2019/05/06 のログ
ご案内:「王都マグメール 富裕地区2【イベント開催中】娼館」にジンライさんが現れました。
ジンライ > 富裕地区の比較的繁華街に近い場所にある、ゴシック調の邸宅風建物。
文化的にさえ見える外観に反して、それは名高い高級娼館のひとつだった。
比較的大規模な建物内には宴会場も設えられており、時折大勢の娼婦を巻き込んでの大宴会が開かれることがある。

その、大宴会が開かれた夜の夜更け。
宴会場はテーブルも席も乱雑に並べられたまま、乱痴気騒ぎの余韻として食事と酒と微かな紫煙が漂っている。
灯りは灯ったままであるものの、残っているのは大きなソファに腰かけている男だけの様子だった。

「………流石につれえ…」

ぐったりと背もたれに沈み込むように寄りかかって、男の口から掠れた声が漏れる。

ジンライ > 宴会は実は3日目だ。
主催は近頃王都を騒がしているシェンヤンからの賓客の誰だかとかで、金に糸目を付けずに7日間、女や女衒やらごと買い上げた。らしい。
とばっちりの様にして男もシェンヤン人たちにこき使われることになったのだが

(……やッぱ調子に乗ンのも程ほどにしねえとなァ…)

太鼓持ちよろしく一発芸のつもりで、賓客の一人の頭上に果物を置いて、それを気合一発、居合で細切れにして見せた。
見事成功はしたものの、拍子にその賓客の髪の毛がすこし宙に舞った。
…いや、ちょっと、浮いた。

「知らねエしよ……」

思い出してもため息が漏れる。
その場では取り澄ましていた賓客は、後程男に対して『勤務中の禁酒』を言い渡したのだ。
お陰で、しらふで宴会に付き合う羽目になっている……

ジンライ > ソファの背もたれに頭を乗せたまま、ぐりぐりと左右に振る。
もう一発、溜息をつく。
よっ、と声を掛けて上体を起こすと、後頭部をがりがりと引っ掻きながら大欠伸を漏らした。

「あと、4日くれえか………」

宙を睨んで指で鼻をこすると独り言ちる。
勤務時間以外では酒を飲んで良いことになっているが、外見に似合わず意外と一人で飲む趣味がない。

「……外で飲むと金掛かンだよなあ…」

ジンライ > 宴会を充てにして、後の小遣いは博打に使うつもりだったが大誤算だ。

「賭場にゃ借り作りたくねえし……今日は眺めるだけにすっか」

口に出して言ってみるが、多分、使う。
薄々自分でも解っているが、言うことに意義があると思っている。
のっそり立ち上がりながら腰の後ろを探って、煙草を取り出す。
それを口の端に咥えると、だるそうな足取りで宴会所の出口へと姿を消した。

ご案内:「王都マグメール 富裕地区2【イベント開催中】娼館」からジンライさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 富裕地区2【イベント開催中】」にエアさんが現れました。
エア > 浮遊地区の街角に、子供が立って歌っている。
遊びの子供たちが歌うような元気ハツラツで音階もなにもないような「子供らしい歌」ではなく
「洗練された歌」だ。

明らかに訓練を受けて、才能のある者の歌。

穏やかで、暖かく、誰かを歓待するような歌。
それは今の、帝国の人々を迎えようというムードにあった歌であり
それを抜きにしても、聞いていて心地よいと感じる歌。

酒場の喧騒と共に盛り上げる歌ではなく
歌われるのなら、由緒ある家の開く夜会で歌われているような。
そういう歌だ。
そういう、いかにも優料で有料というレベルの歌を、赤毛の子供が歌い上げている。

――知る者しか知らない、符丁が織り交ぜられており
同業者や、情報を欲しがる者への売り込みでもある。

ご案内:「王都マグメール 富裕地区2【イベント開催中】」にセイン=ディバンさんが現れました。
セイン=ディバン > 富裕地区。一人の男がゆったりと歩いている。
それは、目的のない散歩、という様な足取りだ。
事実、男はただ面白い出来事を探して富裕地区を歩いている。

