2017/02/18 のログ
ご案内:「王都マグメール 王城」にシャーロットさんが現れました。
■シャーロット > 王城
その中にいくつか存在する議会室
シャーロットはとある軍議に召集されて王城を訪れていた
■シャーロット >
目の前では、ああでもないこうでもないと論議を交わす騎士、貴族、大臣達
ことさらシャーロットから見れば"無駄な議論"にしか思えない
自分にとってはどのみち議論の上、書面に連名でサインを記し、
予算の提供を行うためだけの公務である
故に退屈な時間である
小さな欠伸を噛み殺して辺りを見てみれば、
つい数分前となんら変わらない言い争いが続いている
「(どのみち最後は騎士側が折れるんでしょ、さっさとしてよねぇ…)」
溜息をつきつつ、面倒そうな視線だけを送る
■シャーロット >
議題は何だったか
余りにも退屈なので書面に目を通す
「(……あぁ、相変わらず無駄でサムいことやってんのね……)」
少し前から話題にはなっていた、第七師団とやらの魔族の国への侵攻作戦
相応に大きな部隊を動かすことになるのと、周辺への影響の大きさを懸念する声が上がっているらしい
まぁ、私腹を肥やしている貴族からしてみれば『無駄な藪を突くな』という話である
「(お金出して大人しくなるならそれでいいじゃない)」
こう何度も軍議に呼ばれるのも面倒だ
とはいえ、自分が一声を出すのもまた面倒くさい
貴族達はともかく、無駄で小さなプライドという滑稽なモノを持つ騎士達は、
シャーロットにすら反抗し得るからだ
■シャーロット >
議論を展開する騎士達は、王国を守護するという大きな名目
そして己の王国への忠誠心を主軸に話を展開する
一方貴族側は何よりもリスクを避ける
特に今回のような、魔族を刺激するやり方に賛同するものはほとんどいない
本来ならば一笑に伏されるところ、
この第七師団というのは現在王国で持つ発言権が存外に大きいようだ
王国国民に及ぶ危険性、といえばまず魔族の国が思い浮かぶだろう
それに対する切り札ともいえるべく編成されているかの師団は、
その重要度が国単位で大きいということは否定できない
「(でもぉ……)」
シャーロットは知っている
■シャーロット >
貴族達がこの遠征に反対的なのはそのリスクが大きすぎるというだけではない
自らの家の安全、子孫繁栄と家督相続、私腹の肥やしを優先する貴族達から見て
"魔族の国への侵攻"それはとても大きな意味を持つものだ
「(きっと、困るのよねぇ?魔族相手に勝手に色々されると…)」
口元に浮かぶ小さな笑み
必死に騎士を説き伏せようとするその裏には何があるのか…
■シャーロット >
さて、この軍議に参加している貴族達の何人が、裏で魔族と繋がっているのか
考えるだにそら愉しくなってゆく
議論は平行線のまま進んでゆく
最後に調印を交わしてはいるが、議論が尽くされていないと噛みつかれ、
再び軍議が開かれるのは時間の問題だろう
ようやく退屈な時間が終わったと、いち早く席を立つシャーロット
軍議の間から出ると人目を憚らず大きく伸びをする
たゆんと揺れる胸に若い貴族の目を奪わせておく、
こういうことに反応するタイプは手のひらで踊らせやすいので顔も覚えておこう
「──あの調子じゃ、出兵はまだまだ先になりそうねぇ?」
側に控えた従者にやれやれと肩を竦めておどけて見せる
■シャーロット >
徴税監査官であり王国法に基づく金融機関の総帥も兼ねるシャーロットは王国お抱えの財源そのもの
王城の中でもVIPとして王族となんら変わらぬ、あるいはそれ以上の待遇を受けている
わざわざ用意された私室や…王城地下の"遊び場"にも出入りは自由だ
んー、と顎に手を当てるような仕草で考え込む
折角王城まで足を運んだのだし会議だけというのも味気ない
地下に囚われている罪人の娘でも買い付けて遊ぼうか、それとも───
