2019/06/15 のログ
キュリオ > 部屋から女の嬌声が響くまで、そう時間はかからなかった。
欲望に忠実に、その熱をぶつける行為は長く続き―――

ご案内:「王都マグメール 富裕地区/貴族邸宅」からキュリオさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 富裕地区【目隠し鬼の宴】会場」にルドミラさんが現れました。
ルドミラ > 連日連夜、宴という名の乱痴気騒ぎが続く王城では、そろそろ趣向を一捻りしようという向きも増えてきて。
本日の夜会の主催者もまた、その一人であったらしい。

『──それでは諸君、グラスを置いていただこう。
ここで、宵闇の魔術を使わせていただく。
再びあかりがついた時、諸君の腕の中にいる者が誰か。
しばし目隠し鬼の気まぐれにお付き合いのほどを。よろしいかな?
3、2、1……そぉら!』

不意に照明が消えて、あたりが闇に包まれるとあちらこちらで歓声と悲鳴が起こった。
蝋燭の類は元より、魔術由来の照明もすべてが漆黒に呑まれ、
宴の参加者全員が──王族、貴族、そのお付きの者や護衛、配膳係に至るまでが目隠し鬼であり、
その餌食ともなりうる。
先程まで優雅に談笑していた相手をいきなり抱き竦めても、
衛兵が貴族の子弟に戯れかかってもお咎めなし。その場で愉しむもよし、
あかりがついてから別室へ移動してもよし、という趣味がよいとは言えぬ趣向であった。

ルドミラ > さて、門閥貴族の中でも遊び人として知られるこの主催者は娼館『女王の腕』亭のお得意様である。
何も聞かずに娼婦・娼夫たちを10名ほど連れて来てくれ、と依頼されていた女主人は、
ようやくその意味に合点が行ったところ。
彼女ら、彼らと隣室で待機していた女主人もまた、暗闇の中。ぱん、と掌を鳴らす。

「……御前のお望みは聞いたわね。さあ行って。好きなように食い散らし、
食い散らかされなさい。
ただし、なるべくケガをしないように」

そう指示して扉を開け。
目隠し鬼を会場に放ち、ほぅ、と一息ついた。急に視界を閉ざされて、
誰もがゆっくりした動作で動いているような気配を感じる。
笑い声や嬌声にまじって、ごちんという鈍い音や、「痛ッ」という悲鳴が聞こえるのはご愛嬌か。
掌で壁を探り当てると、壁伝い。不幸な事故に巻き込まれぬよう、ゆっくりと移動する。

ルドミラ > 高低の異なるいくつもの笑い声と、ざわめきと、人いきれの熱気とが、
真っ暗闇の中で渦を巻いている。
獣の暗視の目でも持っていれば、いまこの会場中でさぞかし面白い光景が見られるだろう。

壁伝いに先程までの控え室を目指して歩いていても、時折だれかと肩がぶつかる。
相手は失礼いたしました、と折り目正しく恐縮する女性。
あなたは大丈夫? と応じながら触れた腕は相当に鍛錬を積んだ感触で、
衛兵か誰かの護衛と知れる。
声と、触れた感触、そして香。視覚をのぞく全感覚を総動員しても、相手のおおまかな
輪郭だけしかわからないというのは、

「面白いけれど不便ね。どうぞ、お気になさらないで」

相手の顔があると思しき位置にむかってそう囁き、通り過ぎた。

ご案内:「王都マグメール 富裕地区【目隠し鬼の宴】会場」にカーレルさんが現れました。
カーレル > パーティー会場の階下、使用人たちが働く厨房
知己のある料理人に調理に使う研いだ刃物を届けると、面白い話が聞けた
なんでも、今、この屋敷では面白い催し物が開かれており、上手く紛れれば酒もオードブルも食べ放題飲み放題なのだとか
それは良いことを聞いた、と衛兵の監視を掻い潜り、会場へと続く扉の前に立つ
門前に立つ衛兵に差し入れだ、と料理人から受け取った包みを渡せば、隙を見て会場の中へと入り込む

「う…っ、真っ暗だ…何してんだこれ…」

眼が慣れるまでしばらく時間を要する…のだが、此方は精霊を身に宿している
程なくして眼が慣れてくれば会場の中がハッキリと見えてきて…うわぁ…と小さく声を漏らす
しかし、まあ、貴族の遊興なんていうのは大抵はこんなものであるから嫌悪するのも一瞬のこと
テーブルに残されたオードブルや酒が目当てであったから、するり、と人の合間をすり抜けるように、
テーブルへと向えば背の高いグラスをひょいと摘み、満たされた酒に唇を濡らす
続いて小皿にオードブルを幾つかひょいひょい、と取り合えると周囲を眺めつつ口に運ぶ
流石、貴族の館に務める料理人の料理、味は良い…これ、美味いな…とか、内心思いつつ、
十分な量を確保すれば遊興の様子を眺めながら壁際に寄っていった

