2019/05/11 のログ
竜胆 > 「………。」

 退屈、と顔に書いてある少女、軽く息を吐き出し、周囲を眺める。
 楽しそうな祭りの様子に、ちっ、と舌を打ってさえ見せるのだ。
 そんな少女の様子を気にした様子のない、狼犬は散歩で歩くことが楽しいのか、あちらこちらをウロウロ。
 時折適当な角の匂いを嗅いで、しゃーっ、とマーキング。
 ちなみに、この周囲の野良犬たちのボスは、当然この狼犬です。
 生半可な犬じゃぁ、コイツにゃ勝てない模様。
 まあ、義理の母親が冒険の相棒に、と連れて行くのだから、その辺の実力はあるのだろう。
 そんな思考になりそうになって、そして、戻る視線。

 ――――あぁ、本当に、暇だ。

竜胆 > 夜の散歩というのは、人が少ないのが基本ではあるが………。
 今は時期がわるいのである。
 公主のせいで、どこもかしこもお祭り騒ぎであり、騒がしいことこの上ない。
 こんなに人が行き交うのであれば、いつもよりも激しくなろうものである。
 ちょっと裏路地を見れば、あんあんあんあん、盛りのついた猫のように、腰を振ってる奴らが居る。
 自分は一人、犬の散歩をしているというのになんという。
 そう考えると、ちょっとどころでなくイラっとしてしまうのだ。

 その辺の可愛い子を捕まえて犯して孕ませたい。
 甘い声を聞いていればムラムラしてしまうのは、仕方のないことだろう。

 ついでに、イライラもするのが少女という存在で。

ご案内:「王都マグメール 富裕地区2【イベント開催中】」にミヤビさんが現れました。
ミヤビ > そんなお祭り騒ぎの中、露店の一つ、なのだろうか。
ティーテーブルと椅子で、薬茶を飲みながらくつろいでいる狐の娘が一人。ぼんやりとお茶を飲んでいた。
前には薬茶の葉が、値段札付きで置いてあるので、たぶんで店なのだろう。しかし、彼女にモノを売る意思があまりになさそうすぎるのであった。

竜胆 > 「……?」

 不意に、狼犬グリムが頭を持ち上げる。のんきな散歩の中、何かに反応を示したので少女は不思議に思い、リードの先、グリムの頭を見る。
 グリムの頭は一つの方向に向けられていて、その視線を追うように少女はその方向を見る。
 そこには……お茶が、値札付きでティーテーブルに置いてあるのが見える。
 所謂露店があるのだ。
 奇妙な組み合わせなので、ひときわ少女の気を引いた。

 この場所は、富裕層の集まる所謂富裕地区である。
 つまり、お金持ちが沢山いる場所であり、商店も土地を買い、店を構えるのがほとんどだ。
 露店は平民地区のバザーなどで、流れ者が店を立てたりとか貧民地区で店を構える金がない人が苦肉の策で作るのだ。
 そんな露店を今はお祭りだからという理由でここに作るのだろうか、景観を気にする貴族とかが潰しに来ると思うのだが。

 そんなふうに考えれば、少しばかりの興味も湧いてくる。
 なので、狼犬を引き連れて、露天の方へと歩いていく。

ミヤビ > 「こんにちは」

のんびりお茶を飲みながら、そんなことをのほほんという狐娘。
明らかに場違いな感じでものんびりとお茶を飲んでいた。

「どうですか、一緒にお茶を一杯」

魔道具らしいティーポッドから注がれた薬茶は温かく、湯気が立っていた。

竜胆 > 「ええ、ご機嫌よう。」

 狐のミレーなのだろうか、少女は、のんびりとお茶を啜っている狐姿の女性を眺めて考える。
 貴族……という様子にも見えない。一体何者なのだろうかという思考。
 ティーテーブルの上にあるお茶と言うのに対しても視線を向ける。
 薬茶と言うのは見て取れたが、一体どんな薬効で、なんの草を使っているのだろうかと。

「申し訳ありませんわ?何も知らぬ相手より、唐突に誘われるお茶は飲まないことにしておりますの。
 この国ですもの、媚薬だの、毒薬だの仕込まれても仕方がありませんものね?」

 注がれる薬茶。
 得体の知れない液体、ドラゴンである自分は基本的に毒などは効果が薄い。
 が、ドラゴンでさえ欲情させる様な強力な薬だってあるのだ。
 初対面の見知らぬ相手から、唐突に差し出されて、飛びつくような少女ではない。
 じ、と少女は女とお茶を交互に観察する。

ミヤビ > 「あらあら、残念です。私、こちらで薬局をしています、ミヤビといいます」

そういいながら名刺を渡し自己紹介をする。

「これ自体は、最近家で販売している薬茶の一つ、ヴァニラというやつです。疲労回復、精力増強に効能がありますからまあよろしければ買っていってください」

そんなことを言いながらお茶を飲んでると、貴族らしき人が一人通りかかり、ミヤビにみみうちをすると何かを買って帰っていく。

「今日はちょっと出張販売中なんです。あなたはお散歩ですか?」

そんなことをのんびりしながらゆっくりとしていた。

竜胆 > 「ふーん……?」

 差し出されたカードを受け取り、少女はそれを眺める。
 薬局と言うのは、薬屋ということなのだろう、東方では、そう言う風に言うのだろうか、と、カードの裏を眺めたり、表に戻したり。
 すぐに興味が失せたのか、カードを狼犬の毛に刺してみる。
 狼犬が遊ぶなよ、とばかりにこちらを見るのだった、少女は当然無視をした。

