2016/04/13 のログ
リリ > 「あの・・・?」

こちらの声掛けに彼女の反応は薄い、
立ち上がる様子をじっと心配そうに見つめていると・・・・、
突然の事、彼女の手が私の口を塞ぎ、びくっ、と体を強張らせて目を見開いた。
恐怖で体が動かなく、半ば小刻みに震えている。
ぞくっとするような耳元でのささやき声に・・・。

「・・・!・・・。」

こくり、こくりと声を出しませんと言わないばかりに二回頷く。
今の状態は彼女が原因と理解する。
倒れている人たちを瞳を動かして見てみると、
何とも恍惚な笑顔で心が奪われてしまったような表情、
いったい何を彼女にされたのだろうか・・・。
口を塞がれた彼女の手に、私の緊張と恐怖で荒れた呼吸がかかり湿るだろう・・。

暁燕 > 「うーン…どうしようかしらネ…。
 ワタシ、あまり人を殺すのって好きじゃないのよネ…」

耳元で囁き続ける

その時
倒れている貴族達の中で一番肥え太った男がうめき声をあげる
大きな体格故に、効きが僅かに鈍かったのだろう、もぞもぞと大きな身体を動かしている

「豚は別だけど」

そう呟きが漏れた瞬間
僅かに少女の身体ごと移動した暁燕の脚が太った貴族の首を強烈に踏みつける
そのままヒールを捻るように踏み込むと、メギリと鈍い音が聞こえる
リリの足元で、その貴族の口から血泡がゴボゴボと吹き出してゆく……

「…可愛い貴女には同じことはしないかラ、大丈夫…フフ」

彼女の心に去来するであろう恐怖、驚き、それらを緩やかに和ませるような、
甘い淡い香りがリリの鼻口をくすぐる
……その媚香の効果は即効性、効果は一般的な媚薬よりも少し強い程度で
おそらくその効き方には大きく個人の差が出るだろう

リリ > 「ふっ・・・うっ・・・。」

手で口を押さえられて言葉は出ない、
小さく首を左右に振り殺すのはやめてという素振りを見せる。
半ば眼が潤み涙が浮びそうな様子。

彼女の言葉で近くで倒れていた太っている男性に気がつく、
豚は別だけど・・・別?という事は・・・。
と思った瞬間の事だった。

「っ・・・!!、・・・、。」

生生しく砕ける骨の音、突き刺ささり捻じ込まれたヒールからでる肉を裂く音。
びくりびくりと痙攣して血液を吐く男性の姿が一瞬目に映ってしまい抑えられていた恐怖心が一気に湧き出し眼を瞑ってしまった。
声なんて出るわけも無い、そんな余裕すらない・・・。

彼女のささやきから香ってくる仄かな甘い香り・・・。
この恐怖を忘れてしまいたくなるような誘われる香り、
なんだろう・・・。ふわりふわりと頭の中がぼんやりとしてくる、
意識が飛ぶほどではないのだが恐怖心というよりもトロンととろけてしまいそうで体がほてって来る。

「ふー・・・、ふー・・・。」

こういった経験は今まで一切無かったらしく媚薬の効き目も抜群、
甘く熱さで火照った吐息が彼女の手の中でこもる
たまっていた涙がとろんとした両目で緩んだときに零れ落ち、
強張っていたからだの力がだんだんと抜けていき彼女に体重を預ける形となっていってしまう。
だらりとした両手に抵抗する力もあるはずが無く、
瞳をゆらりと動かして彼女のほうへと見つめてみる・・・。

暁燕 > 「フフ♡」
こちらを見つめる瞳に笑顔で返し、
身体が弛緩しきってしまう前に、その口から手を離し、肩を抱いてホール奥の扉へと誘う

扉をくぐると、その先の部屋へと…
彩りの強い部屋その真中に鎮座するベッドへと彼女の背を押す…
その前に、落としてしまいそうなので美味しそうなパンの入った紙袋は化粧台の上に置いて

