2019/04/04 のログ
ご案内:「王都マグメール 富裕地区 商店街」にミリーディアさんが現れました。
■ミリーディア > もう少し太陽が沈めば夕暮れと為るだろう頃合。
富裕地区の商店街、其の中に在る結構名の知れたケーキ屋。
其処へと並ぶ列の中に少女の姿は在った。
目的は云う迄も無く此の店のケーキである。
「然し、間に合うだろうか?
思ったよりも並ぶのが遅れてしまったが…」
そう呟く少女は少しばかり難しそうな表情を浮かべている。
室内に確保していた甘味が尽きたので久々に買出しに向かう予定を立てたのは昼前か。
其の時間であれば並ぶには変わらずとも手に入れる事は確実だった。
だが、常に物事が都合良く進むと云う事は無い。
行こうとしたタイミングで研究員からの立て続けの問題発生の呼び出し。
問題の解明と修正を行っている内に時間は経ち、此の時間と為ってしまったのだ。
流石に夕方前と為ると売り切れの可能性が飛躍的に上昇する。
其れだけは避けたいのだが…
■ミリーディア > 手段を選ばなければ目的の物を得るのは簡単な話だろう。
其れをしないのは少女の拘りの一つだった。
普通に並び、普通に購入し、そして食する喜びを得る事。
そうした行程を経た喜びであるからこそ意味が在るのだ。
其れが叶わなかったの為らば、素直に運が無かったと諦めるのみである。
ゆっくりと列は進む。
次第に店の様子が良く見える距離に迄近付くのが分かる。
「此れは……拙い」
そう呟いたのは残った商品が後僅かなのが見えたからだ。
同じ様な事を察したのだろう、自分の後ろに並ぶ客達の中からちらほらと抜けて行く者も見えている。
出来れば全品揃えて欲しかったが、此の際残っていれば何でも良いだろうと云う思考が働く。
後数人、もう手の届く範囲内に迄到達する。
ご案内:「王都マグメール 富裕地区 商店街」にリスさんが現れました。
■リス > 仕事が終わった帰り道、少女は家路へと向かう道を進む。
商会自体は、集客効果を求めて、平民地区と富裕地区の境目にあり、自宅は富裕地区の中。
なので、仕事が終わったあとの帰り道というものが発生するのであった。
今日は仕事が早めに終わり、上がれるようになったから、店員に後を任せて出てきていた。
このあと一旦家に戻って食事をしてから……と思っていた矢先、家の近くの商店に物珍しい人を見つけた。
「ここにいるの、意外に見えるわ。」
基本的に王城で仕事をしている人であるし、王城の中でも偉い方の人と認識している彼女。
それがケーキ屋の行列に並んでいるのを見かけたのだ。
店を見れば、納得した、有名店であり、行列ができる店なのである。
ああ、なるほど、と納得したから。
とはいえ、さて、どうしたものだろうか。
行列に並んでいるし、迂闊に声をかけるわけにもいかないだろうか。
彼女の順番は、もうすぐみたいなこともあるので、買い物が終わってから声を掛けようかしら。
そう考えて、少女は待つ事にする。
邪魔にならないように、道路の端の方に移動した。
■ミリーディア > 残り少ないケーキに気を取られ気付かなかった訳ではない、と云えば嘘に為る。
彼女に気付いたのはやっと店内へと入れた時だった。
何とも云い難い状況を見られてしまったとは思うものの、足を止める訳にもゆかず入店に到る。
声を掛けれなかったのは仕方無いか、とは思うも彼女に通り過ぎる様子が見られない。
律儀に挨拶をと思っているのか、自分に何か用事が在るのか。
其のどちらかだろうと考え乍も残り少ない商品の購入を急ぐ。
思う様な結果は得られなかったが、全品売り切れだけは回避出来たので良しとしておいた。
ケーキを収めた箱を手にケーキ屋から出て来る少女。
何処か満足そうな表情を浮かべてはいるも、道路の端に移動していた相手の元へ。
「先日振りか、珍しい場所で会うものだ。
如何やら待たせてしまった様ですまないが、何か在ったのかね?」
両手は箱で埋まっている為に挨拶らしい素振りは出来ず。
取り敢えずはそう声を掛けて。
■リス > あまり長くは待つまいと、思っていたところであったが、果たして彼女はそんなに時間をかけずに出てきた。
手にしている、ケーキ屋の箱を見れば、なんとなくほっこりするのは自分だけだろうか。
彼女も女の子なんだなぁ、とかそんな親近感。
自分には気が付いていたようで、迷わず近づいて来る所を見れば、少女は軽く手を振ってみせる。
「こんにちは、ミリーディアさん。
用事、というわけではないんですけれど、見かけたので、ちょっと挨拶がてらという所です。
ちなみに、私の家は、ここからそう離れてない上に通り道なので、私から見れば、ミリーディアさんの方が珍しくて。」
軽く言葉を返しながら笑う少女。
実を言えば用事はなくて、知り合いがいたから声をかけたというところなのだ。
それに、用事というべき用事は、ここで話すには少し憚られてしまうし。
だから、王城にいるときよりは、砕けた物言いとなっている―――つもりである、本人としては。
■ミリーディア > 手を振る彼女へと返す術は無いが、目の前迄寄れば少しだけ見上げる形に為るだろう。
掛けられた言葉には成る程と納得し乍、彼女の家は此方だったか?と云う様子で顔を一度其の方角へと向けた。
「そう云えばそうだったか、だが珍しい訳でも無いのだよ。
一応は常連でね、ちょくちょくと此の店には来ているのさ」
言葉と共に其れを示す様に両手に持つ箱を軽く上げて見せる。
此の付近で自分の様な格好をした魔術師なんて珍しくもない。
今は知り合ったから気付けるが、若しかしたら何度か此の前で会っているかもしれないか。
此方は相も変わらず普段通りの口調で在った。
■リス > 自分の家の方角を見る彼女、その視線を追うように家の方を見る少女。
ええ、あっちの方です、と同意するように、彼女が見ているかどうかはわからないのだけれども。
「あら、そうだったのですね?