「……普通に精力剤としか聞こえないのですが。」

 疲労回復に、精力増強。
 この国で言うなら、腰振って精液出して疲れた体に一杯。元気出たからまたヤろう。
 それ用のお茶でしかないように聴こえてくる、まあ、この国の考え方であれば、というものであろう。
 この国に生まれて育った少女もまた、そんな考え方なのである。

「ええ、見ての通り、この子のお散歩ですわ。」

 出張販売、というにはお茶を飲んでいる様子しかない。
 周囲を見ても、人々はこちらに目もくれずに楽しんでいる。
 呼び込みなどをしている様子もない。
 スタンスにケチをつける気も起きないが、本当に販売しているのだろうか。
 見知った存在が通りかかれば、先ほどのように買うだろうが、それぐらいのものでしかなさそうだ。

「商品は、これだけなのでしょうか?」

 ティーテーブルにある薬茶、ヴァニラ……だったか。
 それを指さし、問いかける。

ミヤビ > 「薬も一通り売っていますよ。避妊薬以外だったら大体あります」

そんなことを言いながらいくつか薬を取り出していく。
色とりどりの小瓶が、大きなカバンから取り出される。

「さすがにわんちゃん用のはないですが、人に聞くモノならいろいろありますよ」

そんなことを言いながらちびちびと、お茶を飲んでいく。ほへー、とぼんやりお茶を飲みながら、

「何か欲しいものはありますか? もう今日は店じまいの予定ですから、基本どれを売ることも可能なのですよ」

そんなことをのんびりといっていた。

竜胆 > 「あら?どうして避妊薬だけないのです?
 この界隈であれば、むしろその薬の売れ行きは良さそうですのに。」

 この国であれば、避妊薬があれば、妊娠を気にせずセックスしまくれるという考えが多くなるだろう。
 なのになぜ、そこをピンポイントで避妊薬以外という表現にしたのか、疑問を問いかける。

 カバンが持ち上げられて、その中から薬瓶が出てくる。
 人に効く薬という言葉に、少女はふぅむ、と考えて薬瓶を眺める。
 様々な薬をなんで出していないのか、という疑問が沸いたが彼女の次の言葉で解消したのだ。

「なるほど、店じまいでしたか、お邪魔してしまったみたいですわね?」

 店を畳んで家路に着く直前であれば、確かに売れ残りの薬のみの展示でも仕方があるまい。
 たまたま通りがかっただけであり、買う気もあまりないのであれば、彼女の邪魔となってしまうだろう。
 とはいえ、お茶に誘う時点で、雑談とかには飢えているようには見える。

ミヤビ > 「避妊薬は、体質的に作れなくてですね。困ったものなのです」

理由をボヤっとした感じで説明するが、なんにしろ作れないのだから置けないのだ。よく聞かれる質問ではあるが、作れないのだからしょうがない。

「顔なじみの人が買いに来るのでこうやって行商しに来るのですが、この時間ですし、もう誰も来なさそうですからね」

さっきの人が最後だったのです、といいながら、適当に薬をカバンに戻していく。
あまり買う気もない相手に、商売っ気を出すのも迷惑な話である。お茶をちびちび飲みながら、その片手間で薬をしまっていく。

「子供たちも待っていますしね。そろそろ帰るとします」

テーブルなどはそのままである。それでいいのだろうかと若干不思議になるかもしれないが、ミヤビはそのテーブルと椅子を放置したまま、その場所を去るようだ。

竜胆 > 「……体質………?」

 言葉に違和感を覚えた。
 体質的に作れないと言うのは、どういうことなのだろうか、と。
 材料に強い拒絶反応が起こるとかそういうところなのだろうか。
 薬の知識は……一応あるが、本職というわけでもないし、今はまだ勉強中なので口を挟むのはやめたほうがいいと判断をする。
 後で、師匠にでも聞いて調べてみるとしよう。

「確かに、今は良い時間でもありますわね。
 まあ、騒いでいるのは未だ沢山おりますが。」

 先ほどの貴族、確かに薬を買っていったのが見えた。
 碌でもない薬を買いましたわねぇ、と買った薬を思い出す。
 使い方もきっと碌でもないやり方なのでしょうね、と。
 カチャリという音がして、視線を向けてみればお茶を飲みながら器用に、薬をしまうのが見えた。

「ええ、お疲れ様ですわ。
 私もお邪魔致しまして申し訳ありませんわ。

 ……私は竜胆と申します。」

 そういえば、先程名乗りを受けていたが、返していなかったことを思い出す。
 帰る邪魔をしたのだ、そのくらいの事は軽い謝罪を込めて、名乗ることに。

 そして、名刺を狼犬から引き抜いて、懐へ。

「気が向きましたら、寄らせていただきますわ。」

 それでは、失礼しますわ。
 少女も、その場を去っていくのだった―――。

ご案内:「王都マグメール 富裕地区2【イベント開催中】」からミヤビさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 富裕地区2【イベント開催中】」から竜胆さんが去りました。