「……うん?」

その男の耳が、歌声を捉えた。
歌声に導かれるように、男は声のするほうへと向かう。
美しく、聞くものの意識を惹きつける声と歌だ。
しかし、それよりも男が気になったのは、その歌詞やリズムであった。
どうにも。何か暗号じみたものが隠されている気がする。
そうして、男は歌声の主を見つけ出す。

「ヒュゥッ。キミみたいな幼い子が、今の歌を?
 凄いね。驚いた。ちょっとお話いいかな?」

思いっきり胡散臭い笑顔で語りかける男。
遠目には、執事服姿の中年にみえるかもしれないが。
近づけば胡散臭さも目立つだろう。

エア > 「ほあ?」

声をかけられる。執事さんだろうか。執事さんっぽい。
でもなんだろう、なんだか胡散臭いけれど……自分の商売に関わるタイプの人で胡散臭くないひとはそうそういない。
というか、今の国に、清廉潔白なんて大人はレア過ぎるのだ。

だから別に声をかけてきた男性が……おにい……おじ……ちょっと呼び名にギリギリ困るラインでもOKなのだ。

「えっへっへー!歌得意やからね!!
んー?ええよええよー。お話ねっ!」

ということは、符丁を聞いて来たお商売だろうか。
もし別のお商売狙いのタイプだったら転移で逃げちゃう!
……優しげでちゃんとした格好なのになんでうさんくさいんだろう……。

とりあえず、すぐ近くのベンチを指さして。

「あそこでお話する?」

こてん、と首を傾げてみる。

セイン=ディバン > 接近し、しかし距離はある程度取ったまま微笑む男。
必要以上に相手に警戒をさせない為に、だ。
相手の内心の迷い。自身の年齢についてのアレコレには気付かぬまま。
男は相手の反応を窺う。

「いやぁ、本当に見事だったよ。
 金の取れる歌、ってやつだな、うん」

素直な、歌への感想を述べつつ、相手の示したベンチへと向かい、座る男。

「あぁ、ここでいいよ。ここで十分。
 ……さて、聞きたいことはあるんだけど。まずは自己紹介だよな。
 俺ぁセイン=ディバン。冒険者だ」

相手に名乗りつつ、首を傾げる男。
互いの名も分からなければ、仲良くなれない、くらいの考え。

エア > 距離感も、上手い。こういうお話や、それに似たことは今までいくつもやってきた人なのかな?
下手っぴな人はべたべたくっつく。どうだ自分は警戒しなくていいだろう、なんて顔にだしながら。
そういう人はあまりよくない。
あと、そういう気がなくてもベタベタしたい人は……あんまし向いてないかも知れない。
このおに……おじ……ええいおにいさんで!
お兄さんは上手い。海千山千?

「んふふー。実はお金とって歌うときもあるんよー」

にっこにっこ。色々なことOKだよという開店の看板を顔にだしながら、ベンチへ。

「うんうん。
……。そうやねえ、名乗るんは大事!挨拶はまずそこからー。
僕はエア=ヴィヴァーチェ。吟遊詩人と情報屋やってるよー」

情報は完全に信用商売。まずは、互いに敵じゃなくて、一緒におしゃべり出来ないと。
そう。こちらは今店を開いたのだから、お客さんが入ってこれないと。

「冒険者のお兄さんに、なんか力になれることってあるかなー?」

ふにゃりとした笑顔で、見上げて問う。

セイン=ディバン > 男の距離の取り方に対し、相手が考えを巡らせていることに男は気付かない。
流石に、そこまで頭が良い相手だ、とは思っていないのである。
だが、男は相手の言葉や振る舞いに、思考を引き締める。
相手が商売だと分かった以上、子供扱いしたりなどできない。

