2018/04/08 のログ
■ルーシェ > ぱたぱたと両足を上下に揺らしながら星空を眺め、昔の記憶に浸っていく。
二人とは違う道に進みつつあるものの、守りたかったものは確かに守れている。
命は燃えつけると星になるというが、両親もあの光の中にいるのだろうかと哲学じみた事へ思考は向かう。
「……人だろうと、魔族だろうと、こういうのは変わんないよね」
誰かを想い、嬉しくなったり寂しくなったり。
にへらと悲哀が浮かびかけた顔を崩しながら、緩い笑みを浮かべていく。
自分らしくもないと考えながら、視線を月夜に照らされる薔薇園へ戻し、違うことへ思考を傾けた。
(……あの第七師団とかいうの、すっごいおっかないんだけど)
対魔族専門の師団として結成された彼等の情報は、この間の砦の様な話とはいかなさそうだ。
師団長はおっかない大男らしいし、副官は魔王に並ぶ魔法剣士だと記されていた。
仰々しい部分があるにしても、こちらにハッキリとした敵意を向け、戦力を整えている彼等は言葉通り危ない存在。
この間顔を合わせた師団長以外は、ろくすっぽ顔と名前を覚えなかったくせに、げんなりとした表情の奥、脳内にはその二人の名前と顔は確りと記憶していた。
懐かしい思い出に浸っていたと思いきや、今度は恐ろしい話。
やだやだと言うように頭を振ると、気分転換と椅子から立ち上がった。
「いいなぁ、やっぱこういう綺麗なお庭が欲しいなぁ」
薔薇園へと近づいていくと、花壇いっぱいに咲き誇る白薔薇に手を伸ばす。
棘で傷つけぬように気をつけながら花弁に触れ、淡く広がる甘い香りに心地よさそうに目を細める。
黙っていれば見てくれは良いと言われたのもあり、月夜に花を愛でる淑女といった佇まいに見えるだろうか。
穏やかに微笑んでいるが、脳内では忙しなく自身の屋敷の庭をどうしようかと、私欲の思考に染まっている。
■ルーシェ > 城の人間が近づく足音に気付き、そっと中庭から消えていく。
冷えた夜明けの空気が白く濁り、霧を掛けたように輪郭を溶かしながら。
ご案内:「王都マグメール 王城 中庭」からルーシェさんが去りました。