2017/03/19 のログ
ルイト > その場に居合わせたのは、言ってみれば偶然だった。
道端でどこぞの酔っ払いと口論になり、手を出してきたから叩きのめしてやった。
すると衛兵に捕まり王城へ連行され、こってり絞られて帰された…といったところ。
やれやれと帰路に乗りかけたところで、ふと中庭の騒ぎに気づく。顔を覗かせてみれば、不躾で偉そうな男たちと対峙しているのは見知った顔だ。

「……なんだ、ティエ。騎士様の稽古相手でもしてんのか」

冗談めかしつつ中庭へ足をふみ入れる。
何故こんなことになったのかは読めないが、見るだに多勢に無勢。幾ら何でも厳しそうだ、と判断した故に。

ティエンファ > 2、3合打ち合いながら、相手の手並みを量る。 騎士はそれなりの強さだが、あくまでそれなり。
殺気も浅く、騎士と言うよりは、あくまで馬鹿王子が雇った護衛程度の腕なのだろう。
剣も鎧も綺麗に輝いているが、つまるところ、戦に出ていない証なのだ。

振るわれる剣を避け、黒金で補強した棒の先端で肩を突き、膝を払う。
肩で息をする騎士が王子に罵倒されながら引っ込むのを眺めれば、これで終わりかなと思ったが、次の騎士。
溜息を吐いた所で、聞いた声がした。 王子達もそっちを見る。

「見ての通りだよ、オニイサン まあ、そんな感じさ」

知り合いと知られればルイトが面倒に巻き込まれるだろうと、名を呼ばずにそう返す。
新しい騎士が少年に向かえば、身をかわし、鎧の関節を取って投げる動き。
この辺りには無い武芸で、見かけばかりの騎士を翻弄する少年の姿。

ルイト > 心配は杞憂だったようだ。騎士をさらりと翻弄するティエンファの姿に舌を巻くのも束の間。
名を呼ばず済ませた彼の気遣いも敢え無く、王子はこの二人が知り合いだということに気づいてしまったらしい。
何故かといえば、自分が彼の名を呼んだからで…
騎士の一人が此方に向かってきた。美麗に輝く剣を抜き放ち、斬り掛かってくる。

「……あー。悪いな。俺も稽古相手として選ばれちまったみたいだ」

反射的に、振るわれた刃を躱す。勢い木刀を引き抜き、手首を軸にくるりと回して騎士の手の甲を叩いた。
2撃目も身を捻って避け、木刀の先端でトン、トンと足を払う。手慣れた動きだ。

ティエンファ > あちゃあ、と額に手を当てる。 巻き込んだのもそうだけど、

「ルイよぉ、お前ちょっと楽しんでないか?」

荒事になれた動きを横目に、自分も襲い掛かってくる騎士をいなす。
ルイトが乱入した結果、囲んでいた騎士達も剣を抜き、襲い掛かりだす。

「おいおいおい!? 王様のいるお城の庭で乱闘って、それが王子のする事かぁ!?」

思わず声をあげながら、剣を振るう腕を棒で押さえて軌道を変え、他の騎士にぶつける。
数合かわし打ち合いながら、ルイトの背に背を当てるようにして辺りを見回す。

「キリがない、逃げっちまおう」

襲いあぐねる騎士達の輪を鋭い目でねめつけながら、ルイトに声。
ふがいない騎士に顔を真っ赤にして怒鳴りつける王子まで、剣を抜くのを見れば、

「流石に、王子さんに怪我させたら面倒だ」

ルイト > 「ナニ、騎士様のお相手なんて中々出来るもんでもないからな」

飄々とした口ぶり、ながら手さばきは鋭い。
多数で襲いかかってくる騎士達をいなし、時には打ち合い、時には受け流す。
ティエンファと背を預け合うようにしながら辺りを見渡し、一度大きく息をついた。

「賛成だな。……王子様に手をつけりゃ、後が怖い」

声を返しながら斬り掛かってきた騎士の刃を受け、手近な騎士へぶつけた。
ちょうど空いた隙間目がけ、ティエンファに合図を出して走り出す。

ティエンファ > 「やっぱり楽しんでるじゃねーか!?」

思わず吹き出し、ルイトに悪戯をしてる子供の様な目で笑い返す。
そして、意見が合えば顎を引くように頷く。

「じゃあ、合流はあの夜の店の前で」

振り返りもせず、軽くルイトの背を肘で小突いて、それから、
飛び掛かってきた王子をするりと受け流して転ばした瞬間、

「今だ!」

声をかけ、ルイトと逆に駆け出す。
王子を護るか、少年を追うか、闖入者を追うか、その逡巡の間に、二人は風の様に騎士達から離れていく。
その後、幻灯市で二人が合ったあの店の前で落ち合えば、そのまま今日の事を肴に、酒場に繰り出すのであった。

ご案内:「王都マグメール 王城/中庭」からティエンファさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 王城/中庭」からルイトさんが去りました。
ご案内:「王城庭園回廊」にアダンさんが現れました。