2023/06/04 のログ
■リスリィ > 「えぇ本当に。近隣でも…お城でも、お会いした事が有りませんでした。……普段、どちらに?」
問い掛ける声に、警戒じみた色は、全くない。それはもう本当に、世間話のように、この出会いを愉しむように。
相手が、何処で日常を過ごしているか。何処で仕事をしているか。…つまる所、何処でなら、こうやって会う機会が有るか、を。知る為の問い。
「もしかすると、えぇっと。スルーシャ様も。そういったクチ…だったりするのでしょうか?
確かに此処、そういった方の多い、穴場に見受けられます。
…大人の方も、大変なのだという事は。良く良く、存じておりますから」
それ等の重みからの、束の間の解放。彼女の目的も、そうなのかと、少し悪戯げに問うてみる、辺り。
じわじわと進行する、相手の呪いは、着実に。効果を発揮しつつある、という事。だろうか?
実際。初見の相手に対する、警戒心といった類の物を。見受ける事は、出来ないだろう。
同じ食べ物。同じ気持ち。そういった言葉にも、確かに、と肯いてしまう…此処については。事実その通りだと思うので。
呪詛だけではない、話術や距離の詰め方、そういった手法に。籠絡されていると、いうべきで。
「その、抜き所が判らない。といった所です。
…前を見て。前ばかり見て。気付くと、周りが判らなくなっている。足元も疎かになっている。だからますます…前以外を、見る事が出来なくなる。
ほら、魚って、泳ぎ続けなければいけない。止まってしまうと、死んでしまう、と言うでしょう?
大袈裟かもしれないけど、そんな心持ちになりつつ…あり、ま…す……?」
せいぜい気を紛らわすとすると。こんな、帰宅途中の買い食いのような。ちょっとした悪戯事。なのだろうか?
むしろ、この程度の事をすら、秘密の行為…人目を憚る行為だと、認じてしまう程度に。気を張っている、とも言えそうで。
小さく息を吐く、唇に。白い何かが伸びてきた、と思ったのなら。それは……相手の指先だった。
拭われるクリームに、それを紅い舌が、舐る光景に。丸く目を開き、一瞬、息を飲んで。
「わ、ぁ!?ちょっ、わ、うわ…!?」
驚くな。照れるな。そういった方が、無理な話だろう。
かっと頬に色を帯び、思わず背筋を伸ばしてしまい、しどろもどろになる声を、飲み込んで。
…そんな動揺は。意識の揺れは。ますます、呪われる事を。心の中への侵食を。許してしまう…
「お、驚かさないで、下さっ…
あ、あー…スルーシャ様?それは、あの。あの、つまり……?
……貴女は私に。…私が、折れるような事を。なさるというか…出来る、おつもりなのですか?」
■スルーシャ > 「普段は、お忍びで平民地区に行ったりもするわ。
平民達の動向を見定めて、才がある者を引き上げる……。
この国はまだ才能あるものが埋もれたまま、それは勿体ないことだと思わない?」
富裕地区にも、平民地区にも現れる。まるで煙に撒くような言い方。
その中で貴女に、才ある者に、中堅の家柄では”勿体ない”という者に接触したように。
「……そうねえ、確かに”この国にいる以上は”肩に力が入ってしまうわ。
だからこそ、貴女のような娘とこうして会話をするのはとても嬉しいことよ。」
悪戯げに問うてくることにあえて乗り、共感を得る。
ただ呪詛を送るだけではない、話術で、振舞いで、警戒心を削ぐように、
より
呪いが浸透して”扱いやすく”するように、黒く重い呪いを、欲を掻き出すそれを流し込む。
「そうして、前を見ているけれど、その己の在り方が本当に正しいのか自問自答する。
それは、貴女ぐらいの歳ではなかなかできないことよ。
そういう時は【先輩を頼りなさい】リスリィ。
私と貴女は【気兼ねするような間柄ではないでしょう】?」
嗤う。嗤う。薄く笑みを浮かべて、徐々に呪いに蝕まれる有能な人間を絡め取っていく悦びに。
今しがたクリームを掬い取り、己の舌で舐め取った指を、貴女の口元に添えて。
「貴女は魚ではない。立派な人間。立派な騎士。
有能な人間。私が見定めた人間。自信を持ちなさい。
リスリィ、貴女は【私のもの】 でしょう? もっと胸を張りなさいな。」
くるり、くるりと唇をなぞる。その中で、周囲にも呪詛を広げる。
二人が座るテーブルだけ、周囲の認識から疎外されていく。
二人だけの空間、二人だけの世界、二人だけの視線が絡み合う。
「貴女は有能。
あなたは優秀。
アナタは才能がある。
だから少しぐらい息抜きをしても、また前に進めるでしょう?