ご案内:「王都マグメール 王城」にセイン=ディバンさんが現れました。
■セイン=ディバン > 市街地もそうだが、こと城という物は人を多く抱える傾向にある。
その城の持ち主、管理者、雑務担当のメイドに、料理長。
植木の手入れ職人に、お抱え医師。さらに多数の来客。
つまり、活気ある城にとっては人で混雑するなどというのは日常茶飯事でありステータスであり。
故に。男が人知れず侵入することも容易であった。
「……」
無言で城の中を歩く男。時に堂々と。時にはこそこそと。
誰も男の姿は気にしない。むしろ、男が会釈すればすれ違う人間も自然と会釈を返してしまうほどだ。
「……さぁ、て。どうしたものかな。
この雰囲気、もう『オハナシアイ』は終わったと見ていいかな……」
すれ違う貴族、騎士の様子に、男はため息を吐く。
……魔族の国への侵攻作戦。その噂を聞きつけた男。
一応魔王軍に所属する以上、男的には事の真偽を確かめたかったし、情報収集をしたかったのだが。その会議が終わってしまっていてはどうしようもない。
あとは適当に人を捕まえて、上手いこと話を聞きだすのが精々。
「……お?」
さぁどうやって情報をあつめるか、そもそも俺は情報収集は苦手なほうなんだが。男がそう悩んでいると。
男の視界に、とてつもない美貌の持ち主がいた。
スタイル抜群。容姿は美人と言っても言葉が足りぬほどの美人。
……そしてなによりも、立ち振る舞いが、堂に入っていた。
「……こうなりゃダメ元だね」
男は、その女性に声をかけようと近づいていく。
■シャーロット >
「──ま、今日は先日買った奴隷で遊びましょうか。
馬車の用意をして、ほら、さっさと。遅れたら首をすっ飛ばすわよ」
従者に命令を下し、ふとこちらへの視線を感じて振り返る
慌てた様子の従者が駆けていくのと同時、その男と目が合った
…まぁ、冒険者等も王族の謁見に訪れることもある
男の容姿はこの際気にしてもしかたないことだとしても
「…何か御用?」
一言
その一言に『見下し』『侮蔑』『平民への圧力』
あらゆる要素が集約される、そんな声色で言葉が投げかけられる
■セイン=ディバン > 目の前でなにやら連れに話しかけている女性。
様子こそ普通だが、その覇気。あるいは王気とでも言うべきか?
とにかく、威厳は離れていても伝わってくる。
「……あぁ、その。ご機嫌麗しゅう。
もしよろしければ、お話を聞かせていただきたかったのですが。
お暇はおありでしょうか、美しいお嬢さん」
全力全開の、男に対する『見下し』に、男はその気当たりを飄々と受け流す。
言葉のみではない、身にまとう衣服。そしてその少女の肉体からあふれ出る自信。
それらは、男に如実に『格の差』を実感させていたからだ。
……事実。男は田舎出身の冒険者風情なのであるから。別に怒りも湧かない。
■シャーロット >
平民風情と話など…
そんな雰囲気を纏っていたが少しずつそのなりを鎮める
従者に馬車の用意をさせに行かせたものの、軍議を終えた貴族達で舎は混み合っているだろう
王城で遊んで帰ろうかと一刻悩んだ所為で、準備に少しかかるのは明白だった
暇潰し程度にはなるかもしれない
そう思ったのか、ようやく視線以外も、身体ごと男へと振り返る
「アンタにあげるような暇はないけどぉ、
馬車の準備が出来るまでだったら付き合ってあげる、ありがたく思ってね?」
立ち話も不格好だしぃ、と続けて先に立つようにして歩きはじめる
というよりは踵を返して軍議の間へと戻っていった、たしかに座るところこそあるが、
王族でもないのに勝手にその部屋を無断で平然と使用する
そんな振る舞い方すら何か、一般人とは違うものを感じさせた
軍議の間はすでに使われていない、円状の卓の一つに優雅に腰をかけて、男に向き直る
「何が聞きたいのー?