「おりこうさんネ…お名前ハ?」

優しい声色でそう問いかけながら、ベッドの奥…非常用の扉を確認する
ホールの大惨事に気付いたものが部屋にきても、あそこから逃げることができそうだ
貴族が遊ぶための場所、そういう作りだけはしっかりしている
そう思いながら、後ろ手で部屋の扉に鍵をかけた

リリ > ぼんやりした頭の中で彼女の笑顔を見ると、
なんだかよくわからないが安心してしまう、
はっきりしない考えの中でこちらも緩みきった笑顔を向けてしまう、
覚束無い足取りで彼女に肩を抱かれ、ホールの奥へと・・・。

そして誘われるように個室へと入れば、
目移りしてしまいそうな色あざやかな室内、
とんっ、と背中を押されたと思えば、
くらりと倒れこむ様にベットへと仰向けに倒れ込む。
だらりと両手を開いて無防備に、
呼吸は荒く、はぁ・・、はぁ・・・と火照った吐息を繰り返す。

「りり、です・・・。
あの、わたし、どうなっちゃうんですか・・・?」

鍵をかける音が聞こえた。
これから私はどうなるのだろうか・・・。
恐怖心は媚薬の所為できえてしまっていた・・・。
潤んだ瞳を彼女のほうへと向けてじぃっと見つめる。

暁燕 > 媚香はしっかり少女の身体を火照らせている
しかし所詮は香り、乱れさせるには至らない
…彼女が現れる直前の、皇麻の霧など吸い込んでいたらまた別だったが

「記憶を飛ばしちゃうだけにしようかとも思ったんだけどネ…」

ふんわりとした笑みを浮かべ、自身もベッドの上へ…その体の上に這いずる蛇のように身体を擦り付ける

「今日はパーティーが中断しちゃったカラ…、
 ワタシ、欲求不満なのよ、ネ……お嬢ちゃんに遊んでもらおうかな、ッテ」

身体を擦りつけながら耳元でそう囁き、赤い舌がぺろりとその耳を舐る
媚薬によって高められた感覚は容易に快楽と認識するだろうか

リリ > 「えっ・・・、あの、・・・あっ・・・!」

彼女の体が私の体を触れ合い擦れ、
敏感になった体はぴくりと震えて反応を見せる。
彼女のふわりとした笑顔に不思議と心が奪われてしまいそうになる・・・。
とろんとした双眸は彼女を見つめたままじっと離さない。

「えっと・・・、その、私は・・・、はっ・・・っ!、あっ・・・!」

びく、びくっ!っと体が半ば大きく震え手足が動いてしまう。
耳に感じた生暖かい感覚に快楽を感じてしまう・・・。
頬は朱色に染まっていく。

「あの・・・、ぱーてぃーは、これからじゃないのです・・・か?」

もう、考える事なんてできない、彼女に包まれたい、
彼女が人を殺めたことなんてすっかり吹き飛んでしまっている。
私の上に覆いかぶさる彼女の腕をそっと、右手でつかみ縋る様な眼差しで見つめる・・・

暁燕 > 「残念…パーティーは中止になっちゃったのよネ…。
 でも、折角パンを焼いてきてくれたんだもの、リリちゃんはパン屋さんなのよネ…?
 お金も貰わずじゃ、帰れないわよねェ……」

吐息がお互いにかかるような距離でそう言うと、ドレスの裏地から、
どう見てもパンの代金を遥かに超える札束を取り出し、リリの手に握らせる

「……貴女とパンはワタシが買うの、いいデショ?」

エプロンの上からでもわかる、
身長に比べて大きく実った胸に触れる
衣服ごしでもわかる柔らかさに満足するように、ふにふにと感触を愉しむ

リリ > 「お金・・・えっと・・・。」

彼女が私の手に札束を握らせた。
明らかに予定よりも多い大金、
この状況でこんなものもらってしまっては・・・

「私と、パンを・・・?・・・、こんなに・・・、もらいすぎてしまって、いま・・・、す・・・だから・・・。」

こんな言葉を言ってしまっていいのだろうか?
初めて言う言葉に戸惑いを隠せず、媚薬の所為で頭もしっかり回らない。
快楽に身をゆだねてしまおう・・・、そう、思ってしまった時自然と言葉が出てきてしまう。

