2020/10/23 のログ
ご案内:「王都マグメール 富裕地区の通り」にアティさんが現れました。
アティ > 昼間でも大分涼しく、夜ともなれば肌寒さすら感じられる気温となった近頃。
少々行き交う人々の服装、寒さに向けたものに移り変わりつつあるのが伺えるが、そのくらいで人通りが通りから減ることはないのだろう。
雨も降ることなく、星空も見える空模様の下、富裕地区の比較的大きな通りは行き交う人々でにぎわっており。
ほかの地区に比べれば、チラホラと憲兵の姿が見受けられ。
行き交う人々の服装や装飾品が、整っているのが感じられるかもしれない。
そんな中、人の合間を縫うように進む兎の衣服は特に変わることはなく。
若干肌寒そうにも見えるものなのだから、その耳や尻尾と相まって視線が時折向けられているのは、気のせいではないだろう。

「やっぱりこの辺は、どこも立派なお店だらけっと…」

当の兎は直接何かされたりしない限りは、憲兵の視線であろうと気にしている様子はなく。
通りに立ち並ぶお店へと、視線を揺らめかせては、また次のお店と視線を移し替えてと繰り返しており。
その足取りも、どこかを目指すようにしっかりしたものでなければ、面白そうなお店などを探し歩いているといったところなのだろう。

「軽食でもこの値段かぁ…」

時間が時間のせいだろう。
いい香りがこぼれてくるお店も多く、歩き続けていれば空腹を適度に刺激されてしまうのだ。
香りに誘われるように、近くのお店の外看板へと視線を滑らせて言っても、書かれている値段はやはり富裕地区相応のようであり。
ディナータイムといっても、軽い品物だけでも中々に懐を軽くしてくれそうな値段が羅列していれば、気軽に入る。
ということはさすがに戸惑われるようだ。
手持ちの所持金を軽く確認しては、足を進めようか、どこか適当に入ろうか。
といった様子で兎はあたりへと視線を動かしながらも、考え始めているようだが。

アティ > 富裕地区とはいえ、様々な人が往来する場所である。
しっかりと探せば、それなりの値段でも美味しく食べられるようなお店等はないということはないだろう。
けれども、探索するのも楽しみと繰り出した兎は、下調べなんてことはしていなかったようであり。
結果、あまりお手頃価格のお店が食事に限らず、雑貨にも少ない通りの区画へと踏み込んでしまったようだ。

「いっそこうなったら平民地区まで戻って…。
いやまだ、いろんなお店があるし」

小腹が空いた程度とはいっても、一度気にすると中々離れないというのは世の常かもしれない。
多少なりとも金銭の入った入れ物を揺らし、音を小さく立てながら、お店の看板近くで考えにふける兎というのは、ただ歩く以上に目立つのは間違いなく。
一見ミレー族にしか見えない兎の周りには、次第に足を止めてひそひそと話を始めたり。
物珍しそうなものを見るような視線を投げかけてくるものも、少なからず増え始めることなったようである。

「またあの仕事するのも…食事は戻ってからに…ん?
え?違う違うミレー族じゃなくて、私は別種別種!」

食事はとりあえず平民地区にでも戻ってから、そんな答えを決めた兎には、肩をたたかれてようやく近づいていた人影に気づいたようだ。
一般人でもない人影は紛れもない憲兵であり。
裕福層でもない、一見ミレー族のような兎が、店の前で考えにふけり。
表情をコロコロ変えていれば、不審がられることになったのは当然かもしれない。
突然のことにアタフタとしながらも兎は、零されていく質問に慌てて答えを返していくことになったようだが。
流石に憲兵相手では蹴り上げて逃げる、なんてことはいきなりはできず。
人目のある中、質問攻めにあう羽目になってしまったようである。
人の少なくないとおりであり、お店の前といった状態のため、より人目は集まることになるかもしれず。

ご案内:「王都マグメール 富裕地区の通り」にリコリスさんが現れました。
リコリス > 富裕地区での仕事の帰り道。
帰宅のために道を歩いていると、通りに何やら人だまりが出来ているのが見える。