たとえ【私と生ハメセックスをしてもまた普段通りに振舞える】
……指を舐めなさい。私の唾液を舐め取りなさい、リスリィ。
私のものになりなさい。
貴女の意志で受け入れなさい。」
共感。
共感。
共感共感共感共感共感共感共感共感共感共感共感
同調同調同調同調同調同調同調同調同調同調同調
合意合意合意合意合意合意合意合意合意合意合意
心に染み込む。浸蝕する。
共感してきた相手に、自分から歩み寄る。そう誤認させて、受け入れさせていく。
【リスリィ、この喫茶店の奥には秘密の部屋があるの。秘密の”息抜き”が出来る場所。
私と付き合ってくれるわよね?】
微笑んで、嗤って、なだめて、あやして。妖して。
【私のふたなりチンポをガチハメされて私のものになる悦びを噛みしめてくれるわよね?】
■リスリィ > 「……なるほど。分かります、大事な事だ。私にとっても身近な話というか…
最近、王立学院にも。身分を問わないクラスが、設立されました。
きっと、貴女と同じ考えを持つ方が、この国にも。増えているのではないでしょうか?」
身分混合クラスの設立に関しては、貴族内でも、賛否両論有りそうだが。
個人的には、彼女と同様に。良い事である、でなければ勿体ない、そう考えていた。
言った通り、なまじ、共通した認識を抱く事の出来る話だった事も。また。共感を。認識の同調を。進めて行くのだろうか?
「けれどそれは。生まれは選べないと言いますし…誰の、せいにも。出来ませんから。
この国で、生まれて、育つ以上は。果たすべき立場というか、責任というか…有ると、思います。
貴女のような大人が、務めを果たしておられるのと、同じように。
…と、いった風に、真面目ぶっている、というのは。自覚していますけどね」
嬉しいと言われると、悪い気はしない。なので、相手に対して、少しばかり。真面目ぶる…というよりは。格好付けてみせる、台詞。
勿論、ただの軽口だけではなく、実際に。貴族だとか、騎士だとかには。相応の役割が有る、と考えているのも、本当の事。
それ等はえてして、重圧になりがちで。だからきっと、彼女や…他の客達、大人は。それこそ、息抜きをしているのだろうと。
息抜き。そう、息抜き。
良く言えば成熟して…悪く言えば、成熟を通り越した、腐敗の体すら見せる、この国で。
どんな物が、息抜きと称されるのか、そういった側面には。
それこそ、今は、前を見る事しか出来ないと。語ってみせた通り、目を向けていなかった、筈なのに…
「おっと。本当の自分が居る筈だとか、もっと秘められた何かが有る筈、だとか。
そういった想像や…妄想?、は。僕ら世代の特権だと、思いますよ?」
片目を瞑ってみせる。ちょっぴり気取った感のある、普段学院で使っている、一人称。
本来の、年頃の娘らしいとは、いえないそれも。自問自答や、切羽詰まって突き進む所からの、派生物。
と言っても。目の前の…年上の女性、頼れる相手、気兼ねする事なく接する事の出来る人物…に対しては。
身構える事なく、当たり前に少女らしく、接して良いのかもしれないと。直ぐに、口調は元に戻されて。
「………魚よりは、鳥の方が。ちょっぴり素敵、ですね。
飛び続けなければ、墜ちてしまうけれど。はばたき続けなくても、時には、止まり木に身を預けても許される、鳥。
もし。人生の先輩に、そうやって。留まらせていただけるというのなら、ありがたいのですけれど…っ、っ!」
唇を、押さえられた。ゆっくりと。上唇、下唇、なぞられていく。
自然と、その指先に、触れられている唇に、意識を集中させられてしまうから。それ以外に対しては、ますます、疎かに…無防備に。
目から。耳から。入って来る情報を…呪いを。危険だと認識出来る筈も、ないままに。どんどんと、どこまでも…
「ぅ、ぁ、ぅ。ぁっ、ぇ………ぇ、ぁぁ…」
指の下で、ぱくぱくと唇を開いて、閉ざし。また開いて閉ざし。言葉に…声に、ならない呻き。
其処に指が触れていて。手が、腕が、肩が続いて。その向こうで煌めく深紅に。吸い込まれる。
指先だけの接触に、異様な程、胸の高鳴りを。息すらままならない、くらつきを。
もう、ただそれだけをしか、感じる事が出来なくなってしまうから。気が付けば…それしか聞こえない、相手の声に、促されて。
僅かに差し出される、舌の先端が。唾液に濡れる、その指先へ。おずおずと触れていく。
「……スルーシャ様。スルーシャ、様……そんな事。…そんなの、したら…折れるよりも、手折られて、しまいそう…
それって。息抜き、という範疇で…済んで。くれるの、でしょうか………?
