2018/05/10 のログ
ご案内:「王都マグメール 王城」にゼロさんが現れました。
ゼロ > マグメールの王城の中に、一人の少年がいる。
 この国の貴族、という訳ではなく、身に纏っているのも、白銀の全身鎧に、無貌の白仮面という出で立ち。
 後頭部の黒髪と、首元や、耳の黄色の肌からもしかして、東の方から来たのではないかと推測出来るぐらいの露出の少なさである。
 両手もガントレット、両足もグリーヴと、完全に戦闘に行くその格好で、少年は王城の通路をゆっくりとした歩調で歩くのだ。
 それは、王都第七師団の訓練兵であるゼロと言う少年であり、今は警備の仕事を任されて今日のシフトに入っているのだ。
 魔族が、慮外者が、侵入すればこれを撃退し、迷子がいれば道案内する。貴族が求むるなら、警護もするだろう。
 そんな任務を少年は淡々とこなしている、今の所いつもの王城であり、平和である。

ゼロ > ――かつん、かつんとグリーヴが通路を踏みしめる音が響き渡る。
 遠くの方から、楽しそうな笑い声が聞こえる、今日は何かしらのパーティが行われていただろうか。
 待機所で見た予定表を思い出しつつ少年はふむ、と頷いて、そのまま通路を進むことにする。
 パーティに参加する権利もないし、そもそも仕事中である、会場の前を通れば流石に声は大きくなるだろうがそちらは自分の範囲ではない。緊急事態が起きないのであればそちらまで行くことはないのだ。
 視線と意識をそちらから外すことにする、必要なのは警戒することであるからで、静かに夜の闇の中、暗くなった城の通路を見据える。
 流石に酔客とかが倒れていたら、休憩室に連れて行くぐらいのことはするのでご心配なく。
 と、誰に説明するでもなく一人で考える。説明するべき人などいないし。
 カツン、カツンと、静かに王城に響く少年の足音は、そのまま薄く消え去っていく。
 ふと、思う、この王城ってどれだけ警備の兵士がいるのだろうか、あとどれだけ広いのだろうか。
 警備中にほかの警備兵に会ったことがない、詰所以外での話ではあるが。
 疑問に思うと、ううむ、とそちらに意識が少し行く。

ゼロ > 十字路につく、右を見て、左を見て、もう一度右を見る。
 特に誰かがいるわけではなさそうで、それであればと、元々の巡回経路に従い、歩き始める。
 時折、声が聞こえるけれど、甘い声であるが、大きく響くたびに何かあったのかとそちらの方に視線を向けてしまうが特に何もなければすぐに歩き始めることになるのだ。
 先程気になったこと……他に警備の人間がいるのだろうかという事。
 まあ、城なのだしあると思う、しかし、これだけ見かけないということは……
 警備の人数が圧倒的に少ないのだろうか、それはそれでまずい気もするのだが。
 広大すぎる城、そして圧倒的に少ない警備の兵士。
 ああ、だからタナール砦から副団長にこちらに移動するように言われたのか、と納得してしまう。
 そういえば、団長も復帰したという話を聞いたけれど姿を見ない。
 まあ、あのお方は忙しい人だし仕方がないことなのだろうと思う。
 また、タナール砦に戻ることもあるのだろうな、と、覚悟をすることに。