特に気にせず先を急ごうとした時に目に入ったのは、憲兵に職務質問をされている、騒動の原因と思わしき女。
ミレー族に見える彼女の顔は、割と好みの範疇で。

「……たまには人助けもいいだろうかな」

寄り道をすることにし、人混みに割って入る。
彼女の近くまで寄れば、親し気な顔で手を振り、

「やぁ待たせたね!ごめんごめん!」

そのまま近寄り、特に抵抗が無ければそのまま肩を抱き寄せるだろう。
そのまま憲兵に向き直り、

「見ての通り私の連れだ。騒がせて済まないね」

そう説明しながら、ちらちらと兎耳の女のほうを見て。
合わせろとばかりにアイコンタクトを送る。

だが、憲兵の表情は当然訝し気。
ミレー族じゃないと言い張るミレー族のような女と異国風の服装をした怪しい女では当然のことだろう。
しかしその時、人混みをかき分け一人の憲兵が血相を変えて飛び込んでくる。
しばし彼の話を聞くと、他の憲兵も表情を変え、慌てだす。
そのまま、二人を開放し、どこかへ走り去っていった。

「…あー、見つかったのか」

リコリスはぽつりとつぶやく。
先ほど手を下してきた標的の死体を誰かが見つけたのだろう。
貴族だろうから大騒ぎになるはずだ。
今回は渡りに船だろうか。

それからリコリスは兎耳の女のほうに視線を向けなおす。

「で、何をしでかしたんだ?お嬢さん?」

にこやかな顔で問いかける。
だが、彼女の鼻が良ければ、リコリスからは微かに血の香りがするはずだ。

アティ > ミレー族に厳しい国だとは住民にとっては周知の事実である。
それでもよほどのことがなければ、憲兵に深く絡まれることもなく。
その脚力をもって場合によっては逃げおおせてきた分、集まる人だかりの様子を見ては、兎はタイミングをうかがい始めていたようだが。

「へっ…あ、えっと?」

より近づいてくる人の足音には、集中し始めた兎の耳には今は届いたのだろう。
反射的に軽く向ける瞳は、憲兵の増援か上司の登場あたりだと思ってのことだったようであり。
身ならぬ装束を纏ながら、親し気に声をかけてくるといった様子を受ければ。兎のほうも虚を突かれてしまったようだ。
流石に警戒に入りかけていた意識も、その丸くなった瞳が示すようにポカンと抜け落ちてしまったようである。

「あー、うん、そうそう!
ここで待ち合わせしてただけだから、うん」

抱き寄せられて、紡がれていく言葉に少し遅れて兎は彼女の視線の合図に気づいたようである。
丸くしていた瞳をそのまま細め。
つくろったように笑顔を作れば、適当に、それでいて話がある程度丁度都合のいい形になるように、紡ぎ始めることにしたようだ。
もっとも、耳尻尾だけではない部分はあるとはいえ、どう見てもミレー族に限りなく近く。
助け舟を出してくれた少女にも、驚いてしまった一があるのだから、多少訝しがられるのは仕方ないのかもしれないが。

「見つかった…?
て、あー…えっと…何かしたわけじゃなないんだけど。
ありがとう、かな」

いざとなったら助け舟を出してくれた彼女を連れて、脱兎するつもりもあったようだ。
突然散っていく憲兵の新たな騒ぎを見れば、少々あっけにとられながら、ほっと一息兎は無意識に零していくが。
彼女の言葉は耳に入り込んで残ったのだろう。
一つ首を軽く傾げて、兎は聞き返しかけていくが。
助け舟を出してくれた相手である。
尋ねられれば、とりあえず、お礼の一つもと感謝の言葉を零していくことにしたようだ。

「散策してただけだよ?本当に。
まあ私は見た目がこういう感じだから、たまにね。
助かったけど…もしかして、怪我でもしてる?」

盗んだわけでも、暴れたわけでもないのである。
ただただ怪しまれて、ミレー族っぽいから憲兵に詰め寄られただけであり。
苦笑交じりに、耳をピコピコと軽く揺らすようにして、兎はこれが理由とばかりに彼女へと示していくが。
鼻がいい種族には劣るとはいえ、僅かに漂う香りには多少気づけたのだろう。

