2018/05/31 のログ
ご案内:「王都マグメール 王城」にヒマリさんが現れました。
ヒマリ > カルネテル家の一人。
年若いが、それ故に自制の利かない王子の私室から少女が出てくる。
王国に相応しい荘厳な城内とはややミスマッチな東洋の衣を纏った、朱色の髪の少女。
まだ大人になりきっていない貌には冷え冷えと、そして呆れた様な表情を乗せていた。
扉が閉まる直前、中から漏れたのは女の喘ぐ声。
今日も今日とて王子は色に溺れている。
あの様子では、今宵忠告しておいた予知の内容もすぐ忘れるのだろう。

やれやれとため息をついた時、最低限の明かりだけになっている廊下の向こうから
黒い煙が細く伸び、それは少女の足下で黒い子犬の形となった。
後ろが透けて見える様な不完全な子犬は、キャンと吠え。

「うん、帰ろうか。夜伽に耽る男に忠告するなど無駄なことをした。
 あれはもう表舞台に立つことはないだろう」

ならばこの私室を訪れるのも今夜が最後だ。
コツコツと冷たい靴音を響かせながら廊下を歩く。
子犬は護衛役だと自負する様に、周囲を確認しながらお供をしてくれる。
実体化されていない状態では、風に吹かれるだけで散ってしまう存在ではあるものの。

ヒマリ > 少女の靴音は次第に遠ざかる。
後に残されるのは防音設備の整った王城ですら漏れてしまう、獣の様な嬌声。
しかし今宵縁を切ることに決めた少女には、もう知ったことではない。
彼女が興味を示すのは国を掴もうとする者だけだから―――。

ご案内:「王都マグメール 王城」からヒマリさんが去りました。