「わたし、おいしく、ないかもです・・・。それでも、よければ、お召し上がりくだ、ふぁ・・・!あっ!!!っ///」

びくびくっ、と体に電撃が走ったかのような感覚、
誰にも触られた事の無い乳房に彼女の手のひらのぬくもりが迫る。
くすぐったい上に気持ちよく、体が言うことを聞かずに震える。
・・・・もっと触ってほしい。
といわないばかりに懇願するような眼差しで彼女の背中に両手を回してそっと支えて・・・。

暁燕 > 「欲しいものに払うお金には糸目をつけない主義なのよネ」
にんまりと笑みを浮かべて、唇を重ねにゆく

その嬉声や反応から、正常な判断ができていないのは明白だった

背中に手をまわされれば、ひとたびその唇を味わおう
柔らかなその唇をぺろぺろと悪戯に舐め、唐突に唇を重ね、舌を潜りこませる
相手の舌先を探すような動きで舌がくねり、見つけ出せば淫らに絡みつく

淫靡な水音が小さなその部屋に響いてゆく……

リリ > 彼女の表情が近づくとき、
私は目を閉じて全身の力を抜き全てをゆだねた。
甘い吐息がかかったと思えば柔らかい温もりが私の唇に触れる。

「ん・・・」

唇が触れただけでも、心臓が爆発しそうなぐらい
どき、どき、と波を打つ。
余裕なんて一切無い状態で彼女は私に更に畳み掛ける。

「んっ・・・!?ふぅっ!・・・!んんっ!」

ぬるりと彼女の舌が私の中へと入り込んでくる。
私と彼女の舌が絡み合い滑り込み、奪い取られて絡み付く。
脳を突き抜けるかのような快楽におぼれながら、
彼女の背に回した手に力が入りドレスをぎゅっと握り締める。

そして私もその快楽に応じるように咥えるように彼女の唇を求め動かす。

淫らな水音を惜しみなく立てながら・・・。

暁燕 > 「…ぷふ、ん…っ…♡」

透明な糸を引いて2人の唇が離れる
摺り合っていたお互いの身体、高鳴る心音までが伝わる

可愛らしい子、という思いと同時に…壊してしまいたいという欲求が生まれる
しかし彼女が幸いといえたのはそこだろう
リリが現れる前に散布した皇麻の霧の量は一時的にとはいえホール全てを覆うほど
今回仕込んでいた麻薬は全てそこで使いきってしまっていた
残っているのは微量の媚薬のみである

「服が汚れてしまうわネ」

口元を笑みに歪めて、彼女の服を脱がし始める
おそらく抵抗はないということをわかっているのか、それはスムーズに

やがて一糸まとわぬリリの裸体が明かりの下に曝け出される……

「…綺麗なカラダしてるのネ」

するりと狐の手が柔らかな太腿を撫でる──
そのまま、付け根へ、そして快楽の中枢となるであろう、そこへと…

リリ > 「ふぁ・・・、ん・・・っ♡」

唇がゆっくり離れてつぅっと仄かな光に照らされた銀糸が私と彼女の唇に繋がっている。
彼女に私を自由に弄んでほしい、触ってほしい、壊してほしい、そんな風に懇願してしまう・・・。頭の中はいま快楽におぼれてしまっていた。

「うん・・・、あ、ありがとう、ございます・・・。」

するりするりと、服をはだけていく。
脱がされるなんてこと無かったからか恥ずかしくてもじもじとしてしまう、
彼女の眼を見る事ができなくて視線をそらしたり、見つめたりを繰り返す、