助けられたこともあり。
多少気遣うような様子で、伺うようにそんな言葉を彼女へと返していくようだが。
少々珍しい服装ということもあり。
純粋に怪我をしていないか確かめるだけではなく。
兎は視線を彼女の顔から足元まで、滑らせていくようだが。

リコリス > 「ん?怪我?……あぁ、ちょっと色々あってね」

自分の血の臭いに気づいたリコリス。
まぁどう見ても裏社会とは縁の無さそうな相手、
正直に話すこともなかろうと適当にはぐらかし。
野次馬達が少し散ったのを確認しながら、そっと彼女の手を引いて歩きだす。

「見た目で、ね…。こういう場所を一人で歩く時は耳は隠すものだよご同輩?」

周りに人がまばらなのを確認すると、再度振り向き、自分の頭を指さす。
彼女の視線が向けば、ポン、と、獣の耳が生えてくるだろう。
恐らくマグメールにはいない、シェンヤン辺りの動物の耳。

そのまま指先で軽く触れば、それは掻き消えて。
彼女は知る由もないだろうが、
変装の達人であるリコリスにとってこれぐらいお手の物だ。
女はにやりと笑うと、前に向きなおって歩き出す。

「さて、ここで会ったのも何かの縁だし、何よりこんな時間だ。
一緒に食事でもどうかな?」

微笑みながら指さす先は、人気店の集まる料理店街。
当然、お値段も相応のものばかりだ。
だが、そんなことを気にするそぶりもなく、
女はそちらに向け歩みを進めていく。

「あ、そうだ、自己紹介をしておこう」

前を歩きながら、彼女は振り向き。
器用に後ろ歩きで進んでいく。

「名前はリコリス、職業は…冒険者だってことにしておこうか」

アティ > 「大丈夫ならいいんだけど…。
生憎これは隠すのにはちょっと向いてなくて」

見た目に流血もしておらず、大丈夫だと言われれば、それ以上は兎も香りに踏み込むことはとりあえずないようだ。
穏便に憲兵から何とかしてくれた相手、と好意的にみている部分もあるのだろう。
手を引かれれば、少しだけ首をかしげながらも、ついていくことにしたようである。
遠くにまだ聞こえる、憲兵の音がいずれ戻ってきても厄介というのもあるようだが。
手足の途中まである毛並みはさりとて、耳に関してはなかなかに立派な長さをしており。
フードも帽子もいまいち収まりが悪いから、といった様子で兎はまた苦笑交じりに返していくが。

「同輩って…っ!それはちょっと便利そうかも。
そこまで隠せたら確かに…」

変わった服装といえども、見た目は完全に人の彼女である。
同輩という言葉に、少々不思議そうな様子を見せるものの、まるで手品のように耳が出てくれば、驚きとともに納得することになったようだ。
兎とはまた違う別の動物の耳。
それでも、人ではなく動物の血を持つものであるとわかれば、同輩という言葉は十分すぎたのだろう。
簡単な変装の域を超えている、化けっぷりに兎は思わず感心すらしてしまったようである。

「私も小腹は空いてるし、丁度いいけど…。
っと、私はアティ、アティロップ。
冒険者なら私も似たようなものかな」

チラッと気にするのは、今の手持ちなのだろう。
けれども、折角の誘いに乗らない兎ではなく。
多少なら、予算から足が出てもいいと考えもしたのだろう。
今度は手を引かれるだけではなく。
兎も自ら彼女についていくように足を進めながら、改めて送られる自己紹介に、兎も返していくことにしたようだ。
もっとも今度は苦笑ではなく。
兎にとっては普段通りの、明るい笑みである。

「手ごろなお店なら…少しくらいおごるよ?
リコリスには助けてもらったわけだし。
あまり見たことない服装なのも、気になるしね」

だんだんといつもの調子が戻ってくれば、兎の口も歩調も軽くなっていく。
高級店の前では値段に悩んでいたのもどこへやら、といった様子であり。
手ごろそうなお店であれば、お礼もかねてといった調子で彼女へと明るい声色で言葉を兎は続けていくが。
それは助けてもらっただけではなく。
彼女の服装にも、そして同輩という近しい感じを受ける種族というのにも、興味をひかれたのだろう。

