2023/01/03 のログ
ご案内:「王都マグメール 富裕地区2」にリアさんが現れました。
リア > 新年を迎えたある日のおやつどき。
買い物客の多い通りの、看板も窓も無い店舗らしからぬ白煉瓦の建物の扉から出てきた娘。

「ありがとう、たぶんまた来週お邪魔しますね」

ドアを開けてくれた女性と二言三言交わしてから店の前を離れる。
ボリュームのある黒いマフラーの上に乗った顔が湯上がりのようにほかほかつやつやしている。
ロングコートの前を開けても良いくらいぽかぽかしているけれど、冬の空気ですぐ冷えることになりそうなので大人しくボタンは留めたままでいる。

「ふう、いつ来ても良い匂い」

店内でも漂っていた涼やかで濃密な花の香りが、今は自分からも香っている。
美容はもちろんお値段次第で若返りまで叶えるという紹介制のサロンに通う頻度は、最近は月に数回に増えていた。
それもこれも美の追求のため――ではなく、魔法や剣技の実践授業のある学校に通い始めたからである。

学生であり社交界の隅っこに属する者としては、切り傷擦り傷や痣のある体で催しに参加するわけにもいかない。
周囲からひそひそされるのはまだしも、両親からどんな罰を受けるかわからない。
それで何かしらドレスを着る予定のある前日には、魔法とプロの手技によるお手入れをしにサロンへ訪れるのだ。

ご案内:「王都マグメール 富裕地区2」にハシュレイドさんが現れました。
ハシュレイド > 「あれ、リアさんだ…お久しぶりです、かな?」

学院の図書室で偶に出会う、混合クラスの少年。
少女が何かあって図書室に出向くと大抵は魔物関係や、魔法関係の本を読んでいるのを見かける。
もしくは、図書室のすぐ外、飲食可の休憩スペースで、サンドイッチや簡単なクッキーなどを食べている事も。

「えーと…此処にいるって事は、サロンから?
あ、俺は前に来た物好きな貴族の人に頼まれて、酒とかを届けてきた帰りなんだけど」

少女の後ろにあるサロンを見ながら、首を傾げて。
一瞬香った、良い匂いに小さく頷いて。

ちらっと聞いた事があるかもしれないが、少年は学院に通う傍らで屋台の店主でもあり。
自分で狩った猪肉をハムにしたり、山ぶどう等でワインを作ったりなどしているらしく。
今回はそれを気に入った相手に頼まれてとの事らしい。

「ん…なんか、此処の辺りって良い匂いがするね、リアさんからもだけど」

施術を受けて出てきた少女と、辺りに漂う香りを吸い込んで、微笑む。

リア > おやつにしようかしら、それとも買い物をしてから、と日の傾き具合を見ながら歩き出そうとしたところへ声。
ちょっと視線の位置を下げて見れば、よく学院の図書館で見かける少年である。

「あら? わあ、ハシュくんこんにちは。よく分かったねえ」

お肌の手入れも必要無さそうな年齢の少年に、サロン帰りと見抜かれて笑う。

「今年は初めてなので去年ぶり、かな! 今年もよろしくね。
 私はええと――傷を作っちゃったから、体のお手入れをちょっとね。今終わって、おやつでも食べようかなーと思っていたところ。

 ふふ、学校の外で会うと不思議な感じがするね。
 配達帰りかあ……お酒も作ってるの? 小さいうちから飲みすぎちゃだめだよ」

様々な年齢と階級を受け入れている学院は、学業だけをしている学生の方が、むしろ少ないような気さえしている。
屋台をやっていることは知っていて、明らかに社会経験的なものは相手の方があるはずなのだけれど、ついつい見た目で弟のような気持ちで接してしまって説教じみたことを言いながら。

「ふふーこれは精油の匂いだね。百合とシダーウッドと――あとは忘れたな……。
 ハシュくんはこれから学校? あれ? 寮生だったっけ……?」

同性だと寮生の顔は大体覚えているのだけれど、男の子は棟が違うし、通いの子と寮生の見分けがあまりつかないので首を傾げて。

ハシュレイド > 「うん、今年もよろしくお願いします。
あぁ、そうなんだ…学院の授業とかも結構過激な時あるしね。

確かに普段と違うかも…制服じゃないからかな?
作ってるよ、料理にも使えるしね…あー、あんまり飲まないよ、お祝いとかの時くらいかな」

少女の説教のような言葉に、酒にはそれほど強くないからねと、苦笑して。
そうしながら、くんと鼻を鳴らすと。

「あぁ、精油…マッサージとかで使うんだっけ、屋台とかしてると強い匂いがする、そういうのは縁が無くて。
ちなみに、リアさんがサロン帰りかなって思ったのは、リアさんが出てきた建物が、サロンだって教えてくれた人がいたからね」

