2018/06/07 のログ
ご案内:「王都マグメール 王城」にヒマリさんが現れました。
ヒマリ > コツン、コツン、と、普段より響く地下牢への階段。
東国の衣を着た少女は、警護する者たちに軽く挨拶をしながら下りてくる。
明かりとなる火が揺れ、ぼうっと牢が浮かび上がる様な空間。
わざわざ足を運んだわりに、少女はあまり興味のない様子で牢の中を見る。
タナール砦にて捕縛された魔族の見目が珍しいからと、王族が見てこいと言うものだから。
酔った彼はいつも自慢ばかりする。

「……なるほど。こういう珍しさか。あの方の好みそうな身体をしている」

青い肌に生身の人間からはかけ離れた冷たい吐息。
そして雌であることを示す肉感的な身体の人型魔。
しかし見た目にそぐわず、おとなしい性格なのか、牢の中の魔物は
怯える様な、救いを求める様な視線を向けてくる。
少女は表情を変えることなく、落としたトーンで話し掛ける。

「私に期待するのはよせ。…お前次第だが殺すことはあるまい。
 飼われて生き長らえることが幸福かは分からんが」

何にせよ哀れだ。
しかし戻ったら己は言わねばならない。
『質のいいペットを手に入れましたね』と。

ヒマリ > 王国の言葉を理解しているのか、魔族の女は物憂げに視線を落とした。
しかし現実的な少女は憐憫のそぶりを見せることはなく、淡々と。

「お互い様だ。そちら側に王国軍の捕虜も大勢いるのだろう」

あどけなさすら覗かせる年若い少女にしては、実に可愛げのない言い草だった。
―――さて、と振り返って。階段を上っても待っているのは王族の自慢話。
しかしそれに付き合うことが己の未来へ繋がるのだ。
落ち込んだ様子の魔族を振り払う様に踵を返し、少女は光の届く場所へと戻っていく。

ご案内:「王都マグメール 王城」からヒマリさんが去りました。