リコリス > 「耳ぐらい簡単なものだ。もっとすごい事だって出来るさ」

アティの言葉を聞いてそう返すがいなや、顔を片手で覆い隠し、
パッとその手を離してみせれば、リコリスの顔はアティのものへと変わっていた。

「体も変えられるが、流石にここじゃ目立つからやらんよ。
しかしまぁ、おかしな法律のせいでお互い大変だな」

その声すら、アティのものに変化している。
マグメールの魔術にも、ここまで完璧で手軽な変装術はあるだろうか?
再度片手で顔を覆い、また離せば、元のリコリスの顔に戻っている。
得意気ににやにやと笑い、また前を歩き始める。

故郷では神獣族としてちやほやされていた彼女も、ここでは奴隷身分のミレー族。
その為、特に苦でもないが、常に耳と尻尾は隠すようにしている。

「アティか。可愛らしい顔に似合う名前だ。よろしくアティ?」

自分の足で付いてくる彼女に、引っ張る手を緩め。
そのまま歩行速度を落として彼女の隣に。

「手頃なお店ね…オススメはあるかな?それか行ってみたい店とか。
好きな店で構わないぞ。多分私のほうが金を持ってる」

冒険者と名乗ったが、それは暇つぶしにやる副業のようなもので。
本業のほうでは、依頼によっては途方もない金が入ってくるのだ。
今回こなした仕事も、なかなかの金になるだろう。

「おや、私の服装が気になるのかな?
似たような服を着た人間、この国にも一人や二人はいるとは思うが…」

そんな軽い話をしながら、アティが向かう店に彼女も向かうだろう。

アティ > 「…っ!!
それってもう、魔術のレベルとかじゃ…。
いや、私は魔術とか得意じゃないから、あれなんだけど」

耳ならまだ手品の延長のようにも感じられたようだ。
けれども、言葉に合わせるように彼女がそっくりな顔へと化けてしまえば、兎の目はまた丸くなることになったようである。
声と顔すら瞬時にそっくりにできるのは、おおよそ兎の知っている変装のレベルではなく。
そっくりな双子といっても過言ではないほどの、瓜二つな顔なのだから、魔術の類を考えてしまうのは仕方がないかもしれない。
もっとも、兎は魔力の扱いが暴発を起こすレベルで下手だから、余計にそう感じるのかもしれないが。

「捕まらないならまあ、逃げたりするけどね。
体系までっていう方が私は気になるけど…」

服装まで一緒にして化けてもらったら。
そう考えれば、本当に分身といっても間違いではないかもしれず。
想像するだけで中々に、兎としては楽し身が膨らんでしまう情報だったのだろう。
ミレー族に厳しい国の状況に、同意するように兎はうなずいていくが。
彼女が同じようにミレー族、もしくはミレー族に間違われている種族であり。
亜人や獣人の類だと思っているようではあるようだ。

「ふふ、ありがとっ、まあ見ての通りの兎だけど、よろしくね!
リコリスも十分かわいい名前だと思うけど…」

耳と尻尾、そして手足のちょっとした毛並みは、人ならざることを示す証である。
けれども、それ以外はほとんど人であれば、かわいいという言葉に少し耳を跳ねさせ。
また明るく笑みを零しながらも、並ぶ彼女へと顔を向けて、ピョコピョコと手を頭の横に並べ。
兎が跳ねるように、動かして見せるだろう。

「私はこの辺のお店…詳しくないのよね。
だから、リコリスが選んでくれたお店のほうが、よさそうかなーって。
もちろん衣服も、あまり見かけないから気になるけど」

元々平民地区で歩き回っていることの多い兎である。
富裕地区に詳しくないために、あまり大金を持って歩かなかったという事情があったようだ。
冒険者仲間であり、獣の特徴を持つ亜人仲間。
そして助けてくれた相手であり、同性とくればすっかり友達感覚なのだろう。
気になるかといわれれば、素直に肯定的な意味で、彼女の衣服は、まだあまり見かけたことがない。
なんてことも答えていくようだが。

