2015/10/25 のログ
ご案内:「王都マグメール 王城 大廊下」にオーギュストさんが現れました。
オーギュスト > オーギュストはイラついていた。
こんな場所におらず、昼夜かけてロザリアの心を折る事に専心したいのだが、例のアンデッド化した街の後始末、対策会議、それに予算の申請などやる事が山ほどあった。

「官僚どもが!」

吐き捨てるようにオーギュストは言う。
彼の申請した「竜騎士団」設立への予算は、今度も限定的だった。着実に進んではいるが、この分だといつになる事やら。
代わりに、タナール砦を要害として恒久要塞化する案はなんとか握りつぶす事に成功した。
高位魔族相手に要塞がなんの役に立つか。恒久要塞化した所で、奪還の手間が増えるだけだ。

「……やはり、居るな」

オーギュスト > 宮廷内部に、魔族と通じた者が居る。
おそらくは、かなりの高位。
まだ限定的だが、このままでは内部崩壊は時間の問題だ。

「第九師団への支援、忘れるなよ」

傍らの副官に命じる。
情報収集、内部調査に特化した第九師団を、オーギュストは信頼していた。
時に魔族の国にまで潜入する彼らの情報は、第七師団にとって欠かせないものとなっている。
オーギュストは彼らに有形無形の支援を惜しまない。

「……あの魔力封印の首輪、量産化まであと一歩か」

ロザリアの首につけた、ドラゴン用の封印の首輪。
あれが量産できれば、亜竜の繁殖により、竜騎士団の設立が可能となる。
空中からの機動力にすぐれた竜騎士団は、戦況に大きな影響を与える事が出来るはずだ。

オーギュスト > 魔族の恐ろしさはいくつもあるが、特に脅威なのは空間転移だ。
大規模な空間転移を繰り返し、戦略距離を一瞬で踏破されれば、戦争の前提が瓦解する。
幸い、魔族がこの手を使ってきた回数は少ない。その効果がよく分からないのだろう。

軍団の移動速度は、戦略の要だ。
魔族達の速度には追いつかなくとも、戦略速度に優れた機動部隊の設立は急務だった。
だというのに。

「何が『藪を突いて蛇を出した』だ、『まずは国防を第一に考えるべき』だ、クソがッ!」

手近にあったアンティークの机を蹴り壊す。
おそらく家が一軒買える程度の値段はするだろうが、知った事か。

オーギュスト > そもそもこの戦いは、人族と魔族の種族間における生存闘争だ。
負ければ全てが終わる。この地の人族は全て奴隷となり、再起には百年を要するだろう。
そんな状況にも関わらず、内部で対立を繰り返すボンクラ王族ども全てを、オーギュストは心の底から憎んでいた。

「――戻るぞ」

王城の大廊下を進む。
時間が足りない。
タナール砦の奪還、各方面軍との連携、練兵、それに……

「まずはあいつを、可愛がってやるとするか」

舌なめずりをしつつ、オーギュストは兵舎へ戻る。
背後の副官が、呆れたように彼を見ていた。

ご案内:「王都マグメール 王城 大廊下」からオーギュストさんが去りました。