フツーのコトなら、平民らしく酒場なんかに行ったほうがいいと思うけどぉ」
■セイン=ディバン > そもそも、所属うんぬん無しに。王族貴族騎士は平民を見下すものだ。
持つ者と持たざる者の差。その格差があるからこそこの国は成り立っている。
つまるところ、男は少女の振る舞いや言葉に苛立ちを覚えることは無い。
……そのはずだったのだが。
「……はっ。ありがたき幸せ。
貴女の寛容な精神と行いに、感謝いたします」
さすがに、バカにされたりする分にはいいが。
年下の子供にここまで舐められてるとそれはそれで、身分以外の面で腹が立つが。我慢であった。
そのまま、少女と共に歩き、入った部屋は軍議の間。男にしてみれば入ったことなど無い部屋だ。
先ほどまでの会議でこもっていたのであろう熱を肌で感じながら。男は少女を見る。無論立ったままだ。相手をむやみに怒らせても面白くない。
「……では、恐れながら。
第七師団の魔族の国への侵攻作戦。それについてなにかご存知ならばお聞きしたい。
少なくとも、お見受けしたところでは貴女は相当に身分も高いと見えますので」
謙り、全力でのお願いであった。もしもこの少女が何もしらないなら、まぁ次のターゲットを探せば良いだけなのだが。
■シャーロット >
「ふぅ~ん…?」
シャーロットはセインの顔をまじまじと眺める
どこか小馬鹿にしたような視線ではあるが、その玉虫色の瞳は妙に何かを見透かしそうな雰囲気を持っている
くすりと口元に笑みを浮かべ、紡ぎ出される返答は──
「あなた、ただの平民冒険者じゃないでしょ。
フツーのヤツだったら、この私相手にそこまで我慢して話聞こうとしないのよねぇ?
それに侵攻作戦について、ですって?一介の冒険者なら適当に遠征に乗じて名前をあげるくらいしか考えないのに、
その程度だったらいざコトが動き出してからなら王国の何処にいたって情報が入る。
──魔族の国への侵攻が実現すると、何か困ることがあるんでしょお?」
シャーロットはその内に狂気を孕んだ貴族である
しかし狂っているわけではなく、聡明でもある
悪意を常として動く人間の冷静さと判断能力は幼くして研鑽されていた
「それを教えてくれるなら、私の知ってるコト教えてあげよっかなぁ。
……そのほうが、なんだか面白いことができそうだもの♡」
■セイン=ディバン > 「……?」
顔をじろっ、と見られる男。こちらからは聞きたいことは質問した。
なのになんだ、言葉遣いが悪かったか? と男が悩んでいれば、目の前で少女は笑い。
「……こりゃ驚いた。美人なだけじゃなく、頭も回るか。いや、まいったな。
ふん。ふんふんふむふむどうしたものかなぁ。いや、正直舐めてたわ。
どこぞの貴族のガキが自分の力と勘違いして親の七光りを振りまきに来ていたかと思っていたのになぁ。
改めて、非礼を詫びさせていただきますよ、お嬢さん」
相手の指摘に息を呑み。そして、頭をかいてため息を吐く。
男はどうやら声をかける相手を間違えたのかもしれないが、もはや遅い。
男はそれこそ平民出身の冒険者には似合わぬ、完璧なる一礼をして謝罪した。胸に手を当てる仕草まで併せて行っている。
「怠惰の魔王軍所属。魔王ベルフェゴールの夫、セイン=ディバンです。
現在は魔族と人間の共存の道を模索しております。
今回の侵攻作戦は、我が悲願にとっては邪魔な物。どうか情報をいただけないでしょうか。
謝礼は……出来うる範囲で、如何様にでも」
■シャーロット >
「シャーロットよ。
シャーロット・アン・エル・フェルザ…しっかり覚えておいてね?
