2018/08/10 のログ
ご案内:「王都マグメール 富裕地区2」に紅月さんが現れました。
紅月 > ーーーからころ、からころ、しゃら…

神餐節…それはここの国教の、神に食物を捧げて国と民の安寧を祈る祝日。
で、あった、はず…記憶違いでなければ。

「女も供物扱いとか、此処の神は邪神かっつーの。
…うちも邪神系だけど、ああいう事はせんかったぞ」

ぷんすかと、なんとも御機嫌ナナメな異邦人が一人…大通りを歩いている。
手には楽器ケースのような物…恐らく旅芸人か吟遊詩人か楽士か、そんなような所か。

「……気分悪ィ、どっかで弾き直すか」

からころと涼しげな足音が響く。
豊かな紅の髪を風に煌めかせ、ひらりと袖を揺らしつつに。

紅月 > 今日は、楽士としての依頼が入っていた。
曰く『神餐節のパーティーに華を添えてくれ』と。
幸か不幸か、これまで神餐節の闇を偶然見掛けなかったが故に二つ返事で承諾したものの…着いた先は魔宴の会場で。
あっちでアンアン、こっちでアンアン…何とも肌色成分の多いお祭りだこと、と、すっかり呆れてしまった。

暫く演奏した後、主催者に『好きなだけ楽しんでから帰るといい』と物凄くスッキリした笑顔で言われたが…丁重にお断りして早々に退場させて頂いた。

「晩飯ぶんぐらい食っときゃ良かったかねぇ……否、ダメか…何盛られてるかわからんもんなぁ」

はぁ…深々とため息をつき、夜空を見上げる。

「明日は"新月"か…道理で、腹の減る……」

ご案内:「王都マグメール 富裕地区2」にフィル=クォーレンスさんが現れました。
フィル=クォーレンス > 何時もに比べれば多少は控えめだった暑さ。
夜風が吹く時間になれば、残った暑さを更に拭い去る様に運んでくる涼しさに、多少は夜歩きもしやすいといった所である。
貧民地区や平民地区に比べれば、夜道でも数段安全といえる富裕地区。
それでも絶対に安全かと言われればそうではなく、路地裏や特定の地区の店に行けば裏の顔がのぞくものであり。
安全に行くならば、出来るだけ大通りを通ったほうが懸命である。
そんな静まり返り始めた大通りに出る様に、細道から少年は軽い足取りで顔をだし。

「思ったより遅くなっちゃったかな…」

平民地区でも大通りは人気が無くなり、宿屋や酒場などの区画に人が集まる時間である。
一つポツリと吐息に乗せて、静かに零しながら大通りを進んでいく少年。
配達の仕事を任せて遅くなったとはいえ、時間が時間である。
何か音が響いたりすれば、ピクリと身を震わせて音のした方を見たり、と少々慎重な様子を見せている。

「人影…?って…紅月、さん?
どうしたんですか、こんな時間に…って、あれ?」

ゆらりと見える人影。
反射的に目を凝らし、薄暗い中に浮かび上がる姿に視線を集中させていくが、見えた人影は見知った姿である。
最近お店に来たばかりとはいえ、しっかりと覚えていたようであり。
正体を知っている相手なら、と深く被っていたフードを軽く緩めながらも、手を振りながら歩み寄ろうとする少年。
香りや雰囲気と、薄暗さで判断したからであろう。
そんな風にして近づいていこうとすれば、僅かにだけ混じるのは異性の香りとも言うべきものや、色々な違和感。
人違いでもしてしまったかとばかりに、少し慌てて首を傾げ。

紅月 > ところで…実は、己が二つの性を持つと知る者は多くない。
無論、両方見た者は更に少ないわけで。

「うん…?…え、フィルっ!?
ぇ、ぁ、いや……あー、うん…えぇと、よくわかった、な?」

唐突にバレると、物凄く心臓に悪い。
彼は犬科の獣人…おそらく嗅覚で判断したんだろうと予想はつくものの、すっかり不意打ち状態であれば「参ったな…」とボヤキたくもなる。