が、周囲の様子に意識を取られすぎたらしい
不意に此方に向かってくる彼女と肩が触れれば、驚いてついつい、声を上げてしまった

「これは失敬…」

彼女の視線が此方を向けば、此方はハッキリと彼女の顔が見えているから、
驚いた間抜け面がそこにはあるはず

ルドミラ > とん、とまた誰かと肩がぶつかる。今度は男。
反射的に謝罪の言葉が出てくるということは、あくまで今の時点で狼藉者ではなさそうである。
声のする方へ顔を向ける様子から言って、女の方からは男の顔が見えていないようだった。
ゆえに、短い言葉を聞いただけの相手がよく知る相手であることにも、気づいていない。

「こちらこそ、失礼。……ごめんなさい、少しずれて下さる?
このまま進むと、あなたの足を踏んでしまいそうなの」

落ち着いたアルトの声。もう一度手探りで相手の位置を確認して、こちらからもそう声をかける。
相手の肘のあたりから、上腕へ伝った白い手が、きゅ、と腕のかたちを確かめた。

「……?」

何かがひっかかった様子で、ぴた、と女の動きが止まる。
男の暗視の目には、軽く傾いた白い顔がわずかに眉を寄せているのが見えるだろう。
覚えのある何かを、思い出せそうな気がする。においか、気配か、感触か。

カーレル > まさか顔を見知った相手がいるとは思ってもおらず、つい言葉が漏れる
真っ暗闇故に誰に咎められることもなく、外の衛兵たちの死角を突くようにして潜り込んできたのであり、
正規の招待状を持ち合わせている、なんてことは当然ないので、誰かが不審に思えばそれでお終いである
そうなったとて…逃げ出せないことも無いのだろうが

旨い料理と会場の異様さに意識が向いて、周囲に気が付かなかった自分を呪いつつ、もぐ、と小皿に乗った料理を
口元に運べば、ゆっくりと咀嚼する
彼女の言葉に彼女が自分に気がついていないのだと判れば、黙ったまま一歩下がり、
そのまま逃げ出そうとしたのだが白い指先に触れられて、きゅっ、と捕まえられてしまうとそれ以上は下がれない

「………」

困った、と思いつつ僅かに眉を寄せる彼女の表情を伺えば、現実逃避か混乱か、こんな表情もする御婦人だったか、
なんて思ったり
そんな状況であったが、もう少し彼女を困らせてみたい、なんて悪戯心がふつふつと芽生えてきて、
我慢できずにそっと腕を上げれば無言どころか呼気すら抑えるようにして、彼女の頬にそっと指先で触れる
白い肌を軽く擽るようにしながらそのまま額の辺りにまで指先を滑らせて

ルドミラ > 暗闇に目が慣れてきても、無数の人影が蠢いているのが何となくわかるだけ。
料理の匂いが近くでするような。女主人の首の傾きの角度が、やや深くなった。

一度はす、と横へずれるような気配を見せた相手が立ち止まると、その動作で
生じた空気の流れを追うように、鼻先を動かして。
不意に頰をかすめた手の感触に、ぁ、と小さく声を漏らし、ひくりとむき出しの肩を縮めた。
……が、やはりなんだか覚えがあるような気がして、ろくに回避行動もとらず。

「あなたは……ん、ッ、……だあれ? この手、……いいえ。
少し、失礼するわね……?」

顔の周囲を注意深くめぐる、器用そうな手の感触。こめかみを逆なでにされ、二の腕にそわりと粟を立てながら
片手で追いかけて捕まえようと、指先を泳がせる。
そうして、自分から相手へ身を寄せた。背中に手を回し、からだの前面をやんわり重ねて、記憶を探る風。

カーレル > 首を傾けながらほっそりとした指先でこちらに触れてくる彼女
此方からも彼女に触れれば驚いたか、肩を縮ませる様子は普段の商人の表情の中に
暗闇の中で相手の正体を探る児戯に興じているような少女の面影があったように思えた

意外と判らぬものだな、と思いつつ彼女に触れていれば彼女から身を寄せられて
彷徨う指先が背中に回されれば本当に逃げ出せなくなってしまった
…柔らかな彼女の身体は重い鎖よりも余程、逃げ出そうとするを引き止めるのに効果があると思うがどうだろう?