平民相手に名乗るだなんて、珍しいのだから」
片手で頬杖をついて、余裕のありげな笑みは浮かべたまま
どうやら図星であったらしく、男は少々バツが悪げに見えた
「まぁ下々の者はそう見るでしょうねぇ。
けれどお父様の時代よりも私が代替わりしてからのほうが業績は圧倒的なのよ♡
……ま、それはいいとして…ふぅーん……魔王の夫?」
それは驚いた、といいたげに目を丸くする
魔族と親交のある人間は勿論いるだろうが、魔王と婚儀を行った人間の男がいようとは
「魔族と人間の共存ねー、そんな頭がお花畑なヤツ、まだいたんだ~。あっはは。
情報といえるほどのものじゃないかもしれないけど、このままだと侵攻には大きな予算を盛り込むことになりそうねってくらい。
それくらい大規模な遠征になるのかもね?この手の軍議にお金を出すだけの私が呼ばれるくらいだもの」
そう言って肩を竦めて見せる
「で……止めたいんでしょうけど、多分無理よね?
あなたも知ってる通り戦争はお金になるの。
自分に危険が及びかねないからへっぴり腰になってる貴族達も多少いて軍議が長引いてるけど、そうじゃない層のほうがやっぱり多いものね。
ま、肝心のお金が出なければ規模を縮小くらいはされるでしょうけど…」
暗に言っているのだ
自分の気分次第で、大きく侵攻作戦の規模を変えることができるのだということを
■セイン=ディバン > 男は目を丸くする。その理由は二つ。一つは、目の前の少女が名を名乗ったこと。
そしてもう一つは、その少女の名前に聞き覚えがあったからだ。
「……シャーロット・アン・エル・フェルザ? キミが? あの?
あのフェルザ家の……。大通りの、宵闇の蜂蜜亭にはなんども世話になってるよ」
その名。有数の大富豪。男も、フェルザ家の関わる娼館には何度も通っていた。
身分違いどころか。世界の違う相手だ。
「ほぉ~ん……。
あ、でも確かに。フェルザ家の経営する娼館は、ここ最近質があがったなぁ……。そういうことだったのか。
……信じるも信じないも、キミの勝手だけどね。一応結婚してるよ」
いつのまにか、相手に対して砕けた口調で話しかけながら。
男はイスに背を預けるように寄りかかる。流石に座ったりまではしない。
「あぁ、一応言っておくけど。何も手と手を取ろうってんじゃない。
具体的に言うなら、魔族を攻撃する人間は滅ぼす。人間を襲う魔族は滅ぼす。そう考えてるだけだ。な? これなら共存できるだろ?
……。ってぇことは、大規模作戦になるし、もし実現したら面倒くさいってことじゃすまないって話か……。はぁ、頭痛……」
そうして、気安く情報を教えてくれる相手を警戒しつつ、情報を整理する。
よもやそこまで話が進んでいるとは思わなかった。これを妨害・阻止するのはかなり無茶な話だ。
「だろうね。戦争特需ってヤツだろ? ……。ったく。
金稼ぐなら全うに稼げば良いだろうに……。
ふ、む……?
……
…………
何が。望みかな? 生憎と、金はあるけどキミの方が金持ちだろ?
あと俺が差し出せるものなんて、多少の盗賊スキルと魔術スキル。あとは冒険者としての腕。それと、この体くらいなんだけど」
流石に命はやれない。そう提案する。自分の命は、妻のものだと。
言葉にはしないまま、男はそう目だけで宣言していた。
■シャーロット >
「名前を知ってるなら、顔も知っておいて欲しかったわねぇ」
まぁいいけど、と付け加えて
胸の下で腕を組むと大きく椅子の背もたれへとその背を預ける
「魔王の夫だなんて大ボラ、今時子供でも言わないのよねぇ。
大真面目に言ってくる男がいたら真実か、酔ってるか、気狂いだわ。
で…、んん~、その極端な考えは嫌いじゃないけどぉ…それやるとこの王国滅ぼすことになるのよねぇ。
あと、まわりに誰もいないとはいえ…もう少しそういうことを口にするのは配慮したほうがいいかもね?」
互いに攻撃しようとする者を滅ぼす
その強い言葉だけでも危険と判断する者は多いだろう
互いの衝突・侵攻を憂う男を眺め、小さく笑う
「そうねえ…私は望むものが手に入らない、なんてことがないのだけど、
それでも需要と供給のバランスが釣り合わないことはままあることなのよねぇ。
あぁ、そう、セイン?
体なんてものよりもあなたのその肩書きと立場があるじゃない?