「そんな・・・、えっ、と、ほめないでください・・・。恥ずかしいですから・・・。」

私の快楽を求めてしまっている場所は、
うずいて仕方がなくなっている。
湿り気を帯びておりとろりと潤っている。

彼女の手がその中心へと迫ろうとしていたとき、
彼女の手を私の手が少し待ってといわないばかりにやさしくとめる。

「あ、あの・・・、そのまえに・・・、お名前、おしえてくださるわけに、は、いかないでしょう、か?」

目を離したり見たりをしていた瞳はじっと、まるで彼女に恋してしまっているかのような潤んだ瞳を向ける。
それは何とも甘えた眼差しで・・・

暁燕 > 名前を問われる
そして、それまでの彼女の反応と、その瞳を見て……一つ、彼女の中で考えが変わる

「……朱暁燕(ジー・シャオイェン)…誰にも言っちゃ駄目ヨ。
 今日あったことも…全部ユメだと思うこと…良いわネ?」

媚薬の原液を使えばこの時間の記憶を吹き飛ばしてしまうのは容易い
けれどたまには、こういった賭け事も面白いと狐は思った
少女が約束を守るのか、守らないのか……

「それと…恥ずかしい、なんテ、そんなセリフを吐くと…。
 もっともっと恥ずかし目にあわせてあげたくなっちゃうんだけれど、ネ」

嗜虐心ともまた違う可愛らしいものを可愛らしいままに愛でる気質も一応持っている
それがこの狐の本質かというと疑わしいものなのだが

リリ > 「シャオさん・・・わかりました・・・。これは・・・夢・・。
夢でしたら・・・、私は。」

とめていた彼女の手をそっと離す・・・。
それは私を自由に弄んでくださいといわないばかりに。

「とめちゃって、ごめんなさい・・・、シャオさん、おねがい、触って・・・?もっと、私を苛めてほしいです・・・私をすきにしていいから・・・」

媚薬で包んでほしい、頭の中が吹き飛んでしまうほどの快楽がほしい、
それだけしか考えられなくなってきていた。

暁燕 > ホールに飛び込んできた時の姿からは想像もつかないような、雌としての言葉に狐は満足気に微笑む

「フフ、それじゃあ…美味しく頂いちゃおうかしらネ」

ドレスの裾から小さな小瓶を取り出し、口に含む
そのままリリに再び覆い被さり、その唇を奪う…そして、深い深い、キスと共に…
希釈されていない媚薬が体内へと侵入する
それは香りとして嗅いだ媚薬‥媚香とはまた一線を画す効能を与える

触れられた場所全てに熱が篭もるような
痛いはずの刺激すら、心地良いような、そんな身体へと、一時的に作り変えてゆく

ぷはっと口を離した狐の手がリリの乳房に這い、指を沈み込ませる
柔らかさをたっぷりと堪能しながら、その先端にある可愛らしい突起を指でつまみ、愉しむようにこりこりと刺激する

同時に、股を割りさくように自分の脚を滑りこませ、膝で女陰を擦ってゆく──

暁燕 > ──それから僅かな時間の後

ホールの状況を見た兵士達がドアを蹴破ると、そこには既に誰もいない

蜜事は深く甘く、狐にしては珍しく相手を壊すこともなく、ただただ肉欲に塗れるままに
少女を部屋に残していかなかったのは、きっとまた遊ぼうと思ったから
その時はもしかしたら、壊してしまうかもしれないと

"手折った花は、しばらくは飾っておくのも良いものネ"

紙袋から取り出したパンを頬張りながら、狐は城からの帰路をのらりくらりと歩いた──

ご案内:「王都マグメール 王城」から暁燕さんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 王城/大広間」にアヤメさんが現れました。
アヤメ > 今日の少女は、お店馴染みの風変わりな貴族に頼まれてのお仕事だった。
なんでも、王城で行われる社交会の料理人が足りないとかで、割と男でもそれなりにできる少女は調度良いからと駆りだされたという顛末で。
今はマグメール料理のフルコースを作る手伝いを終えて、給仕にやってきたところ。
服装はいつも通り――若干ラフな給仕といったところ。品のいいメイドさんとは違う感じで。
右手と左手に大皿料理を持った少女は、ふぅらふらと人を縫うようにして進みながら、近くのテーブルに料理を補充していく。