「結構動きやすそうだし。
完全な変装とかも見てみたいしね」

憲兵に絡まれていた時の様子はどこへやらといった様子だろう。
完全に興味津々といった様子で、言葉を返しては、彼女が示してくれた方向へと歩を進めていくことになり。
幾つかお店に目を通しながら、幾つか高級過ぎない。
そんな感じのお店が目に付けば、彼女に伺いを立て。
良い反応がもらえれば、入っていこうとするだろう。

リコリス > 目に見えて驚く兎に、愉快そうに笑みを浮かべる。
やっていることは魔術や道術を織り交ぜた忍術であり、
彼女の場合は種族の特性でブーストがかかっているのだ。
狸は化けるものであるがゆえに。

「私の名前もかわいいか?そうだろうな、偽名だからな」

逆に褒め返されれば、あっけからんととんでもないことを言い。

「リコリス、彼岸花。毒がある食べたらあの世に行ける花だ」

死者の国に結びつけられるような、そんな花。
殺し屋の偽名には相応しいと自分では思っているのだが。

そんな雑談をしつつ、店を眺めながら歩いていく。

「そんなに気になるものかな…動きやすいには動きやすいな、
アティが思っている以上に」

くノ一の装束ゆえ防御性より動きやすさと隠密性を重視している。
着たままで柔軟体操だって出来るし、足音も全くさせずに歩くこともできる。
それは殺し屋業でも役に立つ。

と、そんなこんなで、アティに伺いを立てられた店を快諾し、そちらに向かうが、
店の前に来る前にふと立ち止まり、辺りを確認し。

「そんなに見たいなら、一瞬だけ見せてやろうか?」

振り向けば、サッとひと撫でするように体から顔に片手を走らせ。
すると、そこにはアティがいた。
顔のみならず髪も、兎耳も、身長体形も、服装すらも、そのものだった。

「じゃ、行こう!」

口調もアティを真似ながら、手を引いて。
しかし前に向きなおれば、また一瞬で姿は元に戻り。

そのまま、店の中へと入っていった。

リコリス > 【場面転換、後日継続】
ご案内:「王都マグメール 富裕地区の通り」からリコリスさんが去りました。
アティ > 「偽名に毒の花…もしかして結構、リコリスって名前が知れてる冒険者、だったり?」

物騒であるといえば、間違いはないかもしれないだろう。
名前の由来があっさりと偽名であり。
毒のある花と告げられれば、危険そうに見るというよりは、そうせざるを得ないような立場を持っている。
といった可能性を浮かべるのは、いろいろ渡り歩いてきた兎だからかもしれない。
ただ、兎にとっては憲兵から助けてくれた相手、といった面しか見ておらず。
偽名だから、といったことを特に気にする様子はなかったようだ。

「やっぱり見かけない服って、楽しいよ?
こう地域の違いを感じられるものの一つだし」

そして動きやすいなら、尚更いいものといったところだろう。
兎自身も、武装を含め動きを重視している装備ばかりだからこそ、動きやすさも重視している部分はあるようだ。
もし彼女が本気を出して、気配を消すように動かされたら、兎の耳でも気配を感じ取れないかもしれない可能性はあるのだが。

「一瞬って…うっわ!
服装まで…!?
って、あっと!」

一瞬何をと思ったのは、店の前でしてくれるとは思っていなかったからかもしれない。
服装まで完全に自分そっくりに化けられれば、鏡でも見ている気分にすらなったようであり。
それが鏡写しなだけではなく。
個別に動いていくのだから、いきなり知らない人がこれで不意を突かれたら、混乱するのは確実。
と思ったのは過言ではないかもしれず。
幻のように瞬時に元に戻っても、いまだ予想以上の化けっぷりに驚きの余韻を兎は引いているのだろう。

ちょっと慌て気味に手を引かれるままに店の中へと消えていくことになったようだ。

ご案内:「王都マグメール 富裕地区の通り」からアティさんが去りました。