2020/03/24 のログ
ご案内:「王都マグメール 富裕地区/夜の静寂」にビョルンさんが現れました。
ビョルン > 【待ち人有】
ご案内:「王都マグメール 富裕地区/夜の静寂」にアンネリースさんが現れました。
ビョルン > 人づてに秘密裏の約束を取り付けた夜。
貴族の屋敷にしてはほぼ警備する存在は見えず安堵しながら婚約者である少女の眠る寝室の下まで足音を殺してやってくる。

そうして、足元からほんの小さな石を拾い上げれば寝室の窓へ向けて投げ上げた。
深夜近くまで遅くなってしまったが、起きていれば窓硝子の立てた音に気付いて貰えるだろう。

アンネリース > 昼間に出入りの人から渡された小さな手紙。
その内容を読めば小さく笑みを見せてその時間を待ち。

深夜近い時間となった頃に小さく窓硝子に何課の当たる音。
その音にカーテンを少し開けて周囲を見、そして下に目を向けるとそこには約束の彼。

そっと部屋を、そして屋敷を抜け出して寝室の下で待つ彼の元に向かい。

「お待ちしていました、ビョルン様」

遅い時間だというのに会えて嬉しいと笑みを浮かべて。

ご案内:「王都マグメール 富裕地区/夜の静寂」にアンネリースさんが現れました。
ビョルン > 家人全員寝静まっているだろうか。
屋敷からそろりと抜け出してきた許嫁の姿を認めれば、口の前に指を1本立てて『静かに』の仕草。

そうしてそのまま足音を殺したまま近づけば腕に抱えてきたローブを彼女の肩へと掛ける。

「こんばんは。
 お会いしたかった、フロイライン<お嬢さん>」

接近できた機会に耳元へとそう囁き、手を引いたら足早に裏口から屋敷内を出てしまおう。

「馬はないので、そう遠くへは行けませんが。
 どこへ参りましょう」

山の手の富裕地区は少し行けばボートを浮かべた池や、2人掛けブランコのある公園がある。
どちらも若い男女には人気の場所だが、とっぷりと夜も更けた今では他に人はいないだろう。

アンネリース > 滅多に会えない彼に会えた事につい声も弾み。
彼の仕草に慌てて口を手で押さえてしまい。

誰か起きてこないかと心配して屋敷を振り返れば、足音を殺し近づいた彼にローブをかけられて。

「私もお会いしたかったです。
今日はずっと楽しみでした」

小さな囁きに私もと小さく返して頷き、手を引かれて裏口から屋敷の外へと抜け出し。
こんな時間に屋敷を抜け出す事は早々ないのでつい楽しそうに笑みを浮かべて。

「この時間に馬は目立ってしまいます。
それでしたら……あちらにしましょう」

ほんの少しだけ悩んだ仕草を見せて山の手を指さし。
富裕地区の数少ない人気の場所で今ならば人の少ない所の一つ。
そこでボートに乗りましょうと小さいながら声を弾ませて。

ビョルン > 屋敷の裏口で、門柱の小さな明かりの下でやっと互いに視線を交わすことが叶う。
彼女の言葉に、口元上げた穏やかな表情を見せて頷いたら今度は苦笑い気味に口を尖らせて。

「だって、フロイラインのお父様はなかなか2人きりにさせてくれないんだもの」

愚痴っぽく言ってみては手持ちの小型ライトの中の蝋燭に燐寸で火を点す。

「そう、馬なんて居たらついうっかりあなたのことを遠くへ連れ去って隠してしまいたくなるかもしれない──…」

本気かどうか、囁いて首を振れば手を繋ぎ直す。
希望を聞けばその方向へ歩きはじめる。
数分も歩けば広く長閑な草原と、池が見えるだろう。
岸の杭には2人乗ればぴったりという大きさのボートが係留されている。