「っとと、お料理通りますよー!」

にこやかにご挨拶して、ずんたかたったと堂々進む。
少女が通った後のテーブルには、様々な料理が所狭しと並んでいた。

ご案内:「王都マグメール 王城/大広間」にレオンさんが現れました。
レオン > 連日のように行われる大広間での社交界。
普段は全く縁のない所だが今回は警備の仕事を受け沢山の人々の邪魔にとならない様に立つ。
そんな中に着飾った貴族達やメイドとは違うラフと言っていい姿の人影が人を縫うように歩くのが目につく。
場違いに見えたその姿に声をかけようとしたがふとここにと入る前に外部から料理人を呼んでいる貴族がいたとの話を思い出し。

「ごくろうさまです。こういう場は大変ではないですか?」

少女が両手に持った大皿を置いたタイミングを見計らい労う様に声をかけていく

アヤメ > 皿を置き、その場を離れようとした最中のこと。
かかる声にはくるりと振り向く。長めの髪がふわりと揺れた。
その先にいたのは、一人の男性。齢にして20少し前くらいだろうか。
自分よりも年上の人に、しかし敬語で声をかけられると、すこしばかり照れくさそうに。

「あ、ううん、大丈夫。大きなお皿を運ぶのは慣れてるから――こんだけ人が多い場所は初めてだけどもね?」

素直な答えを示す。
このような宴席に呼ばれるのは初めてのこと。
綺羅びやかな照明に、石造りの広い室内。毛足の長い絨毯は足をふかふか包み込んでいる。
場違い、とも言えるような場所で給仕を済ませた少女は、どこか落ち着かない雰囲気で周囲を見回しながら。

「んー、ここは綺麗な人が多いから、ちょっと場違いかなぁって。メイドさんも人が足りてないみたいで仕方なく給仕に出てきたんだけど、やっぱり衣装や雰囲気が違うなぁって」

などと苦笑してみせるのだった

レオン > 声をかけ振り返る少女。
揺れる長い髪とこちらを向いた事で自分よりも年下に見える姿。
それなのにこんな場所でメイドや貴族の中に入り仕事をする姿に素直に尊敬するように見て。

「えっと…それはつまりこういう社交界ではなく食堂とかで慣れている訳ですか?」

少女の答えを聞き外部は外部でもどこかの屋敷で努めているではなくどこかの店の料理人を雇ったのかと見て取る。
どうにも慣れない感触の絨毯を鉄板のついたブーツで踏み。
落ち着かない様子に見える少女の姿に大変ですね、と声をかけ。

「それを言いますと自分も場違いになりますよ。この格好ですので。貴族の方は本当に煌びやかにしていますから。こちらは会場からあまり見えませんから気が楽になるかもしれませんよ?」

苦笑する少女に鎧姿の自分を指して同じように苦笑を浮かべ。
警備という仕事上目立つ位置に立てないだけに良ければ来ますかと声をかける

アヤメ > 「ん、平民地区で露天を開いたり、あとは自分のお店も一応持ってたり、かなぁ。今日は料理人が足りないらしくて急遽呼ばれた感じなのだけど、メイドさんも足りないってことで外出ることになっちゃって」

こんな恰好なのにさ、と見せるのは普段通りのエプロンに皮のドレスをまとった姿。
どちらかと言えば冒険者によくあるような服装と料理人の特徴を足して割ったようなものだ。
一方、目の前の男性は軽鎧に身を包んだ、騎士かあるいは警備兵のような形の格好。
大変か、と労われると、それには嬉しそうに笑みを浮かべて。

