2015/11/11 のログ
■ルーキフェル(光) > 「……こんなの……いや……。
どうしてわたくしが……このような男に……」
絶頂後も玉のついた縄は、まだ動き続けていた。
もう……ここから出してほしい……。
「まだ……とまらないの……?」
茫然と、自分の股間を食い込む縄を眺める。
アダンに質問されると、悔しさで涙の量が増す。
もはやイった事に関して、言い訳すら出来る状況ではない。
自分は、アダンという最低な男にイかされてしまったのだ。
「最悪の気分ですわ……」
アダンが指で秘所から縄を離すと、愛液や潮が糸を引く。
それを見ると、認めざるを得ない……。
もう自分は、この男により快楽を覚えている。
それが、たまらなく悔しい……。
こんなの……自分じゃない……。
辛うじて、そう思いこもうとしている。
「ん……あっ……」
アナルパールを動かされると、また甘い声を漏らしてしまう。
「まだ……続きますの……?
わたくし…………もう……むり……。
ん……あっ……」
再び、お尻を叩かれたり乳首を摘ままれたりする。
そしてアダンは、その巨大な肉棒を取り出していた。
「魔術で自分の性器を作り変えていますの……?
そ……そんな汚らしいもの……しまってくださいまし……」
アダンが水晶に触れると、足枷と鎖が動き出す。
それによりルーキフェルの股は、強制的に開かれてしまったのだ。
アナルパールも勝手に出し入れしている。
アダンはルーキフェルの背後に回り込み、足を抱えるように持つと、その肉棒で秘所を擦り始める。
「ひっ……!
ん…………あぅ……。
そんな汚らしいものを……擦り付けないで……。
いっ…………あっ……」
「もう……やめて…………。
いや……なの……もう…………
入れないで……お願い……」
元気なく懇願する。
ただし、アダンへの殺意は取り消す事はない。
「いや……あああああっ……!!」
そして、彼の肉棒がルーキフェルの秘所を容赦なく貫いた。
「抜いてええええええ!」
■アダン・フェリサ > ルーキフェルの散々の懇願もアダンは聞かなかった。
どう見ても言い訳の聞かない絶頂であるのに、わざわざそれを指摘する。
散々に辱めて、自分への怒りや憎しみを敢えて高まらせようと、足を開かせて恥辱的な姿を強いる。
ルーキフェルが汚らわしいという肉棒を何度も何度もこすりつけ、秘所に今から入れるぞということを意識させた上で。
アダンは、ずぶり、と、その巨大な肉棒を一気につきこんだ。
ルーキフェルの穴を巨大な亀頭が無理やり押し広げていく。
膣穴を押し広げ、竿の部分のイボでごりごりと膣壁を擦る。
それによって、普通は一気に責めることのできないような膣の場所まで、同時に攻めて行くことになる。
この肉棒で膣内をいっぱいにしたということを意識させるように、奥の子宮口をゴンと突き上げる。
愛液を掻き出しながら、ずるずると肉棒を限界まで抜いて、また一気に突き入れる。
ルーキフェルの叫びを心地よさそうに聞きながら、アダンは腰を徐々に激しく動かし始める。
「おや、姫様は魔術の素養がおありでしたか。そう、これは魔術で強化している。
相手の淫乱の素質に合わせて、その大きさも、与える快楽も増していく。
その素質がなければ、一切感じたりはしないのだが、ルーキフェル様はどうか?
