2020/07/06 のログ
ご案内:「王都マグメール 富裕地区 魔法屋」に竜胆さんが現れました。
■竜胆 > マグメールの富裕地区に大きな魔道具の店がある、基本魔法とは自分の為の学び、自分で管理するものだが、そればかりでは無い。
王都第二師団の様に、魔法や魔道具を管理する師団もあるし、このように、店として開き、自分の技術を切り売りするものも居る。
ここは、簡単な明かりの魔法や、日常生活に使う魔導機械などを打っている店であり、王国に許可をもらって行っている場所だ、だからだろう、広く、清潔な雰囲気で魔法使いのイメージを払しょくするような場所。
「――ま、それもそうですわね。富裕地区となれば、メインは貴族。それを考えれば当然この程度は。」
そもそも、魔導機械などは、簡単なものだとしても庶民には払いきれないほど高価なものがほとんど。それを考えれば此処の客層からして不潔なら近寄りもしないものだ。
それを思い出して少女は、くつくつと、喉の奥で笑って見せる。
そこにいる少女は、貴族ではなく平民で、どちらかと言えば、ここの店主に近しい―――魔法を研鑽するモノだ。そして、ヒトデナシでもある。
性格的な部分も多分に含まれるが、その背中には、折りたたまれた竜の翼、ふわりと大きく膨らんでいるスカートの下からは、竜の尾が。そして、その米神から後頭部に流れるように、竜の角がある。人竜(dragonhalf)と、一族は呼称しているが、竜の血を持つものである。
年がら年中家にいる故に、家にいるメイド長シスカ嬢に『偶には外に出てください、掃除ができません!』と、蹴り出されてしまったのである。
流石に彼女には勝てないので、やれやれ、と街の散策をすることにして、そういえば、と噂で聞いていた店に入ることにしたのだった。
様々な魔法の道具や、魔導機械などが展示されているが、目的は、魔導書である。さすがに売ってはいないだろうか、売っていても日常的に使う魔法のそれだろうなという期待の淡さを隠すことなく。
少女は憮然と、そして、堂々と歩くのだ、幸い、店に人はほとんどおらず、店員が魔導機械を磨いているだけのようだ。
■竜胆 > 売り場はそれなりに分かりやすくなっているようだ、様々な魔道具が置いてあるが、目を引くものはない。
どれもこれも、『日常的に使う』物であり、自分であればそれがなくても困りはしない物、魔法で出来ることでしかない。そういう物を道具に込めて使えるようにする技術はすごい物だと思うが、それは自分の求めるものではない。
欲しいのは魔導書―――魔導の知識だ。分解からの確認もいいが、今は其処まで立って居ないのだ、まだ、研究が必要だから。
そもそも、この店の主人の様に、道具に落とし込んで誰でも使えるようにするという感覚が判らない、他人にそれをして確かに金は稼げるが。
「――あぁ。そういう、事。」
これは、こうして稼ぐという事を見出したという事だろう。
そう、研究には金が必要で、確かに、この店の店主の様に金を稼ぐ手段があれば研究を続けられる。
姉の様に、自分が居なくても店が回る様になれば、放っておいても金は手に入るようになるし、金が手に入れば研究を続けられる。
成程、と納得した、だからわざわざ遠回りをしたのか、と。
そもそも、彼が何の研究をしているのかは知らない、ただわかるのは彼がこの技術は放逐していい物だと判断したという事か。
なれば、自分にとってそれは不要か?―――否。
それは見てみなければ判らないし、魔導書があり、其処から別の研究のヒントがあるやもしれない。
だから、少女は奥へ、と進む。魔導書のコーナーがあればいい、と。
■竜胆 > 店の通路を奥に、奥に進んで、徐々に変わる品揃え、最奥に近くなってくると、幾つかの書物が置いてある。魔導師などの為のブースだろうか。
少女はワクワクしながら値段を確認する、やはり貴族等を目的にしているからかそれなりの値段であり、一般市民が出すには少しお高い。
そして……題名を見て、少女ははぁ、と息を吐き出した。落胆の表情、隠すことなくて。
「光球……。こっちは、生活用の浄化……清浄…、浄水、低級保存……着火に……。」
ああ、やはりという思考がある。此処の目的は、貴族やその子息子女達の為の生活魔法、簡単なものである。
先ほどの考えに戻れば、研究するために金を稼ぐ、そのための場所が此処だそこで本来の意味の魔導書を置いても仕方があるまい。
万一があればいいなと思ったが、それはやはり無いか、と。
貧民地区の、魔法書店などであれば、食うに困った魔導師が生きるか死ぬかで研究を切り売りするので、それなりに確度の高い魔導書が出る。
こちらは安定しているので、そういう物を出す理由もない。
竜眼で、改めて鑑定してみるも、魔力の高く籠る物―――本物は、無いと見える。
真贋でいえば、どれも本物だ、ただ、自分が求めるような、魔導書はない。魔導書自体は、先ほど言った生活魔法の魔法指南書程度のはある。
普通の魔法使いが見れば悦ぶような、魔導書もまた、ある。―――ただ、自分が求めているようなものがないというだけだ。
最初の期待薄ではあるが、気ばらしにはなったか。もう少し、散策するのもいいわね、と。
視線をそらし、少女は店をゆるり、と歩き回る。
ランプの魔導機械とか、見て学ぶぐらいは、しても罰は当たるまい。
■竜胆 > 一頻り、店の中を歩き回り、中を見回って確認していた少女。視線をあげてみれば、それなりに時間が経っている模様。
それなら、そろそろ家に戻っても大丈夫だな、と感じる。少女の寝室は、さほど広くはないのだし。『書庫』に入ることができるのは、自分か、自分が連れて行ったものだけか。
後は―――家令長と、母親くらいか、姪は……どうなのだろう、姉の方であれば才能は有る、妹の方は無理。
メイド長も知らないので入ることはできないし、その才能もなさそうだ、安泰ね、と軽く息を吐いて、にぃ、と笑って見せる。
一度家に戻って、身をきれいにして、食事をしよう。
その後は、その時に考えて決めましょうか、と少女は軽く考えて。
さて、と、と出口のほうに歩いていき。
そのまま、店から去っていくのだった―――。
ご案内:「王都マグメール 富裕地区 魔法屋」から竜胆さんが去りました。