穏やかな響きは似ているが、男性の低さ。
花のような香りに混じる、雄の気配。
身長や体格は服装が服装なだけにわからないだろうが…まぁ、知らぬ人が見たときに思う感想は"兄妹かしら"が普通であれば関の山だろう。

ポリポリ、とベールの下の頬を軽く掻く。
そして…困ったように笑いながらベールをあげて、顔を見せよう。
…やはり、双子を男にしたような見覚えのある人相がみえるだろう。

フィル=クォーレンス > 「あれ…?本当に紅月さん…だったんですか?
雰囲気とか…香りが似てたので…早とちりかと、思ったんですけど」

認識阻害状態で、人に見える様に普段はしてあるとはいえ、完全に獣人しての感覚まで抑え込まれているわけではない。
一見の見た目だけではわからないものの、香りや雰囲気を上乗せすれば、感覚的に判断した部分が多いのだろう。
響いた声に、混じった雄としての香りに、人違いかと慌てて頭を下げかけたところで、続けられ言葉に頭を下げかけたまま、目を丸くして顔だけ相手の方に向け。

「間違いじゃ…ないならよかったんですけど。
でも…声とか香りとか…雄…ですよね?」

自らと同じような、何かしらの魔法やアイテムで化けているのか。
そんな様子で、まだちょっと慌てた様子で顔をちゃんと上げきれば、魅せられた顔をマジマジと見つめ、鼻を効かせる少年。
阻害を解いていれば、尻尾が不安定に揺れて、耳もピコピコしていたであろう慌て振りであり。
人違い、とか兄妹といわれれば信じてしまいそうな有様である。

紅月 > 「……ぶふっ!…こほん、いやすまん。
あぁ、そうだぞ~、もふもふ大好き紅月さんだ。
どっちにもなれっから上手く使い分けてんだよ…あっちはコウゲツ、こっちはアカツキ。
……触ってみっかい?ちゃあんと男の手だぞ~。
なんなら温泉行って下も確かめてくれてもいいぜ?」

おろおろアワアワと、なんとも微笑ましい姿に思わず笑ってしまい…謝罪をひとつ。
愉快げに笑いつつスッとしゃがみこんで目を合わせてやり、冗談半分な言葉を言いながら手を差し出す…女性よりも幾分筋張った、指の長い男の手である。

「一応内緒な~?フィルなら大丈夫だと思うけどさ。
…冒険者稼業やんのに荒くれ者共と関わる時、女の身だと面倒もあってな……下手にバレると厄介な事になりかねんのよぅ」

厄介な事…つまりセクハラだったり、ハメられて売り飛ばされたり、である。
しゃがんだまま、小声で事情を説明し苦笑して。

フィル=クォーレンス > 「名前も変えてるんですね…でも性別まで変えられるなんて、相当熟練した魔法なんでしょうか。
香りもちゃんとなってますし…手もほんとに」

慌ててしまった息を落ちつけるように、何度か軽く深呼吸までいかずとも、深い呼吸を数回。
魔法かまたは別のアイテムか。
完全に性別まで変化しきるということに、新たに驚くように鼻をもう一度効かせながら零す少年。
合わせられる視線に軽く視線を合わせて笑みを零しながらも、差し出され手に軽く手を振れさせれば、確認するように頷き。

「あ、はい!
勿論、理由もあって内緒…っていうなら口外しませんし!
そ、それに温泉で下って…それって」

自分よりも、色々な人達が入り混じる世界に足を踏み入れていている相手である。
色々な事情の一部を零されれば、ブンブンと勢いよく頭を縦に振ってこたえるそれは、ちっとやそっとじゃ本当に公言しない表れだろう。
もっとも、確かめと言われればまた少し慌てるのはそこまでしなくてもといったところか。

「でも、温泉って言えば…あの張り紙、お試しでいってみたら興奮剤の湯でしたよ。
でもあくまでお試しだったみたいで…お試しじゃないないなら、どのくらいかは、一人だとちょっと迷ってるんですけど…」

