2018/09/19 のログ
ご案内:「王都マグメール 富裕地区/貴族の屋敷」にマーシアさんが現れました。
■マーシア > 「ですから、……出来ません。私の此れは、見世物ではありませんの」
贅を尽くした応接間の、ゆったりとした造りのソファに浅く腰掛け、
背筋を伸ばして膝の上に両手を揃え―――もう何度目か知れぬ台詞を、
己には珍しい、やや強い語調で繰り返した。
望まれれば何処へでも出向くし、請われればどんな相手でも癒そう。
けれど、見世物として―――奴隷を故意に傷つけ、己に癒させるなどという非道に、
加担することはどうしても出来ないと思った。
此の部屋を彩る調度を見るだけでも、此の家の主の財力は窺い知れる。
断り続ければ己にも、何某かの咎めがあるかも知れないが―――
ふわふわと漂い暮らすような女にも、譲れぬものは、あるのだ。
強情な女に業を煮やしてか、執事であると名乗った男は真っ赤な顔で部屋を出て行く。
主にご注進に及ぶ気か、其れとも―――其れでも、女の決然たる表情は崩れない。
■マーシア > ざわ―――――背筋に、冷たい刃をあてられたような感覚。
不穏な気配を感じ取って、己の背に光の粒が舞い始める。
急速に失われていく意識が、女の身体を大きく傾がせて―――――
次の瞬間、ふわりと吹いた一陣の風が白い閃光を放ち、
其れらが消え失せた時には、女の姿もまた、何処へともなく消えていた。
後に残るのは、床に舞い落ちた一枚の白い羽根。
けれど其れも、扉が再び開く頃には―――――幻のように、消えた。
ご案内:「王都マグメール 富裕地区/貴族の屋敷」からマーシアさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 整体院カイロ」にハレスさんが現れました。
■ハレス > 「ふぃ~、やっと終わったか」
いつものように日中の予約客を片付け、時間の出来たハレスは受付兼待合室にて慣れない事務仕事に取り組んでいた。
それなりに腕の立つ整体師として名を挙げてはいるものの、どうにも書類仕事や金勘定といったものはゴツイ手ではほんのちょっと難儀する。
それもようやく終わって、椅子の背もたれに寄りかかりながら大きく背伸び…ごきごきと身体の軋む音が聞こえるけれど、まぁこれも日常だ。
後で湯船に浸かりゆっくり身体をほぐすことにする、整体師たるもの自分の身体のケアも怠らない。
「おっと…確か香草がもうすぐなくなりそうだ、休みに採りにいかなきゃな」
背もたれにもたれたまま寝入りそうではあったが、施術に使う香草がそろそろ無くなりそうなのを思い出せば、ガサゴソとカウンターの中や棚などを漁り、定休日まではなんとか持ちそうだというのを確認していた。