最近ミレーの奴隷にも飽きてきて、魔族が少し欲しいと思っていたところなのよね…」
少女が所望したのはセインの冒険者としての腕でもなく、勿論金銭でもない
その、プライドを投げ渡せということだった
「なんてったって魔王の夫なんですもの、
ホラ話じゃないなら魔族の数人くらい調達できるわよね?」
あははと愉しげに笑う少女の瞳は、どこまでも深い闇を感じさせた
■セイン=ディバン > 「そいつぁ失礼。まぁ、今回覚えたからよしとしてくれや」
てっきり激昂するかと思ったが、意外にも態度を崩さない相手に内心胸をなでおろす。
まぁ、平民相手に激怒するような安い人間であるとは、男も思ってはいなかったが。
そうして、相手が胸の下で腕を組めば、思わずその強調されるバストに視線が行く。少女のバストは、その幼さに反比例し、まるで熟達の娼婦のソレの如き魅力を放っている。
「ま、そらそうだな。でもまぁ、人間の女で魔王の妻になった、とかいうヤツならゴロゴロしてそうなんだけど。
素面ですし、狂ってねぇです。証拠とかは提示できないけどね。
……キライじゃねぇのかよ。あぁ、いや戦争までは起こさないよ。精々嫌がらせと牽制に努めるさ。
おっと、そらそうだな。気ぃつけるよ。忠告ありがと」
幼いのに、達観している。いや、ある種狂っているのかとすら思うほどの胆力。
そこいらの地方貴族や王族すら敵わないほどの支配者としての格を、言葉と態度で見せ付けられる。
「……デショウネー。……バランス、ねぇ。
肩書きと立場、って……。そりゃどういう意味……。
……あ~、そういう……」
金持ち特有の、嫌味にすら聞こえる当然の宣言に棒読みになる男。
ここまで一直線だとむしろ清清しい。
相手の提案に、男は顎に手をあてて考え込む仕草を見せる。困っている。しかし、それとは別に、また視線は胸に向かいっぱなしだ。
基本、欲望に素直な男なので、魅力的な女性が目の前にいれば下心も湧くわけで。
「いや、ホラ話ではないんだけどさ。ウチの妻たるベルベルが支配する怠惰の軍勢?
その言葉通り、妻が怠け者と言うか面倒くさがりでね? 部下っていやぁ機械仕掛けのゴーレムばかりなのよ。
ん~……。まぁ、魔族の国で、こっちに逃げたがっているヤツラをシャーロットちゃんの所に案内するくらいはできるけどさ。
……虐待とか。しないでくれるなら、だけど」
取引としては、対価を払うのは当然。だけども流石に奴隷を雑に扱うなら、許容は出来かねる。暗にそう告げる。
しかし、目の前の少女がそういったことに考慮するタイプとは男にはどうしても思えなかった。
とすればどうしようかなぁ。と考えつつ。余りにも露骨に胸を凝視しすぎていたため、いつしか息子が元気溌剌になってしまう。
男のモノのサイズなら、ローブすら押し上げて目立ってしまうことだろう。
■シャーロット >
「(ベルベル…?)」
疑問に思ったところで、あぁ、と
魔王ベルフェゴールの夫だと名乗っていたことを思い出す
ベルベル……
魔王という格式高い名前にはちょっとあんまりな呼ばれ方な気がする
男の視線が自分の胸にいっていることには気づいているが、特に気にしない
大体いつものことであるし、眩しい白さに実ったそれにはどうせ手など届かないのだ
「迷い子を引き取るために言ってるんじゃないのよねぇ~。
その手の慈善事業みたいなキレイ事、吐き気がするほどキライだしぃ。
ま、人間と魔族の共存なんて謳ってる人間にはできない相談よね~」
手をひらひらと振る
交渉はあっさり決裂というやつである
そこでふと、男のローブをむくりと持ち上げるモノの存在に目が止まる
そしてにっこりと微笑んで
「…ソレ、どういうおつもり?」
■セイン=ディバン > 軍議の間には幸い人はいない。なので、魔王の夫としての立場を語ろうが。さらに言えば、こういった取引の会話をしていようが、問題は無いわけだが。
逆に言えば、いつ誰が入ってきてもおかしくは無い。取引に関してはとっとと終わらせるのが吉だろう。
「……ハァ~。わかった。わかりました。ほんじゃまぁ、何人くらい欲しいんさ。
出来うる限り、そういったことを耐えられるヤツを紹介するよ。
……ってか、シャーロットちゃん。正直と言うか……。清々しいほどに狂ってるというか。いや、バカにしてはいないんだけどさ」
しばし悩んだ後。男はあっさりと折れることにした。
相手を怒らせても仕方ないし、無条件で情報をくれたのだ。
更に言えば、侵攻作戦の規模を縮小できるのならば、他に手は無い。
……幸い、魔族にも、ハッキリといってしまえばMな性癖の者もいる。
そうして頭痛をさらに拡大させていれば、相手に指摘され……。
「……。
…………。
どういうつもり、も何も……。キミのそのおっぱいが魅力的過ぎるんだから。
生物的に生理的に反応するしかないでしょうよ」
■シャーロット >
「あら、折れてくれるの?
