2020/09/15 のログ
ご案内:「王都マグメール 富裕地区2」にエリアさんが現れました。
■エリア > 比較的近所だったので、共も連れずに一人。
居座っていた残暑もようやく去り、秋めいて来た昼下がりの居住区から商店の立ち並ぶ区域へとゆったりとした歩を進めながら、まだまだ日傘は必要だったかも知れない、と蒼穹を仰ぎ、陽光から庇を右手で作りながら、忘れ物を少し後悔した。
手持ち品が増えるのが煩わしくもあって、まあいいかと思っていたが……。
「やっぱりまだ、日差しは強いですわ……」
ふ、と小さく息を吐き出しながら独り言ちて、そうやって眩しい日差し、空にばかり気を取られていたので……。
「あら……」
くい、と裾を引く感覚に気づくのが遅れた。意識を足元に遣った頃には右手にある屋敷の庭園から蔦を伸ばした茨にドレスの裾が絡まってしまっていて……。
「まあ……どうしましょう……」
言葉の割には至ってのんびりとした口調で頬に手を当てながら緩く首を傾けた。
■エリア > どうすればいいのか、少し思案してから一応、腰を折って道端に屈みこみ。指先をおっかなびっくり、棘で覆われた茨の蔓へと伸ばしてみて、指先がちょん、と棘に刺されると慌てて引っ込め。
「困りましたわ……わたくしではこれ以上何一つ出来そうにありません……」
秒で諦めて、ほう、と嘆息するが危機感は薄い。
棘で指を傷つけるのも、無理に引っ張って裾を破るのも選択肢としては考える余地もなく不可である。
共がいなければ人として基本的な事すら出来ないと言うのに、何を一人でのこのこと外出してしまったのか。つくづく何も考えていない。
「どなたか通りかかりませんかしら……?」
挙句の果てに他力本願に走る。通りかかった者が親切にどうにかしてくれる、とどうして思いつくのか。おっとりと瞬いた緑青の双眸を、前方、後方と探る様に向けて。
■エリア > しばらくそうやって、何もせずにただこの場に通りかかって助けてくれる、顔も知らぬ親切な方を呑気に待ちわびていたが。
当然の様にそんな方はいらっしゃらない。緩く肩を竦めて。
「そうそう都合よくは参りませんわね――……あら?」
諦めた様に呟いたその時日傘を手にした、屋敷で召し抱えている侍女の声が遠く響いて来た。
日傘の他に、そもそも財布をお忘れだと気づいて屋敷からやって来たのだった。
「まあ、わたくし今日はいけませんわね……」
相も変わらずおっとり調子で微苦笑する、主人のドレスに引っ掛かった茨を器用に外しながら『今日に限らずいつもですけどね…』そう、侍女は思っていたが口には出さずに愛想笑いで相槌を打っていた。
ご案内:「王都マグメール 富裕地区2」からエリアさんが去りました。