方面からの報告書だ。魔族軍相手の報告書は、大抵オーギュストのもとへと入ってくる。
「――被害ほぼ無し、砦の被害も無し。魔族軍はほぼ壊滅?」
妙な話だ。いくら奇襲が上手くいったとしても、損害ゼロというのはありえない。
新種の魔法の実験台にしたか、あるいは魔王クラスの気まぐれか……
しかし、この報告書では「タナール方面には正体不明の軍の展開があった」となっている。
つまり、王国軍の部隊が何かをした可能性が高い。
「…………」
■オーギュスト > 妙なおさまりの悪さを感じ、オーギュストは簡単に依頼書を書く。相手は第九師団。あの龍の所だ。情報収集が仕事の師団だ、何か情報でも入っているかもしれない。
「――この時期にタナール方面が不穏になるのは勘弁して欲しいんだがな」
遠征を間近に控えている。
タナール砦は魔族の国との間の唯一の補給拠点だ。遠征中だけは確保しておきたい。
「――問題はどの師団に、砦の確保を依頼するか、だが」
ご案内:「王都マグメール 王城 執務室」にタマモさんが現れました。
■タマモ > 久し振りにタダ酒が飲みたい。
少女の思考は、そんな、いつものような適当なものだった。
白羽の矢が立ったのは、王城内にあるどこぞの執務室。
何度か足を運んで、そこの主がそう居る事がないのは確認済みである。
事実を知らぬ少女は、いつものように転移する。
目的の部屋にある、いつもの棚の前に。
特に部屋の主が気にしておらずとも、その目の前、酒の仕舞ってある棚の前に現れる少女が見えるだろう。
現れた瞬間では、まだ少女は男の存在に気付いていない。
■オーギュスト > 悩んでいた時にふと顔を上げると。
酒の棚の前に、見慣れたふさふさの尻尾を持つ少女。
まったく気付かなかったが、転移してきたのだろう。
「――おい、なに人の酒を勝手に漁ろうとしてやがる」
ポン、と肩に手を置きながら。
あきれた顔でそちらを見やる。
■タマモ > さて、どれにしようか…やはり、いつものように品定め。
指差し選んでいるところで…掛かる声に、肩に触れる手。
ぴたりと動きを止めて沈黙、そして、次の瞬間。
「うにゃあああああああぁっ!?」
少女は叫んだ。
吃驚した、滅茶苦茶吃驚した。尻尾が総立ちするほどの驚きようである。
あれだ、外に誰か居たら、何事だ?って思う程の声である。
■オーギュスト > 「うぉっ!?」
あまりの叫び声にこちらが驚いた。
衛兵が慌てて『何事ですか!?』と叫んだが、大丈夫だと返しておく。
そのまま肩を掴みながら、顔を覗き込む。
「てめー、さては常習犯だな? 通りで酒のストックが減ってると思ったぜ」
人の出張中に、とんでもないヤツである。
■タマモ > 「お、おおおぉ…びっくりしたのじゃ…」
心の臓がばっくんばっくんいっている、それはもう手に取るように分かる。
まぁ、それは間違いなく相手も同じだろう、うん。
そう呟きながら、改めて相手を見れば…あ、ここの主、みたいな表情を見せた。
「うぐっ…き、気のせいではないのか?
あれだけ酒があるのじゃ、そんな一本二本空けたところで…
じゃない、きっと勘違いじゃろう」
間違いなく図星だろう、男の指摘。
視線を明らかに逸らし、口笛を吹きながら誤魔化した。
いや、誤魔化せてないが。
■オーギュスト > 「ったく、そんな能力あるくせに――あ!」
無い。
楽しみに取っておいたあれが。
あの常世島から持ち込んだ『川獺祭32(高級日本酒)』がなくなっている!
「てめぇ、よりにもよってアレを飲みやがったな!」
ギロリとタマモの方を睨む。
他はともかく、あの酒は許せない。何せ入手方法が無いのだ。厳重に、一番奥に隠しておいたのに!