温泉で思い出すように、お試しでさわりだけ触れた、張り紙バイトの事を紡ぐ少年。
彼女、または彼がいれば多少はさわりではないバイトの真相もしれるかもしれない、と思ってしまうのはその色々な手腕や慣れをみたからだろう。
もちろん、やはりこの姿がぶれて見えるなら、浅くフードをかぶりながら本来の獣に近い姿にも戻っておくようであり。

紅月 > 「あー、いや…こっちは魔法じゃなく……ま、いっか。
うんとな、物凄ぉく変てこりんなアレなんだが…俺、生まれつき性別が二つあんの。
そんで、体の切り替えが出来んだ」

しばし言い淀み、けれど正直に説明してやる。
子供のうちから"こういう生き物"に関して知識があれば、変な偏見も持たず真っ直ぐに育ってくれるだろうと期待をもって。
…己がレア生物だという事は以前話した。
故、たぶん"そういうモノ"と判断してくれる筈だ。
もし、よくわからないと首を傾げれば『一つの魂に二つの性別を持ち、中性として生まれてくる』と説明を付け足そう。
…この少年は素直で頭の回転もいい、ついつい色々教えてしまいたくなる。

「ん、イイ子だ。
ふふっ…思春期男子なら、どうせなら女の方がいいかな?」

一生懸命に秘密を守ると誓ってくれる少年に笑みを溢し、ポフポフと頭を撫でてやる。
…余計な冗談も添えて。

「興奮剤、あんな金額の興奮剤…しかもあの九頭龍だしなぁ……どうせ媚薬ローション風呂とかそんなオチじゃねぇの?
いやぁ、しっかしあの給料だったらやるのも…確かに悩むな。
ネタとして一緒に行ってみっか?」

温泉内が大乱交だったのを見たことがある紅髪、全てを察する。
悩みつつ…お兄さんの姿だから自重するが、やっぱりもふもふは好きなのでフィルの頭を再びポフポフ撫で始める。
そうして、結局好奇心に負けて誘ってみるのだった。

フィル=クォーレンス > 「生まれつきで切り替え…ですか。
体への特別な負担みたいなことがないなら、便利そうなところもありそうですね」

魔法ではない生まれつき、両方が混ざっているような人は知っていたのだろう。
両方を完全に切り替えられるような、生まれつきのものであれば、むしろ素直に凄いと感心したようである。
少年自身が生まれつき、獣に近い姿の獣人であれば、様々が種族や個性があっても可笑しい事ではない、と思っているのだろう。
便利層というのは良い事ばかりとは限らない、というのを考慮しての言葉のようであり。

「え、いや…僕は別に性別とか種族で、特に何かとかはっ…」

女性は女性で抱きつかれたりしたら、気恥ずかしさもあるのであろう。
けれども、個人個人でそのヒトを見てる少年であれば、撫でられれば少し笑みを零し。
ふわりとした毛並みをその手に伝え。

「興奮剤とはいってましたけど…作用的には、ありえそうな気もするんです。
ただ試しだったので…軽く息が荒くなるくらいでしたし。
試しじゃなかったら…何か危険だったりしたら、確かに一人よりは二人の方が、いいですよね。
探って…みましょうか」

良くも悪くも、獣の姿を看破されたりして騒ぎになったら、と言うことを踏まえて普段は人気のない、奥の温泉に入っているのである。
大浴場での騒ぎなどを見たことなければ、相手の可能性の一例に少し驚きながらも頷き。
一人では足踏みしていたのもあり、一緒にという言葉が後押しになったのか、少しだけ考える様にしながらも、行ってみると答え。
同性状態の相手に撫でられていても、それを拒否することはなく。
そのままの姿でモフられても余り気にしなさそうに、目を細め尻尾を揺らして撫でられ続けており。