先程は感じていないといっていたからな。感じさせるまで私も頑張らねば」
意地の悪い笑みを浮かべて、一気に子宮を突き上げる。
今いったことはデタラメだ。この肉棒はどのみち女性の被虐の快楽を引き出すようにできている。
淫乱の素質がどうだと、そんなものは一切関係がない。
ただただ、ルーキフェルを辱めるためだけのセリフ。
パァンパァンと肉と肉がぶつかり合う音が響き、まるで尻にスパンキングをしているようでもあった。
肉棒はルーキフェルの弱い場所を探るように蠢き、様々な角度から膣内を何度も突いていく。
アナルパールも肉棒に動きを合わせて尻穴を突き、その玉の大きさも徐々に大きくなり始めていた。
更に足を開かせ、結合部を見せつけていき、空いている片方の手で乳首をこねくり回し、つまみ上げ、時折クリトリスをも責め立てていく。
秘所を責め立てていた縄と玉が移動して、クリトリスを攻め立てるように動き始める。
「抜くと思うか? 姫にはしっかり男の味を覚えて貰わないとな。
即位して夫を持てば、このいやらしい体で喜ばせなければならないのだから。
この快楽、ただの人間には苦しかろうな。だがこれもお前のためだ。
俺を殺す前に、しっかり調教しておかないとな! 精を注がれるにも慣れておいてもらわねばな!」
腰の動きを更に早める。ぐちゅぐちゅといやらしい音が部屋中に木霊する。
下卑た笑いを隠すことなく、容赦なくルーキフェルを犯し続ける。
すでにこの男に、人間的な良心などはないのだろう。
水晶に触れて、こんどは四つん這いで、尻を突き出すような形に体位を変えさせ、より激しく膣内を陵辱し始める。
玉の大きくなったアナルパールを一気に引きぬいた後、またアナルへと押し込んで。
■ルーキフェル(光) > アダンの肉棒が一気に、ルーキフェルの子宮口にとどく。
イボがごりごり、膣壁を擦る。
「ひゃぁっ……。
そんな…………一気に奥に……」
そしてアダンは、腰をだんだん激しく動かし始めた。
「んあっ……………あっ……お、奥にぃ……。
抜いて……ほしいの……。
こんなもので……わたくしの中を掻き乱されるなんて……いや……。
もうやめてって……言ってますの……」
口ではそう言っているが、だんだん快楽に抗えなくなっている。
それでも、顔を赤くして涙を流しつつも、アダンに頼み続ける。
そうしながら、次に抵抗する機会をうかがっている。
アダンの肉棒がルーキフェルの膣内を何度も突いていく。
アナルパールもまた、玉を大きくしてお尻を突きあげる。
「あっ……くっ……あんっ…………ひゃあぁっ……!」
ルーキフェルの足が強制的に、更に開かされていく。
また、乳首をこねくり回される、クリトリスを責められると甘い声が漏れてしまう。
縄の玉が、今度はクリトリスを責めようとしている。
「へあぁっ……はふぅっ……いあっ…………。
いいかげんに……してほしいの…………」
「わたくしの……ため…………?
こんな……事が……?
ふざけて……ますの?」
嫌らしい音が、自分の愛液の音なのを思うと耳を塞ぎたくもなる。
今度は、強制的に四つん這いにされる。
「こ、こんな恥ずかしいポーズさせて…………」
そしてアダンは、アナルパールを一気に引き抜いた。
「ひゃあああぁっ!!
このっ!!!」
そして、再びアナルパールはお尻に押し込まれていく。
ルーキフェルにとっては無意識であるが、その腰は僅かに動いていた。
このままでは、快楽でどんどん身体が動き辛くなる。
なんとか……なんとか抵抗する糸口を見つけなければ……。
レイピアは……?
いつのまにかに、手元にない。
快楽に溺れている最中に、手放してしまった様ようだ。
足は、枷があるので動かせない。
今は四つん這いになっているため、身体を支えるために両手も使えない。
この部屋の呪縛により、魔術は不安定だろうか。
「そ…………そんな……」
ルーキフェルはだんだん、快楽と同時に絶望を感じる事になる。
この男に、このままされるがままなの?
「いやっ…………いや……」
だがなんとか抵抗しようと、枷がついた足を激しく動かしたりしてみせる。
また……イっちゃうの……?
もういやぁ……。
誰か……助けて…………。
■アダン・フェリサ > 「そう、姫のためだ。こうしてならしておけばいつ陵辱されても問題ないだろう?
