2021/05/16 のログ
ご案内:「王都マグメール 富裕地区2」にシシィさんが現れました。
■シシィ > 雨上がりの石畳を静かに靴底が叩く音。
煉瓦敷きの小路の左右のよく手入れされた植え込みは、湿りを帯びてその緑をより鮮やかに。
富裕地区の、貴人もそぞろあることもある庭園の一つ、を訪う女は、雨の気配が色濃く残る風に、緩くまとめた銀の髪を遊ばせて、独り遊歩道として整備された小路を進む。
初夏の色どり。
手入れのされた薔薇がそろそろ咲き初め、雫を花弁にまとわせる様子は、貴婦人が宝石でその身を彩るがごとく。
そんな様子を楽しみながら、生け垣の迷路の先の四阿に向けて、その歩を進める。
特に誰かと会う予定もないが───奥まった場所は静かで、ただ、花の香りに包まれるのも風情があるものだから。
■シシィ > 雨上がりということもあるだろう。遠く、近くに鳥の声が響いている。雨に押し流された空気はやや温く、湿度を孕んではいたがすがすがしい。
途中行き会う影もなく、先客の気配があればこちらが退こうと思っていたのだがそれもない。
落ち着いた色調のドレスの裳裾を露に濡らすこともなく器用にさばいて奥まった場所にたどり着く。
かつ、と硬質な靴音を一つ響かせ、一段高くなった石造りの四阿にその身を滑りこませた。
屋根がある分、設えられたカウチなどは濡れていない。
それらを軽く確かめてから、腰を下ろすと、ほ、と寛いだ吐息が零れた。
鳥の囀りと、風に揺れる梢の音を耳に流しいれながら、薄い色の双眸を気持ちよさそうに細め。
肌の色を引き立てる、真珠色の紅を引いた唇が笑みを湛え。
伸ばした背すじを背もたれに預けると、一度背を撓らせ、緊張をほぐすように身じろいでから、緑と花の風情へと眼差しを向ける。
■シシィ > そんな緑と花、それに鳥の囀りに囲まれて過ぎる静かな昼下がりを暫し堪能したのだとか──
ご案内:「王都マグメール 富裕地区2」からシシィさんが去りました。