ふぅ~ん、理想を語る人間ってそれに溺れることが多いのに、懸命ね?」
種族の共存を目指す!などという人間は、得てして両種族を尊重する
シャーロットが娼館などを経営する側の人間であることを知っているのなら、
当然提供した魔族がどんな扱いを受けるかは想像に難くないはずである
それでいて、この男は折れた
それよりも大きな事態の動きを視覚化する為、犠牲を払うことを選んだとも言える
それはシャーロットにとっても意外なことだったのか、男に対する視線の色が変わる
見下したそれから、近しい同類を見るような、そんな視線へ
「じゃ、今度の侵攻作戦の予算には連名としても名前を貸さないことにするわ。
それでも作戦自体は決行されるでしょうけれど、大きな目的は魔族の国の奥にある吸血姫のお城だそうよ。
討伐隊の規模が縮小されれば文字通り少数精鋭での作戦決行。
少なくとも他の魔族達への被害は随分と減らせるんじゃなぁい?」
相手が折れたと見るや、更に細かい作戦の内部までも語りだす
自身が金を出さないと決めた瞬間にこれである、わかりやすいことだろう
組んでいた腕を解いて、再び頬杖の体勢に戻る
視線は先程とくらべて些か冷ややかだ
「私、正直は悪徳だと思うのよねぇ。
初対面の相手に狂ってるとかぁ~
目の前で汚らしいモノぎんぎんにおっ立てるとかぁ…」
これで撫でたら大人しくなる?とか言いつつドレスの裾からロッド(どう見ても鉄製)を取り出すシャーロット
■セイン=ディバン > 「折れるしかないっしょ。少数切って大多数救えるなら。
生憎と、理想論者な訳でもないんでね。現実的な方法を取るべき時は非情にだってなるさ」
無傷。無血。当然、それで事態を良くできるならそうすべきだ。
しかし現実はそうは行かない。何かを切り捨て、何かを守る。
それは必要なことだし、すくなくとも男はそれを躊躇わない。
いや、躊躇わないようになった。そうすることが必要になったから。
「話早っ!? ……あ~、いや助かる。助かります。
……吸血鬼の、城? 聞いたこと無いけど……いや、ふむ。
……なるほどね。いや、ほんとありがと。それならまぁ……。
なんとか。なるかな」
ぽんぽん。とんとん拍子に進む話に男自身驚きを隠さない。
が、すぐに気を引き締め、話を記憶していく。
吸血鬼の知り合いはいないが、討伐対象になるような相手だ。
もしかすると、有名氏族かもしれないな、と思いつつ。
「いや、美徳悪徳両方だろ。
あ~。それはまぁ、俺もネジは外れてるから同類ってことで。
……失敬な。汚らしいとは。結構自慢のモノなんですけど?」
そんじょそこらの男なんかじゃ太刀打ちできねぇのになぁ。などとぼやきつつ。
少女がロッドを取り出すのを見て、男は一歩下がる。
取引は成立だ。……となれば、あとはこの場に用はないのだが。
どうせなら、もう一つ欲望を満たしたいという、男の浅はかで無謀な挑戦。
■シャーロット >
「確か城の名前も割れてたはずよねぇ…興味ないから覚えてないけど。
ま、魔王が相手でも殺せる準備をしていくらしいから、相応に名のある吸血貴種なんじゃない?」
引っ込ませたロッドを手元でぽむぽむ
セイムが一歩下がらなければそれを股間に向けて振り上げていたのだろうか
「自慢かどうか知らないけれど、清潔なモノではないでしょお?