王族も貴族も、気を抜けばすぐに奈落に落ちる時代だ。
姫が奴隷にならないとも限らない……ハハ、そうではないか?」
屈辱的な言葉を吐きながら、アダンはグリグリとアナルパールを動かしていく。
愛液の音をわざと大きく立てるようにして腰を回すように動かしていく。
四つん這いという犬のような格好にさせて、ルーキフェルの腰を掴んで激しく陵辱をつづけていくのである。
「……ほう、自分から腰を動かすとは。いやはや、本当に淫乱というものだな」
無意識に動いていると思われる腰の反応を敏感に察知してそれを指摘する。
自ら快楽を貪ろうとしている。お前はそういう女だと。
脱出する手段を探しているらしいルーキフェルをあざ笑う。
「何、心配せずとも解放してさしあげよう。今後奴隷として扱おうなどと思っているわけでもない。
逃がしてやるさ……全てが終わった後、だがね」
それはこの行為のことだ。すると、徐々にアダンの肉棒が更に膨らみ始める。
膣内でびくびくと震え、子宮口を執拗につき始める。
「雌の姫よ、お前がどういう存在であれ、これで自覚しただろう。
お前は王族であっても雌だ。私に犯されてあえぐような!」
今まででも一番強い力で腰を振り、アダンの肉棒がぐちゅぐちゅと膣内をかき回し続ける。
強引に、ルーキフェルの快楽を引き出すように。
胸に手を伸ばして胸を揉んでは乳首を強くつまみ、クリトリスに手を伸ばしては、そこを転がした後に指で弾く。
「名器だよ、我が姫の膣は。今後も世話になりたいものだ。
――よし、出すぞ。しっかり受け止めるといい。
下賤なこの私の精液を、たっぷりとな!」
一番奥に亀頭をぶつけた後に――一気に射精する。
魔術で改造された肉棒がドクンと脈打ち、人間では考えられないような大量の精液を吐き出し始める。
それはひどく熱く、粘着質のものだ。ルーキフェルの膣をいっぱいにし、子宮にまでそれは入り込んでくる。
腹を膨らませんほどにそれは多く、結合部からも入りきらなかったものが溢れだしていく。
「……ふんっ!」
大量の射精を続けたまま、アダンは肉棒を引き抜き、同時に尻の穴のアナルパールも乱暴に抜いて、尻穴に肉棒をつき入れ、精液を注ぎ込んでいく。
そして尻穴にも多く注いだ後は、肉棒を引き抜いてルーキフェルの体全体に精液の雨を振らせていった。
「……クク、どうでしたかなルーキフェル様。陵辱の味は」
わざわざずらしていた下着をまた博士ながらアダンは言う。
再び最初に拘束されたような形に、枷が動いていく。
縄と玉が再び秘所に食い込み、動き始める。
「お約束通り開放して差し上げよう。
まあ、あと数時間といったところか……ここの魔術機械の魔力が切れるときは。
それまでは、こうして陵辱されているといい」
そのさまを見ながら、アダンは笑う。
後数時間すれば、ここの魔力は切れ、拘束も解けるというのだ。
そして、呪縛もまた途切れることになる。
「私は先に失礼させていただこうとは思いますが、十分お楽しみいただこうと思っている」
ルーキフェルの前の鏡が変わり、この部屋に入った時の、陵辱され始めているルーキフェルの姿が鏡に写る。
これまでの陵辱の映像を流しながら、時を待てというのだった。
■ルーキフェル(光) > 「わたくしのためなどではなく……単に自分の欲望のためでしょう?」
ぬけぬけと、よく言う。
そうしている間にも、アナルパールはぐりぐり動かされ、アダンの肉棒で子宮口が突かれる。
「腰なんか…………動かしていませんわ……」
腰を動かしているのは無意識だ。
だがその反論はどこか自信なさげだった。
認めてはならない。
そして、アダンという男に屈してはならない。
「そ、そんな…………」
全てが終わった後に解放される。
解放されるのは全てが終わった後だ。
その事に、絶望の色をさらに強めていく。
「ちがい……ますの…………。
わたくしは……わたくしは……。
高貴なる王族、ルーキフェル様ですの……」
アダンの言葉に対し、首を振って必死に否定する。
アダンの腰を振る力が増し、膣内をぐちゃぐちゃに掻き回される。
どんどん、快楽に溺れていく。
「あぅ……ひゃああっ…………あんっ……くっ……んっ……」
乳首を強く摘ままれ、クリトリスを転がされた後に指ではじかれる。
そのたびに、ルーキフェルの身体は敏感に反応してしまった。
「いやっ…………らめっ……!