だ、だってですね。私、その…」
触れた。触れてしまった。
心への浸蝕に加えて、舌や唇で感じる、五感からの情報も。相手の事を、意識させられていく、事柄の一つ。
接触。
融和。
精神から、肉体から、どちらもが。同調して、同調して、同調して。
動揺から同調へ、同調は同意へ、同意は…何処に、すり替わっていくのだろう?
ちろりちろり。もう、他の客の事など、それこそ。目にも入ってこないまま。指先を舐り、次は。
指に繋がる、相手の手を取り、押し抱いて…口付けてから。
見上げ、見返してみせる、その瞳は。少しばかり潤み始めて、どこか、怖じ気づいた風にも見えるかもしれない。
何故なら、それは…なだめて、あやして、欲しいと。よりかかる事を、許して欲しいと。そう、訴える、眼差しだから。
「……その。 …した事、ない、です……私まだ、そういう…の。ですから………」
だから出来ない。だからやめて。…などという言葉は、出てこなかった。
もう一度。もう一度。相手の手の甲に口付けてから。きゅっと胸元へ押し抱いてみせて。
既にこの段階で、おかしくなったのではないかという程、高鳴る胸の音色を伝えては。
「ですから……ぅ、受け容れるなら。…私も、貴女が……良い」
この場に相応しくない、あまりに直接的な言い方、や。目の前の女性から、そんな言葉が出て来る事、などへの違和感は。最初から存在しなかった。
その上で…共感してしまったから。受け容れるしかない。例え、どうなるのだとしても。
■スルーシャ > 「実際そうよ。あの身分混合クラスは貴賎問わず在野の有能な者を抜擢する為の”市場”
……裏を返せば、身分だけの者にそれだけ無能が増えた故の、国の焦燥の一面。
だからこそ、国はそう動いたし、貴族の各派閥や平民のギルドも方々から躍起になって
有能な人材を在学中から引き抜きにかかってる。
……そんな混乱に乗じて、無能が有能を侍らせて腐らせていく。
そんな現実もあるからこそ、早いところ有望な者を引き抜きたいところね。
でも、私はあの学院の中には行けないの。
そういう【国の未来を憂う者として他の愚かな無能から目をつけられている】から。
だから……、リスリィみたいな有望な若者が、私に力を貸してくれると助かるし、
純粋に嬉しくなってしまうわ」
そうだ。有能な人間を無能な人間に渡してはならない。それは本心だ。
何故なら人は魔族に管理されて使われるべきで、魔族より劣る人間が
自分の目に適う”尖兵”を手に入れることなど許されるべきではない。
その真意をおくびにも出さず、共感し、歩み寄ってくれる若者に微笑んで。
「ええ。生まれは選べない。けれど生き方は選べる。
騎士の家に生まれた者としてその生に準じることはとても立派なことよ。
けれど、そこまで真摯に活きられる、この国で稀有な存在が、真摯ゆえに
惰弱で愚かなくせに人を利用することに人一倍長けているものに使い潰される。
私はそれが我慢ならない。
それは、貴女にもよ、リスリィ。」
格好をつけている、背伸びをしている。それを踏まえて肯定する。
そして手を差し伸べる。私が守ってあげる。私が立たせてあげる。
それは未だ迷いながらも前に進む騎士へ甘く染み込んでいく甘言に他ならず。
「貴女は立派な騎士。けれど、本当は可愛らしくて愛らしい女の子。
可愛い可愛い、お人形さんのような女の子。
貴女が言っていることは決して妄想ではないわ。
秘められたものはその心の中にある、奥底に秘められたものが」
才能以上に、満たされたい人としての本質に語り掛けて。
ゆっくりと蝕んで、呑み込みながら”でも僕というリスリィも悪くないわね”と笑って見せて。
「鳥になりたいのなら、ならせてあげる。貴女が成りたい貴女を私に曝け出してくれるなら。
私は【貴女の先輩】
私は【貴女が従うべき先輩】
遠慮なんてしなくてもいいじゃない。だって私と貴女は【姉妹の契りを交わした姦計―関係―】だもの……♥」