「まぁ、お前さんの歌だったら余裕で稼げるだろうなぁ」

くすり、と笑いつつ、相手と共にベンチに座る男。
そのまま、相手の名乗りを受ければ、微笑を強くし。

「エア、か。良い名前だな。
 吟遊詩人と情報屋とは、また若いのに凄いな」

幼い見た目に反し、なかなか凄い職業選択だな、と思いつつ。
男は、相手からの問いにしばし考え込む。
情報。今早急に欲しいものがあるとすれば。

「……そうだなぁ。最近でなくてもいいんだけど。
 なんか、金になりそうな仕事とか、そういうのがありそうな土地とかの情報とかあるかい?」

多少の荒事なら問題にならないんだが、と補足しつつ言う男。
冒険者にとって、ギルド以外の情報というのもまた大事。
特に、金を稼ぐなら情報は数多くあればあるだけいい。

エア > さあお商売開始。お兄さんとはいいお商売ができるかな?
買ってくれるかな?子供の言うことでも、聞く人がちゃんと聞けばしっかりしたモノだ。
出処が確かなものしか客には出さない。

「へへへー。そうやろー?歌ほんま好きやねんっ」

ベンチに座れば脚をぱたぱたとさせる。落ち着きなさいとよく言われるけど、お行儀のいい場所じゃないからいいのです。

「ふふ、ありがとっ。お兄さんもカッコエエ響きでええ感じっ。
親が年寄りでなー……お蔭でこんな歳からお仕事よー。大変ー」

にゃははー、と半ば苦笑。情報屋の筋は両親から引き継いで、そして自分の道として吟遊詩人。
さて、お求めのものは……?

「ほおう。……お金になりそうな……多少荒くっても……」

ふむ、と考える。あれは駄目、これはよし。これも、いいか。あれはダメダメ。

――。

「まず王都のなか。帝国の人たちが来てるこの情勢でー……1つ、そこそこの貴族が傾きそう。
うまくかっさらえるなら……財産の譲渡に割入って、手荒いマネでも脅してでも、財産何割か、それとも全部か。
イケるかもな。
もう1つ。逃亡兵から膨れ上がった山賊団があるねんけど。こいつらが希少鉱石の鉱脈を見つけたらしい。こいつらをなんとかできるなら、長いこと結構なお金が入る。

と、今すぐ出せるのはこの2つ。で、今んとこ言えるんはここまで。
どうする?」

セイン=ディバン > 「好き、ってだけじゃあのレベルにはならないと思うけどな。
 正直、歌の才能あると思うぜ」

相手の心底楽しそうな笑みに、男は苦笑しつつ答える。
裏表の無さそうな相手の振る舞いに、逆に男の方がやや警戒。

「そりゃどうも。しかし、なんというか。
 慣れてる、な?」

何に、とは言わない男。
言葉の意味としては、仕事について、でもあるし。
距離の取り方、もである。

「あぁ、どんな情報でもいいよ」

思案する様子の相手を見ながら、情報を待つ男であったが。
相手の提示した情報に、男は目を見開く。
確かに、そんな噂は両方聞いていた。
だが、男が仕入れていた情報よりも、もっと詳しい情報だ。
男は、一度咳払いをしながら、相手を真っ直ぐに見る。

「二つ目の情報について、もうちっと詳しく聞きたいな。
 幾らだい?」

男は、相手に情報の値を聞く。
どうやら、この相手。情報屋としての手腕は確からしい。
ならばしっかりと商売をしたほうがいいな、と判断したらしい。

エア > 「ん、ふふふ。照れる……。でも、お商売にもできてるから、そういうことなんやろうなあー」

歌については、完全に好き100%でやっている。
今日みたいに商売の看板に使うことだってあるが、歌っている時は本当に楽しいのだ。
すこし、子供すぎるかな。しめるべきはしめないとかな?