■タマモ > 「………うん?」
男の言葉に、かくん?と首を傾げる少女。
視線の辺りを同じように目で追って、ぽんっ、手を叩いた。
「美味しかったのじゃ♪」
言葉と共に、にぱーっと満面の笑み。
あの辺りには、確か、己の世界を思い出せそうな、良い酒があったのを記憶している。
睨んでくる相手の視線も気にした風もなく、むふん、と意味もなく胸を張ってみせた。
■オーギュスト > 「てめぇぇぇ!!!」
叫ぶがどうにもならない。
失ってから分かる価値――いや、まだ飲んでなかったので味も分からないが。
しかしショックを受けたのか、がっくりと肩を落とし――
「――お前次やったら容赦しねぇからな」
なんだかんだと許してしまうのだった。
いやだって、許さないと言っても、なぁ。
仕方が無いので他の酒――もう取っておくとこいつに飲まれるので、高い酒から飲んでやる。
同じく常世島で手に入れた日本酒を手に取ると、グラスとつまみを探しはじめる。
■タマモ > 「な、ななな、何じゃっ!?」
今日は賑やかな執務室である、己に次いで叫んだ男に、びくーっと肩が跳ねた。
そして、肩を落とす男。
続く言葉に、あー…と、そんな感じの表情を浮かべ…ぽん、慰めるように肩を叩き返した。
いや、そうしたのはお前だ。
「良いではないか、酒の一つや二つ、些細な事を気にしては大きくなれんぞ?
…あ、いや、身長的な意味ではなくてな?」
そんな事をのたまいながら、当然のように隣にちょこん、と。
少女の手には、すでにグラスが一つ持たれていた。
男の分であろうもう一つのグラス、それにつまみ、それらはしっかりとデスクの上に置かれていた。
■オーギュスト > 「飲んだのはテメェだろうが!」
ぷりぷりと怒りながらデスクへ戻る。
つまみとグラスは既に用意されていた。ってかこいつも飲む気かまったく。
「――コレ以上デカくなる予定はねぇよ」
人間では大柄な方である。
まったく、この狐娘と話していると、緊張とか情勢とかがどうでもよくなってくる。
「ったく、味わって飲めよ」
ぶつくさ言いながらも酒を注ぐ。つまみは買ってきた缶詰の焼き鳥だ。甘いタレが染みて、つまみにはぴったりである。
■タマモ > 「いやぁん♪」
とか、間違いなく冗談半分だろう声をあげ、体をくねらせる。
揺れる尻尾、それが楽しんでいるのであろう事を伝えているか。
「………つまり、あれか?
もっとでっかくなろうとすれば、なれるって事じゃろうかのぅ?」
こう、手を男の背丈を示すように上げようとするが…何とか届く、か?そうしながら。
こちらは人間で比べても小さな方である、仕方ない。
でも大丈夫、胸はある。関係無いが。
「ふむ…だから、おーちゃんは好きじゃぞ、うん」
結局は酒を注いでくれる男に、うんうんと頷いてみせて。
ひょいっと指で焼き鳥を一口分摘み、ぱくん…なかなかに美味。
酒が進みそうである。
■オーギュスト > 「俺より先に食いやがって」
ぶつくさ言いながらも酒を飲み、焼き鳥をつまむ。
うん、美味い。こちらの世界に帰ってきてからは肉がまずくてしょうがないのだ。羊ぐらいだろうか、食えるのは。
「ったく、そのうち働いて返せよ。今度の遠征ででも協力してもらうとすっか」
タナールから魔族の国への遠征。
そちらの準備も終わりつつある。あとは、いつ実行するか、だ
■タマモ > 「うん?何じゃ、一緒に食べる方が良かったかのぅ?」
こう、もう片手でも焼き鳥を摘み、それは男に食べさせるような素振りを見せて。
まぁ、肉自体は同じだが、味付けや調理法が確立されてなければ、そんなものだろう。
それでも、なかなかに美味い肉料理を作る料理人も居るのだ、馬鹿には出来ない。
「働いて…あれか、身体で返せと言うやつじゃな!?
半分は本気じゃが、冗談はさておき…遠征?件の魔族の国の話じゃろうか…?
もっと楽なのが良いのぅ」
びしり、指差して言ってみた。…タレが飛んだ?気にするな。
その内容に、えー?みたいな、明らかに面倒そうな表情。
とか、そんな中、空になったグラスを差し出す。
もっと飲みたい意思表示?