呑み込んで、取り込んで、蕩かして、形を歪めて。
優しく、優しく、甘く、甘く、肩の力を抜くように誘い込んで、唇をなぞって、
微笑んで、嗤って、誘うように唇を舐めて。
貴女の意識を術中に陥れていく貴女の舌が指に触れ、そこから繋がり、溶け合って、
欲して、欲して、手の甲に口づけを、恭順の意さえも騎士の作法が残っていることに、
その心の強さ故の反応に目を細める。
「私に手折られたら……、私が立たせてあげる……♥
リスリィ……♥ 人は一人で立てるものではないと分かっているでしょう……♥
騎士も単騎では挑まない♥ 隊を成して困難に挑む♥
……誰かを頼らない、寄り添えない騎士は、いつまでたっても半人前♥
……リスリィは、一人前の騎士になる♥ なら♥ 私に頼って支えられても♥
何一つ不自然じゃない」
自分に依存する。騎士の矜持には反したことを植え付けていく。
それを呑み込んで、取り込んでしまう騎士を見下すように立ち上がり、寄り添い、
顎に手をかけて上を向かせて。
「ちゃんと純潔を守ってるのね♥ 偉いわ♥
貴女のような気高い騎士の純潔は♥ 尽くすべき主に捧げるべきだもの♥
私に仕えなさい♥ 私に尽くしなさい♥ 私に頼りなさい♥
もう貴女は一人じゃない♥ 一人になれない♥ 逃げられない♥ 逃げたくない♥」
唇を奪う。同意を得る前に重ねて、舌で抉じ開けて、粘膜を直接触れさせて
特濃の呪詛を、洗脳の意志を流し込む。
その中で、あえて、貴女に”目の前の魔族に操られている”自覚だけを再び蘇らせる。
より強い種に操られ、受け入れさせられ、これから純潔を奪われる自覚を残す。
それを受け入れさせたうえで、恭順させるように心を絡めとる。
「……奥にリスリィ」
囁いて、手に取って、立ち上がらせて。
ゆったりとした足取りで、店の奥へと消えて逝くだろう
■リスリィ > 「……そう、いった見方も、有るんですね。
確かに。生徒の側からしても、それは、”買われる”側に限らず。自分を、”売り込む”事の出来る、場にもなり得るから。
言ってみれば、戦働きと同様で。我々学生に与えられた機会なのが、学院における…あのクラスだと、思います。
でも、そんなにも。…多いものでしょうか。
良からぬ風にとって、考えて。自分が楽をする為だけに、引き抜いた者任せにしてしまう…ような、者達って。
もちろん、少なからず、怠惰な貴族が多いという事は。分かっていますけれど。…それだけが、理由、ではなくて………って、ぇえ、え…っ。
そ、そんなに!そんな…に、青田買いで、喜んでいただけると、その。…正直気が退け……ぃぇ、は…ずかしい、といいますか…」
人の不足。質の不足。相手が無能と称するような者達が、増えた事は確かなのだが。
けれど其処には、一つの国家体制が、長く長く続いた故の。単純な集団の劣化…正しく”老い”も、有ると思う。
自分の家だって、血の問題なのか、家を継ぐ長男がすっかり、生まれなくなってしまった。
そういった、やむを得ぬ事情もある筈だ、と言いたいのは。同じ貴族であるならと、悪い者ばかりでない筈だと願いたい、青さでもあるかもしれない。
それはそれとして。相手が、自分は無能の側ではない、と。買ってくれる事に対しては。
素直に、それ以上に、どぎまぎとしてしまうものの。
「殉じる、などと言われてしまうと、格好が良すぎます。
それこそ…言った通りだ。それ以外に目を向ける事を、してこなかった、だけなんです。
スルーシャ様は、もしかすると、其処についても…誰かに、遣い潰される、だけではなくて。
私が私の…自分で、自分の、それこそ入りすぎた力に、圧し潰されてしまう事も。我慢がならない…そう、仰って。下さいますか?」
元々は、そういう話だった。
肩肘ばって、真面目ぶった所に。悩みを見出されて始まった、相談だった。