「ありがと。――ん、それじゃそっちにお邪魔していい?代わりに、私のお夜食半分あげるからさ」

料理も一段落した所で、後はデザートくらいだろう。
仕込みは給仕に出る前に済ませてあるから、後は宮廷料理人の皆でも平気なはず。
ならば、後はこっそり材料をくすねて作ったお夜食を楽しむのが吉だろう。
王城の高価な食材を使って作ったサンドイッチとコンソメスープのセット。
サンドイッチの具はローストした鶏肉とオリーブ、レタス、玉ねぎと言った感じ。
スープも鉄製のカップに温熱石という魔法具を入れて温かいまま食べられるように工夫済みな代物だ。
そんな、美味そうな匂いを漂わせるセットを抱えたまま、少女は男性の後を追う。

レオン > 「そうなのですか?露店は兎も角として自分の店があるのは凄いですね。場所を教えていただけたらお邪魔しに行きますよ。今日は特に盛大にやっているようですね。だから自分みたいに本来は縁がないものまで呼ばれていますよ」

その恰好を見ればよく似合っていますと笑みを浮かべて告げ。
少女にはこういう場にいるメイドや厨房の料理人がしている姿よりも今の姿の方が似合うと素直に感じる。

「はい、大丈夫ですよ。警備と言っても自分を含めて今回駆り出された兵は予備扱いですので。本当ですか?それは助かります」

目の前で華やかな会食が行われてはいるが警備は終わるまでは食事にありつけないのでその言葉に礼を告げる。
よく見れば夜食のセットを持っている少女。
先導して会場の一角の柱の陰。こちらからは見えるが会場からは死角になり見えない警備兼休憩場所に案内をしていく

アヤメ > 「ん、場所かぁ……えーと、平民地区の――」

と説明していく。少女一人には贅沢な店だが、立地はどちらかと言えば歓楽街の近く。
いわゆる女子供が一人でいるとちょっと危ない区域の入口辺りである。
とは言え襲われたりしないのは、少女が冒険者としてもそれなりな実力を備えているから。
料理の材料を取るために磨いた腕が以外な所で生きてくるのを実感した瞬間だったりする。
ともあれ店の場所を教えると、似合うとの言葉には頬を朱に染めながら礼を述べる。
褒められるのには慣れておらず、もじもじとしてしまう少女なのだった。

「ん、サンドイッチを欲張って作りすぎちゃったからね!スープもカップさえあれば分けられるし、ないならないで何とかするよ……っと、おじゃましまーす」

休憩所は柱の陰に隠れる形で存在した。
体をそっと滑り込ませると、喧騒が遠くに聞こえるような形になる。
どこか落ち着いて座れないかとぐるりと視線を巡らせて、いい場所を見つけたならば早速腰掛けてサンドイッチを分け始める。
スープについてはカップがあればそれに半分移し替えるし、あるいはないならば懐から紙を取り出して、箱型に折ってからこっそり魔力を込めていく。
真空魔法による断熱と防水で、紙の箱をそのままカップの代わりにするのである。

レオン > 「あの辺りなのですか。なるほど…」

場所を聞けば歓楽街の近く。
お客は入る立地だろうが少女一人では危険ではないかと考えてしまう。
そこは冒険者としての腕を知らない男はなるべく通った方がいいのかなどとお節介な事を考えてしまう。
店の場所を聞き、頬を染めてもじもじとする姿に男も照れたように目を泳がせてしまう。

「そう言う事でしたか。カップは……何とか出来るのですか?狭い場所ですがどうぞくつろいでください」

少女が柱の陰に身体を滑り込ませると万が一同僚が来ても見えない様にと位置取りをして。
同じ室内でも社交界場から音が小さくなれば一息つくことが出来て力を抜く。
椅子代わりに用意していた箱を進めようと考えたが先にいい場所を見つけた少女にテーブル代わりにとその箱を進め。

「そう言う事も出来るのですね。」

カップの代わりをどうするのかと思えば紙を箱型にして魔力を込める方法に凄いと見つめ、それを受け取る。

アヤメ > 「ん、まぁ、来てくれたらサービスするよ?秘密でね」

他のお客さんがいるから堂々とは出来ないけど、なんて内緒という意味で人差し指を立て、唇に当てる。
実際、変な酔っぱらいなんかに絡まれることもあるため、お客さんとしてきてくれるなら願ったり叶ったりである。
互いに照れてしまうとなんだかむず痒い空気が生まれる。むずむず。

