2019/03/30 のログ
ご案内:「王都マグメール 富裕地区 ホテルラウンジ」にジナイアさんが現れました。
■ジナイア > 富裕地区にある、学術施設が集まった一帯にほど近い場所に建つホテル。
観光客目当てというよりは、付近の学術施設への訪問者向けなのだろう。
近隣に倣うような白い石造りの建物は、富裕地区にしては装飾もごく質素で、高さも3階建てと控えめだ――その代わり、天井は高そうだが…。
2階にあるラウンジのガラス窓からは深夜でも薄明りが漏れて、建物前の広場に心もとない灯りを零している。
そのラウンジの、広場に面したソファ席を占拠している黒髪の女がひとり。
目の前の広いローテーブルへ幾つか本を積み上げ、屈み込むようにその中の一つへ見入っている。
■ジナイア > 卓上の灯りはひとつきり。
翠の双眸を少し伏せる様にすると、それを手元に引き寄せて、膝の上に頬杖をついた。
そうして、赤銅色の指先を伸ばすと本のページをひとつ、次へと繰っていく。
本には、鮮やかな花の絵が大きく描かれている……図鑑のようだ。
「……これじゃ、無かった気がするな…」
そう、呟くとまた次へと繰った。
■ジナイア > しばらくそれを繰り返して、やがて熟れた唇から溜息を漏らすと、翠の視線をガラスの向こうの広場へと向ける。
深夜の事とて人影ひとつないが、中央に位置する噴水の、その水面が揺れる様を頬杖を付いたまま眺めた。
(図鑑に載っていないとすると、新種だったのか…?)
そうだとして、似た花ひとつ見付けられないのでは、何とも…
まさか全く誰もが見たことが無いものを、高々物見遊山の自分が見つけたとは思えない。
「あんなにいい香りがする花だものな…」
呟きを漏らすと翠の双眸を一度伏せて、気を取り直すようにまた図鑑へと視線を落とした。
■ジナイア > 最後まで、ページを繰る。
瞳を伏せる様にしながらその手をゆっくりと本の扉へ掛けて、溜息と共にぱたんと図鑑を閉じた。
「……残念だな」
呟きながら積み上がった本へ視線を投げる。
見終わったものだが…もう一度見直してみるべきかもしれない…
そう、心中で呟くと手で口元を覆って、小さな欠伸を零した…今日はもう、仕舞いにしようか…
■ジナイア > 繻子のストールを巻き付け直すと、テーブルの上の本を積み重ね、抱えながら立ち上がった。
そうしてまた、広場の噴水へ視線を放ってから、踵を返し―――
ご案内:「王都マグメール 富裕地区 ホテルラウンジ」からジナイアさんが去りました。