2018/12/05 のログ
ご案内:「王都マグメール 富裕地区2」にナインさんが現れました。
ナイン > (歩みを止める。
高い壁と壁に挟まれた路地。
ささやかな雨が、表通りから射し込む外灯の光に靄を掛け。何もかもを淡く揺らめかす場所。
傘を差して尚、霧となって滑り込んでくる水気が髪を湿らす事に。とも辟易、と眉を寄せつつも。)

 ――済ませたな? なら、後は何時も通りに。
 払った額に見合う以上をこなしてくれたんだ、多少の色は付ける。約束だ。

(夜霧の向こう。誰とも知れぬ人影が、ゆらりと浮かび、また揺らぎ。
その者が漂わす血臭に、少しだけ口元を綻ばせた。

…どうやら。仕事の邪魔者か、対立する他の貴族か。
そういった誰ぞの「片付け」を頼んだ件は。上手く行ったらしい。)

ナイン > (決して、音声による返答が返ってきた訳ではない。
だが、了承したであろうその影が、直ぐには消えなかったという事実が。取引の続きを促していた。)

 …何を、上乗せするかって?
 それはもう。今後も働いてくれるなら、叶え得る限りを。
 財か、糧か、女か…次の、血を見る機会か。…楽しみにしておいてくれ。

(それを聞いてから、影は消えた。どうやら今後も、雇用に応じてくれるという事なのだろう。
姿も気配も血の臭いも。全てが掻き消えた事を核心してから。そっと、溜息を零した。)

 ――――解っているが。…あぁいう手合いには、何時迄経っても……気疲れ… する…なぁ…

(少しだけ。独りならば、ほんの少しだけ。弱音を漏らしたくもなる。)

ナイン > (弱い、欠片。身一人、己独り、では到底隠しきれないそれを。
この夜闇と霧雨が、ぼかし覆ってくれたと思いたい。
その点に関してだけは。精々密会にか適さないであろうこの悪天候にも。感謝しよう。
ふるりと一つ頭を振って。再度顔を上げた時には。もう、この当主という仮面の下は見せるまい。)

 ――――さ、て。帰ろうか。

(そうだ。帰る場所が在る。そして、その場所を護らねばならないのだ。
例え今夜のように、血臭に触れる事となろうとも。
頭の上で傘を回した。累積していた水滴が、遠心力で飛び散る様に微笑んで。
路地を出る迄の極僅かな間だけ、子供っぽく傘を回し続ける侭に。
小さな姿は霧雨の向こうに消える。)