やめてっ……中に出さないで…………。
お願い……絶対いや……」
首を激しく振っての無意味な抵抗。
それも虚しく、アダンは奥で射精する。
中から伝わる肉棒が脈打つ感覚と共に、熱くネバネバしたものが吐きだされている。
それと同時に、ルーキフェルも二度目の絶頂をむかえる。
「いやああああああぁっ…………!!
あぅ……あああっ……ああっ……あああぁっ……!!!」
膣内いっぱいに注がれたアダンの精液が、溢れだして地面に垂れる。
ルーキフェルはくたりと、力が抜けていった。
アダンの肉棒やアナルパールが強引に抜かれる。
その時にアダンの肉棒から精液がまき散らされ、四つん這いになっているルーキフェルの背中や腰、お尻にぶっかかった。
そして再び、元の拘束された形に足枷が動いていく。
縄がまた、秘所に食い込んだ。
「……あっ…………」
これのどこが解放というのだろう?
「……ハハ…………。
これが後数時間…………動き続けますのね……」
もはや虚ろな瞳になっていた。
絶望をも通り越しそうになっている。
しかしそんな時……ドクン、と鼓動するものがあった。
なんだろう……これは?
身体から、力が戻ってくるかのような感覚。
呪縛により力を押し込まれていたけれど、
その状態に慣れていき、だんだん光の力たる斥力が呪縛の効力を弾き飛ばそうとしている。
ルーキフェル自身がその展開を予想していたわけではない。
ルーキフェルは、虚ろな眼のまま笑みを浮かべる。
「──なんだ……抵抗できるじゃありませんの…………」
突然、ルーキフェルの身体が眩く光り始める。
それと同時に、ルーキフェルを中心に複数の光の柱が出現する。
光の柱はこの部屋にあるものを全て破壊するように動き始める。
光の柱に飲み込まれたものは、粉々に粉砕していった。
それにより、ルーキフェルに嵌められていた足枷や縄も破壊されて自由の身となった。
この部屋は、瓦礫の山となってしまうがアダンとその周囲だけ無事だ。
意図的に、アダンを外すように光の柱を放ったのだから。
ルーキフェルは鋭い視線でアダンを睨む。
瞳には輝きが戻っており、怒りの炎が今にも見えそうになっている。
「わたくしは決して許しませんわよ……アダン・フェリサ!!
覚悟できていますわね?」
この部屋の全てを破壊し尽くした光の柱、ルーキフェルの周囲集まる。
そしてルーキフェルから光の翼が現れ、僅かに宙に浮いた。
その姿はまるで神聖な天使の如し。
アダンが逃げ出そうとする前に、この部屋の壁や天井、床全体に斥力フィールドを展開した。
つまり、部屋を出ようとすれば斥力により弾き返されてしまうのだ。
「勝てば官軍とあなたは仰りましたわね。
ならここであなたを殺せば、わたくしが官軍という事になりますわね。
アダン・フェリサ。
何か言う事はありませんの?」
人差し指をアダンに向ける。
その指には、光が収束していた。
次の瞬間、光線が放たれるであろう事は容易に想像できる。
■アダン・フェリサ > 「……ほう」
事を終えて、後はルーキフェルを放置して部屋を去ろうとしたときである。
ルーキフェルの体が突如輝きはじめ、光の柱が出現した。
光の柱はこの部屋にあるモノを砕いていく。
ルーキフェルを拘束していた様々なものも吹き飛んでいくのだった。
地下の一室は瓦礫の山となり、土煙が上がる。
「ハハ、ハハハ――やはり姿を現してくれたか。
やはり魔族ではないか……いや、天使か? どちらにせよ、人間ではない。
このままただの人間だとなれば、面白みもなんともなかった。
散々、お前を辱め、私に怒りと憎しみを向けさせた甲斐があったというもの。
しかし、そのような者がよくもまあ、叛逆をよしとしなかったり、無血での即位がどうだと嘯いたものだ」
アダンは高らかに笑いを上げながら自分の顔の半分を半分を手で覆う。
面白くて仕方がないというふうに。
