2021/04/10 のログ
ご案内:「王都マグメール 富裕地区 会員制バー」にジギィさんが現れました。
ジギィ > 風もない静かな富裕地区の夜。
川に面した邸宅傍の路地裏には密かな灯りが灯って、知る人ぞ知る店の開店を知らせる。

地下深くに設えられた会員制のバーは『教養ある人たちの伝手のみで入店できる』事になっている。
だからだろうか、富裕地区とて漂う退廃的な雰囲気は、ほの灯りだけの店内からは感じられない……少なくとも、表向きは。

(薄暗い時点で、ちょっと何か勘ぐっちゃうけどね)

囁き声を密やかにかき混ぜ、覆うかのようなピアノの曲が室内を満たしている。
旋律を奏でる女エルフはふと思うが、店内の客の様子を伺うことはない。
薄暗い中手元も楽譜も照らされてはいないが、天性の夜目の良さのおかげで指先は難なく軽やかに踊る。
いつも野を駆けている身体が慣れないドレスに覆われて落ち着かないが、そもそも薄闇のなか誰もがこちらを気にしている様子が無い。

(――――…今日は、歌姫なしか…)

即興で歌姫が飛び入り参加することもある。
その気配も感じられなければ、女エルフは段々と、自分の旋律に没頭していく…

ご案内:「王都マグメール 富裕地区 会員制バー」に黒須さんが現れました。
黒須 > (富裕地区の任務が終わり一人帰路を歩いていた黒須。
今日はまた変わった仕事であり、今回はとある貴族の護衛であった。
話しに寄れば金品を盗む盗賊が居るため、そういった者から身を守るのが今回の仕事だった。
慣れない紳士服にオールバックにした髪、身バレ用に付けた眼鏡姿で街を歩きかえっていた。)

「さて…今日はここで一杯始めるか…。」

(今回は依頼金がたんまり入ったことともう一つ、特別な名刺を貰ったことだ。
依頼主行きつけのバーがあるらしく、そこを進められたために向かうことにした。
中に入れば薄暗い店内、しかし、犬らしい嗅覚と夜目の効く目により店の構造はわかっていた。
初めてだが、慣れたように入り、カウンターでウィスキーを頼み一口飲む。)

「…ん?あいつは…。」

(店内に流れるピアノの音。
そちらの元を見れば見覚えのあるエルフの姿。
前にピアノの演奏を見せたあの少女がここに居たのかと思い、そちらの方を見ながら、ピアノを聞き、眺めることにした。)

ジギィ > またひとり、客が追加されたようだ。
店内の音に表扉の軋む音が混ざるとそう考えるでもなく思って、女は演奏を続ける。

ポ―――…ン

そうしてまたひとつ、曲の終わり。
店内からの御愛想程度の拍手にも嬉し気に笑みを浮かべ、闇の中でお辞儀を返して席を立つ。
流石に連続で演奏したので、喉が渇いたピアノの近くの台から水のコップを取り上げると一口飲み込んで、合間も惜しいとばかりに再び譜面を片手にとって曲を探すようにめくる。

実際は譜面に載っている曲を弾いていないこともままある。
兎に角雇われている身としては、この室内を音で満たす義務がある、と思う。

(―――余計な客に声掛けられることもないしね)

やがて次の曲の目星がついたなら
新たな客が知った顔だと気づくこともなく、また次の曲に取り掛かるだろう。

黒須 > (一曲終われば自分も客の中の一人として拍手を送る。
演奏を聴く機会もそう多くはないためにこういった機会もかなり重要なのである。)

「・・・。」

(どうやら相手はこちらに気付いていないようだ。
演奏に集中しているようだし、少しの休憩を挟んで曲を探す様子が目に入る。
そして、しばらくの選曲を選んでいる様子を見ると次の曲が始める。)