ここはすごく美味しいですし、次回はお土産は決まっておりますけれど……。
ここも、視野に入れないとですね。
とはいえ、この店が開いている時に帰れるのは、私は珍しい方なので、そうなると、私が珍しいのかもですわ。」
基本的に家に戻るのは夜になってからであり、この店は夕方には閉まる。
確かに、すれ違ったことがあるかもしれない。
本人たちが知り合ったのは最近のことだ、気にしても意味はなかろう。
「んー。
宜しければ、家で食べていきます?」
二つの箱に入っているケーキ、彼女は甘味を好むことは知っている。
待ちきれないのなら、という提案。
別に他意はなく、家に戻れば、自分には自分の分があるからで。
紅茶とか、珈琲とかそういうおまけが付くだろう。
■ミリーディア > 今だからこそ彼女の家の位置は的確に判断出来る。
同意するのを確かめれば頷いてみせよう。
彼女の言葉に納得した様に、再度頷いて。
「勿論、美味いと思った店に通うのは当然だろう?
他にも通っている店は在るんだが、何処も頻繁には通えないのが辛い処さ。
そうか、其れでは仕方無いな、リス君も忙しい立場なのだしね」
遅い帰りでは間に合い様も無いか。
其れはある意味で残念な事だと思い乍。
次の彼女の言葉には間も置かずこう答えた。
「よし、では行こうか」
彼女が思っている通りだ。
此処から王城に在る自分の部屋に着いてから食べる。
彼女の家に案内されて其処で食べる。
そんなものは自分には選択肢とも為らないだろう。
おまけの有無が無くとも答えは一択。
目的地は分かっているのだから前を歩いても良いのだが、案内は彼女に任せよう。
先に進む事はせず、彼女が歩き出せば其の後ろを付いて行くつもりだ。
■リス > 「ええ、ええ。その通りですわね。
お仕事は忙しいですから、それは仕方のないこと、ですから。
ふふ、でも、私は家のメイドに伝えておけば、手に入れておいてくれますから。」
自分で間に合わなくても、メイドとか娘とか、手に入れるだけなら方法はある。
彼女のように、自分で、というこだわりがないからである。
無理なものは無理だからで。
「はい、ではこちらへ。」
王国は広いものである、王城へ戻るよりかは、近いのでの提案。
彼女はそれを由とした模様。
ならば少女は先に歩き始める。
後ろに付いてくる彼女を、軽く横目で確認してから、身長差からくる歩調に気をつけてあるくのだった。
「そういえば……今、王城を離れて大丈夫なのです?
シェンヤンから、公主様が、婚活パーティに来てるみたいですけれど。」
先日娘が潜り込んで、バレないようにこっそり食事と甘味を散々くいあらして戻ってきた。
そんな時にそれを言っていたのを思い出した。
噂は噂だが、本当なことを思い出し、いま警備とか考えれば、彼女がここにいて大丈夫なのだろうか、と。
そんな質問をしている間に、家は見えてくる。
家令長が、玄関口で静かにお客様のお出迎えのために、立っていた。
■ミリーディア > 「成る程。
まあ、儂の場合は自分で手に入れる楽しみも味わいたいのでね。
其れが難しい君に出来ないのは仕方無いだろう」
今聞いた話から考えれば、其れを求めるには其れしか方法が無いのは理解出来る。
納得し乍も自分の拘りは伝えておいた。
何故こんな場所に自分が居るのかは彼女も理解出来ただろう。
歩き乍の彼女の次の言葉に肩を竦ませてみせる。
「構わんよ。
儂が其の手の話に興味が無い事も、面倒に極力関わらん事も、あちらさんは分かっているんでね。
気が向いたらパーティーに美味い物でも食べに参加はするかもしれんが」
別に其れを隠す必要も無い、彼女へは肯定する様な発言を。
シェンヤンとの繋がりも持っている様な含みと、軽い冗談も持たせて。
自分の立場はあくまでも本来は研究者、警備等は其れを生業とする者達にやらせれば良いのだ。
そうしていれば彼女の家も見えてくる。
後は此の侭彼女の家で美味しいケーキを頂くのだろう。
其処でどの様な会話や行いが交わされたのか、其れは又後の話と為ろうか。
■リス > 「ふふ、いい事だと思いますわ。
何者も、自分の目で見て、自分で選んだものの方が、良いですから。」
彼女のこだわりはわかる、無理だからやってもらっているけれど。
買い物は自分で行いたい性格なのだ。
彼女が自分の嗜好品を求めてくるのは、間違いではないと思うのだ。
「ふふ、それであれば良かった。
引き止めたから、と怒られたらたまりませんもの。」
大丈夫そうである。
そして、自分の知っている情報が正しいものだということもわかった。
が、今は婚活パーティには興味が薄い。
むしろ、今こちらに来ているシェンヤンの人向けの商売の件に関してだ。
今はオフだし、それはまた後で、と。
家の目の前で待っている家令、やってきたお客様には丁寧に対応する。
そして、紅茶とお茶菓子とケーキで、のんびりした時間を過ごすのは、間違いない。
甘いものと、気のおけない雑談は、良い癒やしなのだ、誰にとっても――――。
ご案内:「王都マグメール 富裕地区 商店街」からリスさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 富裕地区 商店街」からミリーディアさんが去りました。