立派なモノを折られたくなかったらさっさとしまってちょうだいよね」
懐から黄金の懐中時計を取り出して眺める
遅いにしてもそろそろ従者が場所の準備を終える頃だろうか
■セイン=ディバン > 「いやいや、その情報だけで十分。
……そりゃまた、物騒だなぁ。ま、なんとかしてみましょ」
相手がロッドを締まってくれたのをみて、ふいぃ、と息を吐く。
流石に鋼鉄製のもので殴られれば使い物にはならなくなっていただろう。
「……清潔ですー。ちゃんと手入れしてますー。
……そうは言ってもね。そう簡単に静まるもんでもないっての。
まぁ時間がたてば落ち着くけどさ」
相手の様子をみながら、そろそろ退散すべきか、と考える。
そもそも男はこの城に侵入した身。バレてしまえばマズいことになるのは火を見るより明らかだ。
■シャーロット > ロッドをしまい、椅子から立ち上がる
ドレスを翻して男に背を向ければ、視線だけどそちらへ流して
「お嫁さんがいるのなら、その子に鎮めてもらいなさぁい?」
くすりと笑って一歩踏み出し、思い出したように再び振り返る
「私を使って欲望を満たそう、なんてコト考えていたのならざぁんねん。
フェルザ家のシャーロットを一筋縄で捕まえられるとは思わないこと、
私はこの国の黄金を全てあわせても買えない女なの、じゃあねぇ♡」
三度踵を返す
とりつけた約束の所為かどこか機嫌よくドレスを揺らして、
呼び止めなければそのまま軍議の間から出てゆくだろう
■セイン=ディバン > 立ち上がり。歩く姿すら優雅にして気品がある。
絶対支配者としての姿。下手な魔王より魔王っぽかった。
「最近会えてなくてね~。まぁ、そうしてもらうのが道理だが……」
相手の言葉は正論である。しかし、かといって正論で静まらぬのも男という生物の性。こればかりは時代が変わっても変化しない。
「ぐっ……お見通しか。
……ふむ。確かに一筋縄ではいかなさそうだなぁ
買えない。ね。買えないのね。ならさ……」
相手の言葉を飲み込み、小声で呟く。
こうまで挑発されて、それでハイおしまい、というのも男として屈辱である。
なにより。年上の男に対してあまりにも目の前の少女は舐めすぎというものだ。
ならば、と。男は懐から何かを取り出し、それをぽん、と相手に投げた。
「こういう手段はどうかな。シャーロットちゃん?」
男が投げたのは、男手製の毒薬。低レベルの麻痺毒の粉だ。
一時的にとはいえ、体の自由を奪う程度のものだが……。
もしも少女が耐性が無ければ。あるいは、飛び退き、避けなければ効果はあるかもしれない。
■シャーロット >
「………まぁ、粗野な冒険者だもんねぇ」
返ってきた言葉は暗く、重い
鈍感な者でなけれは冷や汗が吹き出るほどに、圧力のある声色
毒薬によって全身が痺れ倒れ伏した少女
声は、その少女から聞こえているものではなかった
軍議の間の入り口で、その少女を見下ろす少女の姿
「あっははは、ばっかじゃないのぉ?
