2021/07/04 のログ
ご案内:「王都マグメール 富裕地区2 大型服飾店」にメイラ・ダンタリオさんが現れました。
■メイラ・ダンタリオ > 富裕地区の昼間
大通りを馬車の一台が揺るかな速度で蹄と車輪を回す
急な障害にも立ち止まれるように 馬も手綱持ちも穏やかなもの
馬車の中で腕を組み、静かに窓辺の景色を時折赤い瞳で眺めるだけのメイラ
用事というよりも いつものように夏の衣の一つが出来上がったので仕上がりを確認しにいくところだった
唯の肥え豚貴族共のように、廷まで呼び寄せて測らせ、造らせ、届させ、気に入らぬのなら金を惜しむ
そんな糞共とメイラは同じになるつもりはなかった
武器も服飾も職人と話しながら行うのが楽しいというのに、それがわからないのはきっと
その場から動かずカラメルたっぷりの香草コークと油茹での鳥を摂取しているからだ
「だから会うたびに衣装が合わずに癇癪起こす、と。」
今のは貴族でよくある、動かぬ貴族と服飾店の下らないトラブル小話を思い出した物
時間をかければかけるほど、袖も首も腹も合わぬとはよく言ったもの
そんなことを考えている内に店に付いたらしい 忠実な者が扉を開け、手を差し出すのに合わせて店の前へ。
カツ、ンと靴底が叩く音 ゴミも堕ちている場所は少なく浮浪者もない富裕地区
店の前へいくと、通りの邪魔にならない場所で控えているように告げつつ、店内へ
カランッカランッと上品なドアベルと共に、メジャーを肩に下げたスキンヘッドの男性が一人
清潔で綺麗に織られた布地を用いた姿で来店を歓迎し、握手を交わす。
「ごきげんよう、袖に通すものは出来上がったと聞きましたわ?」
もちろんです、と自ら訪問したメイラに笑みで対応し、大店服飾店内で互いに歩きだすだろう
珍しく獲物も持たず、四肢にいつもの黒鉄を嵌めているだけの姿
物騒さがやや薄れているのが、今日のメイラ。
■メイラ・ダンタリオ > 『お望みのままに生地の特性と黒い刺繍以外に特別なものはございません。』
紳士的な身形とスキンヘッド 生地を見つめ続けてきたことで疲労した瞳を守るレンズ
男の確かな口ぶりに、着替えるべき場所から出てきたメイラは新しい夏の衣に袖を通し終わっていた
コルセットや無駄な柄もなく、白いネクタイとピン ロングスカートの片側に見えにくい黒い刺繍が施されただけの姿
四肢のみがいつもと変わらない装甲を身に着けている
腕を廻し、腰を廻し、膝を持ち上げる。
稼働領域に不自由はなく、生地の強さを感じ取れる、通常よりも少しの重みが信頼を感じさせている。
「好い仕上がりですわ。」
全身鏡の前で、ガントレットや編み込み、白いカチューシャや前髪などを確かめながら
全身のシンプルな出で立ちは注文通り満足のいくものだったらしい。
『それからこちらは、ご注文の“傘”でございます。』
静々と述べる男は、屈強な肩幅のスーツ男が持ち運んできた一つの黒傘
男性用と呼べるような幅や深みを持つそれをケースから差し出し、片手で持ち上げて見せる
全長や全身の造りを確かめながら、少し間合いを取ると畳んだ姿で振るってから広げ、目の前で差し向ける。
『全身の造りゆえに重量デメリットは気にせずお作りしました。
しかしバランスは好いでしょう?』
そう横で説明する男に頷きながら、広げたまま通常の傘のように肩へと寄りかけさせる
畳んでは振るい、先端を突きに見立てて目の前に振るうそれは、まるで鉄の杭を打ち出すかのよう
服飾店でやるような行いではないものの、満足はしているように、それまでおとなしかった表情は
三日月型の口角とギザ歯を浮かべて満足げにしていた。
ご案内:「王都マグメール 富裕地区2 大型服飾店」からメイラ・ダンタリオさんが去りました。