「そんな力を持っていながら、私にあそこまで陵辱されたわけだ。
私のような人間の罠にまで嵌って。どうかね、その気分は。
そのような荘厳な姿を見せられても、私はお前の乱れた姿を知っているわけだ」
明らかに命の危機。どう頑張っても目の前のルーキフェルには敵いそうにもない。
天使のような姿を見ながら、アダンは言う。
アダンは最初に、魔族に対する手段も講じていると言っていた。
アダンは人間だ。魔術師のような魔力も何も、持ってはいない。
「お前は傲慢だな。私も傲慢だが、それ以上に。
散々犯されていながらよくそのような口が効けたものだ。
まだ、何も決まってはいないというのに。
殺すならばさっさとするがいい。そのような大げさなことをするまでもない。
私のような小さな人間を殺すことに言葉が必要か?」
人差し指を見てアダンは笑う。光が収束する。
アダンの命は風前の灯火である。
すると、アダンは服の内側から何かを取り出す。
それは首にかけられていた印章。何かのシンボルであった。
それは旧き神、アイオーンのしるし。
それを首から下げて、アダンは言う。
「昔、捕らえたミレー族の娘から奪ったものだ。
魔族を退ける力があるとのことだ……まあ、さして信じてはいなかったがね。
最後のお守りに、これにすがるとしよう」
アダンは静かに言った。
「さあ」
■ルーキフェル(光) > 「その強きな態度に高笑い……。
自分が置かれている状況を理解できていないようですわね」
鋭く、だが冷たく、傲岸不な奈視線でアダンを睨んでいる。
ツインテールが揺れていた。
「貴族の分際で、このわたくしを挑発しますの?
良い度胸していますわね。
精々、あの世で後悔していればいいですわ」
呪縛を押しのけた事で魔力が溢れている様で、気分がいい。
闇の自分と違い、光の自分はアイオーンの加護の影響も小さい。
堕天使でありながら、まだ天使の身体を保っている自分なのだから。
「わたくしはあなたに、生かすチャンスをあげていますのよ。
あなたの態度次第では、まだまだ利用価値がありそうですものね。
これだけの事をしておいて、ただ殺すだけというのも味気ない。
ですが、あなたの態度を見るに、もう殺されてもよろしい……という事ですわね?」
怒りながらも、力を取り戻していくルーキフェルは冷静だった。
苦しめてじわじわと殺すというのも、実際悪くないと思えてくるし、アダンを利用して政敵を減らしていけば、自分への理も大きい。
そんな時、アダンが見せたのはアイオーンの印。
それを冷めた目で睨む。
「そんな物が、なんだと言うのですの?」
ルーキフェルの周囲に集まる複数の光の柱の内の一本から光線が放たれ、それはミレー族より旧神のお守りを粉々に砕くだろう。
光のルーキフェルは元々神の僕であり、旧神の加護の効力は他の魔族と比べても薄めである。
だからこそ、魔王軍は光のルーキフェルを王都の潜入に選んだのだろう。
それに今のルーキフェルは罠に嵌った直後であり、傲慢ながらもさっきよりは油断もしていない。
「あなたは、口が巧く、処世術に長けていましたが、どうやら命運が尽きたようですわね。
まさか、その程度の希望に託していましたの?
それとも他に、何かありますの?」
一応、まだアダンの話を聞こうとする気はあるようだ。
だがまあ、彼の四肢全部を無事にしておく必要もないだろう。
どうせいざとなった時は、光の回復でまた再生させればいい。
そう思い、ルーキフェルは指に収束していた光をアダンの右腕に放つ。
文字通りの光速が、アダンの右腕を跡形もなく吹き飛ばそうとしていた。
もちろん、激痛が走る事になるだろうか。
ちなみにルーキフェルには、右腕を吹き飛ばしても回復する手段がある。
■アダン・フェリサ > 「わかっているとも、私の命は風前の灯火だ。
それで、私に命乞いでもしろというのか?
慈愛に満ちた天使様はそれで私をお許しになると?