女性冒険者なんかで、腕の良い人や、貴族出身の人から、何回か聞いてたんだ、と微笑み。
あと、実は少し先から見えてたのもあるかな、と苦笑して。

「ん、俺は寮生ではないよ、だからこの後は買い物して戻る感じかな。
おやつ…んー、良かったらだけど、クッキーとかならあるよ、店で出してる奴の昨日の残りだけど」

ごそごそと、腰に付けている小さなバックから、紙袋を取り出して、曽於中にあるクルミの練り込まれたクッキーを取り出して。

「何処か据われる場所で、一緒にどうかな、リアさん?」

それを見せながら、少女に問いかける。
何処で知ったのか、まるでナンパの様な台詞と仕草で言った後で、なんてね、といって悪戯した後の様に笑みを浮かべる。

ご案内:「王都マグメール 富裕地区2」からハシュレイドさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 富裕地区2」にハシュレイドさんが現れました。
リア > 「そうそう、この間の野外実習もきつくって、戦闘と関係の無いご飯支度中にまで指を切るし。
 そうかあ、ハシュくんは料理ができるのかあ……私も練習しなくちゃ。ねえ、一番簡単な料理って何かな」

生まれて初めての野営、そして料理。学院生活は初めてがいっぱいである。

「ふうん、客層が色々なんだ? そう、ここは美肌で評判だけど、治癒や身体守護系の魔法とかもメニューにあるから、ちょっとでも怪我する確率を下げておきたいなーっていうときに冒険者の人が利用することもあるらしいね。女性専用だけど安心かつおすすめです」

屋台と聞いていたからカジュアルな食べ物屋さんのイメージだったけれど、富裕地区のサロンを使うようなお客さんもいるのだなとイメージを微修正する。

「えっ。クッキー? う、売り物なのでは……?
 昨日のということはフレッシュなものしか売らないというポリシーが……?」

クッキーならそこそこ日持ちしそうだけれど、焼きたてクッキーは幸せだもんね……と思う。
出て来たサロンの隣にある、小枝の一本の乱れもなく手入れされた生垣と、タープのように張り出した植物が日除けになっているガーデン風の設えのカフェ。そこが営業中なのを見て、

「お言葉に甘えてしまおうかしら! お茶は私がご馳走します!」

クッキーそのものというより、友達――身分に関係なく喋ったことのある人はみんな友達だと思っているタイプだ――の手作りクッキーというものにときめく付加価値を感じてにっこにこである。

ハシュレイド > 「一番簡単な…単純にっていうなら、目玉焼きとかかな、火加減さえ間違わなければ基本出来るよ。
サラダは、野菜切ってって言うだけだと、料理と言う程でもないし。

あ、そっかリアさんは冒険者ではないから野営とかしないよね」

目玉焼きなら、先にベーコン焼いて,その油で調理すると美味しいしと、何度か頷いて。
野営実習と聞いて、ぽんと手を打って。

「そそ、冒険者の人とか、街の人、稀に貴族の人がね…そうなの?、此処ってそんなに凄い所なんだ、だから女性冒険者とかも知ってたのかな」

貴族出身の冒険者や、上位冒険者などが偶に来るのと、男性冒険者がしくじった後で奢らされたなどと聞いてたんだと苦笑しつつ。

「売り物だけど、一日たったのとかは、値段下げるしね。
此処で会ったのも何かの縁だし、どうかなって」

勿論売り物にするが、保存性を高めるより味を高めているので、保存食等のよりは日持ちせず。
早めに消費する方が良いし、折角なら、偶然とはいえ出会った少女に食べてもらいたいと、笑みを浮かべて。

「うん、それじゃお茶はリアさん持ちで」

ガーデン風のカフェの中、テーブルに向かいながら、頷いて。
ふと、流石富裕地区だなぁと、テーブルや椅子をみて、感心して。

「その…此処の地区でカフェとか初めてなんだけど、やっぱりテーブルとかの質が良いね。
どう良いかとかは判らないけど、うん」

屋台と比べるまでもないが、平民地区等で入る食事処や酒場と比べても、質が良いとしか判らず。
恐らく自分だけだったなら、来ることもなかっただろう場所に、少し驚きと、少女と一緒にと言う荷が嬉しいのか笑みを浮かべて。

リア > 「じゃあ目玉焼きから今度練習してみましょう……卵とベーコンね。
 もう少しあたたかくなってきたら、ピクニックをしたいし、サンドイッチにも挑戦したいなあ。

 そう、私は冒険者では、無いのです……きみはお肉とか自分で捕ってきてるって聞いたけど本当なの?
 ハシュくんのお家は狩人一家とかだったの……? こういうの訊いてもご迷惑じゃないのかな?」

学院では珍しくない冒険者兼学生、の子たちの生活に興味が尽きず首を傾げて。
そう変わらぬ年齢なのに、街の外へ出ると経験の差をまざまざと感じてしまう。
とは言え身分も生い立ちも様々だから、話題にはなかなか気を遣う。

「わあい、それじゃ手近だけどそこのお店にしましょうか。
 ここはガーデン用品のディスプレイ販売がメインでカフェスペースはそのついでみたいなものだから、持ち込みはうるさくないのよね。
 私は紅茶にしようかな……ハシュくんは紅茶? コーヒー? お砂糖とミルクは?」