「…ちと、ちょっかいをかけて来るか…。」

(曲が始まるもこの曲は自分も何度か聞いたことがある。
富裕地区任務の時に貴族のパーティー会場で奏でられることもあるため、その曲と歌詞を覚えていた。
やがて酒を一杯飲み終わるとピアノに近づき、その近くで歌い始める。
低くもかなり耳辺りの良い歌声、ピアノと調律し、店内にとって良いパフォーマンスを披露することが出来た。)

ジギィ > 弾き始めてしばらしくたころ。
傍らにゆらりと人影が近付くのに気付く。

(―――男?……珍しい)

へえ、と感心するだけに留めて演奏に戻る。
大概参加する歌い手は女性が多いものなので―――それぞれに思惑がある様子だったけれども―――ここへきて男性とは。

(――…ここって、じつは男色嗜好の人多かったりのかな…)

若干余計な事を思ったりしつつ
危なげもなく、歌声に合わせて音を半音下げたり伸ばしたり弾ませたりしながら演奏を続ける。

ポン、ジャン――…

やがて旋律の余韻も消え去る頃になって
男がまだその場に留まっていたのなら、女はようやくそちらをみて、目を丸くしてから瞬きするだろう。

「―――あらま、 ぐーぜん…」

黒須 > (演奏に支障の出ないように合わせて歌声を続ける。
低い歌声には慣れており、ある程度の音階で歌うことが出来た。
しばらくして共に演奏と歌を続ければ、ようやく終わる。
軽く息を漏らし、演奏者の方を向く。)

「…よぉ、久しぶりだな?」

(つけていた眼鏡を外し、オールバックの髪を乱す。
髪は短くなるも、それなりのぼさぼさな髪型により、原型を整えていた。)

「まさか、こんな所でピアノ演奏をしていたとはな…。
中々良かったぞ?」

(ウィスキーの最後の一口を飲めば対面して話す。
奇遇と言うものはよくあるみたいで、ここまで働くと逆に怖くも感じる物だ。)

ジギィ > 相手が眼鏡を取り、髪型を乱したことで漸く確信を得た様に頷く。
口の端に面白げに笑みを浮かべると、ピアノの椅子に座ったまま足を組む。タイトなドレスのせいでちょっと窮屈なのに少しだけ顔を顰めて

「そうね、久しぶり…
 ありがと。アナタの声もなかなかね。
 ごめんね、声をウリにしてる男娼さんかと思っちゃった」

確か相手は異性愛者だったはずだ。職業は知らないけれど。
律儀に思ったことを相手に謝ってからけらけらと笑って見せる。酒に酔っている様子はないので通常運転だ。

「まあ伝手で、たまのアルバイトしてるんだ。割が良いのよ、富裕地区」

知っているだろうけど、と付け足すとまたくすりと笑ってから、首を傾げて男を上目に見上げて

「アナタも、普段こんな所に居るタイプじゃなさそうだけど」

黒須 > 「…ほぅ、ここのバーはそう言う歌い手が居るって話なのか…。」

(そう聞けば、先ほどの貴族もそう言う趣向の持ち主なのだろう。
それが同性だろうと異性であろうと、体と相性が良いのなら、だれでも構わず都いう形だろうと察した。
まぁ、自分も場合によっては同じ性別でも抱くことはある。)

「当たり前だ。
俺は元々、貧民地区出身…金の亡者となったやつらの地区なんて空気が違い過ぎて吐き気がする。
仕事以外なら、まぁ、まずここに来ることはないな。」

(騎士団に所属していた経歴もあり、何度か依頼でここに来ることもあったため、仕事の理由ならここに来るが、それ以外は来ないようにしていたのだった。)

「だろうな?給料は良さそうだ…。
それにしても…このバーの暗さ…ここまで作るってのは…もしかして、目的はあれか…?」

(さっき話した話も合わせて状況を考えれば、営み相手探しの場として作られているのだろうか。
そこはどうかは分からないために、詳しそうな相手のエルフに問うことにした。)