「ん、こうやって上げれば、カップの代わりになるのさ。魔法の中でも簡単なやつだけどね。私も魔法はあんまり得意じゃないから」

少女の魔法は基本的に料理のために特化している。
これも材料を劣化させないための真空魔法の応用だから、どうにか形になっているだけ。
テーブルの代わりになる箱の上に色々を並べると、鉄のカップとサンドイッチを差し出した。

「ん、それじゃ半分。紙のカップは私が使うね。魔法が崩れるとただの紙に戻っちゃうから、カップに穴あいちゃうし。それじゃ。いただきまーす!」

サンドイッチにかぶりつく。ハニーマスタードのソースにジューシーな鶏肉の塩味が追いかけてくる感じの、素敵なサンドイッチだ。
正直こればかりは少女の腕というより材料の良さが美味しさにつながっている。
それでも、美味しければいいのだ、と言った具合でサンドイッチを頬張る少女は、年相応に子供っぽかった

レオン > 「本当ですか?それは常連になってしまいそうですね」

そのしぐさに判っていますと頷いて見せ。
サービスをしてもらえるお礼になるかはわからないがお邪魔している時は用心棒は任せてくださいと返す。
仕事柄女性との接点が多いとも言えずむずむずとした空気に頬を掻く

「自分は魔法がどういう訳か使えないので羨ましく思います」

不思議と魔法が使えないだけに簡単な。少女が使ったような魔法が使えれば便利だと眺める。
そして差し出されたサンドイッチと鉄のカップ。
宜しいのですかとカップと少女を交互に見、答えに納得して。

「では僕もいただきます。これは美味しいですね」

一口齧れば口に広がるハニーマスタードと鶏肉の味に舌包みを打ち
職務を忘れたようにサンドイッチを頬張りふと少女を見れば年相応な子供っぽさを見せて食べる姿を見つめてしまう

アヤメ > 「ん、それじゃ、是非来てね!」

満面の笑みを咲かせると、後はサンドイッチをもぐもぐ。
魔法が使えないという言葉には、そういう人もいるのかぁという程度の認識。
少女からすればおいしく料理を食べてくれるかどうかが重要で、それ以外はおまけでしかない。
故に男性に対しても、良い人だ!とか今度サービス!とかしか考えていなかったりする。

「ん、魔法は使えたら便利かもだけど、なくても生きていけるしねぇ。むしろ魔法に頼らないほうが凄いんじゃないかな?」

魔法は魔力や詠唱などの規則を踏まなければ使えないもののほうが多いのだから、なんて付け加えると、もぐもぐ。
相手のも美味しく思ってもらえたならば、またも嬉しそうにはにかんで。

「ん、お口にあったなら良かったよ!あむ――んむっ♪」

ひょい、ぱくぱく、と見る間に減っていくサンドイッチ。夢中になって食べ終わってしまうと、スープをすすりながら一息つくのだ。
気づけば遠くの喧騒も鎮まりつつある。そろそろ宴も酣という頃なのだろう。

レオン > 「はい、行かせていただきますね」

満面の笑みに顔を少し赤らめ、それを隠す様にサンドイッチに口を付ける。
騎士になるために色々と鍛錬こそはしたが同年代より少し下の年頃とこうやって食事をするなどなかっただけについ嬉し恥ずかしいという顔を隠すようにして

「そういう人もいるのですが僕としてはせめて灯りの魔法ぐらいは使えておきたいと思いまして」

すっかりを美味しい食事と少女の気兼ねなさに気を緩め、少女の言葉に頷いて見せる。

「こんなおいしいのなら毎日でも食べたくなりますよ。ごちそうさまです」

最後の一口を飲み込みスープを口にすれば一息吐き。
ふと気が付けば鎮まりつつある喧騒にもうそろそろ終わるのかと陰から会場に目を向け