2021/03/29 のログ
ご案内:「王都マグメール 富裕地区 屋内射撃施設」にエレン・ローズマリーさんが現れました。
エレン・ローズマリー > 外は雨 土は泥 石床は黒く染まり、昼間も夜も暗い日だ
外で出歩く娼婦は日避けの下で立つよりは、酒場で客を捕まえる
外で出歩く衛兵は、待機所でカードや盤に興じる
故に今夜は、屋内が賑やかな日だ。

―――“激しい、銃声”―――

屋内の中で、酒精やソフトドリンクを提供するカウンターテーブル
銃や弾を貸し売りしながら、貴族や商人の金を引き出す売買所
そしてそこには、アケローンと同じ中継映像を流せる魔導装置で射撃場の的の結果と、撃った本人が見える映像

人が休め、映像が見れる其処と隔てるように銃声で耳が破壊されないよう、“音跳ねの葉”で飾られた屋内の垣根

垣根の向こうは、適度な仕切りと適度な距離 そして適度な“的"を備えた場所

―――”激しい、銃声”―――

其処では貴族の中で狩りが趣味だという貴族の紳士と、エレンが射撃に興じていた。
的は麻袋に詰まった“何か”。

銃は公平に、銃身を長めにされた中折れ式の単発銃
先を鋭く鋳造された弾丸と固められた火薬が一体になったそれ

詰め込み、硝石と火薬の反応で引き起こされる激しい爆発と、飛びだす弾丸
若い木肉色の麻袋に、緑色の液が零れながら、筆で書かれたポイントへの点数を、互いに記入しあっている。

「……あら、私の負けね。」

それに大した口惜しさもなく、エレンはこぼす。
何処か感情の起伏の浅い今日のエレンに、紳士はそんな日もあるだろうと
互いに趣味が合う者同士、握手をして別れた。

貸し出されている的当て用の単発銃
それを眺め、掌の中で廻しながらグリップを握り、愛でてみて。

エレン・ローズマリー > 殺し合いよりも、的の絞り合いに特化させたそれ
海賊が使うようなものでもなければ、射程を伸ばす長物でもない
片手で収まるサイズと、其処から伸びる銃身。

的当てだけに興じさせるような、当てる楽しさと銃の魅力を一新に重ねに伝えるだけの代物
くるり、くるりと手の中で廻しながら、その映像は今も向こう側へ流れている。
麻袋はすでに動かず、緑で染まり、麻が吸いきれず、滴るまでになっている。

赤い瞳は中の黒を細め、眺める
赤くもない緑一色に染まり滴るそれ。
その血は不思議なもので、嫌悪も、執着もなく、人がどれだけ溢れさせようとなんら事もないもの
的当ての血には相応しかった。

スンッと匂うそれはまるで体臭に近い。
獣臭というべきか ぶら下げられたそれを前に、銃を一度撫でては、席を離れる
やっと施設内のスタッフが、その麻袋を片付け始めることだろう

貸し出し場へと戻し、未だ火薬のにおいが残る両手
ドレスグローブから露出する指先を鼻先に近づけると、先ほどの獣の匂いを上書きする、暴力の匂い。
それに少し顔をほころばせながら、ドリンクカウンターまでいけば、膜を張った翼を閉じ畳み、腰を掛ける。
指先を顎に添え、目の前のバーテンへと。

「―――ロゼワインとチョコレートを頂戴。」

そう言って、桃色の酒精とチョコレートが出されたのなら、時折周りの話に耳を傾けつつ
甘い酒精と甘いおつまみを、その女童のような小さな口元へ運んだ。

ご案内:「王都マグメール 富裕地区 屋内射撃施設」からエレン・ローズマリーさんが去りました。