2023/05/22 のログ
ご案内:「王都マグメール 富裕地区2」にアスリーンさんが現れました。
アスリーン > 日付も変わる夜も更ける頃合い。
富裕地区の大きな噴水のある広場に、清楚な白を纏う巨大な女がいた。
こんな時間になっても眠れずに徘徊するような仔らへ捧ぐような子守唄を口ずさみながら。

貴方がこんな時間に、こんな場所を歩く理由はなんであれ、その場へ赴いたならば視界に入るだろう。
月明かりと外灯に照らされる異様に大きな女の姿。
大きな噴水との対比で目の錯覚でも起こしてしまいそうだが、大丈夫、貴方の目は正常だ。

近づく程にその歌声は貴方の耳に入るだろう。
そして貴方に状態異常の耐性がなければ、その歌声はきっと貴方にとって好ましい音に聞こえてくるはずだ。
貴方の聴覚から脳へと幸福感を伝え、齎す作用が含まれている。

離れ、近づかなければ、何事もなく一日を終えられよう。
されど『ソレ』に近づけば、貴方に待ち受けるのは、強制的に与えられる快楽(こうふく)だ。

ご案内:「王都マグメール 富裕地区2」にエーゼルさんが現れました。
エーゼル > 仕事を終え、道中で水浴びをしてさっぱりした女は、後は宿に戻るのみ。
気温と夜風で水気もとれて、爽快な気分で鼻歌など歌いながら歩いていると……

「ん?」

すっかり人通りの無くなった、富裕地区を通りかかった時のこと。
猥雑さが漂白されたこのエリアが眠りにつくのは早く、誰かの歌声が聞こえてくると、自分の鼻歌を止め。
見ると、そこには大きな人影があった。
思わず二度見し、目をこする。
大きい──
自分もこの都では、女性にしては大きい部類だが、それでも近付けば見上げるほどだろう。
しかし、見るからに魔物と言う感じではなく、むしろ逆で、どこか神殿の絵画を思わせる雰囲気を纏っている。

女は、すぐにその違和感を喪失する。
そんなことはどうでもいいことだ。
この歌の心地良さに比べれば……背が高かろうが、こんな時間に一人で何をしていようが、どうでもいい。
そういうことを考えても、この安らぎを穢すだけだ。

女の脚は大きな女性に向かって歩いている。
話しかけようとか、具体的な用事もなく、それが当然というように。
本人は綺麗な花が道端に咲いているから見に行くような気分だが、実際には危険な妖花の香に惑わされているのに等しく──

アスリーン > 「────あら、素敵な貴女。こんばんは」

歌に誘われるように近づいてくる貴女に気付いた天使は、穏やかで柔和な微笑を浮かべながら声をかけた。
幼さを感じさせる面立ち、さらりと長い白銀の髪、青空のような双眸。
豊かな胸元を晒す白く神聖な衣装に身を包んでいる。
しかし2メートルをゆうに超えるその天使は、向かい合う貴女とは100㎝弱の体格差がある。
軽やかに鈴を転がすような声音が、貴女の聴覚を侵す。
貴女の蜂蜜を蕩けさせた琥珀の瞳を覗き込む天使の蒼い瞳から逸らさねば、貴女の視覚からも幸福が侵蝕し始めるだろう。

「まあ、まあ。素敵。馬……いいえ、驢馬のヒトかしら?
 ねえ、勇ましくて美しい貴女。わたくしはアスリーン、貴女のお名前は?」

天使は両手を伸ばし、その滑らかな手指と心地よい温もりの掌で、貴女の頬を包み込もうとする。
貴女への悪意も害意も敵意もない、純粋なヒトへの愛情に満ちた微笑みで、慈母に似て貴女を抱き寄せよう。
貴女の嗅覚が正常であれば、触れられる距離から離れない限りは天使の匂いも伝わるだろう。
貴女が好ましいと、嗅いでいたら幸せな心地になれるような、そんな香りだ。

さあ、逃げなければ、徐々に貴女の五感は侵蝕されていく。
その幸福感から逃げられれば、ではあるが、天使は逃すつもりもないだろう。

エーゼル > 「……?」

ふ、と自分の行動に違和感を覚えることができたのは、野生の血のなせるわざだろうか。
何故、自分はこんな無防備に、こんな近くまで──
状況から考えれば、むしろ距離をとるのが普通ではなかろうか──?

近くで彼女に微笑みかけられ、その玲瓏な声音で語りかけられると、
その違和感もすぐに引っ込んでいった。
仕事の疲れも、知らないうちに溜まっていたストレスも、安らぎに塗り潰されていく──
違和感と一緒に。

安らぎ、幸福感……幸福な出来事があったわけでもないのに、幸福だという気持ちになるのは、まるで薬のようだ。

「………………エーゼル」

抱き寄せられると、そのまま半ば体重を預けてしまう。
互換から流れ込んで来る幸福感のせいで、反応速度は鈍り、寝起きのような声で言われた通りに名乗る
薬のように、それは浸透する。
だがその薬は間違いなく、麻薬の類だ。

アスリーン > 「▮▮▮▮、エーゼル、そう、素敵な名前ね」

最初はきっと、理解も及ばぬ未知の言語。しかしそれは貴女のことを呼んだ。
天使は身を預けてくる貴女を抱きとめて胸に顔を埋めさせよう。
産まれた時、その身が母の胸の中にあったように、無防備に、無条件に、貴女は愛されているという錯覚を得るかもしれない。
天使の肌の温もりは貴女の肌に柔らかな熱と、温もりを伝えていく。
触覚からの侵蝕──嗅覚からの侵蝕──。
天使の法衣の中の足が貴女の足の合間に入って、その体を浮かせて、足を地面から離させる。
そうして抱き上げた貴女の唇に触れあうほどの距離まで顔を寄せた。

「いい子ね、エーゼル。さあ、わたくしを受け入れて。
 ────しあわせになりましょう」

幸福に浸透していく貴女の唇へ、天使のそれが重なる。
貴女の味覚を侵すように、甘露のような透明な蜜が、貴女の口腔へと注がれていくだろう。
幸福という薬、その麻薬を口に含み、嚥下してしまったら、貴女の脳を侵すのは『幸福』という状態異常だ────。

体力増強、精力増強、精神強化、生命力強化、心身負荷無効。
感度上昇、思考力の低下、性欲増強、リジェネ、苦痛軽減。

天使が齎す状態異常が、貴女の体を強化していく。
これから与えられる幸福と言う淫獄に耐えうるだけの下準備──。

アスリーン > 【移動します】
ご案内:「王都マグメール 富裕地区2」からアスリーンさんが去りました。
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