2018/03/24 のログ
ご案内:「王都マグメール 王城」にレヴィアさんが現れました。
レヴィア > まるでビロードの上をゆっくりと歩くような足取りに合わせて紅の蝶の群れが赤いパンプスの形を作り、何処からとも無く群れ集い人の形のシルエットを生み出し、最後にはシャボン玉が爆ぜるようにポンと割れて、蝶が霧へと変わり夜風に紛れて溶け込み消えると、其処には人影が一つ。

本来なら蝙蝠の姿でやるべき術式を可愛いから蝶の方がよくない?蝶の方が可愛いよね?と編み出した術式で行使し、蝶の群れから一人の姿へと戻ると、鼻腔を擽る芳しきバラの香りにふにゃっと頬を緩めて笑みを口元に浮べる。

「うんうん、バラはいいよねバラは……太陽に向けて咲くひまわりも好きだけど、やっぱりバラだなぁ……夜の闇に浮かぶ赤ってそそるよね……。」

吸血鬼が甘ったるい音色の言葉を紡ぎ姿を見せたのは王城の中庭にあるバラの花を含め数多の花が咲き乱れる庭園である。

気が向くまま、足が向くまま、何度か交渉と商談とお仕事で来た事がある王城に足を運んだのだけど、こうやって王城の中を散策したのは初めてで、つい香りに誘われて来てしまったのがこの花の咲き乱れる庭園であった。

王族や貴族諸々が好む場所であるからして、こんな場所もあるかな?とは思ってはいたのだけども、想像以上に鮮やかで彩り豊で、この花が一斉に散って花弁を散らしたらどれだけ綺麗な光景だろうか?と勝手なことを想像しながら、全身が無事全て戻った事を確認する為にシルクの手袋に包まれた右手を伸ばして一厘だけ薔薇をつんで、指先で強くバラの棘を押して「痛み」を感じるかの確認を……。

つぷ

とシルクを破り皮膚を穿ち、小さな痛みを芳しく甘い香とともに指先に受け止めると、鉄錆の香混じりだす薔薇の花を自らの口元に寄せて、すーっと香を鼻腔だけではなく、舌でも感じようと夜気混じる空気を肺に吸い込んだ。

レヴィア > 暫く薔薇の香りを堪能した後、今度は赤い蝶になり散る事無く、歩く事を楽しみながら今宵は眠りにつくことにしよう。

今宵は面白い場所を見つけたと、暫くは退屈より逃げ回れると、紅薔薇に良く似た色合いの唇を笑みの形に変えながら静かにその場を立ち去って……。

ご案内:「王都マグメール 王城」からレヴィアさんが去りました。