2019/12/28 のログ
シェレグ > 掴まった当初からの己の暴れっぷりもあるのだろう、貴重そうな物品やらも一緒に避難させている様子がちらほら。
相も変わらず不機嫌そうな表情の儘、肩を起点に腹筋に力を入れて身を起こす。
音の位置、距離を捉える為に白い耳がぴくぴくと忙しなく動き。

「――――誰が、」

するか、とまでは言葉にはならなかった。
言葉が放たれる位置の距離を掴めれば、大体の人型の首が何処にあるかはわかる。
ぐわ、と大きく開けた口から覗く些か鋭さのある八重歯は牙と称しても問題ないだろう。
相手の首に突き立てん、と膝を伸ばして距離を縮めようと。

刀鬼 紫沙希 > 猛獣を思わせる耳が周囲の状況を把握する。
視界を塞がれた所でこの少女にとってはたいした意味はないのだろう。
それを察知した鬼は、身構えることはなく。
不敵な笑みを浮かべていた。

「ほう、早速噛みつくか。
これはどちらが強いか教えてやる必要がありそうだな。」

心底楽しそうな鬼。
親分の危険に取り押さえようとする子分たちを静止し、飛び掛からんとする少女を迎え撃つ。
生憎こちらは両手両足が自由な立場。

少女の首を左右の手で摑まえると、気道を塞ぐ勢いで締めにかかる。
指が痕を作るほどに締め付ければ、鬼の人並み外れた膂力の強さを身をもって知ることになるか。

「こちとら君みたいな跳ね返りを屈服させることに飢えていてな。
どれ、これ以上何ができる?」

シェレグ > 奴隷商に捕まったのは己の手落ちだ。脱走する隙があればするつもりではあったが。
然し、言ってしまえば金を出しただけの相手の下に唯々諾々と傅く、と言うのは矜持が許さなかった。
それが例え十全の力を発揮できずとも、だ。

「グ、ぅ……っ、…!」

単調な動きが止められてしまう事は想定済みだが、考えていた以上に力が強い。
容赦なく締め上げられる首に、カ、と頭が熱くなる。
それを堪え、伸び上がらせた膝に更に力を入れる。
相手は声が近い場所――つまる所、足の踏ん張りがろくにきかない姿勢を取っていると言う事だ。
己の全体重で跳ね上げれば、相手を転倒させられないかと言う試み。
無論、首を取られているのでハイリスクではあるが。

刀鬼 紫沙希 > 「ほう、まだ諦めんか。」

少女はなかなか強情である。
首を絞めつけた程度では動きを止めることは無かった。

首から先は赤く染まるほどに締め付けられ、常人であればとっくに気を失っている所。
ミレーであるからか、それとも少女が特殊なのか。

脚を屈めた格好で飛び掛かれると、鬼はそれに逆らうことなく転倒する。
ころりと転がった鬼に対し、拘束されたとはいえ上を取った少女。

「やるなあ、だがその状態では俺を殴ることはできんぞ?
どうする?」

鬼もまた、首を掴んだまま離さない。
手が外れた瞬間、首を噛みつかれてしまうことは重々承知なのだ。

子分たちは鬼の酔狂を呆れた様子で見ていた。
致命傷を負わせでもしなければ周囲が手を出すことはないだろう。

上に跨ったとはいえ、拘束されたまま。
おまけに首への締め付けは一層強くなる。

シェレグ > 見えない視界が弛み、体のバランスが崩れたのを感じれば、相手を転倒させた事を理解する。
が、運良く首を捉える力が緩んでくれる、と言う事は無かったらしい。
後ろ手に拘束された儘では相手の手を離れさせる事も出来ず、次第に白んで行く視界。

「ッ゛、…―――、……! ―――――……、…」

心底悔しい、とありありと表情に出ているのが目の前の相手にも見えた事だろう。
次の瞬間、くたり、と力を失った身体。
完全に意識が飛んでいるらしく、耳も尾もだらりとその場に降りて。

刀鬼 紫沙希 > 「久しぶりに死ぬかと思ったぞ。」

意識を失った少女が腹の上で力尽きると、子分の一人に命じて首輪と鎖を装着させる。

それを子分に持たせてから、鬼はゆっくりと少女の股座の下を這いずり出て。

「これでどちらが強いか理解してくれればいいがな。
なかなか手を焼きそうだ。」

その割には嬉しそうな鬼。
衣服についた泥を払うこともなく鎖を手に。
意識を失った少女の身体を片手で担ぐと、まるで手荷物を運ぶかのように屋敷へと向かうのであった。

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