アンネリース > 「それはそうですけど…。お父様にはお父様の考えがありますから。
でももっと会いに来てくださればいいだけです」

周囲に人目がなければ彼を見詰めて私も会えなくて不服ですと。
父の考えもあるだろうが、それでももっと来て欲しいという我儘。

「魅力的な言葉ですね。でも大変な事になりますわね」

それでしたらずっと一緒と楽しそうに笑みを見せて手を強く握り。
彼の一歩後ろを歩くようしてついていく。
昼間では本当に直ぐだと思える距離も夜では長く感じる事が出来、広い草原と池が見え。
そこに係留されるボートが見えると乗りましょうと、今度は彼の手を引っ張っていこうと。

ビョルン > 「ええ、きっと。
 うちの義父にも、それなりの──まぁ、何かあってのことでしょう。
 今度は大手を振って、ディナーにでも」

彼女は恐らく屈託なく、己の存在を求めているだろう。
そうして己もまた同じく。

「──そんなこと仕出かせば、どうなるかな。
 僕は中指を失い、あなたはもっときっと安く買い叩かれるようにして遠くの金持ちと祝言──でしょうか。
 ああ、怖い怖い」

手駒同士でもそれが望まれぬタイミングなら引き離されるだろう。
それが、己たちのいる世界の冷酷さだ。
相手の言葉に釣られるように自然、坊ちゃんのような言葉遣いになる。これで刻限が昼間ならば、傍目に両家の子女の健全なデートに見えただろう。

相手に続いてボートに下りれば真ん中へと腰を落とす。

「寒くないですか。
 良ければ隣へ」

ライトも置くとボートに掛かった舫い綱を取り、両手でオールを握りゆっくりと漕ぎ出す。
暗がりの中にオールの音だけが響く。

アンネリース > 「そうなのでしょうか。
お父様は時々何を考えているか判りませんから。
いいですわね、是非そうしましょう」

会いたくても会えない人に今こうして会えている。
それが嬉しくて少しでも彼と共に居たくて求め。

「そうなればもう二度と会えませんわ。
私は地方の貴族の所に嫁ぐことになってしまいますから」

それだけは嫌ですと首を振っては嫌がり。
もう二度と会うことが出来なくなるのだけはと。
そして本当なら昼間にデートをしたいがこんな時間にしなければいけない事だけが少し残念。

「では…お邪魔しますね」

ローブのおかけで寒くはないが彼の隣にそっと腰を掛け。
係留ロープが外され、彼がオールを取ればボートが動き出し。
殆ど周囲は何も見えないが彼に寄り添いボートが進み風を切る事に身を預けて。

ビョルン > 「それがわからないうちは、僕たちも大人になりきれないのかもしれない」

婚約期間が長いのは両家の親同士の手打ちの結果なのだろうけれど。
男子たる己は何やら試されているようで気になるところではある。

けれど今はこうした時間が嬉しいと言ってくれる彼女のため、微笑みかけて頷く。

「二度と会えないのは不本意だけれど、こうして会えていい気分です。
 まるで──出し抜いたような気分だ」

くすくすと小さく声を立てて笑う。
昼間とて、2人きりで会うとなれば両家から何人の監視がつくようになるだろう。
その全てを出し抜くことはきっと無理で、その上に今日のようなささやかな逢瀬の時間があった。

ボートの上では並んで行儀よく座り、漕ぎ出す先に早い春の水生植物の花を認めて漕ぐ手を一旦止めて。

「──とっても静かだ。
 耳を澄ませば、互いの鼓動が聞こえたりしないかな」

くすり、と笑う息を続けて。

アンネリース > 「でしたら大人にはなりたいとは思いません。
だって……会わせてくれない理由はきっと些細な事ですから」

貴族が婚約を行うのは打算的な事が多いがその期間が長い事には文句があり。
その理由も私達にはきっと関係ない事だと思っていて。

そんな両親達に寄って会えない時間が多いだけに、こうして会える時間は本当に嬉しい時間。

「もっと会いたいですけど、こうして会えるので今は我慢いたします。
でも見つかったらもっと会えなくなりますから気を付けないといけませんね」

出し抜いたという言葉にくすくすと笑ってしまい。
監視が付いた中で会うのは堅苦しく自由もない。
そして無理に出し抜こうとすればもっと会えなくなってしまう。
だから今は隠れての逢引きで我慢するしかなく。

