2018/03/25 のログ
ご案内:「王都マグメール 王城」にルーシェさんが現れました。
ルーシェ > 王都に来るようになってから、都度都度見上げていた大きな城。
そういえば、中に入ったことがなかったなぁ…と、そんな理由だけで敵地の奥底に当たる場所に悠々と踏み込んでいた。
しかし、魔王と言わしめられる力は瞳と共に抑え込まれており、普段はそこらの娘と大差ないような気配を纏っている……つもり。
確約した答えにならないのは、あくまで魔王らしい強い力は感じさせないものの、よくよく探れば魔の気配は感じ取られてしまうから。
しかし、本人はそんなことも気にすることなく、城の廊下を散策していく。

「わぁ……そこらで宴会だらけ」

ドアの隙間から差し込む光、その合間を覗き込む。
その先では貴族やら王族やらが酒と女を楽しむ欲望の宴を繰り広げており、乾いた笑い声を零しつつ眉をひそめていた。
どっちが欲望の権化やら。
それが歩く先々で、多少の変化を加えながら繰り広げられていれば、呆れると言ったもの。
ぐっと背伸びをしながら酒の匂いから逃げていくと、中庭を一望できるバルコニーへと抜けていった。

「そろそろ春薔薇の季節かな」

中庭に飾られた薔薇のアーチは、蕾を幾つも蓄えているのが見える。
それ以外も3月の終わりには咲き始める春の草花が彩りを添え、ランプに照らされる中庭は夜空と重なって、ちょっとした絶景に思える。
手すりに寄りかかり、くすんだ水色の髪を揺らす夜風に目を細めながら脳裏に浮かぶ。

「……薔薇の紅茶、美味しかったなぁ」

寝ても覚めても、魔族で魔王のくせに食い物の事ばかり。
数年前に頂いた薔薇の紅茶と、一緒に送られた薔薇のジャム。
香りを楽しめるように、口にする時はどちらかのみと決めていたが、あの年の春は毎朝が楽しみだったと美味の記憶に浸る。
幸せそうに頬を緩ませながら瞳を開けば、ウェーブヘアの毛先を指先で弄りながら、中庭を眺め続けた。

ルーシェ > そのまま深夜の散歩は続き……。
ご案内:「王都マグメール 王城」からルーシェさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 王城」にルーシェさんが現れました。
ルーシェ > 昨晩に続き、ひっそりと城内散策を楽しもうと忍び込んだのはいいものの、今宵は何時もと違っていた。
衛兵達が妙にウロウロしており、しきりに誰かを探している。
自分の痕跡が見つかってしまったのだろうかと思うも、友人曰く城の警備なんぞあってないようなものだという。
昨日も散策の合間、自分以外の魔王クラスがひっそりと現れた魔力の痕跡があったなと思い返しつつ……中庭へ逃げ込んでいた。
迷路のように生い茂る蔦薔薇の園は、壁沿いに歩けば外からも見つかりづらく、隠れるにはもってこい。
明るく色づいたオールドローズから溢れる、心地よい香りに目を細めながら中庭散歩を楽しんでいた。

「お屋敷にもこういう薔薇園欲しいなぁ」

昨晩のように、バラのジャムだの紅茶だのと食い気の話ではない。
歩いた先にあったベンチに、ぽすっと尻餅をつくような勢いで座り込むと、月夜に照らされる薔薇を見上げながらに思い出す。
潮風の強い領地は、薔薇が枯れてしまう。
浜辺に生息する薔薇もあったが、どうも薔薇っぽくなくて、園芸というか畑作業っぽく、華やかさを感じない。
ただ、その花を使った紅茶は美味しかったのは幸いで、結局食い気の話に戻ると、薔薇を見上げながら嬉しそうに目を細める。
傍から見れば花を愛でている様に見えるかも知れないが、脳内は美味しい紅茶一色。

「潮風を遮れる場所を作れば……でも、景観悪くなりそうかな~…」

壁で遮ればと思い浮かべながら、思案顔のまま掌で壁を模してみる。
煉瓦壁を脳裏に浮かべるも、結局薔薇が屋敷から見えないと思うと、困ったように眉尻を下げていく。
どうしたものかと思い続けながらも、掌が案に合わせて踊り、両足はぱたぱたと左右交互に地面を蹴っていった。

ご案内:「王都マグメール 王城」にレヴィアさんが現れました。
レヴィア > ――…月明かりがとても綺麗で眩しくて眠れないから。

今宵も執筆作業は妙に捗らず、屋敷の前に張り出した「家庭教師致します・家庭教師を募集中です」と張り紙も見事に空振り、張り紙が風に吹かれて何処へか旅立ったのを見送ると、あまりの遣る瀬無い気持ちに眠気も何処かへ旅立ってしまった。