本物の私がアンタみたいな下層階級と一対一でお話なんかするわけないでしょ♡
警戒のなさ疑いなさいよねぇ~」
やがて、倒れた少女にかけられたモーフィングスペルの効果が切れると、
シャーロットとは似ても似つかぬ侍女の姿へと変わってゆく
「滑稽ったらないわぁ。
んーあぁでもでも、取り付けた約束はちゃあんと守ってあげるから安心し・て・ね♪」
猫撫で声で言葉を投げかけ、嘲笑を向けるその表情は先程までからは見る影もない
いつ入れ替わったのか定かではない、瓜二つに化けた影武者の少女とは似ても似つかぬ程に
醜悪で、邪悪で、底の知れない程の悪意の笑みを見せつける
片手を振るとぽい、と捨てるように投げたのは富裕地区に存在する娼館の優待チケット
いつの間にかずらりとその周囲を重装備の従騎士達が守るように取り囲み、その奥から再び声が投げかけられる
「ソレあげるから、下賎なミレー共にでもすっきりさせてもらったらぁ?
冒険者風情にはお似合いでしょ、ふふっ…あははははっ♡」
■セイン=ディバン > 「おぉ?」
男の持つ、危機察知の能力が全力で警戒を訴える。
思わず男自身が後ろに跳び、距離をとる。
そして目にしたのは、少女の姿が二つ。
「……っはぁ~……。
いや、まいったまいった。二手も三手も先を読まれてたか」
事の正体に気づき、男は両手を上げ、降参の意を示す。
男の考えることなど、少女にとっては想像に難しくなかったようで。
「言い返せねぇなぁ。実際。
……あぁ、そうしていただけると助かるねぇ」
状況としては非情に危機的状況なのだが。男はあっけらかんと返事をする。
とりあえず約束を守ってもらえればそれで良い、ということなのだろう。
そうして、目の前の少女の表情、声を見ながら、細巻きを取り出し火をつけた。
「……別にミレー族を下賎とは思わんがね。まぁ、なんだ。
いつかキミを俺の元に跪かせて、『抱いて、めちゃくちゃにしてセイン様!!』って言わせるのも面白いかもしれないな。
とにもかくにも……」
男は目の前で鉄壁の守護に守られる少女を見て、何度目かのため息を吐く。
どうにも、男の手には負えない。とんでもない魔性の女だったようだ。
だが、契約は契約。筋は通すのが男の流儀である。
瞬間、男の装備している指輪が輝き、次の瞬間には男の姿は掻き消える。
「あぁ、今回は素直にあきらめさせてもらおう。
非礼失礼を重ねて申し訳なかったな、シャーロットちゃん。
まぁ、キミの娼館に魔族の奴隷は数人送っておく。
……とはいえ、その生意気おっぱいをいつか俺のものにしてやると予告しておく、サラバだ~」
男の姿は掻き消え、残るは声のみ。しかも、随分と間抜けな捨て台詞であった。
ついでに言うと、優待チケットもちゃっかりなくなっていた。
……後日。少女の娼館には、サキュバス・ダークエルフなどの奴隷が送られることとなったのだが。
その後のことについては、男は知らぬ存ぜぬ、である。
ご案内:「王都マグメール 王城」からセイン=ディバンさんが去りました。
■シャーロット >
「なかなか面白い素材じゃない?」
男が掻き消えた後、愉しげに少女は笑い、
薬によって身体が麻痺し動けない侍女の頭をゴリ、と踏みつける
「にしても、もうちょっと上手く演じなさいよ、ウジ虫」
動けない侍女に向ける、虫けらを見るような眼に周囲の従騎士達すらも息を飲む
「……変な冒険者が~、王城に侵入してぇ~」
カチン、ガチリ
ドレスから取り出した、何かが音を立てる
「フェルザ家の侍女に乱暴、狼藉を働いて……」
""バンッッ""
炸裂音
突然の大きな音に一時城内のその階層は騒然となる
漂う火薬の香り
シャーロットの手には装飾の豪華なフリントロックが握られ、
足元の侍女の頭からはどろりと赤黒い液体が流れ出る
「殺して、逃げちゃいました!やーん、可哀想~♡」
■シャーロット >
一頻り笑ったあと、冷めたのか溜息を一つついてくるりと踵を返して廊下を歩き始める
「あんなの城に入れないように警備強化させておきなさいよね」
冷たい声色で言い放つ言葉に従騎士達は敬礼をもって返すのみだった
ご案内:「王都マグメール 王城」からシャーロットさんが去りました。