2018/05/16 のログ
ご案内:「王都マグメール 王城 第七師団訓練所」にゼロさんが現れました。
ゼロ > 夜の王城、第七師団の訓練所に一つの影。
 打ち込み台に向かいナイフを構える少年、仮面の下で呼吸を整えて踏み込む。
 喉元と、左腕。右肩と、左肩。顔面と、腹部……二箇所を同時に、タイミングをずらし、バラバラに。
 斬撃、刺突、殴打、フェイントからの蹴りなど、打ち込み台に向かって、一心不乱に打ち込んでいく。
 時にはラッシュとばかりに勢いよく打ち込んでいく、少年の全身鎧の姿が霞むかの勢い、打ち込み台と練習用に作られたナイフが火花を散らしてぶつかる音が響く。
 そんな耳障りな音を聞きながらも、少年は打ち込んでいく。超接近戦で、間合いを離して、時には投げ飛ばす。
 一人での訓練として、少年は只管に打ち込む、基本の型、応用の型、一つ一つを噛み締めるように。
 そろそろ、大きな戦があるかもしれない、そんな予感に、何もせずにはいられないから、休みの日だというのに、少年は訓練に打ち込んでいた。

ゼロ > 「……ふっ……ふっ……」

 活動していれば、息も上がってくる。体も温まってくる、右ナイフを横一閃からの、左ナイフでの踏み込み突き。
 月明かりの下銀閃が幾重にも打ち込み台に打ち付けられていく、速度が加速し、少年の体がぶれていく。
 流れるように、荒々しい濁流のように、二本のナイフを縦横無尽に振り、突き、凪いで。
 時折シースに戻し無手で殴る、蹴る投げ飛ばす。

 ギギガギャギギギギギギンッ!

 静かな訓練場に響くのは少年の作り上げる不協和音じみた金属音。
 それでも、自分の動きを確認するように、教本をトレースするように。
 正確に確かめて打ち、そこからの自分のオリジナルを交えたフェイントを繰り返す。
 汗がにじみ、体が火照り、しかして、訓練はさらに加速する。

ゼロ > 金属音と打ち込み音と……それらが響き渡り。最後に一度離れる。
 仮面はただ静かに目の前の打ち込み台を見ているようす、目元も、口元も、全て覆われているから何も見えない、感情の現れもないその仮面。
 最後、とばかりに踏み込み、少年は全力を出す、筋肉の軋み、関節の撓み、それらをすべて一つの動きに載せ、全身でぶつかるように心臓に。
 衝撃とともに、打ち込み台にくくりつけた鎧の心臓のある場所に深々と刺さる練習用の短剣。
 それを眺めてから、短剣を引き抜き、訓練用の武器の入った木箱へと返し、打ち込み台も、着けられている鎧や兜を外し脇に。
 穴の空いた鎧を、脇にどけておく。
 朝以降、係りの人が回収して新しい鎧に変えてくれるのだろう。
 ずっと動いていたからか、全身に汗が滲み、少年は息を吐き出す、仮面の下で熱気が篭もり、それが吐き出されていく。

 すこし、冷たいいし床の感触を感じながら天井を見上げる。