紅月 > 「負担、負担なぁ…特にはないな、うん。
あ、強いて言うなら服がな…金かかるし、仕舞う場所とかも。
その代わり…男湯女湯含めて、温泉制覇出来んぜ!」

便利そうと聞けば、メリットとデメリットの一例を伝えようか。
楽しもうと思えば楽しめるものである。

「おうおう、そうかそうか~…うん、いい事だ。
…ククッ!けど、やっぱり俺が雄に抱き付いてたらアヤシイから、思いっきりもふもふすんのは女の時な?」

ワシャワシャと彼の柔らかな毛を楽しみつつ、笑いながら言う。
ただのワン公ならともかく、彼は獣人…やはり、彼の今後を考えれば男同士は避けてやった方が親切だろう。
…まぁ、彼自身の嗜好次第ではあるのだが。

「あー、確かにそれは…本番となると、なぁ。
…クッ、アハハっ!
おとなしいかと思やぁ意外とチャレンジャーじゃねぇの…いいぜぇ付き合おう!
好奇心の赴くままにっ!!」

少年の度胸に感服、である。
さすが先々遺跡探索してみたいと言うだけはある、見込みは充分だ。
楽しげにケラケラ笑いながら、温泉の方へ向かって歩を進めよう。
愛らしい狼を撫でながら。

フィル=クォーレンス > 「両方で着れるような服とか…あ、でも下着はいるし。
温泉もなら片方専用施設を両方楽しめるのは、いいですね。
作りの違いとかサービスの違いもあるかもですし!」

本来の姿は毛並を纏っているせいで、あまり衣服の着こなしに拘りがないというところもあり。
衣服に掛かる資金という言葉に、それがあったかとばかりの様子である。
けれども、どちらの施設も楽しめるというのは、言葉通り楽しそうと感じたのか、尻尾の揺れは大きく。

「それはそれで…ちょっと恥ずかしい気もしますけど…。
わわっ!っとと」

女性に抱きしめられるのは、それはそれで緊張というより気恥ずかしいものは多少あるのだろう。
けれども、世間的にと言うべきであろうか。
男同士の構図を考えれば通りで堂々と、というのは気遣いであれば、気遣いには気づいているのか、小さくうなずき。

「安全確認はしながら、ですね!」

とはいえ、やはりまだまだ大段に踏み出す力は弱いのだろう。
好奇心のままに行動力も膨らんでいけば、そのうち遺跡などにいつか探索にも赴けるかもしれず。
横に並ぶように、それでいてわしゃわしゃと撫でられる度に尻尾を揺らしながらも、連れ立っていき。

ご案内:「王都マグメール 富裕地区2」から紅月さんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 富裕地区2」からフィル=クォーレンスさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 富裕地区2/貴族の邸宅」にアーヴィングさんが現れました。
アーヴィング > 富裕地区に存在するとある貴族の館。
『神餐節』を祝うための祝宴、という名目で招待された。
尤も、名目は名目。本当の目的なんて、参加した男達の誰もがわかっている。
料理を食べ終わり、酒が入れば、男たちは、家令に招かれて地下へと。
そこには、捕らえられた女達が一部屋に一人ずつ。
“何をするために”なんて最早言うまでもない。祭の夜だ。

「―――ありがとう」

その男たちの中に、銀の目の彼はいた。
家の主である貴族の事業には、幾分かの投資をさせてもらっている。
今宵は、その礼というところだろう――が、どうでもいい。
下卑た顔の主と、その家令が招いてくれる先に誰がいるのか、誰かいるのか。
それだけが興味の対象であり、それだけで十分だ。
だから会話もそこそこ案内される侭に、地下に並ぶ無数の部屋から、ひとつの部屋を選んだ。

コンコン――。

と、最初にするのはノックの音。この場には不似合いな音を響かせて
そして、返事を待つこともなく室内へと足を踏み入れる。

アーヴィング > 扉が開く音がする。
そして、その中へ男は踏み込んでいく。
やがて、音もなく閉じる扉。
その奥でどんなことがあったのか、それは彼だけが知っていればいいことで―――。

ご案内:「王都マグメール 富裕地区2/貴族の邸宅」からアーヴィングさんが去りました。