言いながら、こっちこっち、と花と緑のアーチをくぐると、ひさしのように張り出たグリーンの下のテーブル席エリアで軽食をとっている人もいるけれど、飲食をせずに鉢植えや庭木を見に歩き回っている人もいるし、自由なものである。
裏庭風のテラスには芝生と小道、石像や小さなあずまやがあったりして、どこに座ろうか考えながら先に注文口に立つ。

ハシュレイド > 「油跳ねとか、火には気を付けてね…エプロンとか、アームカバーとかあるとkっこう違うから。
あー、今だと流石にいく気にならないけど、暖かくなったら楽しそうだね。
玉焼きできれば、簡単なサンドイッチもできると思うよ、パン切って少し炙ってバター塗って、目玉焼き挟むだけで出来るからね。

あぁ、うん、自分で狩りび言ってるよ、基本は落とし穴とか、簡単な罠とか使う感じで。
俺の家は、んー…まぁ置いといて、狩人とかではないね、まぁ家では色々あったから、今の自立生活状態かな」

聴かれる事にはほぼ素直に答えながら、家の事だけは濁す様に苦笑して。
とりあえず、追い込み役が召喚獣な事以外は、罠猟としては基本に近いやり方で。
とはいえ、家について突っ込まれなければ、その話題をなかったように扱いながら、笑みを浮かべて。

「うん、了解ー。
ガーデン用品…そっちも縁はないなぁ、持ち込みできるお店で、こういう所もあるんだね。
俺も紅茶で、えと、砂糖もミルクも欲しいかな」

少女に誘われるまま、アーチを潜り、珍しい様子に周りをきょろきょろと見渡して。
ストレートだと、一寸苦手でと呟き、コーヒーはもっと駄目だけどと、子供舌だという事を明かしながら。

「この季節でも結構人いるんだね、それに…思ったよりも植物も色々あるし」

冬場なので、ガーデン用品はどうなのかなと思っていたら予想以上に植物含め色々あって、それに驚き。
少女のと一緒に歩いていて、香る精油混じりの少女の匂いに、たまにぼーっとして、視線をあげて少女をみつつ。

リア > 「エプロン! それは良い考えね。可愛いのを買いましょう。
 ふふふ、今はさすがに寒いよね……野営実習も、死ぬかと思ったもの……。
 わあ楽しみ。きゅうりとハムと……彩り良く作ってバスケットに入れたらきっと可愛いわ。

 自立って……道理で小さいのにしっかりしている……」

お家の人は、と考えなかったわけではないけれど、一度にあれこれ訊くのも憚られて。
ゼロ距離で話すのやめた方が良いよ、と友人に諭された記憶はあまり遠い日のものではない。
ふんわり微笑んで注文と会計を済ませると、テラスの方へ出る。

「あ、ブランコが空いてる! あそこにしましょ」

特等席と思っている二人掛けの木製ブランコが奥の方にあるのを見つけて目が輝く。
子どものいる家庭向けの代物だと分かっていても、クッションの置かれた白塗りの木製ブランコにときめくお年頃なのだ。

「本店は郊外にあって、一日で回りきれないくらい広いお庭にもっといろんな植物があるよ。
 立地の割に服装とかうるさくなくて、割と誰でも入れるから今日はこれでも混んでいない方かも…… ? どうしたの?」

ぼうっとしているハシュレイドの目の前で手を振り、こっちだよ、とブランコの方へ。

ハシュレイド > 「リアさんなら、似合うエプロン結構あると思うよ。
そうだね、流石にまだ寒いから…慣れてないのに冬季野外は確かにきついかな。
うんうん、そういう感じで、一個作れる様になったら少しずつ作れるの増え当たりするから。

しっかり…してるかな、色々しすぎて忙しいだけな気もする」

あはは、と苦笑しつつ、頬をかいて。
自活はしているがしっかりかは、自分では実感が湧かず。

「ブランコとかもあるんだ…うん!」

木製のブランコをみて、更に其処に置かれたクッションをみて、大きくなずく。
偶に大きな民家の庭などで見かけるが、自分で乗る事自体がほぼ無くて。

「そんな店があるんだ…知らなかったなぁ…今度行ってみようかな。
確かに、俺の服装でも何も言われなかったね、ローブはまだしも中は冒険者向けの衣服だから、チェックされるかと思ってた。

あ、いや…何でもないよ」

ぼうっと見ていた少女に声を掛けられ、目の前で手が動いて、木をとり直す。
そんな動きに、見とれてたなどと言えず、薄く頬を赤くしつつ、ブランコの方へ移動し。

「うわ、結構しっかりした造り…さっき言ってた、郊外のお店にもこういうのあるのかな?
…リアさんと行ってみたいかも」

ブランコに乗り込み、隣に座る少女に聞こえるか聞こえないかの声で、一緒に行ってみたいと無意識なのか呟いて。