しかしあいにく、犯した女の下に着くのは、嫌いでね。
貴族も王族も魔族も関係ない。そんなものは仮初にすぎない。
私はただ、私の思うままに生きるというだけ。
お前のもとで、私の思うとおりに生きていけるとは思えはしない」
煽るように。そんな言葉を続けていく。
アダンが今の地位に居座る間にも、色々な危険は存在した。
果たして魔族と正面から向かい合うというの初めてであったが。
「……いいや、むしろお前が頼む方ではないかね。
私に、協力してくれ、と――」
口元を歪めて笑った時、光の柱により、胸元のアイオーンの印は砕かれた。
「ハハ、ハハハハ! そう、これは魔族を退けるための印。
だがお前にはあまり通じはしないようだ、しかし――
神は、私に応えてくれるようだ」
アイオーンの印が砕かれた後、その欠片が突如強い光芒を放ち始めた。
神の御印。それは、一度だけ天なる奇跡を呼ぶとミレー族に伝わるもの。
「よもや真実であったとはな。ミレー族の戯言と思ってもいたものの。
真なる神は他にいる……クク、王家の血を引く私。
かつての“諸王”の血を引く私に、神は恵みを垂れたようだ。
まさしく、信じるものは救われる、だ。
あまりに強大な力の前に押しつぶされようとする小さき人を守る……まさに奇跡か」
とてもアダンは救われるような善行などしてはいない。それどころか、自身を救った神さえあざ笑う。
だがそれでも、マグメールの民である。旧き民の血を引くものである。
光がアダンを包み込み、アダンに向けられた光を打ち消していく。
「悲しいことだ。すでにこの地にあらぬというのに、私のような者を救うハメになるとは。
神というものも、愚かしいものだ。そうは思わないか。
しかし、間一髪だった。賭けというものもしてみるものだ。
――本来なら、私はここで死んでいたのだろう」
光に包まれながら、アダンは言う。
「偉大な力を持つ魔族……いや、天使か。
この場は私が逃げるということになろう。
何、お前が魔族であるだのなんだのということを言いふらすつもりはない。
そのような無粋な真似は、せんさ。お前の力は強大すぎる。せめて、準備をするぐらいだ。
ああ、神よ、感謝します……そう、嘯いてよいか。
ハハ、ハハハハ――」
神に偽りの祈りを捧げていく。
そうすると、アダンの体が光の粒子となって消えていく。
聖印が壊された時の一度の奇跡。
それは斥力フィールドをも超えて、アダンを光の粒に変えて、この場から消し去っていった。
後に残るのは瓦礫のみ。
■ルーキフェル(光) > 「そこまで強がるという事は、まだ他にこの場を逃れる手段がおありという事ですわね。
その手段が何であるかは存じませんが、大方察しがつきますわ。
それではあなたがこの場から逃れる前に宣戦布告いたしましょう。
わたくしルーキフェルは私兵を率いて、貴族フェリサ家の当主アダン・フェリサを処刑させていただきますわ。
後日、フェリサ家にはあなたの処刑状を送り届けますわね。
“内乱”ではなく、単なる“処刑”ですの。
それに逆らわれるならば、今度は反逆罪としてフェリサ家を取り潰ししなければいけませんわね」
そうして、アダン・フェリサに宣戦布告を済ませる。
アダンには敵が多いので、賛同する王族もいる事だろう。
王族の処刑に対して抵抗するならば、今度はアダンを叛逆者として扱うという事でもあり、内乱が勃発するという宣言でもある。
「自分よりも権力が高い者に逆らうとどうなるか、その身に焼き付けるといいですわ。
わたくしは、この怒りを決して忘れませんの」
まあ、アダンへの復讐は気長に魔族がこの国を侵略する瞬間を待つのも手かもしれない。
この国が魔族の手に完全に落ちた時、魔王軍所属のルーキフェルは高い地位を得る事を約束されるだろう。
そこからじっくり、人間のアダンを追い詰めていけばいいというわけである。
アイオーンの印が砕かれた時、その欠片から光芒が放ち始める。
やはり、一度だけ神の奇跡を起こそうとしているらしい。
用意周到だ事。
だがそんな時、アダンは意味深な事を言い始める。
「き、貴族に過ぎないあなたが王家の血を引いているという事ですの……?
諸王の血を引いているという事は、もはや貴族ではなく王位継承権を持つ王族ではありませんの」
処刑状は貴族に対してなら出せたかもしれない。
だがアダンが王族となれば話は変わってくる。
そうなれば、先程の宣戦布告も無駄という事になる。
もちろん、王族なんぞに私兵を差し向けるわけにはいかない。
それこそこちらが“叛逆”を疑われても仕方がない行為だ。
いや……何らかのはったりかもしれないので、そこは入念に調べる必要があるだろうか。
調べた結果、彼が貴族ではなく実は王族であると分かったならば、アダンへの復讐は魔族がこの国を侵略した時まで待つべきか……?
