2022/09/30 のログ
ご案内:「王都マグメール 富裕地区2」にクライヴさんが現れました。
■クライヴ > 「―――それでは、これで。またのご利用をお待ちしております。」
富裕地区の一角、それなりに名の通った貴族が有する邸宅の、人気が無い路地裏に面した裏門で。
定型文じみた挨拶と共に頭を垂れた侭、パタンと裏口の門扉が閉じる音を聞き届けてから、ふぅ―――と溜息をひとつ零す。
いつもの如く何でも屋の仕事として、その日請け負ったのは先の邸宅宛の荷物の配達。
しかしながら、来客用の正門では無く敢えて人気の無い裏門での応対を指定されたその理由と、
厳重に梱包された荷物の中身は―――深く追求しないのが、長生きの秘訣というものだろう。
やがて狭い裏路地を抜けて人気の多い表通りへと足を踏み出せば、さて―――と誰に聞かせるでも無く呟きを漏らす。
これ以上この付近に留まる理由も無いが、何となく素直に帰路に就く気分にもなれず。
特に目的も無く興味を惹くような何かを、誰かを探す様に視線を彷徨わせながら、ふらりと足を進め始めた。
■クライヴ > 彷徨う視界が映すのは煌びやかな装飾品や細工の並ぶ商店に、劇場の入口に貼られた演目のポスター。
どれも興味深くはあったものの、初めてこの区画に足を踏み入れた世間知らずでも無ければ決して珍しい訳でも無く、
何よりも気軽に足を踏み入れられる程懐に余裕がある訳でも無い。
稀に広場や大通りを歩いていると、楽器演奏や大道芸の様なちょっとした見世物や、
衛兵たちによる捕物劇に遭遇する事もあるのだが、生憎と今日はその機会にも恵まれず。
「さてと、どうしたものでしょうかねぇ………。」
ふらりと進む足の行き先を、考えあぐねるような間延びした独白。
通りを進んでは戻り、広場の外周をぐるりと一周する様な、明確な行先も意味も無い足取り。
やがて人混みの中へと紛れ込んでは目立たぬ様に消えてゆくその姿が向かった先を知る者は無く―――
ご案内:「王都マグメール 富裕地区2」からクライヴさんが去りました。