ボートに乗れば本当は水面を覗きこんでみたいが暗闇もあって我慢して。
進む先に花が見えれば綺麗とつぶやき。

「だって皆が眠っている時間ですもの。
聞こえるかもしれませんね」

どうかしらと確かめるように彼の胸元に耳を寄せ。
完全に無防備な姿で鼓動が聞こえるかと耳を澄ませて。

ビョルン > 準備期間を長くして、より集金しようとしているということもあろう。

「大人にとっては些細とはいえないのでしょう。
 少しは好きにさせてくれても、とは、思いますが」

こんなにも会いたいと言ってくれる彼女は、正直愛おしい存在だ。
互いの感情を一般に恋情と呼ぶかは経験不足の上、鈍感にして知れず。

「──今、こうやってひっそり会えている時間だけが本当の関係なのかなぁ、と思うこともあります。
 互いの親をつけての会食なんてのは、家のためだもの」

そうして本当の自由が与えられるのは祝言後、となるのだろうか。

池の水面は月を映し、ボートが伝えた波で揺れている。
少女が己の胸へ顔を持たれさて、耳を澄ませるとゆっくりした仕草でオール受けにオールを置く。
そうそて、そっと彼女の体へ腕を回して抱擁する。

「──聞こえましたか? フロイライン」

囁く声で十分な静謐さの中。
己の腕の中に相手の体温を感じていればボートも完全に静止し。

アンネリース > 今回の縁談も大本はお金のため、それを知らないほど初心ではなく。
ただ、そんな考えに振り回されるのは正直面白くもなく。

「私達には些細な事でしょう?
えぇ、好きにさせてくれるのなら何も言いませんのに」

好きにさせてくれない、愛おしい彼に自由に会うことも出来ない。
貴族間では恋愛はないというが…私はこれは恋愛だと信じていて。

「お父様の持つ本にはひっそりと会う恋愛もあるとありましたわ。
私はあんな会食よりも二人で食事がしたいです」

何時になれば本当の自由、好きに会えるようになるのだろうと肩を落とし。

月明かりの中、水面に浮かぶボートで二人きりの今は幸せな時間。
彼の胸に顔を寄せればはっきりと聞こえる鼓動の音。
その音に安心感を覚えていれば、抱擁されて。

「よく聞こえました。とくんとくんと」

綺麗で澄んだ音ですと囁いては身を預けたまま。
抱き寄せられる暖かさと安堵感に身を任せて。

ビョルン > 本来であれば似た身分の間で取り交わされてきた貴族の婚姻。
義父が爵位を欲しがる余りに己に回るとは思わなかった。

「失礼ですが、フロイライン。
 僕以外の男と話したことは──?」

屈託のない思慕の現れを見れば少し不安になって問いかける。
そうして続けられる言葉には

「ああ、『モンタギュー姫とキュピレ王子』かな。
 僕は、どうでしょうね──もっと食べたいものがある。
 ……あなたを、食べてしまいたい。誰にも、内緒ですよ?」

胸の中に健やかながら柔らかな少女を抱いていれば、そんな欲も芽生えないと言えば偽りとなる。
己の鼓動がよく聞こえたと言う少女の頬へと手を添えて、じっと見つめる。
触れられるものならば触れてしまいたい思いで、間近に視線交わし。

アンネリース > 最初に縁談の話を聞いた時には身分の違いに驚きもした。
しかし父の様子と彼と共に来た相手の様子に何を求めたのかを察することも出来。
唯一の救いは彼が好ましい人だったと言う事。

「ビョルン様以外とですか?
勿論あります。ですが……」

不思議な問いかけに勿論ありますと答え。
社交界やそれ以外でも話すことは多々とある、ただ目に適わずに印象として残っていないだけで。

「お読みになった事が?私はあの物語が大好きです。
食べたいもの……わ、私をですか?」

彼の腕の中で身を預けていれば驚きの言葉に視線を泳がせ。
頬に彼の手が添えられて視線が合えば頬に赤みがさしてしまい。
間近で視線を交わす恥かしさに何も言えなくなってしまって。

