2017/12/22 のログ
ご案内:「王都マグメール 王城 パーティーホール」にティーアさんが現れました。
ティーア > ハイブラゼールにいる事が多いウサギ娘が王都に呼び戻されたのは、今宵開かれたパーティーのためだった。
仕える主が開いたものではないが、その親戚が主催なので手伝いという立場。
夕方から始まった宴はそろそろ終演のタイミングを計る頃合いで、ウサギ娘も比較的暇だった。
終わるからといって食事や飲み物が足りないというのも格好つかないそうで、
少なくなってきた皿を下げ、新しいものを出す作業は続いているが。

退屈なウサギ娘はというとトレンチにドリンクを乗せて会場内をゆったり歩く。
ハイブラゼールでも似たような仕事をしているため慣れた足取りである。
こうしていると招待客の内心が読める気すらしてくる。
純粋にパーティーを楽しんでいるのは一体何割いるだろう。
王侯貴族の付き合いで渋々参加している者など特に分かりやすい。

ご案内:「王都マグメール 王城 パーティーホール」にシドさんが現れました。
シド > 年の瀬祝うパーティーは本日も盛況に終わりを迎えようとする。
熱気と賑わいに増したホールに一人、また一人と姿を消してゆくのを見守る青年は。
漸く一息つけるという風にうなじに張り付く後ろ髪を軽く払ってグラスを口元に傾ける。
喉を潤そうとした酒は、しかしもう既に空。物足りぬと眇めた葡萄色の眸は周囲をくるりと見渡して。

「こっちだ。カクテルを一つくれ。喉が乾いて仕方ない。」

兎耳の給士にと軽く手を上げて願い出た。

ティーア > 「はい」

呼び止められて営業スマイル混じりに振り向くと、くるりと行く先を変え男性の元へ。
いくつかグラスの並んだトレンチを差し出し。

「他になにかご入用でしたらなんなりとお申し付けください」

空腹なら食事を持って来る事も、もう疲れたと言うのなら客室も。
が、使用人の自分には理解できないような付き合いが高貴な者にはあるのだろうから、
実際に休みたいときに休めるのかはウサギ娘には分からない。

シド > 「ありがとう。」

指先で受け取るグラスに鼻先を近づけて薫りを楽しむ。それから唇をつけて喉を潤そうと……
する前に顔はウェイトレスの方に向いて中断する。
じっと眸を見据えて考えを巡らすように瞬きを繰り返し。

「なんなりとお申し付けください……か。ふむ。」

顎先に当てた指で掻いて瞑目する。
やがて開いた眸を細めて背凭れに大仰に背筋を預けて足を組み換えしながら
戯れ多分に含めた声で尋ねた。

「では夜伽の付き合いに君が必要だと言ったら……?」

さてどうでるかと、澄ました葡萄色の眸の向こう。好奇心にじっと相手を見据えて答えを待つ。

ティーア > 言うなれば仕事中のメイドの仕草は外面で、主に仕えているからこそ失礼のないようにと心がけたものである。
優雅な所作を流れるように行う彼を眺めている視線も、やはり使用人としての色だったのだが。

「――――え?」

思わず素が出た様子で、ぽかんとした後、そんな自分に気付いて慌てて首を垂れる。

「あっ、申し訳ありませんっ。そんな事を仰られるようなタイプの方には見えなくて…。
 あらっ?これも失礼ですよねっ!?わっ、悪い意味で申したつもりではないんですけど…」

口を開けば開くほど墓穴を掘る性格なのである。
向けられる瞳がどこか自分の内側を見透かすような色と、温度を含んだものだったので尚更。
落ち着いた様子の相手とは真逆、やや騒がしい性分をぽろぽろと晒しつつ、営業用ではないスマイルも。

「私でよろしければ。その際にはいつでもお声かけください」

シド > 「……。」

静かに見据える眸を弧月の如く細めてしまうのを抑えきれない。
声を押し殺そうとしても殺めきれずに。

「ふは……はは。今までそういう経験が無かった訳だ。
 初心で可愛いな。気にしなくて良い。軽いジョークのつもりだ。
 辟易するか交わすか……取り澄ましたメイドの本当の顔が見たかった。」

掌の上で転がすトレンチを音もなくテーブルに置く。
そして相手の細い手を静かに取り、睫毛伏して手の甲に口付けを落とす。

「悪かったな。からかって。
 だが、これから改めてお願いすると言ったら……一緒に来てくれるかい?」

ティーア > 涼しげな貌から発せられる笑い声に再びぽかんとし、頬が火照っていくのを感じる。
使用人として対応を失敗した気もするし、初心と言われた事もなんだか物凄く恥ずかしく。

「もうっ、もう、心臓に悪いですよっ!――――あ、いえ、あ…」

素を出し過ぎである。高貴なお方に『もう』などと。
言ってしまった事に気付いても口から出した言葉を取り戻せるハズもなく、慌てふためく。
どうか他の者の耳に届いていない事を祈るばかりだ。
自分の醜聞が主の評価に繋がる事は避けたい。

そんな狼狽しきったメイドは、てっきり夜伽の話も消えて失せたものと思っていたために。
スマートなお誘いを受けて周囲を見回す。
こんな事をさせても良いものかと、やはり気になる様子で。

「………もう1度言うべきでしょうか…。私で…よろしければ…」

初心ではないつもりだったが、相手の前では初心になってしまう自分が情けなく。
俯き気味に頷けば彼のエスコートに身を任せる事に。