なので、此処最近見つけた散策しても興味の尽きない王城で眠くなるまでの時間つぶしにやってきたのだが………。

「………何アレ…………。」

面白いものを見つけてしまった。
正しくは面白い者だろう、薄いけども芳しく香る薔薇の香りを台無しにではないけども、とても面白い……否微笑ましい光景が広がっている事に今宵は退屈に蝕まれなくてすむかなと、色々と期待してしまい思わずどうするか、とか悩む前に声をかけてしまう。

「………今王都で流行の踊りかな?」

紅の蝶になるのではなく、今日は足で歩いてきたので、廊下の柱から顔を半分ほど覗かせて真紅の眼でジーッと踊りを華麗に踊る、女性に声をかけた。

声色は一般の女性よりも低く、されどまだ高さの残るボーイソプラノで不意の話しかけ、表情は露骨に面白いものを見つけた顔で口元にも何か微笑ましいものを見る笑みで……瞳は好奇心にキラキラキラ輝いているのだった。

ルーシェ > 「壁……うん、壁じゃ駄目。じゃあガラス……海風強い時に割れちゃう……う~ん」

頭の中で浮かぶ、海から吹き荒ぶ、塩気の混じった強風を遮る手段。
それを考えながら掌はL字を描いたり、コの字を象ったり様々。
軽く首を傾げながら時折動きが止まったりと、真面目にこの薔薇園を自宅に再現したいと思い悩みながら、夜空を見上げた。

「……?」

踊っていたつもりはなかったが、掌の動きと足をばたつかせてベンチに腰掛ける姿は、彼女にはそう見えたのかも知れない。
中庭に繋がる廊下の方から聞こえる声に、視線はそちらへと向かう。
迷路状に入り組んでいた薔薇園ではあったが、丁度彼女から見える直線は斜めにこちらを覗ける角度だったらしい。
みやった先、柱の影に見える赤い瞳を見つけ出す。
黒いドレスに長い黒髪、それを映えさせるような白い肌と瞳の紅玉。
その姿を見つけると、問いかける声にふるふると緩やかに頭を振って否定する。

「違うよ、実家でこんな薔薇園作りたいな~って試行錯誤してたところ」

何やら見世物みたいになっていたらしいと思えば、照れくさそうに苦笑いを浮かべていく。
妙に好奇心に満ちた瞳を見ていると、背丈は彼女のほうが大きいはずなのに、子供っぽくて愛らしさを覚えた。
自然と頬が緩み、穏やかに微笑みを浮かべれば、先程まで踊らせていた掌は、今度は手招きに変わっていく。

「そんなところで見てないでこっちおいでよ。もっと近くで見たほうが、綺麗だし香りもいいよ?」

城に住まう姫君か、それとも貴族の娘さんかなにかか?
そんなところかなと考えながらも、特に気にすることなく彼女へおいでおいでと手招きする。
近づけば分かるかも知れないが、魔族が放つ瘴気のような気配をかすかに感じられる筈。

レヴィア > 夜の闇を切り抜いた様な黒い黒いドレスの胸元に手を入れて思わず執筆のネタ集め用の皮表紙の手帳を取り出しそうになった。

薔薇園で咲く数多の薔薇と一人何か思い描くように手を動かして足を動かす一人の女性の姿、面白いのと同時に何処か惹かれる気がして、執筆作業も捗る気がして……と、手帳を取り出す前に女性から返答が来た事で掌は自らの胸元に入れる事無く、誤魔化すように静かに手と手を胸元で重ねてから、静かに少し互いに距離はあるけども一度微笑みを浮かべる。

「薔薇園を……?とてもいいアイデアかと思いますけど、あれですねーお手入れがとても大変そうで……。」

否定も肯定もしないけど、脳裏に薔薇園を自分の屋敷に作った場合の手間隙世話の大変さを思い浮かべると作るか作らないかの天秤はぐぐっと否定の方向に揺れる。
揺れるけども、それは人に押し付けることでもなくて、まっいいか!の精神で直ぐに考えを別の方向へと流す。

そう、女性との距離を物理的に近づけることに……。

「……ン、覗きを楽しむ心算でしたが、声をかけておいてハイさようならも寂しいですしね……お言葉に甘えて……。あっ、首筋に噛み付いてもいいですか?」

照れくさそうに苦笑いを浮かべた女性の表情にぐっと何か魅力を感じて、つい吸血鬼ジョークの一つでも唇から紡ぎ、緊迫などはしてないけど初対面同士の空気を少し緩める事にチャレンジしながら、ひょいっと柱の影から漆黒のスカートの裾を翻し、その月明かりの下に姿を見せると、はしたないけど小走りでととととととっと女性の手招きに応じて駆け寄ると、手を伸ばしても互いが触れ合えない距離で止まり……。

「……御機嫌よう、薔薇と同じだけ素敵なフロイライン。私はレヴィアと申します。お招き頂き即参上いたしました。」

即と言う程ではないのだけど、何より先手で挨拶する事で先程の発言は冗談と理解していただこう、と考えたのだが、確かに自分よりは少し背丈が低いながらも抱きしめるには程良さそうで、メリハリのある美味しそうな肢体に改めて齧りつきたくなりそうな衝動が沸くのを抑えながら、まずは黒いスカートの中ほどを指先で摘んで、軽く柔らかな布を持ち上げながら、ゆるっと会釈をしてご挨拶を。

