2016/04/05 のログ
■フレイ > ここではあくまでも、捕らえた者から益となる情報を引き出すのが目的である事。
その為に、自我の崩壊などは極力避けなくてはならない事。
無論、中毒性があっても困る事、等が告げられる。
『その為に、貴殿の店に頼んだのだからな』
貴族の中でも頂点に立つ王族に使えるという自負からか、不遜な物言い。
無論、いつもの事。
媚薬を届ける貴族のサロンでも、多くの王族に遭遇している。
誰も彼も傲岸不遜。
「承知しております。但し、使い方を間違ってしまった場合の責任は、取りませんわよ」
一言等言い置いて、彼らに頼まれた薬を手の中の籠から出していく。
媚薬を中心に、自白をさせるために必要な薬を置いて行く。
無論、使用の限界量や合わせて使用してはならない薬物の類も記載された用紙を差し出す。
無茶をすれば確実に廃人となるような強力な薬の数々である為に、丁寧に記載された物。
実際に使用する係の人間もやって来ており、本人からの質問にも答えてやる。
熱心に余白に書き留める様子に、何やらきな臭いものを感じる。
■フレイ > 帝国の事もあるが、ティルヒア以降何かが変化しているような気もする。
具体的に何が、と言う訳ではないのだが……
気になっている為に、無茶を承知で王城からの注文を引き受けたというのもある。
魔族だとバレれば危険が及ぶ。
今現在、彼女に侵略や襲撃の意図は無くても、そう言う物は簡単に捏造されてしまうだろう。
そうなれば、今まで彼女の正体を薄々察知していながら黙していた者も敵対する事になる可能性は高い。
だからこそ、手形を入手し、人間と同じ手続きで王城やサロンへとやって来ている。
それすらも簡単に覆される事は想像に難くない。
そんな思考を頭の中に秘匿しつつも、説明は続く。
ここまで手を掛けさせたのだから吹っかけてやろうという心算。
無論、薬の効果に絶対の自信はある。
だが、それも普通の人間が手にした場合で……
「最後に一つだけ忠告を……魔力を無効化させるものを併用、もしくはそう言う能力を持つものの手に渡さない様に……私の作る薬は、たいていが魔力で薬効を底上げしていますの。そう言う物に触れればどうなるか……それは言うまでもないでしょう」
そういう能力を持つものが存在するのは古の昔からの常識。
魔力の無効化を図る魔法やアイテムがあるのも常識。
だからこそ、それに触れないようにと忠告しておく。
忠告はしたが、それを守るかどうかは相手次第。
そして、その薬物を身に受ける者次第。
問いが無くなったのを確認するとそれなりの金額を提示する。
高い、とは言わせない。
薬草も抽出も、危険を冒しているものが多い。
断るなら薬は全て引き上げると言外に示して、どうするかと問いかけてみせる。
■フレイ > 案の定、値切りにかかるものの、こちらも引くつもりはない。
「この薬を作るのに、どれほどの危険が伴うか。従業員の事もありますし……」
彼らは薬を買うしかない筈。これ程の効果のものはそうない筈なのだから。
絶対的な自信がある為に引く事はしない。
結局は不機嫌ながらも取引は成立。
「ありがとうございます。またのご用命を…」
その場で互いに書面を整え、交換する。
それが済めば苦虫を噛み潰したような役人とはさようなら。
『金の亡者が……』
その言葉を背中に受ければ振り返りきっと睨み付ける。
「私は商人、金に執着するのが当然の事。何が大切で必要なのかを迷うような者に、言われる筋合いなどないわ」
魔族相手では決して言わない言葉。
あっけにとられる人間の顔にその言葉を叩きつける。
「お気をつけなさい。油断すればその足元、誰に掬われるかわかったものではなくてよ?」
たった一言、忠告を残す。
そのまま案内役の者に辞去を告げ、地下から去って行く。
言い過ぎないようにと忠告されてこちらも苦笑し、気を付けますわと一応殊勝にしておく。
城門を潜り、役人に一礼をしてから背を向け、振り返ることなく去って行く。
これから先、彼らがどうなるかなど知った事ではない。
街の中に消え、そこからいつものように空間を裂き、身を滑り込ませて……
ぱちん、とはじけるような気配の後、そこには何もなく……
ご案内:「王都マグメール 王城」からフレイさんが去りました。