■オーギュスト > 「それだって数は多くねぇんだぞ、ったく」
ぶつくさ言いながらも、ひょいと女の手から焼き鳥を食べる。
ついでに指についたソースも舐めてやる。男を舐めくさって。
美味いのは当たり前だろう。なにせ、あの世界の料理なのだから。
「半分本気なのかよ――あぁ、例のクソ吸血姫の相手だ」
相手のグラスに酒を注ぎながら、自分のにも注ぐ。
ペースがはやいが、まぁ気にしない。
ついでに飛んだタレを拭う。こいつ本当に遠慮がねぇな、などと思いながら
■タマモ > 「ふむ…今は妾の式もこちらに居る、材料さえどうにかなれば、作れるやもしれんが…さてはて」
確か、式の一人は色々と調理に手を付けてた気がする。
そんなに気にしているなら、一度聞いてみるのも良いやもしれんか、とか考えて。
まぁ、確信は無い、もし出来たら頼んでみるのも良い。
「ふふ…まぁ、興味の問題じゃ。そういった事も、妾は好きじゃからな。
まったく、お主等は変なところが似ておっていかん。
時に、譲り合いも大事なんじゃがのぅ…まぁ、仕方ないか」
さらりと言った、確かに半分は本気みたいだ…!
後の件は、以前会った時に見た限り、それは無理そうだろうかなぁ…と我ながら、そう言いながらも思う。
少女からすれば、普段通りのペースである。
まぁ、酒に酔うペースも間違いなく人間の方が早いだろう。
ぺろり、と指に残ったタレを舐めながら、更に酒を進めて。
もちろん、焼き鳥も遠慮なしに。
■オーギュスト > 「まったく、勝手な事言いやがって……」
ぶつくさ言いながらもやっぱり注いでやる。
この女、何処まで本気なのやら。
「――その式とやらが、俺と似てる?」
式のくせに随分とアレなヤツもいたものだ。
自慢ではないが、人に使われるという事にとことん向いてないぞ、俺は。
「やれやれ――っと、深酒しすぎたぜ」
気付けば既に一本どころか三本以上あけており。
少女のペースに合わせたせいか、立ち上がると少し足元がふらつき
■タマモ > 「ふふんっ、何事も言うべきを言うに限るのじゃ」
えっへん、と胸をまた張りながら、どこかこう偉そうに。
まぁ、その辺りについては話している相手が見ていて分かるものだろう。
常に本気である、多分。
「あー………まぁ、うん、そうじゃな」
本当は、あの吸血鬼と、なのだが…いちいち正直に伝えて、突っ込みを入れられるよりは。
そんな判断で、せっかくなので、その言葉に同意しておいた。
「おや…まだまだ、これからじゃろう?
っと、まぁ、あんまり無理をさせるのはあれか…大丈夫か?ん?」
少女はと言えば、少し赤くなってはいるが、まだ序の口ってところだろうか。
立ち上がりふらついた男に、よいせ、と支えるように立ち上がり、身を寄せて。
■オーギュスト > 「そりゃ羨ましい――言いたい事を言って、やりたい事をできりゃなぁ」
苦笑しながら一気に酒を呷る。
少女ほどの力があり、何かに縛られない生き方は楽しそうだ。
――もっとも、今は彼女を口説くにも抱くにも時間が足りないのだが。
「おっと――わりぃな」
何処か楽しげに、身を寄せてきた相手の肩に手を回し。
そのまま部屋を出て、その日の仕事は終わりにしてしまった
ご案内:「王都マグメール 王城 執務室」からオーギュストさんが去りました。
■タマモ > 「むしろ、人間が何かに縛られ過ぎなのじゃ…のぅ?」
これは、本当にそう思う。
確かに、男の言う通りな部分もあるのだが…自分とて、何もかもやりたい放題ではないのだ。
…多分?
「ふむ…時に、ゆるりと休み、心の整理も必要じゃろうて。
今日はそう言った日、なのじゃろうな、うむ」
そんな調子で、何かしていたはずの男なのだが、半分強制的な休みを与える形となるのだった。
身体も心も休みを与えるのは大事である、うむ。
ご案内:「王都マグメール 王城 執務室」からタマモさんが去りました。