2017/05/13 のログ
ご案内:「王都マグメール 王城」にシャドウさんが現れました。
シャドウ > 取引相手に貴賎は求めない。
ソイツは潜在的に金になるかならないか、求めるのはその一つ。
それは金を稼ぐのが得意なのか、金になりそうな「伝手」があるのか、それとも見目麗しく身体を使って稼げそうか、若しくは何かしらの技術に優秀な物を持っているか、など理由は様々である。

つまりはそれさえ満たしていればミレー族でも奴隷でも兵士でも騎士でも貴族でも……無論王族でも金を貸す。

今宵は名も出せぬ身分の人間との重たく張り詰めた交渉を終え、無事日ごろ滅多に眼にしない金額の金を貸したところ、その胃痛にもなりそうな重さを忘れたくて、王城の一室……とカウントしていいかアレだが王都が一望できるバルコニーに顔を出していた。

「アアー……もうあの手の輩とは商売したくない。ナニあれ護衛っての?一兵士ってレベルの強さじゃねぇだろ……勝てるとか勝てないってそれすら考えられんわ……。」

生き馬の目を抜く世界で相手の強弱を見分ける技術と感覚は非常に重要である。
今宵はそれがビンビン仕事をして、途中で部屋を抜け出したくなる衝動に駆られそうになった事さえあった。
一応自分も腕に自信がないわけではない、が今宵のアレは何度思い出しても別格である。
常に首筋に冷たい刃物を押し付けられ、心臓に針が突き刺さってる、そんな表現が似合う状況だった。

「……ッたく、でも美味しい仕事になる筈なんだよな……。今すぐに倍になるって奴じゃなくて、じわじわ金が転がってくる感じの……。」

商売用のスマイル何て物は売り切れ御免である。
笑みすら浮べる余裕は無く、普段の軽薄な表情は何処へやら、引き締めた笑みもなにもない表情で、夜空を見上げると、バルコニーの丈夫な手摺に背中を預け、ズボンのポケットから煙草モドキのボックスを引っ張り出す。

で、紙でできたその箱を開け、小さく上下に揺すると煙草モドキが1本だけ頭を見せるので、それを唇に咥えるとボックスをポケットにしまい、その指先だけほんの数秒ほど魔鎧の甲冑を呼び出すと指同士を重ねて滑らせて弾き、生まれる火花で煙草モドキに火を灯す。

ギィィィ、チィンッ……

と耳障りな金属同士が擦れあう音共に煙草モドキには青紫色の火、そして直ぐに其処から紫色の煙がふわりと立ち上る。

シャドウ > 煙草モドキから甘ったるい香り、身体に満ちていく魔力、嫌な気分は身体に満ちる魔力による高揚感で薄れていき、煙草モドキが完全に朽ちてホロホロと崩壊し終わる頃には先程の事を忘れられるほどには前向きにテンションも戻る。

「……アー……帰りに美味いものでも喰って帰るか……。」

少し珍しい灰色の髪をくしゃっと掻き乱し、かゆくもない頭を掻きながらバルコニーより歩いて立ち去る。

ご案内:「王都マグメール 王城」からシャドウさんが去りました。