――…薔薇園を中庭を香るのは薔薇の香りだけか、鼻腔を悪戯に擽る香りの中に心地良い嗅ぎなれた香りがした事にふわっと何か乾く気がして……。

ルーシェ > 「うん、庭がちょっと殺風景だからいいなぁって思うんだけど海沿いだからね~。ふふ~っ、庭師さんに任せるから大丈夫っ!」

潮風は、それに慣れぬ植物を簡単に塩気で枯らしてしまう。
結果、あまり彩りのない庭に辟易しているところだが、やはり諦めきれない。
苦笑いで説明しつつ頷くも、彼女の心配するような言葉には、得意げに慎ましげな胸を張り、満面の笑みで答える。
潮風対策は考えないといけないが、後は庭の手入れをしてくれる人達に一任。
彼女の葛藤など露知らず、いわゆるドヤ顔だった。

「私なんか観察したって何も面白くないよ? どうぞどうぞ~」

食欲旺盛で時折歌を口遊む程度の女の観察。
自分で浮かべてみても面白みは感じず、可笑しそうにクスクスと微笑む。
応じる言葉に手招きの手を止めていくも、続く言葉には苦笑いに表情を変えながら、小走りに近づく彼女を見つめていた。

「駄目~、あと着いちゃうもん。もぉ、そんなに勿体つけた人じゃないよ、私は」

首筋に噛みつきたいなんて、吸血鬼みたいな宣い事を口にするなと苦笑いのままに思うも、あたっているとは知る由もない。
実際、魔王なんだからそれぐらい勿体つけられるだろう立場だが、人の世ではただの女の子のフリをしていたい。
仰々しく感じるご挨拶に、眉をひそめながらも、お上品なご挨拶に目を細め、屈託のない微笑みで応えていく。

「レヴィアちゃんね、よろしく。私はルーシェ、薔薇と同じぐらい~ってのは、どっちかといえばレヴィアちゃんのほうじゃないかな? お上品だし、お人形さんみたいだし」

薔薇園に似合う姿といえば、はっきりとした黒と赤を従える彼女のほうだろうと思いながら笑みのまま答える。
何となく視線に意味深なものを感じるような気がするも、物陰から覗いていた姿もあって、興味の視線だろうと警戒することもなかった。
魔の気配が感じ取られていることも気付かない。

レヴィア > 恭しくもしっとりと丁寧な挨拶のための会釈で視線を外した僅かな間に巡らせる思考……庭師、その手があった!その手があった!と女性のドヤ顔と共に紡ぎだされた答えに納得はしたし、心の中でぽんと手を打ったが次なる問題として自分の住まう屋敷の面積と庭師を雇うと言うハードルの高さに、心の中で手を打った両手でその案を揉み揉みして聞かなかったことにしよう……一流の小説家になった暁には生徒が増えて収入が安定した時には是非前向きに検討したい案件メモに入れておくことにした。

そんな庭師を雇っています、的な発言と共に今度は海沿いに屋敷を持っていると言う言葉に自分の状況と比べて色々嫉妬心が沸かないこともない、海沿いの屋敷、素敵なバラ園、庭師とか想像するだけで執筆作業が捗りそうなネタである。

更に重ねて思うのは愛らしいドヤ顔が微笑みに変わり、慎ましいながらもちょっと美味しそうだなと指先が動き出しそうな彼女のお胸と――今此処に存在する何よりも芳しい「香り」に興味はわくばかりだ。

とするっと顔を上げてから一息薔薇の香りと彼女がほんの僅か隠そうとしているのか、それでも深くは踏み込むには情報足りずと、口元に微笑みと相変わらず好奇心の輝きを真紅の瞳に浮べつつ、言葉を紡いでいこう。

「こちらこそ今後とも宜しくルーシェさん?ちゃん??えっと……コロコロ変わる表情とかお胸とか見てるだけでも飽きないけど……いいじゃない、首筋に噛み痕ってきっと似合うわ!あとお胸も触っていい?測っていい?」

と久しぶりに誰かと会話する事が自分でも思っていた以上の楽しいのか言葉が矢継ぎ早になり、全てを紡ぎ終えてから慌てて両手で口元をそっと隠し、あっやってしまった!見たいな苦味を交えた笑みを隠した口元で浮べてから、誤魔化す為にまた少し足を前に一歩だけ踏み出して、名前を名乗りあった分だけ距離を詰めていこう。

でも距離を詰め終えるとぴたっと足を止めて

「……えっと、ほら、私は可愛いになりきれないから、出来れば可愛いは愛でる方が……。」

隠した口元でごにょごにょと歯切れ悪く、人形みたいと言われたこともバラ園が似合うと言う言葉を否定してしまう。
何故なら人形を真似る事が出来ても大きな壁があるが故にだ。