2022/02/19 のログ
ご案内:「王都マグメール 富裕地区2 酒場」にシシィさんが現れました。
■シシィ > いまだ春の到来は遅い模様ではあるが──惜しげもなく燃料を使って暖められた店のなかは、そういった外気を感じさせることはない。
入り口でコートを預け、給仕に案内されるまま女は歩む。
───紳士淑女の社交場、というのは皮肉でも何でもなく。冬の間、娯楽が少し少なくなる間の、富裕層の遊び場所、といったところか。
己がこういった場所に顔を出すのは、半ば仕事といった面もあるのだが───そういったことが結実するかどうかは、、流れの結果次第といったところ。それでも、種をまく必要はあるのだから───
「……人間観察の時間、といったところかしらね」
面倒だ、と紡ぐ言葉をそっと胸中の中に留めて、それよりは柔らかな言葉を独り言として舌の上で転がした。
腰に届く銀の髪を軽く背中に流すように結わえ、軽く癖のある毛先が歩みに合わせてふわりと揺れるまま。
褐色の肌は、この国の生まれではないことを如実に示すよう。目立つが、それでも相手の印象に残りやすいことを武器にもする。本人の好悪はそこにはないが───生まれ持ったものを呪う様な不毛な思考は持ち合わせてはいない。
場所柄に合わせた装束は、可愛らしいというよりは、女の体に合わせた落ち着いたラインを描く。社交場とはいっても、初々しいデビュタントたちが花型の夜会場でもないのだから当然だろう。
───とりあえず、一人客としてカウンターに身を寄せることにはなる。
給仕の問いかけに果汁割を頼めば、しばらくはその片隅にでも身を沈めて、己の存在が馴染むのを待つように、ゆっくりと手にしたグラスを傾けることに腐心する。
■シシィ > 傾けていたグラスの中身を、ゆっくり味わう。
果汁の甘酸っぱさと、仄かな酒精の苦みと、熱。いつも果汁割を頼むのは、それほど酒に強くないからだが。
多少酔った程度では、己の顔色だとわからないのは多少便利なのかもしれない。
時折見知りの夫人や、紳士を呼び止め、ドレスの型を褒め、宝飾品のデザインに興味がある様な言葉を向ける。
当然どちらも社交の常套句として受け止めつつも、賛美を厭うものは少ない。
こちらとしても軽薄なそれではなく、真面目にほめているのだ。
中には本当に見事なデザインや、着こなし、色合い。希少なものもあるからこちらとしても勉強になるのは事実。
次の流行の傾向をかぎ取れば、市場で多少材料の買取を増やそうか、とも考えはするが、さほど今はそちらに注進しているわけでもない。
仕事半分の息抜きめいた部分も確実にあった。
ご案内:「王都マグメール 富裕地区2 酒場」にトワさんが現れました。
■シシィ > 「そろそろお暇するわ?」
時折会話ともいえない会話を交わしていた給仕に、酒の代金とややチップを多めに渡すと、酔いの名残も見せない仕草で立ち上がり。
こつんと小さく靴音を響かせると、店の出口に向かう。そのままクロークに預けたコートを受け取って、夜の闇の中へとその身を投じることになるだろう──
ご案内:「王都マグメール 富裕地区2 酒場」からシシィさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 富裕地区2 酒場」からトワさんが去りました。