どちらにしても、この国を魔族が侵略した暁には、この男に生き地獄を味あわせる事ができる。
「神が愚かしい。
それには同意しますわ。
珍しく、あなたと意見が合いましたわね。
あんな存在は、魔王に召されて当然でしたの。
もちろん、こんな所であなたを助けたという意味でもね」
魔王に召された神はアイオーンとは異なるが、それでもアイオーンが愚かと思うのは変わりない。
本来なら様づけするべき魔王だが、この場では自身が魔王軍に所属する事を伏せるためにあえて様付けを控える。
「精々、自分の身を守る準備をしておけばいいですわ。
わたくしに同じ策は二度と通用しない事をまず心得ておくべきですわね」
アダンが光の粒となって消えていく姿を見守る。
彼が去って行くと、ルーキフェルの光の翼は消えて、地面に足をつける。
そして光の柱は消えていき、斥力フィールドも解除された。
そしてしばらくすると、ルーキフェルのメイドの一人が訪れる。
瓦礫の山となった酷い惨状を見て、メイドは驚いていた。
■アダン・フェリサ > 「……なんとも、危なかったな。
神など信じてはいないが、今回ばかりはなんとかなかったな。
しかし……少々対処を誤ったか。まあ、いい。どうとでもなることだ」
アダンは自室へと戻ってきていた。
あのままいれば間違いなく死ぬか、嬲りものにされていただろう。
魔族ではないかとの疑いはあったが、あれほど強力な存在であったというのは予想外であった。
今回はたまたまうまく術が嵌ったということ、運が良かったのだ。
そのために散々な辱めなどを受けたため、相手の怒りは並々ならぬものだろうが。
神の奇跡のアーティファクトをこんな形で消費したのはもったいないことでもあったが、あの状況ではアダンはああする以外に助かる道はなかった。
陵辱の直後だ。丸め込むにしても多少のほとぼりを冷ます時間が必要であった。
「逆に考えば、あの力は絶大。うまく利用すれば、あれはかなり使えるはずだ。
意図してはいなかったが、我が家がかつて王家であったことも抑止になるだろう。
今更王位継承権などを主張するつもりもないが……ふむ、少しは使えそうな手だ。
一まずは、警備を固めておくとしよう……こちらから動く前に殺されてはかなわんからな」
配下の魔術師たちに命を飛ばしつつ、アダンは思案する。
あのルーキフェルの性格上、アダンに辱められたと直接公言するとは思えない。無礼を働いた、という点はあり得る話ではある。
何かしらの罪をこちらが行ったということになるだろう。
だが、アダンは同じカルネテル王家の王子の一人についている。
今すぐにどうにかなるというわけでもないはずだ。
奇妙にも、こちらの話を聞くという余地はありそうであった。強者ゆえの余裕というものであろうか。
何にせよ、最後の口調からしてすぐにこちらに手を出してくる可能性は低そうであった。
時間が稼げるならば、アダンも策謀を巡らせられる。
「フ……しかし、人外も中々いい体をしているものだ。
うまくまた辱めてやれればいいが」
途方も無い危険に遭遇したというのに、アダンという男はこれであった。
胸元の水晶を見れば、ルーキフェルの陵辱の映像が浮かび上がる。
とはいえ、もともと表になど出すつもりのないものだ。どのみち、あの力を見ればそんな気も失せる。
こういうものは表に出さないことで力を発揮するものだ。
「……王子をお呼びしてくれ。早急に申し上げたいことがあると。
そして、ルーキフェル王女の動向にも目を光らせておけ」
伝令役の一人に声をかけ、アダンはマントを翻して歩き始める。
自身がついている王子との会談を行うのである。
……そう、すでに見切りはついた。後は、自身がついている王子の処理について考えるのみだ。
王子はアダンを信頼している。そしてそれは、大きな隙である。
いずれこの王子は失脚することとなるだろう。
次に狙うべきポストが、アダンにはできたのだから。
ご案内:「王都マグメール 王城「地下調教室」」からルーキフェル(光)さんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 王城「地下調教室」」からアダン・フェリサさんが去りました。