2017/07/01 のログ
ご案内:「王都マグメール 王城」にルークさんが現れました。
ルーク > 雨が上がり、湿気をたっぷりと含む空気はこの季節独特のもの。
汗ばむような、湿気の多い不快な空気にも表情を変えないままルークは王城の廊下を歩む。
第零師団の執務室から、王族の私室の集まるエリアへと向かう途中で回廊へと差し掛かる。
時折さわりと弱く吹く風が少しだけ不快感を和らげてくれる。

「………?」

ふいに視界に過る黄色い光に、足を止め琥珀の瞳が庭園へと向けられる。
光があったと思う場所には、既に光は見えず。
しかし、また別の場所でぽわっと柔らかい光が生まれては消える。
庭園に一筋流れる小川。その周辺でいくつもの柔らかい黄色の光がゆっくりとした一定のリズムで明滅をする。
何度か瞬きをしたあと、じっと光が明滅するほうを見つめるが何が光っているのかは見えない。
止まっていた足は、庭園へと向いて光の下へと向かっていく。

ルーク > ふわり、ふわり。
春にみた花の花弁のように、風に流されているわけでもなくしかし不安定な軌道。
小川に近づいてみたが、空中になにがいるのか暗い中ではよく見えない。

「………。」

ふわり
明滅する光が、下へ下へと下がって草の上にとまる。
そっと、光が逃げてしまわぬように膝を折るとルークはその場にしゃがみこんだ。
草につかまるのは、おしりから規則的に黄色い光を発する虫だった。
光が灯るたびに、捕まる草と草に反射するほのかな光に黒い虫の姿が浮かび上がる。
なんという虫なのだろう。しゃがんだ膝に頬杖をつきながら黄色い光を灯す虫を眺める。
綺麗、だと思う。一休みを終えたのか、草から再び飛び立った光を追えばいくつもの黄色い光が空中で明滅する。
厚く空を覆っていた雲の切れ間から、星の輝く空が見える。
サラサラと聞こえる小川のせせらぎの音、緑の匂い、花の香り。
意識していなかったものに意識を向ければ、とても新鮮で。