2016/03/06 のログ
ご案内:「王城 廊下」にアダンさんが現れました。
アダン > 「……では、これにて失礼を。ご安心ください、殿下の身辺を探っていた王女については既に手を打っております」

カルネテル王家の王子の一人の部屋からアダンは現れ、恭しく礼をした後に、豪奢な装飾の施された扉を閉じた。
そのまま踵を返し、王城の廊下を歩き始める。
ここ最近はアダンの周囲はこれといった変化はなく、いつものように策謀などを巡らせ、貴族や王族の娘、あるいは町民の娘までもを歯牙にかけ、陵辱を行っていた。
ある意味今では珍しくもないことだが、反逆の汚名を着せて、公開の辱めをとある王女に先日行ったばかりだった。
これで、カルネテル王家に対抗する王家の一つがまた潰れたこととなる。

「しかし、最近は帝国のことも気がかりになってきたな」

廊下の窓から、遥か北の方角を眺める。
王国の北にはシェンヤンと名乗る帝国が存在する。
王国との長年に渡る戦いを続けている国であり、ティルヒア動乱も落ち着いてきたため、最近では再び王国側も帝国との国境での争いを激化させるようになっていた。
王国の存亡自体は男にとってはどうでもいいことだったが、戦争となれば騎士や人員が動くことになる。
そのような混乱の時こそ、アダンが動きやすいときだ。

アダン > アダンは戦争については門外漢である。戦術家でも戦略家でもない。
アダンは今のところ、街の警備隊の一つを管轄し、その他街の治安などについての政策を講ずる役人だ。
最も、他の役人や貴族の例に漏れず腐敗している。
己が欲望のために相手を貶め、それが女性であったならば自らの欲望をぶつける。
そういう男だった。国家への忠誠心や王への敬意などはない。
それを取り繕ってはいるが、実際にはそれらは仮初のものでしかないと冷笑しているような男である。

貴族や王族にすれ違えば礼をするが、アダンの噂を知るものは顔を背けて足早に去っていく。
それ自体は慣れていることだ。アダンの悪行はすべてが隠し通されているわけではない。
しかし、アダンは名門貴族の出であり、さらには権勢を誇るカルネテル王家の王子の参謀役でもある。
身分制度の厳しいこの国ではなかなか正面切って批判できるものも少ない現状がある。
とはいえ、アダンもいつ足元を掬われてもおかしくはない。ここはそういう国だった。

「今一度足場を固めておきたいところだが……王城にいたらしい魔族どもも最近は静かだ
 今はティルヒアの残党や魔族よりも、帝国に目を向けるべきか」

シェンヤン帝国。アダンは行ったことのない異邦である。
こちらとは違う独特の文化を持つ専制君主国家だ。
魔族はほとんどいないということだが、仙人や妖怪などという得体のしれないものの噂も聞いている。
アダンはこの国に忠誠を誓っているわけではないが、今この国が壊れれば困るのはアダンである。
帝国への対処は考えなければならないことだった。最近は帝国の間諜が何人か捕らえられているという情報も耳に入ってきていた。

しかし、今はそれよりも己の欲望をみたしたいという思いがあった。
見定めるようにすれ違う者たちを眺めていく。

ご案内:「王城 廊下」にベルフェゴールさんが現れました。
ベルフェゴール > (さて、何やら例のごとく転移場所を間違え、途中で戻るのが面倒くさくなった魔王は。よりにもよって王城の一角、とある柱の陰で、ぬいぐるみを抱いたまま丸くなって寝ている。微妙に地面から浮いているが、今の所は隅っこで丸くなって眠っているという風情。ちょうど色んな方向から死角になっている為、誰かに発見はされていないようだ)


『…………zzz。もう食べれない……』


(ベタな寝言をつぶやきながらグースカ)

アダン > 「……ん?」

そうして歩いていると、廊下の柱の影になっているところに、一人の少女がいるのをアダンは見つけた。
ぬいぐるみを抱いた少女だ。この場所にはどうにも似つかわしくない存在である。
王族か貴族の子弟かとも思ったが、見たことのない顔だ。
アダンは怪訝な顔をして、通りすぎようとしていた踵を返し、眠っている少女の元へと向かう。
少女の体はやや宙に浮いているらしい。
そうなれば、魔術師の類かあるいは魔族か想像するには易かった。

「お嬢さん、一体ここで何をしているのかね」

相手のこともよくわからない。いきなり捕縛することは身の危険を呼ぶ可能性もあるため、まずは少女を見直しながら声をかける。
彼女の肩に手をかけて何度か揺すりをかける。

ベルフェゴール > 『…………?…………』

(もぞもぞとウザったそうにするだけで中々起きる様子は無かったが、徐々にうっすらと目を開けて、己の安眠を妨げる男の顔を半目でジィッと見て数秒)


『……寝てる……なんかこの辺……だるい』

(どうも魔族として力を抑えられている感覚があるせいか、やる気を出せばそれなりの力を行使できるはずの魔王は。なんせ怠惰の魔王なので、ちょっとの抑圧でやる気を失った。呟けば、さぁ二度寝だと言わんばかりにまた目を閉じて)

アダン > 「……なんだ、こいつは」

起きたかと思えば、すぐに目を閉じていく。
見た印象から言えば、ひどく怠け者のようだった。ただその姿は幼い。
一応は王城の警備の一部も行っているアダンである。
得体のしれない存在をこのまま放置しておくわけにもいかなかった。
すぐに衛兵を呼ぶべきであったが、少女の放った言葉を耳ざとく聞き入れる。

「ほう、この辺ではだるい、と」

アダンはとあることがきっかけにより、この地の旧き神と偽りの神の対立について知った。
この王都、そして王城には何かしら魔族に影響を与える加護があることも知っている。
となれば、この少女の言葉からして、この少女は魔族だ。
いくらなんでもこれほど無警戒であるのかという疑念は湧くものの、即座にこちらが害される心配はなさそうだった。
無論、そうなればそのときはそのときだ。アダンではどうしようもないというだけにすぎない。

「ならば少し来てもらおうか。訪ねたいことがある。
 寝るならばその後にしたまえ」

そう言うや否や、アダンはその少女を抱きかかえようとする。
そのまま王城の一室に連れ込むつもりだ。ここでは少し人目につく。
相手が魔族ならば利用できる可能性もある。何より、男はこの少女の体に何より興味があった。
抱き上げようとする際に、軽く尻などに触れて見て様子を見る。