2020/07/29 のログ
ご案内:「王都マグメール 富裕地区」にセリアさんが現れました。
セリア > 少々、蒸し蒸しするような心地。
そんな外の空気の中、女は私服で寛ぎ、とある喫茶の軒先でティータイムと洒落込んでいた。

前はこういう小洒落たことが苦手だったのだが、最近なぜかハマっている。
部下に勧められたことが直接のきっかけだったのだが…今度一緒に来てみるのも良いだろう、と。

そんなことを考えながらカップを持ち上げ、軽く揺らした。
中に満ちている琥珀色の液体が揺れる。

「なんだか……似合わないわね」

自嘲するように呟いて苦笑した。

ご案内:「王都マグメール 富裕地区」にメイラ・ダンタリオさんが現れました。
メイラ・ダンタリオ > カラリと乾いた晴天ならまだ気持ちも違っていただろう湿度の高い休日。
出歩き様に見かけたのはカフェの一角。
貴族令嬢なのに、一杯の静かな茶よりも白プレートの上に鎮座する肉塊を選ぶ歩くバーバリアンな性格。
甘いスコーンとジャムの香りが鼻先に漂うことがあっても、足を止めるつもりはなかった。
足を止めた理由は別ということである。

―――あれはリジゴール団長では?
―――ティータイムなんてするような方だったとは思えませんわね。

眼に捉えたのは、腐敗したと言われる中でもまともな騎士。
若くして団長になった実績を持ち、互いに他の貴族とは距離を置いている点や型にはまらない多数の戦術。
最短コースで殺しにかかるその真っ直ぐな姿勢が、戦争屋の狂人呼ばわりされるメイラは気に入っていた。
ナイトというよりはアサシン向けな感覚を、騎士として王都で稀に働きあう際、または訓練などで見かけた際で印象が強かった。

ラフなプライベートタイムであろう団長の姿に比べ、黒いタトゥーを見せる腕を持ち、ギザ歯をのぞかせた笑み
騎士とは一見では見られないメイラは、ソッと後ろから近づこうか。
足音を猫のように隠し、団長の両肩に手を置いて 

「ご機嫌よう、リジゴール団長♡」

とでもできればいい。

仮にできなければ声がかかるなり、振り向かれるなど動きと止めにかかるだろう。
戦争屋の騎士が一団長に馴れ馴れしくする姿もありえないものの、王以外にマナーを垂れるつもりもない。

セリア > 戦場ではないこの場で、それも仕事中でもないプライベートタイム。
磨かれた鋭敏な感性は機能せず、容易く彼女の接近を許してしまった。
肩に両手をすっと置かれると、ピクッ、とほんの微かに上体が震えて、ゆっくりと肩越しに振り向く…

「……あ、あぁ。貴女、確か……メイラ。こんなところで奇遇ね」

ご機嫌よう、と言葉を返し、少々動揺した心を落ち着かせる。
座ったらどう?と傍らの椅子を薦めるようにして、テーブルに置かれたカップを口に運んだ。
渋味の強いお茶で一息。

一応、彼女よりも自身は上司にあたる身だが、これまで共に働く中でその性格は理解していた。
まして自分も堅苦しい間柄はあまり好まない。

「セリアって呼んでくれて構わないわよ。特に今は仕事中でも何でもないし…」

こういうことも折に触れてよく口にしていた。
彼女がそれをどう捉えているかはさておき、頬杖をついて貴族令嬢たるその面持ちを何となく眺める。