「ん。さすがにね。今よりもっとチビのころからやってると、色々覚えるからねー」

それこそ、酸いも甘いも。殺されそうになったことだってあるわけだし。
……まあ、声がそのまま攻撃になるからよほどじゃないと無事だけど。
そういうことを積み上げていくと、いつの間にか子供じゃない部分をもつ子供ができあがる。
ちょっとだけ、好きじゃない部分でもある。

「ん。山賊のほうやね。
お兄さん初めてのお客さんやしねえ。はじめてさんにはまた来てねサービス価格してるんよ。
これやと……2千ゴルドかな」

太いパイプが手に入るかもしれない情報にたったの2千。
これだけではガセを疑われるかもしれない。が、ガセは仕入れないのがウチの情報。

「場所は、えーと」

ポーチから国内地図を取り出す。そして鉛筆も取り出して……九頭竜山脈南西部をくるりと丸で囲む。

「位置は当てずっぽうやないよ。こいつらの行動範囲だいたいこれくらい。この辺りで1隊でもみつけて、後つけるなり吐かせるなり。
全部隊規模は100にはまだ達してない。80くらい。
武力での名うてはおらんよ。ただ、頭の指揮能力が結構高いから、それは注意して」

と、一息に説明する。

セイン=ディバン > 「正直、少し羨ましい。
 俺にはそういう芸術関連のスキルは無いからな」

罠作成とかなら得意なのだが、と思いつつ。
男はもっぱら歌や音楽は聴く派。
特に上手な演奏などであれば、音楽の質や種類は問わず、という感じだ。

「もっと若い頃からか? ……あぁいや、侮ったわけじゃないんだけど。
 俺も、エアくらいの歳から冒険者をやってたわけだしな……」

とはいえ、ここまで仕事慣れできていたかは疑問である。
男が駆け出しの頃は、それはもう酷いものであったからして。
相手の境遇などに思いを馳せるが、なんとも。畏敬の念しか浮かばない。

「へぇ。商売上手だなぁ。
 ……うん。2000か……ほい」

相手の提示した値に、男は頷き、指を鳴らす。
瞬間、空中から金貨の入った袋が取り出され、男はそれを相手に手渡す。
ずしり、と重い感触。中を見ずとも、2000より多い金貨が入っているのは分かるだろうか。

「ほうほう……なるほどな。
 ふん。100もいっていないならカモだな……。
 こういうのは、俺の得手だ。
 いやぁ、有益な情報をありがとうな」

相手の情報に耳を傾ければ、あっという間に冒険者モードになる男だったが。
これなら楽に稼げそうだ、と判断すれば、気を抜いた表情になり。
相手に感謝を示す。

エア > 「ありゃー。でもただただ趣味にするんはええとおもうよ?」

芸術関連は、ただただやってるだけで楽しいということはある。
このお兄さんがそういうタイプなら、それでもいいと思う。
……耳や目が肥えていて、自分のものがどうしても気に入らないという場合もあるのだが。

「えへへ。今でも大概チビやからねえ。そういう反応で当然よー。
おお……冒険者するんは、かなり……大変……」

自分の慣れは、ちょっと嫌な慣れ。人の役にたつだけの仕事ではないから。
でも、全部嫌いでもなく。
誇りまでは持てないけれど、プロなんだ。

「初めての情報屋に高いお金は出せんしね。
新しいお客さんは大事にせな。

っと。ありがとーございますっ」

あれ。だいぶ多いな……。ううん、でもお客さんからの、お兄さんからの気持ちが入ってるのだから。

「うん。衛兵くらいやと、今の情勢なかなかそれくらいに対応する数は出しにくいけど
突出してる人も多い冒険者なら、農兵崩れ80はしっかり対処できると思うよ。
近隣の詰め所の衛兵の白髪の男がこの情報の出処の一人やから、成功したら適当に小銭握らせておけば、鉱脈もそっくりお兄さんのよ。
えへへ。実入りがええの、多めに揃えてるからねー」

しゃきっとしたかとおもえば、リラックスした表情。こちらもふにゃふにゃの顔で、お兄さんに笑いかける。