2018/05/29 のログ
ご案内:「王都マグメール 富裕地区2」にアラミルさんが現れました。
アラミル > 夜。富裕地区では主に貴族たちのパーティが開かれていたりもするのだが
男の視界に入ってきたのはそんなパーティとは無縁とばかりに、屋外に設置された椅子に座り、何かをもぐもぐと食べる女性の姿

「………」

小さく一口食べては首を傾げ、また小さく一口食べる
じっくりと見るなら、それは富裕地区でも有名な店屋で出される…貴族たちがカードで賭博などをしながら食べる、肉や野菜をパンに挟んだもので

「……」

味があまりわかっていないのか、表情は変化せず、ただ消化しているだけのように小さな口で食べ進めていて

イグナス > ――じ、とその姿を見る。視線を振り回していたさなかに見つけた姿は、見知ったものだ。
少しだけ観察しよう、ってほんの十数秒。
まるで義務か、あるいは作業のごとく食べる様に、く、く、と苦笑いをかみ殺した。

「なあ、おい。もう少し美味そうに喰えンのか、お前は。」

遠巻きから声をかける。それで、誰かも知れるだろう。
彼女がこちらを向くのを待ちながら歩み寄って、見下ろす、ちいさな体。

アラミル > 声をかけられるとふ、と顔をあげる
未だ無表情と言える表情ではあるが僅かに口角が持ち上がり

「あ。イグナス…。」

作業をしているかのごとく手に持ったそれを食べ進めていたが
歩み寄るまでその作業は中断されて

「うま、そうに?……どうやって、食べるの…」

そもそもこれは歩いていたらどこかの令嬢と間違われたらしく、媚びを売るためにもらったものだ
味などわからないし、わからない故に表情も浮かばない
じゃあ、やってみて、と言いたげに食べかけのそれを相手に差し出すだろうか

イグナス > 「よう、久しぶりだな。」

一瞬、忘れられてやしないかと危惧もするが、すぐに出てくる名前に安堵を。
こちらも口元に笑みを置きつつ、片手をあげてあいさつの仕草。
彼女のすぐ傍にまで立ち寄ったならば、問いかけに、やれ、と少しばかり呆れた様子で。

「味わって食べろッてことだよ、――いやまあ、アラミル、お前の場合は難しいのかもしれンけどよう。」

そもそも、こういうものに対する味覚があるのかすら怪しいワケだし。
受け取った食べ物を乱暴に、がぶり。美味そうに――というか、荒かった。
もぐ、もしゃ、もぐり。肉まで口腔内に押し込んで、ごくり。嚥下音まで聞こえる有様、はあ、と息を吐いて。
独り言めいた感想を。

「ンむ、……や、流石に美味いなコレ。腕前ってか、いい食材使ってンのか。」

アラミル > 「ん。」

久しぶり、という言葉にはこく、と頷き
どうでもいい相手なら忘れていたりする彼女だが、相手の印象は強烈すぎて忘れられそうもなく

「味わって…。……そんな風に。なる、ほど?」

差し出したものがあっという間に胃袋に納まり
その様子を観察していたが、あれがうまそうに、ということだろうか、という表情

「さ、ぁ…わからない。もらった、だけだし…美味しいの?」

ぼそぼそと相変わらずの声で
美味いという感想に、あの刺激が美味しいなのか、と今更ながらに理解して

イグナス > やっていて今更だけれども。この感じを彼女に、やれ、というのは無理があるだろうか。
んん、と咳払いひとつ、して。

「………ま、そもそも、美味い、がわかンなきゃ、どーしようもないよな。」

次いでの質問にも合わせて。少なくとも彼女にとってはあの感覚が、美味い、だとか、感動できるなにかではないらしい。
それならばそれでいいかとさっぱりと切り替えるならば

「おれにとっちゃあ美味かったよ。だけどお前にとっては違うかもな。
 ――お前に感情が乏しいのは、今更というか、いつもンことだしなァ。」

こうして会話をするうちは、相変わらずそういう印象。腕を伸ばして、ぐしぐし、と頭をなぜた。
人間…いやさ生き物、そう簡単に変わるわけもないのだ。

アラミル > やれ、と命令すればやるだろうが、もう食べ物はなく、試すこともできない状態で

「うん。…ちょっと笑うことぐらいなら、演技で、できるけど」

社交の知識はある程度仕込まれているため、演技をする必要があれば微笑むぐらいはできるらしいが
実感としてわかっていないという話だろう

「ん、ん。…うん、そう簡単には、変わら、ない、よ…?」

ぐらんぐらん、と男にとっては小さな体が揺らされる
いつものこと、という言葉に、じぃ、と下から…少し色がついた視線、で見つめる

イグナス > 「やめとけ、やめとけ。芯からでなきゃあ、つまらん。」

演技だとか駆け引きだとか、そういうものと無縁の男ゆえに豪快に言い切った。
そも欠落しているならば、無理に合わせる必要もない。
いつも通りで―――……いつも通りとなれば、なるほど。
頭をなぜながら男は、くく、と喉を鳴らして、笑った。

「腹減り娘め、………宿に戻る。喰いに来るか?」

問いかけながらも手のひらは外して、ふいと後ろを通り過ぎる。
きたけりゃ勝手について来いとばかり…いや、答えはわかってるようなもんだけども。

アラミル > 「ふぅん。ふつうは、喜んでくれるのに…」

まあ社交場などで彼女が微笑めば
それだけで慣れていない貴族などはどうでもよくなるだろう
慣れている男にとっては詰まらないものではあるだろうが
くく、と笑う男にまた少し笑みを深めて

「いつ、でもお腹は、空いてる…。……うん」

少し乱れた髪も気にせず
子供のようにと、と、と男の後をついていくだろう

イグナス > 上等な料理じゃあ腹は膨れないのは少し勿体なくはあるが。
であれば、満たしてやるのもいいだろう。二人の姿は闇へと消えていき――

ご案内:「王都マグメール 富裕地区2」からイグナスさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 富裕地区2」からアラミルさんが去りました。