「………」

自分では判らぬ何かを確かめようとする素振りの彼女に流石にそろそろバレるだろうな、と思いつつ
彼女に触れていた指先を引っ込めて、彼女の身に纏う高級そうなドレスを汚すまいとしてひょい、と
両手を上げれば何となく降参のポーズを取っているような気分なった

と言ってもこれ以上此方からヒントを出すつもりもなく、声を発さず彼女の好きなように振る舞わせる
決して、やんわりと重なる柔からな胸元の感触を堪能していたとかではない

ルドミラ > そこまでしてようやく、記憶巣にひっかかっていた何かが明確な輪郭をとり始める。
このむだなく引き締まった体つき。そして、

『あなたの中には、何か面白いものがいるのね』

いつぞや、そう言ったことのある相手だ。はぐらかされてその何かの正体までは深追いしなかったものの、
気配はしっかり印象に残っている。軽く息を呑むような音と、胸元の動きが
相手には直接伝わるだろう。

「………カーレル!?」

押し殺した声で相手を呼び、顔を引き。見えない相手の顔を見上げて、
一気に体の緊張を解いた。
手探りに、両の掌で相手の頰を挟み込もうと。そうして、

「いやね、どうしてここに──いえ、そんなことよりちょうどいいところに来てくれたわ。
あなた確か、夜目がきいたわね。壁伝いに歩いた先にある扉が見えて?
その向こうまで連れて行って」

一気にそう、囁きつのる。とりあえず避難が先と判断したのだった。

カーレル > 軽く抱きつかれるようにされると此方までムズムズしてくる
柔らかく重なる身体に鼻先を掠める香り、男であったらば誰だってそうなるだろうと思う
しかし、一体、どれ程の価値のあるのかも知れぬ彼女のドレスを汚してしまうのも恐ろしい

「………」

小さく押し殺した声が自分の名を告れば、正解、と伝えるように上げていた片手で彼女の頭を軽くぽんぽん
頬を挟み込まれて、彼女に外まで案内して欲しいと聞けば、視線が小皿と彼女の顔とを交互に向けられ
渋々、と言った様子で傍にあったテーブルに小皿を置けば、本当に小さく、ううっ…と唸り、彼女の手を取る

彼女の手を取りつつ、暗闇に動く人間と触れ合わないよう壁沿いに歩いていけば扉の前に立ち
そっと扉を開けば先に彼女を外へと促し、続けて自分も暗闇に包まれた会場を後にする
明るい廊下まで来れば瞼の裏がチクチクするような感覚に軽く目を擦るようにしてから彼女の方へと向き直る

「…マダム、料理の貸しはデカくつくぞ?
 一般市民の口にゃ、中々入らんようなものばかりだったしな…」

招待状もなく侵入したことなど棚上げし、不満げに彼女にそんな事を告げた

ルドミラ > 己の出した答えが正解と知れると、相手はこちらの頼みに逡巡の気配を寄越したものの。
結局は首尾よく、本当にするすると人波の間を塗って誰にもぶつからずに、
混沌とした会場からの脱出を助けてもらうことになった。
主催者のどぎつい趣向には、だが結局、乗ったことになったようだ。
ある意味目隠し鬼は、逃げる者を捕まえたのだから。

「……その口ぶりからすると、あなたまさか食べ物目当てであそこにいたの?
どちらにせよ助かったのは事実だから、お礼はするけれど」

明るいところで改めて見ると、相手は普段の仕事着である。誰かの護衛でも務めていたのかもしれぬが、
詳細は後で聞こう。
会場の喧騒が、この静かな廊下ではやや遠い。見回りが来る前にどこかへ隠れた方がよさそうだと、
今度は屋敷のつくりをある程度知っている女が先に立って、相手を促し。
ドレスの裾を引いて、歩き始める。

カーレル > 彼女を外に連れ出し言いたい事をとりあえず告れば、短く息を吐く
廊下に出てきたが門前の衛兵は未だに料理人からの差し入れの夜食を楽しんでいるのか姿がない
この屋敷の警備体制にも問題はありそうだが、屋敷の主の料理人の腕を見る目は確かであるのかもしれない

「ああ、マダムが知っているかどうかは知らないがこの屋敷の料理人は以前、王城に務めていた事もある
 なんでも、ここの主が無理言って下賜してもらったんだそうな…俺も噂の範疇で聞いただけだけど
 ………お礼、なあ…正直、そこまでしてもらうような事でもなかったんだが」

貸しだぞ、なんて言ったものの、冗談みたいなものでそれ程、働いたと言うつもりもなかった
彼女には仕事も何度か振ってもらっていたし、この程度の事でお礼を強請るつもりもなかったのだが…

貰えるものは貰っておいて損はない
彼女がドレスの裾を引くようにしてこちらを促せば、案内を任せて彼女の後ろから付いていく

ご案内:「王都マグメール 富裕地区【目隠し鬼の宴】会場」からカーレルさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 富裕地区【目隠し鬼の宴】会場」からルドミラさんが去りました。