少なくとも、こちらにとっては。相手の真意など知らないので、そういう認識だったから。
浸蝕しきって、なお増大し続ける、共感意識のせいもあり。どこまでも…相手の言動は、自分を慮ってくれているのだ、と。考えてしまおう。
僕でも私でも構わないと、そういう細かな所でも、肯定してみせてくれるのも、また。ますます、同意と共感とを、強めていく手管。
「なりたいものは、決まっています。
悩んでも、迷っても、それ自体は…最初から、変わりません。から。
私の思い悩むのは、あくまで…道程の途上。なりたい私になる、その過程なんですから。
…私は騎士。私は貴族。私は…
わた、し、は。私はそれらで在る事を、【貴女の為に】………」
かちり。心の中で、何かが、嵌る。
本来、在るべきとは異なる、誤った位置と形とで。
けれど、それを自覚する事はない。自己を構成している、個々のパーツそれ自体は、元々のままなのだから。
ただ…別の形式へと、置き換えられたというだけで。
騎士”らしく”口付ける様は、まるで、淑女に忠誠を誓う様。
ただし、きっと、その口付けを通して。決定的に何かが…呪いが、強くなる。
恐る恐る、初めての行為を迎えようとする、少女として。
対して、逸らす事なく、貴女に仕える騎士、後輩として。
濡れた瞳で、立ち上がるその姿を、見上げてみせながら。
「その上で…先輩を頼る、後輩、というのも。何も、おかしく、ない…ですよね?
…先程は、まだ、学生の身の上なのでと、言いましたけど。
それって、半人前だと、言っているようなものですけど……良かった。
良き先輩を得て、貴女に…スルーシャ様に、委ねる事が出来ると。許されるという、事ですか、ら…」
何を、委ねるのだろう。自分で、自分の言葉を、反芻する。
身を?心を?もしかすると……それ以上を?
思わず、想像してしまったのは。この先、体験する事の確定された、淫らな行為なのかもしれない。
どきり。一気に高まる鼓動に、貧血めいた、意識のくらみを覚えつつ。目に見えない何かで、引っ張られるように、彼女の後から立ち上がれば。
「ぅ、あ、ぅ、先輩で……ぁ、主で、そして…わ、私の…初めて、の…っっっ、ん、ん゛………!?」
指先だけで、震えてしまう唇に…相手の。貴女の、唇を。与えられた。
白黒する目も、見開かれた眼差しも、ほんの一瞬。直ぐに、その瞳は。相手のそれと、同じように。色を艶を、帯びて濡れ、光りだす。
それだけ、呪詛に染まり、染み渡らされたという証であり。同時に。舌と唇が触れ合う、それだけで。艶めく物を、想起してしまった、とも。
剣を握る。力を籠める。そうすべき、両手が。すとんと落ち、握り込めないまま、びくびく、震えつつ。
「…………、っ、…、っ……♥
ふ、ぅむ、っぁ、ぁ、は………、…は……、ぃ…」
もう。ごく近い唇から、頭の芯へ。彼女の呪いが、染み渡っている。
その上で…漠然と、理解を取り戻すのは。これが明らかに、急すぎて…おかしい、という事。
けれど、今自覚出来るのは、”目の前の大人の女性に、不思議な力と魅力とで、すっかり籠絡されて、支配されている”という事だ。
まだ…他者の目もある、この場所では。相手の、”実は、魔族である”、という事実は。隠されているだろうから。
それもあるのだろう。最早、支配されていると自覚しても、抵抗しようと思えない。
僅かに唾液を糸引かせ、舌すら入れての口付けが離れたのなら、返答の声すら、すっかり蕩けて。
そのまま…ふらふらと、夢見るような足取りで、店の奥へ。連れられていくのだろう。
今まで、目を背けてきた…この国の、大人達の、淫らな【息抜き】…以上の事が。
待ち受けているのだと、解っていても。
■リスリィ > 【移動致します】
ご案内:「王都マグメール 富裕地区2」からリスリィさんが去りました。
■スルーシャ > 【移動します】
ご案内:「王都マグメール 富裕地区2」からスルーシャさんが去りました。