2022/12/16 のログ
ご案内:「王都マグメール 富裕地区2」にテンドンさんが現れました。
テンドン > 真昼間の王都マグメールの富裕地区、ついでに広場!
広場内には集う商人に、それらの扱う品物を求める人々のあげる声、声、声!
七色に織り成される人声のオーケストラに紛れ込んで、くゆる芳しき匂いまでその感覚にへと訴えて来る。
南方の珍しいスパイスの取り取りが、焼き色のついた肉から風味豊かな香りを煙に含ませ。
みっちりと中身の詰まった蜜蝋の欠片が飴玉のように並んでいるかと思えば、
季節の果物を用いたパイが店先に陳列されて人々の胃袋を誘っている。
数多の人種と文化の混在、それを受容する柔軟さの象徴が此処にある!

「いえい!流石お金が集まる場所にはモノだって技術だって集まって来る!すっげいい匂い!テンションアガる~~!↑↑↑」

人の目を惹き付ける為に様々な工夫のされた店構えの連なりは、
あたかも差し掛かった迷い人を飲み込まんとする迷宮の様、そこをてってこ歩き回っている。
めちゃめちゃ食欲刺激のいい匂いにふんすふんす鼻先鳴らしっぱなし、尻尾が昂ったようにぱたんぱたん。

テンドン > 「はいっ!本日昼間の目玉は何と言ってもアレだね!期間限定個数限定超有名パティシエの手がけた新鮮卵と極上小麦粉もっちり仕立て季節の山盛りジャンボフルーツチョコレートパフェクレープ(生クリームとナッツと蜂蜜もたっぷり!)!なんと遺跡発掘の魔導機械のオーブンを使っていて熱々ぱりぱり中身はしっとり噛めば極楽味わえば昇天!食べられる天国と巷の流行りに引っ張られてボクも来たという訳…!!」

わー!ぱちぱちぱち!!一人盛り上がってぴんっと立ち上がる耳、拍手喝采を打ち鳴らし。
軽やかなステップは、混雑している雑踏の渦中を慣れたようにするすると掻い潜る。
おっと油断してはいけない!こういう場所でこそスリ窃盗は徘徊しているんだから!
懐を確り強固にガードをしながら周囲からこっちにも食べにおいでよお嬢ちゃんげへへへと手招いて来る悪魔の誘惑を撥ね付けながら。

「甘いものって何でこんなテンション上がるんだろうね、本能に訴える何かが在るのかな~~…?」

目的地に近づくに連れて濃厚になるすっごい甘い匂いに当てられうっとり恍惚が自然と目が細くなる。
朝御飯抜いて来たので無意識に涎だらだらごっくん飲み下すのにちょっと苦労。
次第に夢遊病者みたいな、あるいは薬中みたいな足取りでふーらふら。

テンドン > 「………!」

そして狙いのクレープ屋の前にへと間も無くして到達する。
中々の人気の店のようで今も並ぶ人々がひっきりなしだ。
厳ついおっさんと美人の店員さんの二人構えで運営中の様子。

「うおお!!いざ戦場!!ボクは今日この瞬間の為に産まれて来たんだ!クレープくださーい!」

その健脚を一息にバースト、貯蓄して来たゴルドがぎっちり詰まった袋を掲げて店の直ぐ側にへと駆け寄る!

超美人店員さん > 「すいませ~ん、このクレープカップル限定なんですよ~~」
テンドン > ………
……


「…という訳でボクは遠くから成す術もなく見ている他に無いのであった、まる」

ちょっと離れた場所に距離を置いて佇み消費されて行くクレープを指くわえて眺める、ショウウィンドウのトランペットを欲しがる子供みたいな眼差し。

テンドン > 「こう…個数限定とか期間限定とかはまだ理解出来るんだけど…レディース限定とかメンズ限定とかふたなり限定とか学生割引とかこういうカップル指定とかそうゆうのボク良くわかんない…これって誰か幸せになれるの?差別とかそういうんじゃない?くそ…っ…お金はあるのに…!資格はない…!」

瞬く間に目の前で消費されていく個数限定のクレープ…!
じわじわ迫る焦燥感におしっこを我慢してる人みたいな感じでぺたぺた地団太を繰り返している。

「うわあ、うあああ…ミレー差別とかそういうのも今迄時々というか頻繁にあったりもしたけど今この瞬間が地味に辛い…」

熱さ辛さも喉元過ぎれば忘れるので今が一番つらい!

テンドン > 「………💡」

ふふん、しかして棒立ち状態で佇んでいるのも束の間ばかり。

「でもボクはつよつよコミュ強且策士なんだよなあ~~!へーい!そこのボーイ!」

そして意気揚々と声をかけていくのはそこらへんに居る、同じくして独り身だから資格の無い他の仲間達だ!
性別指定や学校指定とかは明白過ぎて駄目かも知れないけれども、カップルなんていう曖昧な関係性を問う奴なら平気で誤魔化せる!
かくして窮地を乗り切ったその報酬に、美味しいクレープに在り付ける午後になるのでありました。

ご案内:「王都マグメール 富裕地区2」からテンドンさんが去りました。