2021/04/11 のログ
ジギィ > 「たぶんね?私は伴奏しているだけだから、彼等の行方は知らない。
あんまり言葉を交わすこともないしね…」

そう言って暗がりの中、テーブルを囲んでいる客を見遣る。
ひそひそ話は男同士建ったり女同士だったり男女で会ったり、はたまた独り者だったり様々だ。
そう言った客が歌い終わった歌い手に群がる様は、何度か見たことはあるが、敢えて雇い主に聞いたりはしていない。

「まあ私は払いがいいなら亡者でも歓迎するよ。お金に罪はないもんね」

肩を竦めて見せると、ふたたび水のコップを取り上げて喉を潤す。
それからグラスを置くと、膝に頬杖を付いて

「さあねえ…そういう事もあるかもしれないし、商談ていうこともあるでしょ。
 会員制っていうからには、取り敢えず後ろ暗いことをしたがる輩が集まりがちなのは確かだろうけど」

店主だってきっと把握していないに違いない。
宿などを手引きすることもあるようだが、泥酔客にだってそれくらいのサービスはするだろう。

「なに、おにーさんの目的は『アレ』だったわけ?」

にやっと悪戯げに笑って、若草色の瞳が男を見上げる。

黒須 > 「そういうことか…。」

(薄暗い雰囲気なのはどういう目的なのかは定かではない。
しかし、他者に聞かれた困る商談。
そして、自分が予想していた営み相手探し、どういう風にするかは客次第だ。)

「いいや、俺はただ、依頼主に勧められたから来ただけだ。
面倒な仕事の後に一杯やるのは悪くないと思ってな?」

(富裕地区で飲むのも落ち浮かないが、相手も金に罪が無いならこちらも酒に罪はないとする。
それと同じである。)

「第一、もし俺の目的がそれだったとして…富裕地区の住民を抱く気にはなれん。
もし、抱くとするなら…そうなさな?嬢ちゃんみたいなやつかもな?」

(ニヤリと獣らしい牙の生えそろった口を見せて笑う。
地位の差はよくわかる物。
特に金のあるなしで生活に甘え腐った女王様を貪るなど、毒蟲を齧るのと同じだと考えていたのだった。)

ジギィ > 「へえ、じゃあその依頼主結構やり手かもね。割としっかりした店だよ、ココ」

床を指さして店を示す。払いは良いし、何より自分自身がいかがわしい目に遭ったことが無いのが証拠だ。
…もしかしたら、エルフ女の多少の得体の知れなさも影響はしているのかもしれないが。

仕事後の酒と聞くと背筋を伸ばして後ろ手をついて、アンタも好きだねえ、何て言ってまた笑う。

「そう?富裕地区のお嬢さんなんて無垢な割合多そうだけどねえ。
――――丈夫そうな歯だね」

ニヤリと笑う相手ににやりと笑って返して見せて、軽口に関しては受け流す。

「まーピアノ好きなお嬢さんが好きってなら、たまにここに通えばその内ぶち当たるんじゃない?」

そう言って肩を竦めると、片手を伸ばして鍵盤を撫でる
それから、簡単な旋律を奏で始めて…

黒須 > 「ま、富裕層には大体イカれた奴が五万と居る。
そのぐらいなら、予想範囲内だな。」

(店の内装や少女がそう言うことに合っていないことから、おそらく物見遊山か、単純なる演奏などのパフォーマンス目当てなのだろうと読めた。)

「俺はそんな運試しに身を任せるほど、性欲は操れねぇよ。
当たるなら、確実に…ってな?」

(その内、いつになるのかわからない物に自分の実を負かせるのも好みではない。
できるのなら、その日に確実に、絶対的な結果を望むのがこの性根である。)

「ま、嬢ちゃんみてぇな処女じゃ、俺とヤったとしてもぶっ壊れるのがオチだろうさ?」

(そんな挑発染みた事を言い、再度鍵盤を撫でて奏でる様子を見ればそのまま舞台から下がる。
適当な席を見つけ腰を下ろすと、もう一杯ウィスキーを頼み飲み始める。)

ジギィ > 「確実ってなによ。女の身からすると探るようなソッチの方が無粋な感じするけど…
 ――――そう、じゃあお引き取り願いたいところだね」

今現在、帰る場所を持たない女にしてみると『確実』という言葉のあやふやさは不安を増すだけに感じられる。とはいえ、それは彼とは関係のないことで
壊れるなんてこわーい、などと軽口めいた言葉で返すと、肩を竦めて演奏に戻る。

―――
そのまま時は流れて
やがて閉店の時を迎えるまで、女は生真面目に弾き手を務めるだろう。
途中、彼のように歌い手として参加するものもあったやも知れず
その夜は静かにふけて……明け方までには客はすべて別々の帰途につくのだろう。

彼の帰りを女が見送ったかどうか
店で飼われている猫は、見ていたかもしれない

ご案内:「王都マグメール 富裕地区 会員制バー」からジギィさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 富裕地区 会員制バー」から黒須さんが去りました。