ビョルン > 今の家に拾われなければ義妹と諸共、幼いままに死んでいたやもしれない己。
その婚姻くらいは交渉手段として使われることに驚きはなかった。
けれどまた、出会った少女が実に活き活きとした瞳で己を見詰めるのが胸を打って止まない。

「いや、変なことを聞いた。
 忘れてください」

そうした視線が似た歳の異性へ向けられる珍しもの見たさの視線ではないことは聞く前からわかっていた。

「本を読むのは、好きですよ──芝居も、いいですが」

名前を出した悲恋物語でも描かれたように、己が少女を『食べたい』と言う意味は知れたと見えて掌に伝わる温度は高まったようだ。

「目を閉じて、」

水面を渡る風程の声音で囁けば少女の唇にそっと自分の唇で触れる。

アンネリース > 貴族の家に産まれはしたが社交界ではお淑やか。
それ以外では少々活発的問いのもあり縁談が急がれた私。
その相手の彼には最初は驚きはしたが今まであった異性の中では一番素敵と思える人。
自分が知らない事も多く知っている彼と一緒に居るのは本当に楽しくて。

「…そうですか?」

何か変な事があったのかが判らずに彼を見詰め。
しかし忘れてと言われては問う事はせずに忘れることにして。

「お芝居?私もお芝居も好きですよ」

読書だけでなく彼と趣味と同じと言う事に嬉しそうに微笑み。
彼のその言葉にもしかして…?と不安な視線を向けてしまい。

「は、はい……ん……」

その囁きに瞳を閉じれば唇に触れる感触。
その感触すらも幸せに感じてしまって。

ビョルン > 不思議そうにする少女に笑み返す。

「なら、もうひとつ悲劇ではありますが今度都で興行があれば『オフィーリア』など見に参りましょう」

先程の書籍と同じ劇作家の作とならば興味も惹くだろうか。

少女を抱きすくめたままの口づけ、触れてちゅっと音立てて離すだけの親愛のキスに留めた。

「これ以上は、僕自身がその指輪の魔法で弾かれ兼ねません。
 ──なんとも、『形式』を重んじることのじれったさを感じています」

そうして彼女を抱きしめたときと同じように緩慢な動作で腕を解けばまた岸へと向けてボートをこぎ出す。

ぽつりぽつりと会話を交わして、空が白む前にボートを杭へと繋ぐ。

「嫌でなければ、今度は寝室にお邪魔します」

岸からボートの中の少女へと手を差し出しながら、真摯な表情で告げ。

アンネリース > 「悲劇はあまり好きではありませんが…ビョルン様と一緒でしたら是非」

悲劇と聞くと表情が曇ってしまうが好きな作者の演劇となればやはり興味はあり。

抱きすくめられたままの触れるだけの、親愛の込められたキスに小さく息を吐き。

「きっと大変な事になります。
ですが形式も必要な事ですわ」

そっと左手の付けた指輪を撫でて小さく告げて。
そうしてボートが岸にと向かい始めても身を寄り添わせたまま。

少しでも大事な時間をと話を続け、やがて空が白くなる目にと岸に到着し。

「そ、その……お待ちしています」

彼の手を取りボートとから岸へと戻り、真剣な表情の言葉。
その本気さを受け取れば消えそうな声で小さく頷いて。

ビョルン > 手を繋いで、広い野原を過ぎる頃にはライトは不要になっているだろうか。

「ええ、必ず参上します。
 ──そのときまでさようなら、フロイライン」

屋敷の裏門で再びキスをして一時の別れを告げる。
少女の姿が館へ消えるのを見守ってからこの辺りを立ち去る。

ご案内:「王都マグメール 富裕地区/夜の静寂」からアンネリースさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 富裕地区/夜の静寂」からビョルンさんが去りました。